No.805090

恋姫英雄譚 鎮魂の修羅20

Seigouさん

暗面の修羅

2015-09-29 16:13:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5776   閲覧ユーザー数:4240

黄巾党の乱が終わり、其々の諸侯が其々の領地へ帰っていき各自戦後処理をしている中で、一刀は麗羽こと袁紹本初が治める冀州の都を訪れていた

 

ここ冀州は、三国志の初期において一番の鬼門と言えるだろう、特に公孫賛こと白蓮にとっては

 

なにせ史実でも演義でも、公孫賛は袁紹によって滅ぼされているのである

 

この時期にてこちらからコンタクトを取り、欲張れば強固な同盟を結び、向こうがこっちに攻め込む理由を一切合切無くしておけば、後の易京の戦いは起きないと一刀は考えていた

 

そんな思惑を胸に、冀州へ赴いた一刀だったが

 

一刀「う~~~~ん、ここには前にも来た事があるけど、相変わらずだな・・・・・」

 

ここには、かつて桃香や風達と旅をしていた時に共に訪れた事がある

 

その時に街の視察やら人々の生活の見聞やらをしていたが、あまり褒められたものではない

 

別に洛陽のような悲惨な光景である訳ではない、人々はちゃんと生活できていて商人も多く市場は活気付き、人・物・金の流動は悪くない

 

しかし

 

一刀「皆、暗いな・・・・・」

 

そう、確かに市場経済は活気付いているが、人々の顔に覇気や笑顔があまり見えないのである

 

口数も少なく、店に入って店員に世間話を持ち掛けても、向こうは必要最低限しか喋らず、会話が長続きしないのである

 

そのため、この冀州の君主たる袁紹に関する情報は殆ど集められなかった

 

余りに機械的、コンピューターの部品の一部のようにしか動いていない、そんな印象である

 

これも調べた事であるが、この冀州の税金はかなり高い

 

なにせ売上総利益の約5,6割が税金として搾り上げられるのである、にも拘らず商人や労働者にはこれといった保障や対価がある訳ではない、これにはいくらなんでもげんなりするだろう

 

幽州では、税金は2,3割程度に抑え、それでも国庫は潤い、政は滞りなく円滑に進んでいるというのにだ

 

この時の一刀は、人々に覇気がないのは高過ぎる税金が原因だと思っていた

 

街の見聞をしながら大通りを、愛馬北斗と共に歩き城に向かう一刀だったが

 

一刀「ったく、あの無駄にゴージャスな城はなんとかならないか・・・・・」

 

十里(五㎞)離れた所からでも分かると思うくらいの、これ見よがしに金の装飾が無駄に散りばめられ、敷地面積も不自然なくらいにだだっ広い城が近付いてくる

 

間違いなく、洛陽に住んでいる帝こと空丹の居城よりも豪華である

 

これだけのものを造ろうと思うと、2、3割程度の税金では無理であるのは明白である

 

一刀「(なるほど、袁紹には前に会ったけど、いかにもどこぞのお嬢様、令嬢を気取っていたからな)」

 

典型的なわがまま娘と言わんばかりの麗羽を目の当たりにしていたので、その麗羽が住んでいる城ともなればこうなってしまうのは自明の理ともいえる

 

自分達の血税がたった一人の人間の私腹を肥やすのに使われていると思うと、遣る瀬無い気持ちにもなるだろう

 

まるでルイ16世のヴェルサイユ宮殿のような絢爛豪華ぶりである、そのうちフランス革命ならぬ冀州革命が起きそうだ

 

一刀「(まずは、ここの体質を改善していかないと駄目か・・・・・)」

 

こんな無駄に贅沢な暮らしなど、長続きするはずが無い

 

経済活性化と言えば聞こえはいいが、これだけの城を維持管理するのにも多額の金が必要であろうし、何らかの拍子で税収が滞ってしまえば、この冀州は洛陽と同じ運命を辿ってしまうのは確実である

 

頭の中でどう交渉しようかシミュレーションを繰り返しながら一刀は城門の前に辿り着いた

 

一刀「すみません」

 

「む、誰だ貴様!!?」

 

「何様か!!?ここは冀州頭首袁紹様の居城なるぞ!!」

 

出迎えたのは、金色の鎧を着た門番二人だった

 

ここでも無駄に税金が使われているようだ

 

一刀「顔良将軍、もしくは田豊軍師にお伝え願えませんか?幽州の北郷一刀が訪ねて来たと」

 

「な!!?何か証はあるか!!?」

 

幽州の天の御遣いの名は、隣接している事もありここ冀州でも響き渡っている

 

しかし、何の証拠も無しにタダで通すほどのザルな警備体制は敷かれていないようだ

 

幽州の治安を守る北郷隊の隊長として基本的な警備はしているなと、及第点は与えられそうだ

 

一刀「う~~~~ん、これなんてどうですか?」

 

荷物の中から、聖フランチェスカ学園の制服を取出し広げて見せた

 

「これは・・・・・少々待たれよ、暫くここを頼む!!」

 

