No.80623

新・恋姫無双~北郷一刀の外史~

シオンさん

初投稿です。

皆様の作品を見て書いてみたくなりました。

こちらの話では一刀は魏・呉・蜀陣営には所属しません。

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2009-06-23 21:40:58 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:17615   閲覧ユーザー数:14468

 

序章

 

 

「目が覚めるとそこは知らない天井でした。」

 

 

そんな馬鹿なことを呟きつつ北郷一刀は布団というかベットから体を起こすとあたりを見回す。

 

 

 

「此処は何処だ?」

 

 

 

なんというか中華(高級中華料理店の内装?)な造りの室内をキョロキョロと見回す。

 

すると、テーブルの上にとっても見慣れた自分の制服がきちんと畳んで置いてある。

 

自分が下着姿で寝ていた(寝かされていた?)事に気付きあわてて着替えだす。

 

 

 

 

               コト

 

 

 

 

僅かな物音に一刀がそちらを見る。片足をスラックスに突っ込みパンツ丸見えの姿で……

 

 

 

「「・・・・・・(ジ~~~~~)・・・・・・・」」

 

 

 

扉の蔭から一刀を見ていたのは幼稚園児位の2人同じ顔をした女の子だった。

 

 

 

「・・・・・え~と、・・・・・やぁ?」

 

 

二人は顔を見合わせると急いで走り去って行った。

 

 

 

「「奈々母様~~!馬のお兄ちゃんが起きたよ~~~!!」」

 

 

「馬?」

 

 

遠ざかっていくその声にあわててスラックスをあげ衣服を整えると改めてあたりを見渡す。

 

結構豪華な造りの室内は調度品も品が良く落ち着いて趣味の良さがうかがえた。

 

(どこぞの金持ちの屋敷?)

 

「それにしてもここは一体??」

 

 

 

「ここは荊州の襄陽郡宜城県にある馬家の屋敷ですわ。ご気分はいかがですか?」

 

 

 

一刀の独り言に答えたのは長身に長い黒髪、少し垂れた目元に泣き黒子のボンキュボンな妙齢の美女だった。

 

 

 

「け・荊州?まさかここは中国?」

 

 

「チュウゴク?ここは漢ですよ。」

 

 

 

ニコニコと答える美女に唖然とする。

 

 

「は?カン??」

 

 

 

色々と話を聞きどうやら相手と自分の話の根本的にかみ合わないことは分かった。

 

そして、見回せば家電もなく電気もない。

 

なんとなくイメージは水滸伝か三国志?

 

 

 

※一刀は趣味で吉○英○の小説も○山○輝のコミックも読んでいた。

 

 

(えっと馬家と言っていたよな……三国志としたら荊州で馬と言えば『白眉』の馬良だけど)

 

 

「まさか、荊州の馬家って『馬氏の五常』の馬家?」

 

 

「あらあら、良く御存じですねさすが御遣い様。私、馬家長女馬玄伯常と申します。」

 

 

SFチックにタイムスリップなどを想像し現実逃避を試みようとしていた一刀に現実(?)は容赦なかった。

 

 

 

「は・ははは・・・・」

 

 

 

(馬氏五常は五兄弟のはずだろ?なんで姉なんだよ~~)

 

 

 

「どうかなさいましたか?御遣い様」

 

 

「いえ、ところで御遣い様ってなんです?」

 

 

「実は先ごろより大陸全土にある予言というか占いが噂として広がっているのです。」

 

 

「占い?」

 

 

「はい。『黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流星。その流星は天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静す。』管輅という占い師の占いだそ

 

うです。」

 

 

「で?俺がそうだと?」

 

 

「はい。その装束は見たこともない材質でキラキラ輝いてますし、何より昨晩の流星は一瞬昼の様にこの辺り一帯を明るく照らしだしました。そしてそのあとあの子たちが貴方を連れてこの屋敷へと連れてきたのです。われわれ姉妹を始め屋敷中の者が大騒ぎでした。」

 

 

「あの子たち?」

 

 

色々と言われ混乱の極みに達しようとする一刀に一縷の望み。

自分をここに連れて来たという人達、その人たちなら何か知っているのでは?

