No.806150

【サイバ】シャイニングヴァルキリー、降臨!【交流】

勝手にユニット名とか決めちゃいました。
セリナ http://www.tinami.com/view/743966
コーダ http://www.tinami.com/view/744335
ルグナル http://www.tinami.com/view/778543
魔法ちょうちん http://www.tinami.com/view/738956

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2015-10-04 10:36:42 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:920   閲覧ユーザー数:906

 風天中学校体育館。そこでは、演劇部の公演が行われていた。主演は演劇部の看板女優であるセリナ・パートリッジとコーダ・スイートの二人だ。

「先輩! 先輩って、好きな人とかいるんですか?」

「え、それは……その……。あ、あなたよ……」

 二人の息のあったかけあいで、観客は否応なしに物語に引きこまれていく。現代を舞台にしたラブコメなので、二人は普段の制服を着て演技している。

 と。

「ふはははははは! この体育館は我々カオス団が占拠した! おとなしくしろ! 変な真似をすれば全員殺す!」

 朗々と響く声で現れたのは、悪の秘密結社『カオス団』を率いる魔女、ルグナル・ガルシオーネである。観客席がわずかにざわめいた。

「ちなみにヒーローどもの助けは来ないぞ。体育館には強力な結界を張ってある。外からは誰も入れぬ。そして、今この観客席にヒーローがいないことも下調べ済みだ! ふはははははは! 愚民どもよ! 絶望に沈むがいい!」

 再び高笑いを上げるルグナル。

「なにあれ? 劇の演出?」

「あの衣装よくできてるなー! ちょっとエロいし!」

 観客たちのややずれたリアクションに、ルグナル様はちょっとおかんむりのようだ。

「何をごちゃごちゃと! 泣け! わめけ! 貴様らの命は風前の灯なのだ! 重ねて言うがヒーローの助けを期待しても無駄だ! 貴様らは無力なのだ!!」

「(……果たしてそうかな?)」

「何奴!?」

  バツッ!

 狙いすましたかのように、スポットライトが観客席のある一点を照らし出した。そこには、三角帽子を被ったちょうちんの姿。

「貴様は……!」

「(この観客席にヒーローはいない。確かにそうだ。だが、ヒーローは、いや、ヒロインは、すでに舞台に立っている! イッツ・ショウタイムッ!!)」

 魔法ちょうちんは、何かを舞台上のセリナとコーダに投げてよこした。

「これは!?」

「(二人とも! 説明は後回しだ! そのチェンジデバイスを天にかかげて叫べ! 『ヴァルキリー・リインカーネーション』と!!)」

 セリナとコーダは一瞬きょとんとしたが、すぐに顔を見合わせて力強くうなずいた。

「やろう、コーダちゃん!」

「はいですわ! セリナさん!」

 そして。

「「ヴァルキリー・リインカーネーション!!」」

  カッ!!

 二人の体がまばゆい光を放つ。それまで二人が着ていた風天中学の制服が、光の粒子に還元され、一瞬、セリナとコーダは生まれたままの姿になった。と、グローブとブーツが現れ、一瞬遅れて現れたスーツが二人の体を覆う。無意識のうちにポーズをとるセリナとコーダ。

 光が収まった後、舞台の上には、二人の戦士が立っていた。新たなるヒロインが誕生した瞬間である。

「な、何奴!?」

 うろたえたルグナルが誰何(すいか)する。

「ヴァルキリー・セリナ!」

「同じく、ヴァルキリー・コーダ!」

「「シャイニングヴァルキリー、降臨!!」」

「ぬぅっ! 新手のヒーローか! 忌々しい! かかれ手下ども!!」

 ルグナルの号令一下、カオス団の戦闘員たちが、わらわらと舞台の上のセリナとコーダに襲いかかった。だが。

「やあっ! はっ! せいやっ!!」

「えいっ! はいっ! とあぁっ!!」

 スーツの補助もあり、もともと運動神経も高く、演劇で殺陣シーンも経験しているセリナとコーダの敵ではなかった。まるでドミノ倒しのように戦闘員たちがまとめてなぎ倒されていく。気がつけば、ルグナル一人を残してカオス団は全滅していた。

「後はあなただけよ!」

「ぐ……う……」

 じりじりと後ずさりするルグナル。詰め寄るシャイニングヴァルキリー。

「お覚悟」

「くっ、今回は負けを認めてやろう! さらばだっ!!」

 ルグナルは素早く呪文を唱えた。足元に魔法陣が浮かび上がり、そのまま彼女は光に包まれて消えた。転移魔法だ。

 と。

  パチパチパチパチ……ワァーッ!!

 万雷のような拍手が、観客席から沸き起こった。皆イスから立ち上がり、スタンディングオベーションだ。

「すげーっ! すげー演出! ラブコメかと思ったらヒーロー物特撮だったんだ!」

「カッコ良かったわ! 二人とも最高のヒロイン!!」

「(……何か勘違いされてるようだな……)」

「パニックが起こらなかっただけでも結果オーライってことにしましょう

「ですわね」

 シャイニングヴァルキリーの二人は、笑顔で完成に答えた。拍手は鳴り止まなかった。新たなるヒロインが、天空市に誕生したのだ。

 さて、転移魔法で体育館から脱出したカオス団総統、ルグナル・ガルシオーネは。

「ここはどこなんだあぁぁーっっ!?」

 カオス団のアジトに転移したはずが、彼女が現れたそこは、大型恐竜の闊歩する白亜紀だった。

「あれ? お姉さんも迷子になっちゃったんですか?」

 ルグナルが振り返ると、そこにはタヌキの少女が立っていた。


 
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