「あ、ああ!!」

 

一人を残し一人の門番が、城内へ大急ぎで駆けて行った

 

そして、10分くらい経った頃、中から猛烈な勢いで黒髪の少女が駆けて来た

 

斗詩「一刀様、お待たせして申し訳ありません、ようこそおいで下さいました♪♪」

 

物凄く嬉しそうな斗詩の笑顔に、一刀も自然と笑みが零れた

 

一刀「よう斗詩、全然待ってないぞ、久しぶりだな♪」

 

斗詩「ええ、二か月ぶりですね♪」

 

そして、その後を追う形で、お団子頭の眼鏡少女がやって来た

 

真直「はぁ、はぁ!かず・・・・・北郷殿、お久しぶりです!!」

 

一刀「よう真直、元気にしてたか?」

 

真直「はい、この通り息災です♪」

 

こちらは、もしかしたら斗詩以上の喜びようかも知れなかった

 

斗詩「あれ、どうしてそんな呼び方するんですか、真直ちゃん?いつも通り一刀さんって呼べばいいじゃないですか」

 

真直「え、ちょっと、余計な事を言わないで!!////////////」

 

一刀「?・・・・・なんだ、どういうことだ?」

 

斗詩「はい、普段真直さんは、一刀様の事を一刀さんって呼んでいるんです、なのにどうして一刀様の前ではそう呼ばないのか不思議で・・・・・」

 

真直「わーーー、わーーー、わーーー!!!呼び方なんてどうでもいいでしょ!!!それより斗詩、いつまで北郷殿をここに立たせておくつもり、早く案内するわよ!!!//////////」

 

斗詩「あ、はい、どうぞこちらへ、一刀様!」

 

一刀「あ、ああ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、北斗を馬小屋に預け、フランチェスカの制服に着替えた一刀は、斗詩と真直の案内で玉座の間に続く廊下を歩いていた

 

真直「それにしても、本当に見た事のない服ですね、一体どんな生地で編まれているんですか?」

 

斗詩「はい、このような衣は、皇室にも存在しないと思います」

 

一刀「まぁな、ポリエステルの素材なんて、この時代にあるはずもないだろうし」

 

真直「え?ホリエステン?」

 

斗詩「ポリ、エテ?」

 

一刀「ポリエステルだよ、ポリエステル」

 

やはりこのような服は、こちらでは相当に珍しいようだ

 

廊下を擦れ違う侍女、文官、武官達も一刀が来ると振り向いたり、「おお!」と声を上げ興味津々な目で見てくる者が殆どだった

 

斗詩「それにしても、幽州を空けて大丈夫なんですか、一刀様?」

 

真直「黄巾の乱から二月しか経ってないませんし、戦後処理はどうしたんですか?」

 

一刀「ああ、それは・・・・・」

 

至極尤もな質問なので、一刀は説明し出す

 

乱が終わって僅か2か月しか経っていないが、一刀は幽州の戦後処理を済ませていた

 

これは、どの諸侯よりも圧倒的に早かった

 

何故にこんなにも早く終わっているのかというと、乱がくる以前から内政にてあらゆる政策制度の整備、施設の建設をし、幽州の発展を推し進めてきた一刀

 

事前の街道整備や、刑務所の設置、拡張などを図っていたため、捕まえた黄巾党員を刑務所に護送するのがスムーズだったのである

 

もともとこれらは、黄巾党対策ではなく幽州の経済活性化と治安維持を目的としていたもので、当の一刀もまさかこんな事で役立つとは思っていなかったのだが

 

ある意味では結果オーライである

 

斗詩「そういうことですか、これは見習わないといけませんね♪」

 

真直「備えあれば憂い無しとはよく言ったものですね♪」

 

そして、三人は玉座の間に辿り着く

 

猪々子「よ~、アニキ~♪元気にしてたか~♪」

 

悠「一刀~、会いたかったぞ~♪」

 

一刀「うお!!?なんだ!!?」

 

玉座の間に入るなりいきなり一刀は猪々子と悠に抱き付かれた

 

真直「ちょっと、何してるのよ、悠!!」

 

斗詩「文ちゃん、一刀様に失礼だよ!!」

 

猪々子「いいじゃんかよ~♪」

 

悠「ああ、久しぶりの再会なんだからな~♪」

 

ムギュムギュムギュムギュ

 

一刀「ちょっと悠、当たってる当たってる!//////////」

 

悠「な~~~に言ってんだ、あ・て・て・ん・だ・よ♥/////////」

 

この中で一番豊満な悠の胸が一刀の胸元に押し付けられ、形を変えていく

 

真直「ちょっと、二人ともいい加減にしなさい!!///////////」

 

斗詩「そうだよ~、これから一刀様は麗羽様と謁見しないといけないんだから~!!//////////」

 

猪々子「ちぇ~~、なんだよ、少しくらいいいじゃんか~・・・・・」

 

悠「ああ、どうもこの二人は堅くていけないな、もっと柔らかく行こうぜ~♪」

 

