袁紹・陳宮が退いた事でその日の戦いは終りを迎え、連合軍が新たに設置した本陣には続々と帰還した将兵が集まった。一刀が見たのはどの将兵も疲れきりぐったりとした姿だった
一刀「将は全員戻ってこれたが・・・兵の被害は予想以上に多い・・・か」
陳宮の策に陥り全軍の1/6の兵力を失い、負傷兵も含め軍を再編しなければ機能すら難しい・・・連合軍の大敗北。控えている将達は敗北の責任を感じ一刀の呟きに誰一人声をかける事が出来ずにいた。
一刀「とりあえず当時の各戦線の状況を教えてくれ。今後の展開を決める為にも聞いておきたい」
季衣「えっとね兄ちゃん・・・まず張郃と顔良が進軍してきてたと思ったらボク達の目の前で急に停止して護りを固めるような動きをとったんだ、その後・・・その・・・」
一刀「どうした季衣、その後どうしたんだ」
説明の核心に迫ろうとしたところで季衣が言いよどんでしまった。一刀は先を促すが意気消沈している春蘭をチラと見て言いにくそうな表情を浮かべている・・・それを見た韓当は言いよどんでいる季衣の変わりに一刀の問いに返答する
韓当「進軍を停止した敵を見て夏侯惇殿が蹴散らしてやると・・・危ないと止めていた許褚殿を連れて出撃してしまいまして」
一刀(季衣はずっと春蘭の妹分だったが・・・猛った春蘭を完全に止めるの難しかったか)
韓当「出撃してしまった夏侯惇殿達を見捨てるわけには行きませんので、甘寧殿に荀彧殿に伝令を頼み、わしと鈴々で救援に向かいました」
韓当「しかし夏侯惇殿の進軍速度が凄まじく追いついた頃には敵陣深くまで進入していました。甘寧殿の知らせを聞いた荀彧殿は一軍を率いて我々の救援に動いたところを伏兵の文醜に撃破され、張郃・顔良・文醜の挟撃に陥ってしまい・・・」
一刀「その後はなんとか血路を開いて逃げ延びたと言う事か」
韓当「その通りにございます」
一刀「中央はわかった、次は左翼を教えてくれ」
程普「はっ。韓当らの中央を突破し勢いを増した顔良・文醜を相手に劣勢に陥りました。踏みとどまり戦うのは危険と判断した朱里と陸遜殿の策、曹仁殿達に似せた人形と旗を掲げ一度押し返す事に成功、その隙に撤退してきた次第にございます」
一刀「出陣前に旗を借りたいと言ってきたのはこれの為だったか」
朱里「はい、敵は我が軍の倍の兵力を持っています、それゆえ万が一に備え申請しました」
(死せる孔明、生ける仲達を走らせるだっけか?状況は違うがまさかここで見られるとはな)
一刀「難しい状況での撤退戦を被害も最小限に留めてくれた。いまは休んでくれ」
程普「もったいないお言葉にございます」
一刀「次右翼は・・・」
美羽「妾達は雪蓮が暴れて敵を撃破。雪蓮の勘で味方の窮地に駆けつけたのじゃ」
一刀「なるほど、いつも通りか」
美羽「いつも通りじゃな」
雪蓮「ちょっとー!私にはお褒めの言葉とか無いの!?」
一刀と美羽が他の戦線と違いサバサバした態度なので、何か言われるんじゃないかと構えていた雪蓮が思わずツッコミを入れてしまう
一刀「とは言われてもな~あとで美羽に褒めてもらいなさい」
雪蓮「ぶーぶー!」
それでもむくれてる雪蓮は美羽と冥琳に任せ軍議を進める
桃香「次は私達ですね。私達は中央と左翼が敗退したと情報が入りました。各戦線を襲撃した将の名に盧植・董承の名前が有りませんでした。なので中軍には私の用兵の癖を知り尽くしている盧植と董承が来ると予想し、陳宮や黄巾兵は一刀さんの居る本陣に攻め寄せると予想していました。」
桃香「そして予想通り盧植・董承が襲撃してきたので、隊を複数に分け包囲殲滅しようと策を練りました。ですが・・・」
一刀「包囲が完成したと思ったら、本陣に攻め入ると予想していた陳宮や黄巾兵だけでなく麗羽本隊まで加わり逆包囲された・・・というわけか」
桃香「すみません!私の読みが浅かったばかりに大切な兵を失ってしまいました」
稟「一刀殿、私も劉備殿と策を立てましたが、陳宮の智謀を侮り簡単にしてやられてしまいました。此度の責任は私にもあります」
状況の説明を終えると桃香と稟は真っ先に自分の責任だと頭を下げ謝罪した。桃香はともかく稟は軍師としてのプライドは高い、そんな稟が頭を下げたと言う事はかなり責任を感じ、堪えていると読み取れる
風「そうですね~春蘭ちゃんは周りの制止を聞かずに突進し味方を窮地に陥れた」
春蘭「っぐ」
風「桂花ちゃんも簡単に陣を飛び出し伏兵に瞬殺された」
桂花「それは・・・」
風「稟ちゃんも自分で言っていたように陳宮さん相手に簡単に仕掛けてしまった。陳宮さんには劉備さんや華琳様が苦しめられたのを忘れてしまったのですか~?」
稟「此度は私の失策、言い訳するつもりはありません・・・」
一刀や風達が懸念した”油断”と”慢心”
特に桂花や稟はかつて三国に別れ戦っていた主な将が揃い、侮っていたのは確かだった。陳宮に関してもただの恋の腰巾着と思い込み油断したのが敗因の一つでもある
風「ですが風達にも責任はあるのです、数々の偽報、罠を仕掛けられたと言っても、対応がいつもり遅かったのはいがめないのです。なので風は今日の失敗、失態、汚名は次の戦で返上するとお兄さんに誓います」
風がいま行ったのは責任を誰かに負わして糾弾する事や、それに伴って軍の空気・士気の悪化を防ぐのが目的だろう
実力のある将をお咎め無しと言うのも甘い判断だと思うが、罰を与えたりしたところで状況が良くなるわけでもない。
ならば汚名返上、名誉挽回のチャンスを与えるのが自軍の利に繋がると判断してこの流れを作った。それと腑抜けていた魏将への叱咤もあったのかもな
一刀「言いたいことは風に言われたが、いま敗戦の責を問うことはしない。この敗戦を屈辱だと思うならば次の戦でこの屈辱を晴らしてみせよ!」
一刀の激を聞き、暗くなっていた将達に活力が戻ってきた。
責任を気にするなとはいえないが、気にするあまり失敗をしてしまっては本末転等、切り替えが大事と促していたのだ
一刀「また何かあればみなを呼ぶ、各戦線の軍師以外の将はそれまでは今日の疲れを癒してくれ。では解散!」
軍議が終り体を癒せと命が出た将は自分の隊に戻り始め、幕舎に残ったのは各勢力の軍師と一刀だけとなった
詠「ボク達軍師を集めてどうするの?」
一刀「さっきは沈んでいた将が多くて聞くに聞けなくてな。実際戦ってみての袁紹軍の印象を聞きたい」
詠「そうね・・・将の数は少なくても漢の名将と呼ばれる四英傑に二枚看板、万能将軍の張郃を加えた連携は正直見とれたわ」
朱里「敵対する将の性格を把握しそれに的確に対応してきますね」
桂花「それに視野も広いわね、戦線を良く見てる・・・悔しいけど」
穏「私達の最大戦力である一刀さん本隊と神速と呼ばれる張遼さん率いる騎馬隊を真っ先に無効化、そして残りは包囲殲滅各個撃破・・・お手本にしたいほど鮮やかな用兵です」
雛里「地の利は袁紹軍が握ってます、恐らく決戦前からずっと騎馬隊を無効化するように地形を変えていたと思います」
冥琳「陳宮の用兵もさることながら、敵将の力量も侮れない。伯符が一方的に攻めていたのに最後まで倒せなかった、本気になっていた伯符の攻撃を防御し続けられる将はそうはいないからな」
稟「更に袁紹本人にも気をつけたほうがいいかもしれません。一刀殿が戦場に到着してすぐに軍を退いたと間者から報告がありました。勝って勢いがあるときに冷静に退くことが出来るのは厄介です」
