カリカリとペンを動かす音がする。
ここ…漫研部の奥でとある二人の人物が原稿を書いていた。
一人は金髪のショートカット、もう一人は薄い紫色のツインテール。
そしてそんな二人の共通点は…中等部なのに小等部の如く残念なボディー。
二人…朱里と雛里は一段落ついたのかフゥ、と一息つく。
朱里「雛里ちゃん、そっちはどう?」
雛里「もう少しで終わりそうだよ」
朱里「そっか…あ、もうそろそろで来ちゃうね!」
雛里「え…あわわ!?早く片付けないと~!?」
時計を見てとある人物との約束の時間に近づいて来たので二人は急いで原稿や参考にしている所謂『腐った本』をしまい始める。
いや、趣味はもうバレているのだが実際に見られると引かれるので片付けているのだ。
だが無情にも…その約束の人物が扉を開ける。
リト「ちーっす。漫研ってここ…」
朱里「何でこのタイミングで来ちゃうんですか!?」
雛里「ま、まだ入っちゃダメでしゅ!?」
リト「あ、ごめん」
約束の人物…リトは素直に扉を閉める。
リトは漫研部の扉にもたれ掛かり、少し待つ。
で、数分後…
朱里「さっきは失礼しました…」
雛里「えと…お茶とお菓子です…」
リト「おー、あんがと。で、話って?」
リトは出された羊羮を口に入れて話し始める。
そう、今回リトは朱里と雛里に取材をさせてくれと頼まれて来たのだ。
暇だし別にいいや、と思ってはいたが何を聞かれるのかまでは知らない。
いや、知らなくても察する事はできているが念のため確認する。
朱里「はい。リトさんの暮らしてるアパートに男の人って七人いますよね?」
リト「モモタロス達の事か?それがどうした?」
雛里「その人達の事、少し教えて欲しいんです」
リト「……一応聞くけど何で?」
答えはある程度予想できるがあえて訊ねる。
まぁ、『取材』をしているのが『漫研部』の『朱里と雛里』でアパートに住む『男』の事を聞いてくるのだから…凄くわかる。
二人は顔を合わせ、リトに真剣な顔を向けた。
朱里「今度描く新連載の漫画『にじいろ兄弟 ~色×色~』のモデルにしたいんでしゅ!」
雛里「ちょうど七人って聞いて狙ってまちた!」
リト「やっぱね!」
やっぱね!…ゲフンゲフン。
かみかみな二人はカァ…となって赤くなっている。
いや、自分で言って恥ずかしがってちゃダメでしょ。
リトは心でそう思いながらも黙って見守る……これも優しさだ。
と、そんな時…
涙「朱里ちゃん、いる?」
包「お邪魔しますね………って、げっ!?」
リト「げっ、は無いだろ」
部屋に入ってきたのは涙と包だった。
こいつらも同じ部活なのか、とリトは思ったがそれは無いだろう。
最初に会った時はそれこそオタク向きの場所だったとは言え一人はレイヤー、一人はBL本の付き添いだ。
だとしたらなぜここにいるのだろうか。
朱里「涙ちゃん、包ちゃんもどうしたの?」
涙「……ΟmΟ」←包の後ろに隠れてる
雛里「あ…まだリトさんの事怖いの?」
包「て言うか私盾にされちゃってるんですけど!?涙さん私より大きい胸があるんだからそれでガードしてくださいよ!?ついでに紙装甲の朱里さんと雛里さんもガードしてください!」
しゅりひな「「………」」←意気消沈
リトは朱里と雛里の背中をさすって慰めてる。
…そこ、変な意味じゃないから。たださすってるだけだから。
それはそれとして、リトは入ってきた二人に用件を訊ねる。
リト「で、どったのここに来て?」
涙「あああ、あの…そ、の……ふ、服…」
リト「服?」
包「あ、私が言いますね。涙さんの着る新しい服のデザインを二人に頼んでたんですよ」
リト「へー…、あ…そういやコスプレしてたっけな」
朱里「はい…涙ちゃんの一番輝ける趣味です…」←目に光がない
雛里「…露出度が高いですけど…」←同上
リト「…大丈夫か?」
その後、死んだ魚の目…いや、某地獄のバッタライダー兄弟のような目をしている朱里と雛里を何分か費やして復活させた。
朱里「ふぅ…涙ちゃんの衣装はもうできてるから後でいいですか?」
涙「うん、ありがとう」
雛里「しょ…しょれでリトひゃん!おはにゃしを!」
包「お話?」
リト「落ち着けって。で、何から聞きたい?」
朱里「じゃ、じゃあその人達の性格を教えてください」
リト「おおざっぱに言うと不良とナンパと居眠りとお子様とプロレスと女子力オカンと俺様」
涙「え…っと…?」
雛里「朱里ちゃん、末っ子が不良にじゃれてるのってどう!?」
朱里「はわわ!?メモメモ…」
リト(リュウタロスがモモタロスに…ありえねぇ)
朱里「ナンパするのは実は気を引かせたいから…とかは!?」
雛里「あわわ…主導権をいつも握る俺様っていいかも…」
リトから性格だけを聞いたにもかかわらず、二人は想像を膨らませる。
そしてそのまま意見交換を始め、合間をとってメモをとり始めた。
涙は二人の会話の内容を理解し、包はまたかと呆れた感じで二人を見る。
包「ああ…またいつもの奴ですか」
涙「…」←顔赤い
リト「ああ…お前ら幼なじみだったもんな。あの二人昔からああなのか?」
包「そうですねぇ…昔から絵が好きで、スケッチブックを持ってましたから」
涙「……」←首振ってる
リト「へぇ…でもさ」
包涙「「?」」
朱里「料理中に後ろから抱き締めて『ごめんな…』って謝るのもいいかも!」
雛里「そのあと『バカ…鍋焦げちゃうでしょ…』のセリフで涙目+笑顔は!?」
リト「いつからあんな風になったんだ?」
包涙「「すみません分からないです」」
雛里「『大丈夫か?痛いなら、やっぱり…』」
朱里「『ううん…いつもより平気だし…嬉しいんだ…』」
リト「…おーい。そろそろお前らの世界から戻ってこーい」
ホント、何時から腐ってしまったんだろう?
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XXX「仕事忙しい……」
一刀「で、できた今回は短かったと」
XXX「しょうがないじゃないかぁ!でも頑張ってあと二話書いたよ!」
一刀「はいはい。と言うことで『二十四話:ダブル腐女子と幼馴染み』。あ、なんかあと二話投稿するっぽいです」