真直「あなた達がチャランポラン過ぎるのよ!!」

 

チャランポランという表現がこの時代にあったかは定かではないが、斗詩と真直は麗羽を呼びに玉座の間の横の扉から出て行った

 

そして、暫く経つと

 

麗羽「お~~~~っほっほっほっほっほっほ♪お~~~~っほっほっほっほっほっほ♪」

 

相変わらずの高笑いと共に金髪鬣ドリルのお嬢様が思い切りふんぞり返りながら現れ玉座に座った

 

麗羽「遠路はるばるようこそ、本能さん♪」

 

斗詩「麗羽様、本能じゃなくて北郷ですよ!!」

 

麗羽「ああ、そうですの、これは失礼しました、本坊さん」

 

真直「ですから北郷ですってば!!」

 

麗羽「ああもう、そのような事はどうでもいいのですわ!!」

 

人の名前を間違って呼ぶ事がどうでもいい事であるはずがないが、やはりこのお嬢様に世間一般の常識は通じないようだ

 

一刀「ああ、いいよいいよ、別に気にしてないから」

 

麗羽「あ~~~ら、中々に懐が深いではありませんか・・・・・まぁ、この頭脳明晰、容姿端麗、完全無欠、尽善尽美、十全十美をそのまま形にしたこのわ・た・く・しを前にしては、たとえ天を称している北郷さんでも平伏せざるを得ないでしょう、お~~~~っほっほっほっほっほ♪」

 

よくもここまで自分を持ち上げられるものだ、自意識過剰もここまでくれば清々しいと思えてくる

 

頭脳明晰、まぁここまで多くの四文字熟語を知っていれば当てはまるかもしれない、自分が好きな言葉しか知らない可能性も否めないが

 

容姿端麗、これは当てはまるだろう、顔は文句なしの美人、スタイルもこの中では悠に勝るとも劣らないナイスバディである

 

麗羽「三公を輩出した名門袁家の、この、わ・た・く・しに挨拶しに来るなんて、己の立場というものを省みているようですわね、中々に関心ですわよ♪」

 

ただ、完全無欠、尽善尽美、十全十美なのかと言われれば、これは流石に当てはまらないだろう

 

一刀「ええ、挨拶は当然ですが、此度は袁紹様に提案したい事がございまして馳せ参じました」

 

麗羽「あ~~~ら、どの様な提案ですこと?」

 

一刀「はい、袁紹様はこの冀州に更なる発展を齎したいとお考えですか?」

 

麗羽「当然ですわ、発展はすればするほどいいに決まっています、一定の所で満足するなど、愚かしいにも程がありますわ♪」

 

一刀「では、自分が幽州で推し進めている政策、制度を採り入れれば今の数倍発展すると聞けば、どうですか?」

 

麗羽「な、なんですって!!?今の数倍!!?」

 

いくら傍若無人な麗羽といえども、今の自分がかなりの贅沢な暮らしを満喫しているという自覚は少なからずある

 

それ故にこれ以上の贅沢な暮らしなど想像が付かなかった

 

一刀「黄巾党の時にお会いした時に袁紹様は仰っていましたよね、自分を召し抱えたいと」

 

麗羽「え、ええ・・・・・そんな事もありましたわね//////」

 

幽州を華麗かつ流麗に発展させた天の御遣いと勝手に解釈していた過去の自分を顧みて恥ずかしくなる麗羽がいた

 

一刀「自分は、公孫賛こと白蓮に既に仕えている身ですので、その願いを聞き届ける事は出来ませんが、自分が幽州で作り上げた政策や制度の提供は出来ます、むしろ今回はその為に来ました」

 

斗詩「ええ!!?」

 

真直「ちょっと、本気で言ってるんですか!!?」

 

自分の領土で使っている政策や制度など、優れていればいるほどその領土におけるトップシークレットに入るはずである

 

それを易々と他国に漏らすなど、斗詩と真直には一刀が何を考えているか分からなかった

 

一刀「我が主、公孫賛から聞いております、袁本初殿はかの光武帝、劉秀をも凌ぐ懐の深さと知勇兼備を持っていると、だからきっと自分の意見を聞き入れて頂けると」

 

麗羽「え、ええ、そうでしょうとも、この河北どころか大陸にその名を轟かせる袁本初の事をよく分かっておりますわね、流石白蓮さんですわ♪」

 

実際、劉秀云々という件は一刀が勝手に言っているだけで、白蓮の言では決してない

 

貴族特有の傲慢さがあるが、煽られると木に登るタイプで、ちょっと褒めただけで直に有頂天になること

 

麗羽と腐れ縁と称している白蓮から事前に麗羽の詳しい情報を聞いていたため、このような褒めちぎる言い回しを用いただけである

 

黄巾の乱に会っていたため一刀もある程度想像できていたが

 

そして、一刀は玉座の間に持って来ていたこの世界に一緒に持って来たショルダーバッグの中から1冊の書簡を取り出した

 