風「ふむ~もしかしらぽんこつ袁紹が覚醒してしまったのかもしれません・・・Zzzzzz」
一刀・稟「「最後まで言っておいて寝るな!!」」
風「おぉ!?」
風「いや~流れ的にやらないといけないような気がしまして~」
一刀「まったく・・・そういえば怪我をした魏延の様態はどうだ」
稟「いま亞莎が見てくれています、気も確かなようですので数日安静にしていれば問題ないと思います」
一刀「そうか・・・ひとまず安心だな」
詠「それで・・・今後どう戦っていくつもりなの」
一刀「思ってた以上に袁紹軍はまとまっている。正直まだ弱点はわからない、いまは様子見て対応するしかないな」
桂花「いまは袁紹軍の実力が解っただけでも収穫じゃないかしら、敵の実力がわからないと策の取りようもないんだし」
一刀「孫氏の『彼(敵)を知り己を知れば百戦殆うからずか』」
風「お兄さんが孫氏を知ってるなんて以外ですねぇ~」
一刀「これでも勉強したの!俺なりに勉強してるの!」
風「ふふふ、お茶目な冗談ってやつですよお兄さん」
一刀「まじっぽかったのは気のせいか?気のせいか?」
穏「本当に仲いいですねぇ~」
風「お兄さんと風の仲が一番深いですからねぇーそれほどでもあるのですよ」
稟「自重しなさいまったく。」
一刀「とにかく俺達はまずは兵の再編を急ごう、軍を立て直すまでは防戦になるだろうが、その時にも袁紹軍の攻め方を研究してくれ」
軍師一同「御意」
袁紹軍SIDE
盧植「あと一歩という所で逃げられてしまいましたな」
陳宮「曹仁や騎馬隊には幾多にも罠を張っていたのですが・・・少々甘かったです」
董承「しかし奴らに大打撃を与えたのは事実だ、これで我らが有利に進められるぞ」
袁紹「ですが油断はしないで下さいな、一刀さんがこのまま黙ってやられるはずがありません。油断をすれば劣勢に陥るのはわたくし達ですわ」
朱儁「袁紹様の言うとおりだ、俺と打ち合った孫策もだが奴らには豪傑がキラ星の如く控えている。足並みを揃えられた厄介だ」
陳宮「曹仁と呂布だけで陳宮達の大軍に突っ込んできたと聞きましたです、奴らの武は要注意ですぞ」
袁紹「明日からしばらく連合軍は兵の再編に忙しいはずです、兵の再編が完了する前に更に打撃を与えるのです」
袁紹軍将一同「御意!」
その後しばらくは袁紹軍が攻め、連合軍が防戦する流れが続き、一進一退の攻防が続いていた。兵の再編が終り攻めに転じる連合軍と袁紹軍も負けずと攻めの姿勢が続きどちらも決定打を与えられぬまま時間がすぎていく
一刀「今日も戦況は膠着し、張三姉妹は見つからずか」
明命「申し訳ありません、甘寧殿と掴む情報をすべて辿っているのですが・・・すべて陳宮によって移動させられた後でして」
わざと情報を流しているのか?それを流して奴らになんのメリットがあるんだ?なんにしても早く見つけ出さなければ・・・敵の切り札の黄巾兵をいつまでも相手にしてる余裕はないんだよな
桃香「このままじゃ兵力の差が激しくなりますし、兵の厭戦気分が広がってしまいます」
確かにこのままじゃ不味いが、状況を打開する策が無いのもまた事実だし・・・
かといってこのまま続けていても遠征軍の俺達が不利なのはいがめない。ここは陳留に一度退いて再度攻め込むべきか
風「お兄さん~ナニ考えてるかわかりませんが、それだけはやってはいけませんよ~」
稟「風、言い方が卑猥になってますよ」
風「おや、気がつかれちゃいましたか~流石えろえろの稟ちゃんですね」
稟「私のえろさは関係ないでしょ。風の言い方がわざとらしいんですよ。突っ込んでくださいと言ってる様な言い方だったじゃないですか」
風「稟ちゃんたら・・・突っ込んでなんてやっぱり変態さんなのですよ」
一刀「稟も律儀に付き合ってたらキリ無いよ。それでなにをやったら駄目なんだ?風?」
風「お兄さんが内心考えてた陳留への一時撤退の事です、風達は大陸の有力諸侯を集結させ天下分け目の決戦に赴いてるのです。その決戦で陳留まで下がったとなればいっきに袁家に天下が流れてしまう恐れがあるのです。たとえお兄さんが天下の7割を手中に収めているとしてもです」
稟「そういう事です。状況は苦しいですが、一刀殿は総大将なのです。まだ私達は負けていません、なので劣勢でも気丈に振舞ってください」
美羽「一刀にいさま!この程度の劣勢で弱音を吐くなんて”らしくない”のじゃ!」
桃香「足を引っ張ってばかりの私が言えることじゃありませんが、郭嘉さん言うとおりまだ負けてません!」
雪蓮「そうよ一刀、普段の飄々とした余裕はどこにいったの」
風「と偉そうに言いながら打開する策が思いつかない風達が言ってもあれですけどね~」
桂花「偉そうに言ってたんだから最後まで締めなさいよ、全く。」
まったく、俺はいい仲間に恵まれたよ。そうだよな・・・風と稟の言うとおりここで弱気になった方の負けだよな。華琳に至っては何も言わないが今頃そんな事に気が付いたの?と目線で訴えてるし....
一刀「すまない、みなの言うとおり弱気になるのはまだ早かった。もう弱音は吐かない、連合軍総大将として凛した態度を貫く!」
七乃「おぉ~なにか盛り上がってますね~何かいいことでもあったんですか??」
一刀が気合を入れなおした時、開戦前に陣中から居なくなっていた七乃がひょっこりと軍議を行っていた幕舎に現れた
美羽「七乃!?今までどこにいってたのじゃ!?」
七乃「ちょっとした仕込がありまして」
美羽「仕込みとはなんの事じゃ?」
七乃「説明する前に・・・一刀さん、一言だけ発言させてください」
一刀「許可する、皆にも聞かせてくれ」
七乃は真剣な表情で一刀に発言を求め、一刀も普段と違う”本気”になっている七乃を見て発言を許可した。
幕舎に集まっている諸将は何が言われるのかと・・・七乃の発言を待っている。
七乃はそんな諸将を見渡し、静かに口を開いた
七乃「ありがとうございます。・・・張三姉妹を奪還し、袁紹・陳宮を打倒する策の準備・・・すべて整いました。あとは一刀さんの号令が有り次第いつでも実行できます」
一刀「なんだって!」
七乃の爆弾発言で場は騒然となる。
大陸で十傑に入る知将が集まる連合軍でも、誰も思いつけなかった張三姉妹の奪還と袁紹軍撃破の策。
そんな実行困難な策の準備を終らせ、命令次第でいつでも実行できると平然と言いのけた七乃に驚愕の視線が向けられる
一刀「張三姉妹の奪回は何度も試みたいが全部失敗に終っていた。そんな張三姉妹を奪還し、袁紹軍を打倒できる策を説明してくれ七乃」
七乃「では説明させて頂きます。皆さんもお分かりだと思いますが、顔良・文醜の2枚看板、漢の四英傑、劉備さんや華琳さんを苦しめ今も私達の前に立ちはだかる陳宮の智謀に加え、敵に捕らわれている張三姉妹を崇拝し暴徒と化している信者。数多の豪傑・智謀の士が揃っている私達でも破るのは容易ではありません。その事は戦った皆さんが良く知っているとは思います」
七乃「袁紹軍は将の数の少なさを黄巾兵という圧倒的な暴力で補っています。ならば袁紹軍を支えている黄巾兵を味方にすればいいのです」
周喩「言うのは簡単だが・・・具体的にどうするつもりなのだ?」
七乃「既に張三姉妹の居場所を着き止め、将三人を張三姉妹の下へ送り込み、信者の中でも三姉妹に近しい者を味方に付け護衛させてます。あ、ついでに私も三姉妹との接触に成功してます♪」
いまなんて言ったこの子・・・明命と思春を筆頭に捜索隊を出しては撒かれてた居場所を突き止めただと?
