「…そろそろ戻ろうよ?」
砂浜で背中をまるめ、体育座りしている彼女の隣にしゃがみこむ。
「…ごめんなぁ」
「何も謝られることなんて無いって」
「いやぁ、今回は本当にへこんだ。折角一刀と海だったのに、街道が工事中で迂回路探して迷うとはなぁ」
「まあでも、結局海には来れたし」
「こんな夕方になっちゃったけどな」
「…波打ち際では遊べたじゃん」
「もうこの季節じゃクラゲが出始めて泳げなかったけどな。お前は浮き輪まで用意して文字通りウキウキだったのにな」
「いーんだよ、こうして白蓮と海辺の夕焼けを見れたんだから俺は満足!白蓮の水着も拝めたし」
まあ白蓮としてはとても不満なのはわからないではないけど、言い出すと切りが無いし。
最近吹っ切れ気味ではあったけど、彼女はネガティブが一度入ると結構深い。
「…そっか。じゃあ、宿に帰ろう」
「ああ」
立ち上がって差し出してくる白蓮の手を取って俺も立ち上がるが、まだ彼女の横顔には負のオーラが見え隠れする。
「久々の白蓮の料理俺楽しみなんだけど。片付け俺やるから宜しく頼むよ」
「…普通の煮物と焼き魚と山菜だぞ?ふつーの」
「それがいいんですよ白蓮先生、舌が感動し過ぎないなつかしの味わい」
「それ褒めてないだろ」
並んで歩きながら苦笑いを浮かべる彼女に少し安心して、ちょっと調子に乗って肩を抱きながら耳元で囁いてみる。
「でもさ、とりあえず先に風呂入ろうよ。その水着のまま」
「ぶれないなお前…で、お前が脱がすんだろ?」
「それはそのときの流れ次第で」
「ったく…私はほかの連中と違って普通なんだからあんまり無茶しないでくれよ、飯作れなくなるからな?」
「了解了解(しないとは言ってない)」
少し照れながらもされるがままに抱き寄せられてくれる白蓮と、浜辺を歩く。
慌しかった夏の終わりの、そんな休日。
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今年飯坂様がお描きになった雪蓮に触発されて次頁にて小ネタを書かせて頂きましたが、昨年お描きになった白蓮には結局書けずじまいだった為、少しだけ情景を入れさせて頂きました。
飯坂様へ
白蓮お借り致しました。有難う御座います。