一刀「では、制度の詳細は自分から説明するよりもこの資料を読んでいただければ分かり易いと思います、分からない所があれば質問していただいて構いません、どうぞお納めください」

 

麗羽「まぁ、そこまでしてくるなんてなかなかにきめ細かいですわね・・・・・真直さん」

 

真直「はっ!」

 

その書簡を一刀から受け取り、真直は後ろに下がった

 

一刀「つきましては、この冀州の更なる発展に協力する事を約束するに伴い、袁紹様には我が幽州との同盟の締結を約束していただきたいのですが・・・・・」

 

麗羽「分かりましたわ、その言を聞き入れてしんぜましょう」

 

一刀「は、え!!?」

 

いきなり即答で了承された事に一刀は面食らった

 

資料に書かれた制度を精査してからなり、もう少し時間を置いてから考えるなり言われるものと思っていたからだ

 

一刀「いいんですか!!?そんな即答してしまって!!」

 

麗羽「いいも何もありませんわ、白蓮さんとは長い付き合いですし、貴方の噂は最早聞くに及びませんわ、それに・・・・・」

 

一刀「・・・・・それに?」

 

麗羽「・・・・・河進大将軍と皇甫嵩様にきつく言われてますのよ、天の御遣い北郷一刀に協力を惜しむなと」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

まさか傾と楼杏が麗羽にコンタクトを取っていたとは思いもしなかった一刀はあっけにとられていた

 

これも白蓮から事前に聞いていた事だが、麗羽は肩書に弱く自分より地位が上の者には決して逆らわないのである

 

自称名門というだけあって、漢王朝が定めた規律や主従関係は絶対遵守する事を幼い頃から袁家の教育によって叩き込まれているのだ

 

麗羽「あのお二方から、しかも帝と劉協様と何太后様まで真名を預けられているのでしょう?ならば是非もありませんわ・・・・・私の真名は麗羽ですわ、以後長い付き合いになるでしょうしお預けしますわ、あと、敬語は不要ですわ、様も無しでお願いします、でないと後であのお二方に何て言われるか・・・・・」

 

一刀「・・・・・俺は北郷一刀、真名が無いから北郷か一刀と呼んでくれ、これからよろしく頼む、麗羽」

 

麗羽「ええ、よろしくお願いされましてよ、一刀さん、お~~~~っほっほっほっほっほ♪」

 

壮大な態度は変わらないが、そんなものは一刀からすれば些細な事である

 

この冀州での交渉は、公孫賛と袁紹という鬼門中の鬼門なだけに苦戦すると予想していたが、予想外にスムーズにいきそうである

 

心の中で傾と楼杏に感謝しながら、一刀はこの大陸の未来に希望を見出していた

 

漢王朝の内部に自分の味方がいてくれていた事と、今外部に味方が出来つつある事

 

この事実を胸に刻み込みこれからも頑張っていく事を強く心に誓ったのだった

 

麗羽「では一刀さん、遠路はるばる来て下さったことですし、楽しんでくださいな、皆さんもてなして差し上げなさい♪」

 

悠「うっし、あたしの最速の持てなしを一刀にくれてやるぞ♪」

 

猪々子「よ~~っしゃっ、アニキを楽しませるぞ~♪」

 

と、そんなこんなで大はしゃぎする悠と猪々子だったが

 

斗詩「ちょっと待って下さい、麗羽様、楽しませるのは良いですけど具体的にどうするんですか!!?」

 

真直「そうですよ、北郷殿はいきなり来ましたし、こっちは何の用意もしていないんですよ!!」

 

麗羽「そんなもの、これから用意すればいいだけの話ではありませんか」

 

斗詩「無茶言わないで下さいよ~・・・・・」

 

真直「そうです、こっちはまだ戦後処理が終わっていないんですから!!」

 

そう、戦後処理は中途半端に終わると後からとんでもないしっぺ返しが来るのだ

 

賠償問題や友好回復、治安回復、経済復興などやらなければならない事は沢山ある

 

今回の場合は、自国の民達の決起、内乱であるため、主にやる事は治安回復、経済復興、捕らえた黄巾党員の処遇をどう決めるかだろう

 

幽州はもともと白蓮が行っていた善政に加え、一刀の画期的政策が重なり更なる躍進を遂げていたために黄巾党が生まれることは無く、他州の黄巾党は国境を守る関所にて進軍を抑えていたのでそれによる被害は皆無だった

 

その為、やる事は黄巾党員の刑罰の実施くらいだった

 

その数は相当な人数に及んだが、天和達の協力もあって滞りなく進んだ

 

しかし、他の州は条件が違う、ここ冀州では黄巾党の襲撃をまともに受けその損害はかなりのもので、しかも最近黒山賊という賊が台頭し、治安が悪くなってきているのだ

 

ちなみに黒山賊というのは、黄巾の乱でのどさくさに紛れて結成された盗賊団である

 

その鎮圧にも軍が差し向けられているため、一刀を歓迎する合間など無いのである

 