しかもさらっと言ったが厳重に警戒されていただろう場所に会いに行き接触が成功したと・・・
予想を超えた発言だけあってみんなも唖然としてるし
明命「張勲さん、どうやって居場所を着き止めたのですか!?私達もずっと探してたのですが見つからなくて・・・」
七乃「周泰さん達は流れてくる情報を辿って探してたましたか?」
明命「は、はい!闇雲に探してたら拿捕される可能性が高まりますので、入手した噂を頼りに動いてました」
七乃「その噂を流したのはすべて陳宮です」
明命「えぇー!本当ですか!?」
七乃「周泰さんと甘寧さんの身軽さは陳宮も把握しています。なので周泰さん達を攪乱し、あわよくば捕虜にしようと画策し噂を流してたんです」
明命「ということは・・・最初から三姉妹は」
七乃「一度も噂の流れた場所には移されていません」
思春「そういう事でしたか・・・張勲殿はどうして偽情報だとわかったのですか?」
七乃「ちょっと”北”に用事がありまして、しばらく袁紹軍の領地に居たので内部調査は簡単でした」
詠「内部調査が簡単って・・・また凄い事をさらりと言ってのけるわね」
七乃「この程度苦労の内に入りませんよ♪」
華琳(七乃が有能なのはわかっていたけれど、本気の七乃がこれほどとは思わなかったわね。以前は美羽への歪んだ忠誠心が邪魔して孫策に破れたけど、本気の七乃と戦って勝てるかしら)
七乃(大丈夫ですよ華琳さん~私が一刀さんや美羽さんと敵対するなんて事ありえませんから)ボソボソ
華琳「!」
一刀「華琳と七乃どうかしたのか?」
華琳「いえ、なんでもないわ」
華琳が険しい表情したと思ったら、七乃が華琳に耳打ちしてたが・・・なんだったんだろ?
七乃「話しがそれましたが続けますね、張三姉妹への説明も済んでますので私が合図を送り次第行動に移すでしょう。彼女達が私達と合流出来るように道をこじ開ける必要があります。黄巾兵数十万の軍勢をこじ開けるのは容易ではありません、突入する者は死を覚悟する必要があります」
春蘭「その役目・・・私が引き受ける!」
七乃の死を覚悟して敵軍を切り開く役目に真っ先に名乗りを挙げたのは緒戦で大失態を犯した春蘭だった
七乃「春蘭さんですか・・・お言葉ですがここで失敗したら敗退するわけにはいきません。なのでこの役目はワンコ隊の方々に」
春蘭「私が・・・調子に乗り一刀や季衣の諌めを聞かなかったのが敗北に繋がり、甚大な被害を出してしまった・・・ならば状況を覆す為、この命尽きるまで戦い、張三姉妹を救う道しるべになってみせる!だから・・・頼む、私に行かせてくれ」
秋蘭「七乃よ、私からも頼む。姉者と”私”を行かせてくれ」
春蘭「何を言ってるんだ秋蘭!これは私の贖罪でもあるのだ、妹を死地に付き合わせる訳にはいかんのだ!」
秋蘭「それならば、死地に向かう姉を護るのも妹の役目さ。それに張三姉妹を救いたいのは私も同じなのだよ姉者」
季衣「そうですよ春蘭さま~一人だけいい格好しようなんてさせませんよ」
流琉「秋蘭様、季衣も一緒に行くなら私だけ行かないなんて選択肢はありませんね」
真桜「春蘭様や秋蘭様、それにちびっ子達だけにええ格好させへん、凪!沙和!うちらも救いにいくで!」
沙和「もちろんなの~!黄巾党のふにゃちん共をぶっ飛ばして、捕らわれての張三姉妹と再会するのー!」
凪「あぁ、仲間はどんな事があっても救い出す、必ずだ!」
春蘭が名乗りを挙げ秋蘭が続き、魏の将全員が苦楽を共にした天和・人和・地和を救いに立ち上がる。それを予測してたのか、七乃はそう言うと思ってましたと悟った表情で春蘭達を見つめていた
七乃「まったく、どうしようもない猪さんばっかりです」
秋蘭「それは心外だな、姉者ほどの猪武者と同格なんて失礼ではないか」
春蘭「なぁ秋蘭・・・それはどういう意味だ!?」
秋蘭「ふふ、気にするな。姉者が可愛いという話だ」
春蘭「ふむ?そんな話だったか?まあそれはいいとしてだ、行かせてくれるんだろうな、七乃!」
七乃「春蘭ちゃんの事ですから止めても無駄そうですかね。それでは切り開く役目はいま名乗りを挙げた7人に加え、華琳さんに行ってもらいます」
華琳「そういう事だから貴方達、槍働きで私に負けたらお仕置きよ」
春蘭「それはそれでご褒美です華琳様!」
華琳「・・・訂正するわ、私より劣った場合は二度と話す事はしないわ」
春蘭「何をしているお前達!すぐさま準備に取り掛かるぞ!軍功第一は譲らん!」
美羽「七乃よ、妾達はどうすればよいのじゃ?」
七乃「劉備軍、袁術軍の将は華琳さん達の負担を少しでも減らすために中央に攻め込みます」
雪蓮「中央って一番ぶ厚いところじゃないの!」
七乃「そうですね~袁紹軍の主力武将がすべて集まっていますね~ですが劉備軍と袁術軍ならば問題ないですよ」
雪蓮「本当に簡単に言ってくれるわね~」
鈴々「大丈夫なのだ!今度こそ鈴々が袁紹軍をぶっ飛ばしてみせるのだ!」
韓当「そうじゃな、負けっぱなしはしょうにあわん。なあ程普よ」
程普「うむ、奴らには敗戦続きじゃからな、ここらで倒さなければな」
七乃「ある意味華琳さん達より過酷な戦場になります。三姉妹を奪還するまでは踏ん張っていただけないと華琳さん達が全滅してしまいます。どちらが崩れても負け、博打な策です」
冥琳「だが博打を打たなければ現状を打開する事は不可能・・・か」
七乃「はい。そして華琳さん達が突破し、三姉妹を救う役目は一刀さんと神速の騎馬隊と言われる張遼さんににお願いします。奪還に成功すれば必ず勝てます。いえ・・・勝てるように策を打ちました」
一刀「一つ教えてくれ、七乃自身はこの策・・・どれぐらいの確率で成功すると思っている」
七乃「・・・・8割です」
一刀「それだけあれば充分だ。みなも聞いての通り俺達は七乃の策を採用し、これより総攻撃をかける!七乃は賭けと言っているが、俺は必ず張三姉妹を奪還する!みなは自分を信じ、友を信じ戦い抜いてくれ!さすれば必ず勝利を得ることが出来る・・・行くぞ!これが最終決戦だ!」
陳宮隊兵士「陳宮様!敵は二手に分かれるようです」
陳宮「内訳はどうなってるです!」
陳宮隊兵士「左翼に曹操軍、中央に袁術軍と劉備軍の将兵と見られます」