そう思いその人たちのことを尋ねる。

 

 

「そちらの窓から外をごらんなさい。」

 

 

あくまでニコニコと笑いながら話す馬玄に急ぎ外を見る。

 

窓の外を見るとそこにいたのは3頭の馬だった。

 

 

「えっと?」

 

「その子たちが御遣い様をここに連れて来てくれたのですわ」

 

 

その言葉に改めて馬たちを見る。

 

真中にいる馬はまず目立った。

某世紀末の覇王様の愛馬といっても通用しそうな立派な体躯。

そして、見事な赤毛。

こんな馬は自分の知識の中には1頭しかいない。

 

 

「せ・赤兎馬?」

 

 

一刀の呼びかけに気付き近づいてくる。

鞍も鐙もない裸馬のまま堂々と一刀に鼻面を押しつける。

 

 

「うわ、ちょ・ちょっと待て!」

 

 

続けて近づいてきたのは体躯こそわずかに赤兎馬に劣るがこれも立派な黒馬である。

赤兎馬の様に鼻面を押し付けたりはしないで一定の距離を持ちつつ一刀をジッと見つめていた。

 

 

「黒い馬・・・・三国志で黒馬って言うと2頭、張遼の黒捷か曹操の絶影しか知らねえぞ。」

 

 

 

計るように一刀を見つめる黒馬。

 

 

「う~~ん。絶影?」

 

 

はたから見れば何真剣に悩んでんだ。他にもっと考えなきゃいけないことあるだろと言われそうだが逆に一刀はこの現実逃避気味に馬の名前当てをして落ち着き始めていた。

 

 

 

一刀の言葉に満足そうに嘶くと草を食みに戻っていく絶影。

 

 

最後の1頭は他の2頭より少し離れた所からジッと様子をうかがっていたがこの1頭はある意味一番簡単だった。

 

 

「おいで、的廬。」

 

 

額にある白い斑点。

 

この馬に他の名前はないだろう。

 

一つ嬉しそうに嘶くと静かに近づいてくる的廬。

 

 

「よしよし、いい子だ」

 

 

生まれてこの方馬に触れたことなど無い一刀であったが軽く鼻面を撫でる。

 

 

それをまたニコニコと見つめる馬玄であった。

 

その静かな空間を破ったのは新たに現れた少女の声だった。

 

 

「姉さま!御無事ですか!?」

 

 

軽装ではあるが明らかに武装とわかる出で立ちの少女は抜き放った剣を一刀へと向けた。

 

 

「な!?」

 

 

思わず窓から外へと落っこちる一刀に集まってくる馬たち。

 

そして対する様に一刀を睨みつける少女。

 

 

「貴様!私が留守の間に屋敷に上がり込み姉さまを誑かそうとしたな!!」

 

 

今にも斬りかかろうとしている少女に状況が理解できず固まったまま剣を向けられている一刀。

 

 

「こら、何をやっている。姫奈」

 

「瑠奈姉、今この賊を私が成敗します。」

 

 

剣を向ける少女の後ろから現れた女性はコツンと剣を持った少女を小突き咎めるが小突かれた方は鼻息荒く宣言をする。

現れたのは両方とも馬玄とよく似た女性だった。

 

 

「駄目よ。この方は民衆の希望となる方です。手出しは許しません。」

 

 

きっぱり言い切り、少女から剣を取り上げる。

 

 

「あんな占い大嘘です。もしかしたらこいつがでっち上げたのかも!」

 

「いい加減にしなさい。この事は先生も認められた事です。」

 

 

そう言うと話は終わったとばかりに一刀に微笑みかける。

 

 

「妹が大変失礼いたしました。私は馬家四女良、字は季常、こちらの娘は五女の謖と申します。申し訳ございませんがこちらへお出で願えませんか?」

 

「は・はい。」

 

 

立ち上がり落ちた窓から入り込みながら一刀はチラリと少女達を見る。

 

 

(この娘が『泣いて馬謖を切る』の馬謖か、確かに自信家っぽいな。そして彼女が『白眉』の馬良か確かに白い眉だな。しかしマジ女の子だよ・・・)

 

 

どう言う事で自分がここにいるのかわからないがこれを現実として受け入れようとし、妙な期待感を抱く一刀であった。

 

 

キャラクター紹介

 

※先にお詫び(?)を馬の五常の三人の名前は正式にはあっているかわかりません。どこぞから拾ってきたんですが違う!とのお言葉はあるかと思いますがここではこれでいかせてください。

 

 

 

・馬玄 字:伯常 真名:???

 

      馬家の長女。両親が亡くなってから家を取り仕切っている。

      馬良・馬謖にとってはほとんど母親のような人

 

・馬康 字:仲常 真名:???

 

      ???

 

・馬津 字:叔常 真名:???

 

      ???

 

・馬良 字:季常 真名:???

 

      白眉の呼び名を持つ四女。

      

・馬謖 字:幼常 真名:???  

 

      末っ子の五女。

 

 

 

 

 

・赤兎馬

 

      歴史上最も有名かもしれない馬『一日千里を走る』と言われている。

      呂布、そして関羽の愛馬。

・絶影

 

      曹操の愛馬。

      曹操の馬としてはもう一頭『爪黄飛電』という馬が有名。

 

・的廬

      劉備の愛馬。

      額に白い斑点のある馬で飼主に凶事を振り掛ける凶馬として伝わっている。

 

 

 
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