一刀「ああ、気にしなくていいよ、そんな大袈裟に歓迎されても困るからさ」

 

猪々子「でも、このまま何もせずアニキを帰すってのは、どうもなぁ~~・・・・・」

 

悠「ああ、いくらなんでも礼儀に反するぜ」

 

斗詩「それはそうかもしれないけど・・・・・」

 

麗羽「ふむ、では真直さん、袁家一の秀才と名高いその力を持って、今回の解決策を進言しなさいな」

 

ちと大袈裟ではないのか、まるで今の状況が乱世の真っ只中であるかのような言い回しである

 

真直「そうですね・・・・・・・・・・では、明日開催される武闘大会に北郷殿を招待するというのはどうでしょうか?」

 

猪々子「お、良い考えじゃん♪」

 

斗詩「それなら、もう用意は済んでいるし、一石二鳥ですね♪」

 

一刀「武闘大会?」

 

斗詩「はい、半年に一度開かれる武官募集の為の大会です♪」

 

猪々子「ああ、優勝した奴は無条件で即武官になれる腕試し大会さ♪」

 

一刀「ふ~~~ん・・・・・それって、武器の持ち込みは自由だったりするのか?」

 

猪々子「もちろんさ、武器も無しで何が出来るっていうんだよ?そんなのアニキくらいなもんだぜ」

 

一刀「まさか、相手の命を奪ったりするのも自由なのか!?」

 

斗詩「まぁ、審判は私がしますからある程度のところで止めますけど、勢い余って相手を殺してしまうという事は、たまにあります」

 

一刀「・・・・・はぁ、野蛮だな」

 

悠「なんだって?」

 

一刀「いくらなんでも武器の持ち込みが自由というのが拙い、そんなもの素手同士の方が圧倒的に良いぞ」

 

麗羽「な~にを仰っていますの?これは只の大会ではありません、武官として使えるかどうか見極めるのが目的なのですから」

 

一刀「そんなもの意味が無い、人殺しの道具同士で試合って勝ったところで、偶然な部分が大半を占める、そんなもの実力じゃない」

 

悠「それじゃあ、素手通しなら実力が分かるのか?」

 

一刀「それもそうとは言い切れないけど、少なくとも真剣の持ち込みは拙過ぎる、人死にが出てからじゃ何もかもが手遅れだからな」

 

真直「ではどうすればいいのですか?自身の武器も無しでは、その人物の長所や得意なものを生かしきれませんよ」

 

一刀「そうだな・・・・・この城に訓練用の武器はあるか?木剣とか、先を潰した槍とか?」

 

斗詩「あ、はい、ありますよ」

 

一刀「なら、それを選手達に使わせればいい」

 

猪々子「な~~~んか締まらないなぁ・・・・・」

 

悠「ああ、こう命をかけた限界ギリギリの熱い戦いってやつを見たいのによ」

 

一刀「それが野蛮だって言ってるんだよ、そんな決闘染みた命のやり取りなんていつの時代だろうと無い方が良いに決まっている」

 

麗羽「まぁ一刀さんがそれでよろしいと言うのでしたら、今回はその方針でよろしいですわ」

 

出来れば今後そういった方針は一切取らないでくれと一刀としては言いたいが、他の領土の政に他の士官は口を出さないというルールがあるのでそれ以上は言わなかった

 

麗羽としても、一刀が客ということもあるので、所望にはなるべく答える必要があるためそれ以上は言わなかった

 

今後、自分の地位が更に上がって、洛陽に任官したら全ての州の法を改正し、そういった命の奪い合いを一切無くす

 

洛陽の汚職を完全に無くし、それを模範として各諸侯に義務付け黄巾党のような反乱分子が発生する理由を無くす

 

刀狩りならぬ武器狩りをし、賊が生まれないようにする、これが今のところの一刀の目標である

 

異民族との講和ももちろん考えなければならないが、まずは内側を改善し内乱が起こらないようにしなければ、お話にならない

 

麗羽「それでは、明日の武闘大会まで時間がありますので、それまで何をしていましょうか?」

 

一刀「そうだな・・・・・そっちは時間は空いているか?」

 

麗羽「それはもう暇で暇で「麗羽様、仕事は沢山ありますよ」・・・・・は?」

 

真直「何が暇ですか、黄巾党の戦後処理はまだまだ終わっていません」

 

麗羽「そんなもの貴方達がやっておけばいいではありませんか」

 

斗詩「何を言っているんですか!?頭首として麗羽様が決めないといけない事は沢山あるんですよ、そんな事を言っていたら仕事が滞ってしまいますよ~!」

 

麗羽「なぜこの私があのような黄色い油虫の為にそこまでしなければなりませんの?だいたいあの油虫は反逆者ですのよ、反逆者!!」

 

斗詩「確かにそうではありますが、それでも後始末はしないと後々大変なんですってば~!」

 

麗羽「嫌ですわよ!!もう疲れましたわ!!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

この麗羽の言葉に、一刀は内心穏やかではなかった

 

その反逆者とやらが生まれた原因をこいつは考えないのかと

 