陳宮「黄巾兵か陳宮達本隊どちらかを突破し、もう片方に向かい挟撃に向かうつもりですか・・・とにかく迎撃を命じるのです!」
陳宮隊兵士「っはは」
総攻撃をかけた連合軍に対し、陳宮も全軍に迎撃の命を下す。
袁紹軍・黄巾兵は意気揚々と迎撃する。しかし今までと違い連合軍の攻勢が激しかった
春蘭「曹孟徳の片腕、夏侯元譲これにあり!暴徒に堕ちた者どもに私を止められると思うな!」
かつて魏の双璧と呼ばれ、蜀・呉から恐れられた春蘭は凪を見て覚えたと言う気を使い、一振り振るうごとに周囲に剣戟を飛ばし敵兵をまとめて吹き飛ばす。攻撃直後を狙う敵兵は秋蘭の的確な射撃で邪魔を許さない
季衣と流琉もそれに続き春蘭、秋蘭が開けた道を更に広げ、打ち漏らしは凪・真桜・沙和の三羽烏が仕留め華琳も春蘭に負けるかと言わんばかりに先頭に立ちみなを率いている。
異常な士気を誇る黄巾兵も、その圧倒的な武を見せつけられ、蹂躙され続け混乱が広がり始めていた。歴戦の将である華琳はその僅かに出来た隙を見逃さず、攻撃の手を更に激しくするように命を下す
その頃中央でも七乃の予想を裏切り、連合軍が圧倒的武を見せ付けている
雪蓮「なになに~昨日までの勢いはどこにいったのかな~?散々私達をバカにして癖に、なにその逃げっぷり!笑っちゃうわ!」
鈴々「鈴々達の家を!友を!家族を奪った袁紹軍を許さないのだ!みんなー行くよ!突撃・粉砕・勝利なのだーーー!」
翠「行くぜおまえら!今度こそ西涼騎馬隊の力を見せ付けてやるんだ!」
蒲公英「お姉さまには負けないよ!蒲公英だってやるときはやるんだからー!」
ハム・華雄「今日こそ目立つ!今日こそ認識してもらうんだー!」
桃香「ここまで私達が優勢ですね、一部変なところで気合が入ってますが」
美羽「それでも働きは凄まじいのじゃ、紫苑!亞莎!妾達も突撃するのじゃ!」
紫苑・亞莎「わかりましたわ『御意!』」
桃香「私達も続きましょう!韓当さん、程普さん、徐栄さんも騎馬隊を率いて突撃を開始してください!」
韓当・程普・徐栄「「「おう!」」」
祭「姫様達!わしらも策殿、劉備殿や袁術殿に負けてはなりませぬぞ!」
孫権「わかっている、シャオ!私達も名乗りを挙げるぞ!孫家の姫として恥ずかしくない戦いを見せ付けるんだ!」
尚香「そんなの当たり前じゃない!美羽達を苦しめる愚か者は全員斬り捨てちゃうんだから!」
この一戦で勝敗を決するため出陣した各陣営でも名を馳せる豪傑達による総攻撃。数で圧倒的する袁紹軍だが、その数を持ってしても止めることが出来ず、どんどん陣深くまで進軍を許してしまう
文醜「なんなんだこいつら!今までと勢いが全然違うじゃないか!」
顔良「文句を言ってる暇はないよ文ちゃん!このままじゃ敵将がどんどんこっちに来るよ!」
文醜「まじかよ、張郃やおっさん達はどこにいるんだ?」
顔良「いまこっちに向かってるはずだよ、黄巾兵の壁が曹操軍を防いでる間にこっちを片付けろって陳宮さんからの指令みたい」
??「そんな呑気に話してていいのかしら?」
文醜「!斗詩危ない!」
顔良「え?きゃっあ!」
雪蓮「あら、良く止めたじゃない」
文醜「あたいの斗詩に手出しやがったな・・・お前何者だ!」
雪蓮「あら、何回か顔合わせてと思ったんだけど?孫伯符よ、短い間だと思うけど覚えておいてね♪」
文醜「にゃろ~生きて帰れると思うな!」
顔良「駄目文ちゃん!2人で!」
思春「貴様の相手は私だ、顔良!」
雪蓮「なんだ、思春居たのね」
思春「美羽様の命により雪蓮様のお傍に控えておりました。助太刀いたします」
全く・・・美羽は心配性ね。私一人でもこいつらの足止めは出来るのに。でも心配されるのもいいものね。それじゃあ美羽を安心させるためにも
雪蓮「行くわよ思春、こいつらを捕縛して更に先に進み滅ぼすわよ」
思春「っは!」
文醜VS雪蓮 顔良VS思春の一騎打ちが始まる。一騎打ちを始めた雪蓮と思春。包囲しようと動き出した袁紹軍を止める為に少数で四方に当たり始めた韓当・程普・祭・孫権・尚香・亞莎を除いた将は更に正面の敵軍を突破し、援軍で駆けつけた張郃・董承・朱儁・皇甫嵩と交戦に入った
鈴々「うらうらうらー!」
皇甫嵩「ぬぅ、以前より鋭さが増したか!だがまだまだ甘いぞ!」
鈴々「にゃにゃにゃ!」
紫苑「あなたのお相手はわたくしが務めさせていただきますわ」
董承「弓使いか、かと言って油断せぬ!」
翠「どっせーい!」
張郃「なんの!次はこちらの番だ!」
翠「来い!どんな攻撃でも受けきってみせるぜ!」
朱儁「やれやれ、どいつも喧嘩早いの」
華雄「といいつつ闘志むき出しにしてやる気満々だろうが」
朱儁「某として武人なのでな、強敵と戦えると思うと心が踊るのものだ」
華雄「ふん、能書きがいい、行くぞ朱儁!わが名は華雄!私を拾ってくれた美羽様、そして私を導いてくださった曹仁様の為にも!我が斧の楔となれ!」
幽州で無敵を誇った燕人張飛を負かした皇甫嵩に再戦を挑む鈴々、油断できない相手と見定めた紫苑が董承へ、武人として成長を促してくれた恩に報いるため華雄が実力・名声共に格上の朱儁に戦いを挑む。
袁紹軍の主力を押さえ込んだ劉備軍・袁術軍はとうとう袁紹・陳宮・盧植のいる本陣前にたどり着き、美羽と袁紹・・・久しぶりの対面を果たした
美羽「・・・久しぶりなのじゃ麗羽ねえさま」
袁紹「久しぶりですわね美羽さん、わざわざ挨拶をしに着たんですの?」
美羽「麗羽ねえさまが反連合で華琳ねえさまを苦しめた事は問うつもりはないのじゃ、一刀にいさま無き後、天下を治めるのは私しかいないと大方考え、その時に十常侍に唆されただけと予想がつくからの。」
美羽「じゃがの・・・なぜ・・・なぜ一刀にいさまが生きてるとわかってなお戦を起こしたのじゃ!答えろ麗羽!」
麗羽「わたくしだって・・・わたくしだって好きで戦を始めたわけではありませんわ!ですが・・・ですが華琳さんをあのような目に合わせた以上、わたくしが天下を統一し、安寧をもたらさなければ一刀さんにあわす顔がありませんの!」
美羽「その為に民を護り、民と共に暮らしていた劉玄徳から領地を奪い、その地に住まう民を不幸にしたというのか!そんな事をすれば逆に一刀にいさまから怒りを買うとなぜわからないのじゃ!」