漢王朝の名門貴族というのなら、その原因を究明し取り除き、二度と同じ事が起きないようにして然るべきであろう

 

黄巾の乱が漢王朝の腐敗によって引き起こされたものであるのは明白であるのに、何もせず放置している麗羽の傍若無人な態度にむかっ腹が立っていた

 

しかし、今回ここに来た最大の目的は同盟である、ここで事を荒立てれば全てがパーになってしまうので心の中にグッと押し留める

 

一刀「・・・・・分かった、じゃあその戦後処理を俺も手伝うよ、それで良いだろ?」

 

斗詩「え!!?一刀様はお客様です、そのような事はさせられません!!」

 

真直「そうです!客人にそんな事をさせてしまったら、それこそ袁家の看板に泥を塗る事になってしまいます!」

 

一刀「それじゃあどうするって言うんだ?いつまでもそんな悠長な事を言っていたら何も始まらないぞ」

 

猪々子「そりゃそうだけどさ・・・・・」

 

悠「ああ、客にそんな事をさせちまったんじゃな・・・・・」

 

一刀「その事は気にしなくていい、こっちが好きでやるだけだし、それにここの戦後処理が早く済んで得をするのはこっちも同じなんだ、なにせ同盟締結が早くなるからな」

 

「・・・・・・・・・・」

 

麗羽「皆さん何をしていらっしゃいますの、一刀さんのご好意を無駄にしてはなりませんわ!!ここはお言葉に甘えて差し上げようではありませんか!!」

 

斗詩「・・・・・そこまで仰るなら」

 

一刀「それじゃあ、執務室に案内してくれ、今の戦後処理がどこまで進んでいるか、どんな方法を取っているか見たいから」

 

真直「分かりました」

 

そして、一刀は執務室に案内される

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サラサラサラサラサラサラサラサラ

 

猪々子「アニキ凄え!!」

 

悠「ああ、これも速さの極みだぜ」

 

斗詩「そんな、これだけの量を半日で済ませるなんて」

 

真直「ええ、私達だったら一か月はかかる量をこんなに早く・・・・・」

 

両手に筆を持ち竹簡に文字を刻む一刀の仕事ぶりに一同は息を飲む

 

一刀の量隣には既に処理された竹簡の山が積み重なっており、他の文官達が忙しく執務室の中を往復している

 

しかも、ただ早いだけではない、戦後処理の仕方、その問題点、それにもメスを入れ文官達に指示を出しながらの仕事ぶりである

 

戦後処理に必要な施設とその建築の為に必要な資材や費用の見積もりなども計算し文官達に渡しているのである

 

竹簡のチェックは真直と斗詩が行っているが、どれも文句の付けようの無い内容だった

 

麗羽「素晴らしいですわ、一刀さん♪やはり白蓮さんに一刀さんは勿体ないですわ、一刀さんには私の次の地位を差し上げましょう、お給金も一刀さんの望む通りの額を用意しますわ、ぜひ我が袁家に来てくださいな♪」

 

一刀「魅力的な話だけどお断りするよ、俺は金や地位や名誉や権力の為にやっている訳じゃない」

 

麗羽「それでは一刀さんは、いったい何の為に働いていらっしゃるの?」

 

一刀「俺は、この世界の人達が今後二度と殺し合わなくてすむ、憎み合わなくてもすむ、お互いがお互いの非を認め合い尊重し合える、そんな仕組みを作りたいんだ」

 

要するに、一刀が目指している目標は、誰しもが夢見る究極の理想郷、世界平和である

 

それは穏やかな日常が続き、争いがなく、奪う事もなく、人が人として生きられる聖地

 

そう、それは楽園とも言えるであろう

 

それを実現するには、物事の解決を戦争やら紛争の暴力沙汰に頼っていては絶対に実現しない、それが一刀の考えである

 

これは間違ってはいない、戦争をする以上、憎悪やら憎しみやら、必ず何かしらの負の遺産、禍根を後の世に残してしまい、結局は同じ事の繰り返しになってしまうため、問題の根本的解決には繋がらないのである

 

そう言った意味ではこの三国志の世界に来た事は、一刀にとってはラッキーだったと言えよう、早い段階でこの憎しみの連鎖を断ち切るチャンスが与えられたのだから

 

しかし

 

真直「北郷殿・・・・・それは本気で言っているんですか?」

 

斗詩「一刀様、一刀様の言っている事はおかしいです」

 

猪々子「そんな世界、退屈なだけだぜ・・・・・」

 

悠「ああ、速さもくそも無い、面白くもなんともないぜ」

 

この時代の人間からすれば、一刀の言っている事は只の狂言としか聞こえない

 

今はある程度落ち着いているが、この先もきっと戦いは起きていく

 

皆が一刀のように欲が無く、誰しもが一刀と同等かそれ以上の能力を有している訳ではない

 

人の考え、能力は千差万別、争いや戦いの中に幸せを見出す者もいれば、あくまで金や権力などの具体的なものに価値を見出す者もいる

 

あらゆる理想、野心、夢が渦巻く中で、全ての人々がその願いを成就させ同質の幸せを得るなど、不可能なのだ

 

しかし

 

一刀「俺は本気だ、少なくともこの国の中で内乱が起きる事はもうなくなる」

 

この程度の事で一刀の信念は揺るがない、平和の尊さを知っている一刀は

 

麗羽「まぁいいではありませんか、一刀さんは私達と同盟を結ぶ為に来たのでしょう?」

 

一刀「ああ、その通りだ、同盟締結の為の条件もきっちり考えてある、お互いに損する事はないさ」

 

麗羽「それなら安心ですわ♪・・・・・それで、仕事はあとどれくらいで片付きますか?」

 

一刀「もう終わったよ」

 

真直「え!!?」

 

斗詩「あ、え!!?」

 

猪々子「な、なんだって!!?」

 

悠「おいおい、速ええな!!?」

 

いつの間にか一刀の机の横には処理された竹簡の山が積み重なっていた

 

彼女達と話している間でも筆を止めずにひたすらに書き込みを継続していたので、渡された分の案件は既に処理し終わっていた

 

一刀「他にはないのか?」

 

斗詩「いいえ、もう結構です!これ以上一刀様のお手を煩わせる事は出来ません!後はこちらでやっておきますから!」

 

一刀「わかった、問題点があったら報告してくれ・・・・・それじゃあ、誰か街を案内してくれないか?いろいろ質問したい事もあるし」

 

麗羽「では、このわ・た・く・し・が「麗羽様も残ってください」・・・・・は?」

 

斗詩「は?じゃありません!君主自ら道案内をするなんて、余りに不合理です!」

 

麗羽「な~~~にを仰いますの!?このわ・た・く・しが案内すると言っていますのよ、これ以上名誉な事があるものですか!」

 

斗詩「一刀様に処理していただいた案件の中で、麗羽様が決めないといけない事も多々あるんです!」

 

真直「北郷殿の案内は私がします、麗羽様はここに残って下さい」

 

猪々子「ならあたいも行くぜ♪」

 

悠「んじゃあたしも♪」

 

真直「あなた達も居残りよ」

 

猪々子「・・・・・え”?」

 

悠「なに?・・・・・」

 

真直「猪々子は麗羽様が処理した竹簡の運び役、悠は麗羽様の見張り役兼麗羽様が逃げた時の追い掛け役、麗羽様の逃げ足に追いつけるのは悠くらいなんだから、ここに残りなさい!」

 

猪々子「え~~~~~!!!??」

 

悠「真直だけ狡いぞ~~~!!!」

 

真直「適材適所と言いなさい・・・・・お疲れ様です、北郷殿、行きましょう」

 

一刀「あ、ああ・・・・・」

 

麗羽「真直さんの不忠者~~~~!!!」

 

猪々子「そうだそうだ~~~!!!」

 

悠「横暴だ~~~!!!」

 

斗詩「も~~~何言ってるんですか!!!そんなに一緒に行きたいなら、早く終わらせればいいだけの話ですよ~~~!!!」

 

真直「はぁ、聞こえないふり、聞こえないふり・・・・・」

 

執務室を退出する一刀と真直の後ろから4人の口論が聞こえてくるが、真直は一刀の手を引き街へ繰り出したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真直「はぁ、麗羽様にも困ったものです・・・・・」

 

一刀「真直達も大変だな、いつもあんな感じなのか?」

 

真直「概ねは・・・・・まぁ、いい加減慣れましたけどね」

 

街に繰り出した真直の顔は、もはや諦めたような表情だった

 

なんというか、三国志を代表する不運軍師に相応しいと言える不幸体質の様な気がしてくる

 

一刀「なぁ、麗羽は昔からああだったのか?」

 

真直「もちろん幼い日はそうでもありませんでした、とても可愛らしくて素直ないい子でした・・・・・でも、袁家は漢王朝の名門、麗羽様は物心付く頃から家の頭首として相応しい人間になる様に袁家式の英才教育を施されていますから、ああなってしまうのもしょうががないとは思いますけど・・・・・」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

あんな壮大な態度と耳が痛いだけの高笑いしか上げられないような人間にしているようでは、それは英才教育とは言わないのではないか

 

真直「でも・・・・・麗羽様は、普段から偉そうな態度を取っていますが、それは自分が名門の出である事を自覚しているが故なんです」

 

一刀「・・・・・なるほどな」

 

やはり、その人物の人格を形作るのは周りの環境、傍に居る人間、教育なのだろう

 

三国時代での教育と言えば、出自が良かったり、かなりの財力がある者だけが読み書きを習う事が出来る強烈な格差社会である

 

私塾という学び舎が各所に点在してはいるが、それも大金を払わねば決して入れるものではない

 

この大陸に居る者の八割は文字の読み書きが出来なく、出来るのは有力な豪族か貴族くらいである

 