陳宮「麗羽殿、これ以上話しても平行線のままなのです。ここで袁術・劉備を討ち取れば連合軍は機能しなくなるのです!さあお前達奴らを討ち取るのです!」
盧植「我が隊も出るのじゃ、引導を渡してやるのじゃ!」
袁紹軍兵士・陳宮隊兵士・盧植隊兵士「「「ウオオオオオオオオ!」」」
桃香「袁術さん・・・これって」
美羽「うむ・・・まったく、バカが変に思いつめるとろくな事にならんのじゃ」
桃香「じゃあ袁紹さんも救ってあげないとね」
美羽「劉備もお人好しすぎるのじゃ、長生きできないかもしれないのぉ」
桃香「あはは・・・よく言われます。それと私の事は桃香でいいですよ!」
美羽「ここで真名交換というのも斬新じゃな、妾の事も美羽でいいのじゃ”桃香”!」
桃香「はい!行きましょう”美羽ちゃん”!」
本陣で待機していた袁紹隊・陳宮隊・盧植隊を相手に美羽を筆頭に、戦を嫌い、人が傷つくのを最も嫌っている桃香も自ら宝剣・靖王伝家を握り戦う。すべてはこの一戦で終らせるため、そして・・・敵である袁紹を救い出すため・・・
陳宮「こんな所まで敵の侵入を許すなんて、奴らは何をしてるんですか!」
盧植「陳宮殿、軍師たるもの落ち着きを失ってはお終いですぞ」
陳宮「そんなのはわかっているのです!」
袁紹「陳宮さん、盧植さん・・・わたくしは間違っていたのですか?」
陳宮「そんなことはないのです!奴らの戯言に耳を貸してはいけないのです!」
盧植「・・・」
伝令「も、申し上げます!我らの北より新たな敵軍到来!後詰の兵に対応させていますが、敵も大軍のようで押されています!」
陳宮「なんですとー!北に奴らに味方する勢力などいるはずが!」
盧植「いや、北に一つだけ桃香に味方する勢力がある」
陳宮「まさか・・・!奴らは陳宮達が懐柔したはずですぞ!」
於夫羅「わが名は於夫羅!今こそ我らの盟友・劉備殿に恩を返すべく参戦いたす!」
呼廚泉「匈奴の蛮族と蔑んでいた袁紹軍に従う我らではない!我らが味方するのは人徳の王・劉玄徳と劉玄徳が慕う曹仁殿のみ!幽州から劉玄徳を追い出した袁紹軍を滅ぼすのだ!」
袁紹軍の北から現れたのは桃香と親しく付き合い、反連合でも桃香の援軍として力を貸していた匈奴の将於夫羅と呼廚泉だった。陳宮は幽州を奪い取った後金品を贈り懐柔したと思い込んでいたが、匈奴は表面上は友好を装い、桃香が再び戻ってくる時はずっと待っていたのだ。
美羽「あの旗は・・・どこの軍じゃ?」
桃香「あれは於夫羅さんと呼廚泉さん!来てくれたんですね・・・」
美羽「於夫羅と呼廚泉・・・以前言っていた匈奴の将で桃香と付き合いが深いという者達かえ?」
桃香「はい、反連合の時も私が洛陽に行けるように留守を守ってくれてたんです。また来てくれるなんて思ってなかったです・・・」
美羽「それだけ桃香があの者達の心を掴んでいたと言う事じゃ、胸を張ればいいのじゃ!」
桃香「美羽ちゃんありがとね・・・みんなー!私達の同盟国・匈奴の人達が援軍で着てくれたよ!もうちょっとだから頑張って!」
美羽「妾達の隊も気合を入れなおすのじゃ!特に親衛隊!あまり負抜けた戦いばかりしてると追い出すのじゃ!」
劉備隊「オオオオ!」
牛金「不味いぞ満寵!このままじゃ美羽様に捨てられるぜ!」
満寵「軍規違反を承知でここまで抜け出してきたんです・・・みなさん!我らの娘に捨てられぬように奮戦せよ!奴らをぶっ飛ばすのです!」
親衛隊「ヒャッハアアアアアアアアアアア!!!!!」
匈奴軍が戦場に現れた事はすぐに桃香達にも伝わり、劉備隊・袁術隊共に士気は急上昇する。親衛隊は美羽に捨てられないように狂戦士と化した。
そして・・・・
中央に突撃し、自軍の数倍の相手に踏ん張っていた将達に
待ちに待った瞬間が訪れた
天和「みんな大好きーー!」
黄巾兵「てんほーちゃーーーーん!」」
地和「みんなの妹!」
黄巾兵「ちーほーちゃーーーーん!」」
人和「とっても可愛い」
黄巾兵「れんほーちゃーーーーん!」
天和「あの人達は嫌がる私達を拉致監禁して無理やり歌わせてたの!」
地和「そんな私達を連合軍は助け出してくれたの!」
人和「私達の敵は連合軍じゃなくて袁紹軍、みんな連合軍に攻撃するのは辞めて」
天和「みんな~私達を困らせた袁紹軍をやっつけちゃってー!」
黄巾兵「ほあああああほああああああほあああああ!!!!」
時は少し戻り、華琳達が黄巾兵に突撃しぶ厚い人壁を次々を蹴散らしている頃、一刀や一刀の傍に控えている将は華琳達の働きに賞賛の声を挙げていた
星「いやはや、見事な武の競演ですな」
霞「緒戦は完全にトンちゃんが格下だと舐めてかかった結果やしな~慢心せずに対等の敵と見定めた相手には普段以上の力を発揮するで」
愛紗「ふむ、今のあやつ相手ならばいい勝負が出来そうだ」
明命「ですね!いまの状態と戦ってみたいです!」
恋「みんな強い、でも恋はもっと強い」
霞(恋は以外と負けず嫌いやからな~そこがまたかわえぇんやけど)
愛紗「一刀様、我らはいつまでここで待機してるのですか?」
一刀「七乃は華琳達が半ばまで到達したら火矢で合図を挙げろと言っていた。そろそろのはずだ、星は矢の準備をしてくれ」
星「御意」
武の頂とも思えるほどの働きを見せ付けられ、闘争心が抑えれない愛紗達をなんとか宥め、一刀はその時を静かに待ち続けている。
待つこと四半刻(約30分)、その時がやってきた
一刀「いまだ!星、火矢をあげろ!」
星「承知!」
一刀の合図と共に数本の火矢が空に舞い上がる。それと同時に待機していた一刀・恋・愛紗・霞・明命・星が一斉に出陣し、華琳達が斬り開いた道を疾走する。
そして合図の火矢を発見した三姉妹側も動き始める
??「兄貴!合図です!」
??「合図を見つけたんだなー!」
??「ようやくか、待ちくたびれたぜ。おめえら!俺達の役目はなんだ!」
三姉妹側近兵「張三姉妹をお守りし、曹仁様の下にお送りする事!」
??「その為にする事はなんだ!」
三姉妹側近兵「三姉妹の願いを無視し、暴徒と化した仲間を討ち道をこじ開けること!」
??「俺たちは命を懸けて三姉妹を護る!てめえらも役目を全うして楽しい本当のらいぶを聞くんだ!進め!」
ほあああああああああああああああ!ほあああああああああああ!