おまけに漢字は、アルファベットなどの純粋な表音文字と違い、一定数の文字を知っていれば済む、という性質のものではなく、膨大な字数を使いこなさなければ文章が読めない

 

このような性質を持つ漢字圏で、庶民までが字を読める状況にするには相当に整った教育機関を設置し、しかも無償で教える事が必要なのである

 

一刀もこれには危機感を感じ、学校とまでは行かないまでも江戸時代の寺子屋制度を取り入れる事を白蓮に推奨した

 

庶民が文字の読み書きをマスターすれば、意思伝達が滑らかになると言う一刀の言を聞いて白蓮は反対しなかったが、他の文官達の猛烈な反対に会いそれは叶わなかった

 

それは、これまで幽州が推し進めてきた愚民政策の一環である

 

庶民に無闇に知識を与えれば、反乱が起きる可能性が飛躍的に高まり、自分達の傀儡とする事が出来なくなり、私塾にも金が入ってこなくなるからである

 

私塾の経営にも、各地域の有力豪族達が資金提供をしており、かつ教育料金の一部を豪族達が税として取り立てそれが回り回って官僚の懐に入ってくるという仕組みである

 

この問題は、近い内に解決しなければならないと一刀も思っている、なにせ幽州の政は一人二割程度の税収で既に国庫が潤う所にまで改善しているのだ、私塾の制度などを持ち得なくともやっていけるのである

 

学校制度に回す資金は充分にあり、官僚達にとっても無益ではない、庶民が文字を読めれば、これまでとは比較にならないほど政の効率が上がり仕事もやり易くなり税収は更に上がっていくのだ

 

私塾の教師達も失業させる気などさらさらない、寺子屋の先生として再雇用すればいいのだ

 

格差を広げるだけの制度など要らない、あとは官僚達の意識改革だけである

 

麗羽もある意味、時代の被害者とも言えるのかもしれない、いや、麗羽に限らず歴史の偉人全てが

 

しかし、その偉人達の行いによって巻き起こされてきた悲惨な結果を見れば、そんな屁理屈は通じない

 

それだけの被害を出しておきながら、ただ被害者面を決め込むというのであれば、あまりに無責任というものであろう

 

真直「どうしたんですか、北郷殿?」

 

一刀「・・・・・いや、なんでもない」

 

しかし、この世界は自身の知っている三国志や三国志演義の世界とはあまりにかけ離れている

 

麗羽の事も、あれが自身の人格と性格の裏返しと思えば範疇の内である

 

むしろ可愛いとさえ思えてくる

 

一刀「ところで、ずっと手を繋いだまま案内するのか?」

 

真直「え?ああ、ごめんなさい!!/////////」

 

どうやら執務室から街まで手を繋いでいた事に気付いていなかったようだ

 

慌てて手を離し、取り繕うように平静を装う真直が可愛く見えてきた

 

真直「それより、もう夕方です、早くしないとお店が閉まって案内し難くなってしまいます!////////」

 

一刀「分かったよ」

 

そして、ようやく一刀は真直の案内が始まる

 

各店舗は既に、店仕舞をし出していて、片付けに追われていた

 

しかし、やはり皆の顔には笑顔が見えない

 

ようやく憂鬱な一日が終わる、そんな印象である

 

一刀「・・・・・なぁ、真直、やっぱりこの町の人達って暗いな」

 

真直「北郷殿もそう思いますか?」

 

一刀「ああ、こっちまで暗くなってきてしまいそうだ・・・・・その言い方だと、皆が暗い理由を知っているみたいだな」

 

真直「はい・・・・・これも麗羽様絡みなんですけどね」

 

一刀「また麗羽か、一体どんな制度を敷いているんだ?」

 

真直「制度というかなんというか・・・・・麗羽様の我が儘みたいなものです」

 

一刀「我が儘?町全体が暗くなるような我が儘なんてあるのか!!?」

 

真直「大丈夫です、明日の武闘大会を見れば嫌でも分かります・・・・・」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

夕闇が濃くなっていく中で、茜色に照らされる真直の横顔も街の人達同様暗かった

 

そして、街の案内も時間が時間なので短時間で終わり、城に戻った一刀達は就寝の床に付き朝を迎えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Seigouです

 

久方ぶりの鎮魂の修羅、楽しんでいただけましたでしょうか?

 

SWもまたまた全然書けませんでした

 

この頃かなり疲労が溜まっている事もあり、時間が出来てPCの前に向かいワードを立ち上げるも、いきなり容赦なく襲ってくる睡魔に負けそのまま寝入ってしまうと言う負の連鎖が頻発しています

 

このペースでは今年中に鎮魂の修羅と阿修羅伝を完結に導く事など夢のまた夢ですね

 

こんな調子では、完結は再来年の終わりまで持ち越しという可能性も十分あり得ます

 

よくよく考えてみれば、北郷伝第一話を初投稿させていただいてから、早いものでもう5年近く経っているのですね

 

5年も経っているにも拘らず、未だに幼稚な戯曲形式から抜け出せない自分が情けないです・・・・・待て、次回!!!


 
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