??「兄貴!俺達も行きましょうぜ!」
??「行くんだな!!おら達をここまで育ててくれた旦那の為にも頑張るんだな!」
程遠志(ヒゲ)「おうよ!ここが俺たちの見せ場だ!気合いれていくぞ!」
鄧茂(デク)・波才(チビ)「「おうなんだな!(へい!)」」
秋蘭「華琳様!敵軍で動きが!」
華琳「えぇ見えているわ、七乃が言っていたのはこの事だったのかしら」
秋蘭「一刀達もこちらに向かって猛進しておりますゆえ、恐らくその通りかと」
凪「華琳様、このまま内応軍と挟撃し隊長を三姉妹の下へ導きましょう!」
華琳「そうね・・・あの子達も会いたがってるはずだものね。皆のも進め!敵の内応者と協力し、挟撃に移る!我らの君主・曹仁子孝の手を煩らわせてはならぬぞ!」
愛紗「一刀様!道が開けました!」
霞「一刀!露払いはうちらに任し!一刀は真っ直ぐ張三姉妹の下へ向かうんや!」
一刀「頼むぞみんな、っはあ!」
星「我らも行くとしよう」
明命「一刀さんの邪魔は誰一人として許しません!」
恋「にぃにの邪魔は許さない、近づく者は全員殺す」
霞「こっちも血気に逸ってるな~でもうちも同じや、一刀達の再会を邪魔する無粋な輩は全員叩き斬ってやる!」
華琳達魏の将が道を斬り開き、ヒゲ・デク・チビ等の黄巾兵が内部から道を抉じ開け、愛紗・恋・星・霞・明命が一刀に群がろうとする敵をすべて薙ぎ払う。
我侭な三姉妹のプロデューサーとして苦楽を共にし絆を育んだ一刀と三姉妹。そんな彼女達は一刀を深く愛し、一刀も彼女達を愛した。
今まで傍に居ることが出来ず、不安な日々を送らせてしまった彼女達を取り戻すため・・・一刀はたくさんの仲間の加護を受け突き進む
そして・・・・
一刀「天和ー!地和ー!人和ー!」
天和「一刀~~~!」
地和「一刀ーーー!」
人和「一刀さんー!」
あの日成都で消えてしまってから十数年の時が流れ・・・
天の御使い・北郷一刀と数え役萬☆姉妹の三人が再会を果たした
天和「会いたかったよ一刀・・・」
地和「遅いのよ・・・バカ一刀」
人和「私も・・・ずっと会いたかったです」
一刀「天和、地和、人和・・・遅くなってすまなかった」
天和「ううん、一刀がずっと探してたのは知ってたよ。私達こそずっと・・・連絡取れなくてごめんね」
地和「ちぃ達ずっと監視されてて・・・あの時手紙を渡すのが精一杯だったの」
人和「ごめんなさい一刀さん・・・私達の歌が・・・こんな事に使われてしまって」
一刀「いいんだよ、天和達は何も悪くないんだ。それよりも・・・無事でいてくれてよかった」
その言葉を聞いて天和、地和、人和は泣いて一刀に抱きつき、一刀も三人を二度と放さないように抱きしめる。
しばらく抱き合っていたが、戦はまだ終っていない。4人は名残惜しそうにゆっくりと離れ、一刀は傍で護ってくれていた三人に視線を向ける
一刀「お前達が天和達を護ってくれていたのか」
ヒゲ「へい!七乃穣に頼まれ、旦那がいらっしゃるまで護もっていました!」
デク「おら達は元黄巾党だったから、怪しまれずに傍にいれたんだな~」
チビ「後は内部から親・三姉妹の兵達を切り崩し、味方に加えてやした!」
七乃はお前達が元黄巾党所属すら見抜いて策に用いていたか。まったく、七乃には隠し事は出来ないかもしれないな
一刀「程遠志!鄧茂!波才!よく俺の大切な女の子を護ってくれた・・・ありがとう」
程遠志「旦那、あっしらは旦那から受けた恩を返しただけです。旦那が俺達を拾ってくれなければあっしらは憧れの張三姉妹を救い出すなんて大任を受ける事もありませんでした。ですから・・・感謝するのはあっしらでさ!」
鄧茂「そうなんだな~おら達は旦那にお礼をしたかったんだな~」
波才「今まであっしらは奉公する機会がありませんでした、なので将としての役目を果たせて満足でさ!」
一刀「お前達・・・泣かせるなよ」
程遠志「行きましょう旦那!戦を、この戦乱を終らせやしょう!」
一刀「あぁ・・・ああ!」
天和「か~ずと、
私達も協力するよ!」
地和「ここで仕返ししないとちぃの気が晴れないもんね!」
人和「やらせてください一刀さん、必ず役にたってみせます」
一刀「それじゃあ天和達は・・・・・」
陳宮「馬鹿な!なんで張三姉妹が敵の手に落ちてるですか!」
盧植「やられたの、曹仁軍の面子が黄巾兵に当たっていたのは桃香達の足止めでは無く奪還が目的じゃったか」
陳宮「しかし奴らに居場所がばれぬようにしておいたのです!敵の諜報部隊である周泰・甘寧にもばれなかったのですぞ!」
盧植「それをなんらかの方法で入手したのだろう。我らの負けじゃな」
陳宮「まだ我らは負けてないのです!」
盧植「無駄じゃ、黄巾兵があちらに寝返ったと言う事はこちらに」
伝令「伝令!こちらに黄巾兵を相手にしていた曹仁軍がこちらに接近!その中には曹仁とそれに従う5将軍の旗も確認されています!」
盧植「匈奴軍に黄巾兵・曹仁軍に面前の劉備軍・袁術軍。これを相手にする事などできんわい」
袁紹「わたくしは・・・また負けたのですか」
陳宮「そんなことないのです!まだ建て直しが!」
盧植「陳宮いい加減にせよ!お主の忠誠心は見事じゃが、行き過ぎたじゃ。負けた時こそ潔くするのじゃ」
袁紹「わかりました・・・一刀さんに降伏いたします。軍に戦をやめるように指令を送りなさい。盧植さんは一刀さんの下に降伏する旨を伝えてください」
陳宮「・・・御意」
盧植「御意」
星「ふむ、どうやら敵は諦めたみたいですな」
霞「みたいなや~敵さんから誰か来るで」
一刀「あれは盧植か?」
盧植「直接お会いするのは初めてですな、盧植と申します。袁紹様の使者として参りました」
一刀「俺が曹仁子孝だ、れい・・・袁紹の使者と言ったが何のようだ」
盧植「今更駆け引きの必要もありませんので単刀直入に伝えさせていただきます。一刀さん、わたくしの負けですわ。これ以上の抵抗は辞め降伏いたします。との事です、虫のいい話なのは重々承知ですが、降伏を認めてください」
華琳「本当に虫のいい話ね。でもあの麗羽が負けを認めるぐらいだものね、本気と捉えてよさそうだわ」
秋蘭「そのようです、中央でも殺気、怒気が無くなりました。戦が終わったみたいです」
一刀「袁紹の降伏を認める、袁紹のところまで案内してくれ」
盧植「御意」
袁紹軍本陣
袁紹「一刀さん・・・申し訳ありませんでした」
盧植に案内され、本陣に連れられて一刀を出迎えたのは味方の将では無く、会うなり謝罪した袁紹だった
袁紹「わたくしが変な意地を張った結果、このように混乱を招き民を傷つけた事・・・取り返しがつかないのはわかっています、この責任は私の命を持って償いを!」
一刀「愛紗!」
愛紗「っは!」
懐から短剣を取り出し、自ら命を絶とうとした所を愛紗がギリギリの所で食い止める。
袁紹「話してください!このままおめおめと生きてなんかいられませんわ!」
顔良「麗羽様落ち着いてください!」
文醜「そうだぜ麗羽様、死ぬのは早計ってやつだ」
前線で戦っていた袁紹の腹心である顔良・文醜が陣に帰還してきた。それに続くように美羽・桃香も本陣に到着した
一刀「美羽達も来たのか」
美羽「うむ、大騒ぎじゃったが何かあったのかえ?」
一刀「袁紹が責任を取って自決するって言い出してな」
美羽「はぁ・・・このバカは本当に・・・」
美羽は何か心当たりがあるのか、額に手を当ててため息をついていた
。
美羽「一刀にいさま、麗羽ねえさまを許してくれないかの」
袁紹「美羽さん!?何を言うんですか!」
桃香「私からもお願いしします、袁紹さんを許してあげてください!」
袁紹「劉備さんまで・・・わたくしは劉備さんを追い出し、殺そうとしたのですよ!」
桃香「え?何のことですか?記憶にないですけど」
桃香は美羽と袁紹のやり取りを傍に見ていた為、両者の気持ちは痛いほど理解出来ていた。
桃香の周りには一刀を含めたくさんの仲間がいたが、袁紹の周りには真に支えてくれる友は居なかった。その為一刀を失ったと聞いた時に袁紹の心が乱れたのがこの暴走の原因と見ていた。
もちろん犯した罪は償わせないといけないが、美羽のやり取りを見て断罪する気が無くなってしまっていた
華琳「美羽も劉備も甘すぎるわよ」
桃香・美羽「あ、曹操さん『華琳ねえさま』」
華琳「どきなさい、2人が断罪しないと言うならば私がやるわ!」
華琳は黄龍偃月刀を取り出し袁紹の首下にあてがい、袁紹に語りかける
華琳「麗羽・・・言い残すことはあるかしら」
袁紹「強いて言うならば・・・顔良さんや文醜さんに張郃さん、陳宮さん達の命は許してあげてください。あの子達はこんな愚かなわたくしに忠誠を尽くしてくれただけですわ」
姫を放せを顔良・文醜が騒ぎ立てるが、武器を取り上げられ、雪蓮・霞に押さえつけられ身動きが取れないでいる
袁紹「それと・・・盧植さん、皇甫嵩さん、朱儁さん、董承さんは居るかしら」
盧植「我ら四名はここに控えております」
袁紹「朝廷から派遣され、私の補佐に就いてくれていた任を今解除いたします。朝廷に戻るなり好きに行動なさってください。駄目な君主で迷惑かけましたわ」
皇甫嵩「袁紹様・・・我等の力及ばず申し訳ありません」
袁紹「いいのです、貴方達はよく戦ってくれました。華琳さんもういいですわ、一思いにやってください」
顔良・文醜「ひめええええええ!」
陳宮「麗羽殿ーーーー!」
ザシュ
袁紹「・・・・?わたくしは生きてますの・・・?」
華琳が斬ったのは長く巻かれた袁紹の髪だった。
袁紹「華琳さん、わたくしの首を取らないんですの?」
華琳「私達は袁紹軍を下し、天下は定まったの。それなのにいま麗羽を斬ったところでなんの利益もないわ。私を反連合で殺そうとした事はその長ったるい髪で許してあげるわ」
一刀「はは、なんだかんだ言いながら華琳も甘いな」
華琳「・・・煩いわね。一刀だって麗羽を斬るつもりはなかったんだからいいでしょ」
一刀「まあな」
一刀は華琳との会話を交わした後、袁紹に語り始める
一刀「お前の犯した罪は確かに消えない。だがお前を孤独にしてしまった俺にも罪はある。だから・・・生きて民の為に働いて贖罪するんだ・・・麗羽」
麗羽「はい・・・・はい・・・」
一刀「斗詩や猪々子、それに麗羽に従っていた将達の罪はこの戦乱で傷ついた大陸の復興に尽くす事だ!思いっきりこき使ってやるから覚悟しろ!」
斗詩「わかりました一刀さん」
猪々子「兄貴に真名で呼ばれるのも久しぶりだな。わかった、全力で取り組んでやるよ」
盧植・皇甫嵩・朱儁・董承・張郃「「「「「ははっ」」」」」
桃香「一刀さんも甘いですね~♪」
美羽「全くなのじゃ」
一刀「それが俺だからな・・・・袁紹軍は我らに下った、長きに渡り続いた戦乱の集結をここに宣言する!勝ち鬨をあげよ!!」
えい!えい!おーーーーーーー!!
えい!えい!おーーーーーーー!!
epilogue
陳留
麗羽を官渡の戦いで下してから早くも3ヶ月の月日が流れた。
戦乱は大陸各地に深い爪後を残したが、治世の世となった今一刀の持つ知識が最大限フル活用され、3ヶ月とは思えないほど復興が進み、街は活気に満ち溢れていた
一刀「荒れ果てていた陳留も大分復興してきたな」
華琳「それでも私達が幼少の頃の方が活気に満ちてたわよ?」
一刀「俺達が陳留を離れてからかなりの時間がたったからな、それについては俺達にも責任がある」
華琳「そうね、この陳留は私達の始まりの地でもある、前の世界よりも発展させて大陸一の都市にしないとね」
一刀「そうだな・・・ん?この声は」
わかってるのか麗羽!
まぁまぁ美羽ちゃん、袁紹さんも反省してるみたいだしね?
甘すぎるのじゃ桃香!この甘やかされて育ったバカ従姉にはガツンと言わないと駄目なのじゃ!
美羽の次は私も言わないと気が済まないからまだ終らないわよ?私の美羽を殺そうとしたんですもの
もぉ~孫策さんまで
一刀「どうしたんだ?みんな揃って」
が見た光景は降伏した袁紹が正座で座り、その周りを美羽・桃香・雪蓮達が囲んでいた。
桃香「美羽さんが凄かったです・・・普段と全然違いました」
雪蓮「美羽の後は私が文句言う予定なの~♪」
一刀「それがさっきの怒号だったのか。遠くにいた俺たちにも聞こえてたぞ」
華琳「それで、美羽は何で怒鳴ってたの?」
美羽「麗羽が復興事業で小さい間違いをしてしまっての、それの責任を取って余計な事をやりだして止めて説教してたところなのじゃ!」
麗羽「だってそのほうが失敗を取り戻せると思ったんですもの」
美羽「そういうのはまず相談しろと何度も言ったじゃろ!」
麗羽「うぅ~一刀さん~美羽さんがいじめてきますわ!」
一刀「麗羽が悪い、雪蓮連行しなさい」
雪蓮「了解~いつのも場所でいいのよね?」
美羽「うむ!今日はみっちし教育をしてみせるのじゃ!」
い~~~や~~です~~~の~~~~~!
斗詩「すみません、麗羽様は私達からもきつく言っておきますので」
猪々子「んじゃな~兄貴達~」
陳宮「待ってください麗羽殿~置いていかないで下さい~」
華琳「変わらずやかましいわね~あの面子は」
桃香「ですが仲良くされているようで安心しました!」
一刀「そこ心配してたから確かに安心したよ。それよりも桃香、幽州に戻らなくて大丈夫なのか?」
桃香「戦じゃ全然役に立てなかったからと朱里ちゃん達が張り切ってまして・・・帰ってこなくていいと言われちゃいました♪」
華琳「あなた・・・嬉しそうに言う台詞じゃないわよ?」
桃香「幽州に戻ったらしばらくみなさんと会えないので、今のうちに楽しんでおこうかなと思いまして!」
劉備軍の将達は終戦直後に幽州に戻り復興に力を注いでいる。桃香一緒に戻ろうとしたのだが、朱里や雛里、韓当にこちらの事は気にするなと、一刀の居る陳留まで送られてしまった。孫策軍の面々は雪蓮を残し、美羽不在の南郡・江東を収めるべくさっさと帰還してしまった。雪蓮は厄介払いだが、本人も戻る気がないので深くは追求しまい
一刀「本当に変なところで前向きだな、桃香は」
桃香「それが取りえですので!私はこれから盧植先生の講義がありますのでこれで失礼しますね♪」
桃香と盧植は敵対関係が解消されたことで師弟関係を取り戻し、乗り越えてやるんだ!と気合を入れて勉学に励んでいる。
華陀は戦は終わったが、俺の助けを待っている患者が居ると言って飛び出してしまった。今どこにいるかわからないが、ふらりと帰ってきた時は親友として迎えてやろう。
ちなみに母さんには桃香と七乃の存在を完全にロックされ、俺の嫁の一員に迎え入れようと裏で動いている。七乃は自ら母さんに売り込んでくるし、それに釣られるように馬騰さん、荀緄さんも自分の娘を嫁に勧めてくる。翠はわからないが、蒲公英は乗り気だし、桂花もさっさと嫁にしなさいと迫ってくるし、そのたびに華琳やワンコ隊の機嫌が悪くなるから少し困ったりもしてる。
月と詠と華雄は天水に戻ったが、何かと理由をつけて陳留まで遊びに来ては俺の世話を焼いてくれる。いつ仕事してるの?疑問を抱くほど完璧に天水の業務を行っているから来るなとは言えないんだよね~俺も月達に会いたいし!
更に陳留の街を散策していると、華琳の誘導でかつのて魏のメンバーが張三姉妹の歌と踊りに合わせて楽しそうに立食パーティーをしている現場に到着した
霞「おぉ~かずと~~どこうろついておったや~先に酒頂いてるで~」
沙和「隊長おそ~い!やっと来たの~!」
風「まあ~お兄さんが遅れた理由なんて一つしかありませんからね~ねぇ~稟ちゃん~」
稟「一刀殿が遅れた理由・・・来た道から逆算すると袁術殿や劉備殿が居たはず・・・まさかこの日の高いうちからくんずほぐれつ絡み合いそこに餓えた一刀殿が・・・ぷっっはーーー!」バタン
桂花「あ~もう、本当にあんたは変わらないわね。ほらトントン」
稟「フガフガ」
風「おぉ~桂花ちゃんも上手くなりましたね~」
桂花「こんな事上達したくなかったのに・・・」
春蘭「遅いぞ一刀!てっきり来ないのかと思ったぞ!」
秋蘭「待っていたぞ北郷、何かあったのか?」
一刀「何かあったのかと言う前に・・・これなんの集まりだ?」
季衣「え?兄ちゃん知らないの?」
流琉「戦が終わったので、みんなを集めて立食ぱーてぃーをしようと言い出したのは兄様だと思ってましたが」
一刀「いや、俺はそんな事言ってないし聞いてもいないんだが。。。」
凪「隊長が知らないとなると犯人は・・・」
真桜「大将しかおらへんわな」
一刀「華琳~~?」
華琳「ふふ、成功b」
華琳は悪戯が成功した子供見たく無邪気な笑顔でこちらにvサインを見せてくる。くっそー!可愛すぎて文句いえねえじゃねえか!
凪「華琳様の悪戯好きも変わりませんね」
真桜「せやな~でもこれ見ないと始まらないするな~」
沙和「やっぱ~隊長は華琳様にいじられてなんぼだと思うの!」
風「ふふふ、三人ともそんな事言ってますと、夜になったひぃひぃ言わされちゃいますよ~?」
桂花「だからあんたは自重しなさい!また稟の鼻血が出ちゃうじゃない!」
霞「一刀もはよ来て~一緒に飲もう!」
一刀「あぁ、今い」
霞達の下へ行こうとしたら急に当たり一面が真っ白になる。なんだ?貂蝉の力でどこかに呼ばれたのか?
久しぶりね一刀・・・ずいぶんたくましくなったんじゃない?
この声・・・言い回しはまさか!
一刀「華琳!?」
華琳「なに?そんに驚いて、あなたはかつて使えた王の顔を忘れたとでも言うの?」
一刀「そんなわけ・・・ないだろ・・・俺はずっと....華琳を目標にして頑張ってきたんだから」
華琳「えぇ、そっちにいる私を通してみていたわ。あなたがずっと頑張ってきたこと。そして私を護ってくれた事もね」
一刀「どういう事なんだ?なんで華琳が違う外史の華琳と意識が同調してるんだ?」
華琳「さぁ?詳しい事はわからないけど、そちらの私が記憶を取り戻した時から私にも記憶が流れてきたのよ。ほんと、一刀と一緒に居ると退屈しないわね」
一刀「華琳・・・俺は・・・」
華琳「バカね。何泣きそうになってるの?成都でも言ったでしょ?あなたはこうして私の前に戻ってきてくれた。それだけで充分だって」
一刀「でもそっちに俺は」
華琳「えぇ、北郷一刀は居ない。でも私だけでじゃなく魏のみんなもそちらにいる自分を通して一刀のぬくもりを感じる事が出来るようになった。凪なんて隊長が隊長がって思いっきり泣いてたのよ?」
華琳「時間の誤差はあるけど、魏の将はみんな思いを共有できるようになった。紛い物かもしれないけど、みんな空元気から本当の元気を取り戻し、一刀に見られても恥ずかしくない立派な国を造る為に動き出せた。」
華琳「いつまでこの共有が続くかわからないけど、私達はもう大丈夫。あなたはあなたでそちらでの役割を全うしなさい。私・・・私達が愛したあなたはどんな事にでも一生懸命なあなたなのだから」
一刀「あぁ・・・俺達も華琳達に負けないように治世を造り上げる!見ていてくれ、華琳!」
華琳「えぇ、見ているわ。・・・そろそろ時間みたいね」
一刀「また・・・会えるかな」
華琳「きっと会える。それに忘れないで一刀、私達はどんなに離れていても想いはあなたと一緒に居るのよ。そちらの私をよろしく頼むわね。」
一刀「あぁ、華琳やみんなは俺が絶対・・・どんな事があっても護ってみせるさ」
華琳「信じてるわ、あ、最後にこれ渡しておくわね。あなたの話しを聞いて私が作ったのだから大事にしないと許さないわよ!それじゃあ・・・じゃあね、一刀」
・・・と
・・ずと
華琳「一刀!」
一刀「あれ・・・ここは」
華琳「大丈夫?立ったまま寝てたわよ?」
俺は寝てたのか?あの華琳は俺の夢だったのか?
華琳「ん?あなたそんなの首にかけてたかしら」
華琳に言われ慌てて自分の首下を確認する。そこには夢で華琳にもらった桜の花びらの刺繍が入ったネックレスがかかっていた
夢じゃなかったのか・・・俺の残した装飾品の絵だけでここまで精巧に造り上げるなんて・・・俺も負けてられないな
華琳「ちょっと、なに一人で納得して笑ってるの?」
一刀「これはちょっとな、いつか華琳にも説明するよ」
華琳「それならいいのだけれど『華琳様~早く来てください~~!』私達が遅いからしびれを切らしたみたいね」
春蘭「一刀~~!」
秋蘭「一刀!」
季衣「兄ちゃん~!」
流琉「兄様~!」
凪・沙和・真桜「「「隊長!」」」
霞「一刀!」
風「お兄さん~」
稟「一刀殿!」
桂花「早く来なさいよ!バカ一刀ー!」
天和「一刀~!」
地和「一刀ー!」
人和「一刀さん!」
華琳「行くわよ一刀。あなたが必死に救もったみんなの下へ」
一刀「今行くよ!みんな!今度はずっと傍に居るからな!」
Fin
こんな話あったらいいな~と思い始めてから約一年、こんなに多くの方に見ていただけるとは思ってもいなかったです!
誤字脱字の常習犯、戦パートの下手糞さ、台本形式でしかかけないぺーぺーでしたが、なんとか完結を迎える事が出来ました。
一ヶ月も待たせたうえ、このような終わり方で大丈夫かな?とかなり不安でもあったりします。
自分はどのキャラも好きなので、なるべくいいキャラ立てにしようと思ったらみんな濃くなっちゃいました!キャラ崩壊も多数いますし、特に初期の桃香とか誰だこいつ!?状態でしたもんね、一部そのままも居ましたがw
なるべく原作キャラは登場させるように話しを練ったのですが、やはり魏メインとワンコ隊の出番が多くなり、孫呉が雪蓮・明命除いて若干空気になったのは反省点かなと思ってます(反省点挙げればキリがありませんが)
そんなUP主ですが、次回作も何かやろうかな~と無謀にも考え中です!何かネタがあったら教えてください!やるとしてもクオリティーは気にしない方向だと嬉しいですw
さて、寂しがりやな覇王と御使いの兄、最後となりますが、皆様今までご愛読、応援本当にありがとうございました!
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分けた2話目です
文字数に引っかかると思ってなかったですorz