No.799202 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルートsoranoさん 2015-08-30 00:13:11 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1203 閲覧ユーザー数:1098 |
ゼムリア歴1205年、1月1日、同日9:30―――――
翌朝、朝食を取り、準備を整えたリィン達は待機メンバーを先にカレイジャスに戻らせた後サフィナにある事を頼む為に城館に残ったセドリック皇太子とアルフィン皇女と共にサフィナを訊ねて事情を説明した。
~バリアハート・クロイツェン州統括領主の城館・執務室~
「――――ユーゲント皇帝夫妻の保護を引き続き頼みたい、ですか?色々と問題が残っているとはいえ内戦が終結したというのに何故そのような事を?」
「はい。サフィナ元帥閣下もご存知の通り、カイエン公や残りの貴族連合の部隊は現在行方不明です。姿を消したカイエン公達が敗北寸前の状況を打開する為に隙を突いて父上達の身柄を確保する恐れも十分考えられますので、できれば警備が完璧なバリアハートで保護して欲しいのです。」
サフィナの疑問にセドリック皇太子は静かな表情で頷いて答えた。
「…………常識で考えれば正規軍や貴方達”紅き翼”でお二方を警護すべきだと思うのですが。」
「サフィナ元帥閣下の仰る通りなのですが、このままでは貴族連合の数々の愚行によって怒りの炎を燃やしていながらも、寛大な心を持って提案して頂いたメンフィル帝国の”戦争回避条約”の条約内容の一部にあるカイエン公の引き渡しができません。数多くの慈悲を頂いたにも関わらず、条約内容の一部が実行できない事に関して申し訳ないと思い、必ず全ての条約内容を実行するという”保証”をメンフィル帝国に示す為に父上達の保護を引き続きお願いしたいのです。」
「…………話に一応筋は通っていますが……―――言い換えればカイエン公を捕えるまでの間の”人質”と見られてもおかしくないとセドリック殿下は理解していますか?セドリック殿下の話ですと、ようやく内戦の終結もひと段落したというのにカイエン公を捕えるまでの間、ユーゲント皇帝夫妻は復帰できない事になりますよ?それこそその状況が数ヵ月、数年間続く事も考えられますが。」
セドリック皇太子の説明を聞いたサフィナは真剣な表情で指摘した。
「はい。首謀者のカイエン公もそうですが、残りの貴族連合の部隊を捕えていない以上真の意味で内戦は終結したとは言えませんし、メンフィル帝国には今回の内戦の件で多大な迷惑をかけてしまいましたので、エレボニアが現時点で用意できるせめてもの”保証”だと思って下さい。勿論本国にいるメンフィルの民達にこの事を発表して頂いても構いませんし、何でしたらメンフィルだけでなく世界中に公表しても構いません。その事によってエレボニアの不甲斐なさや恥をメンフィルや世界中に知らせ、エレボニアを侮辱できますからエレボニアに怒りを抱いているメンフィルの民達の溜飲も下がると思われますので。」
「厚かましい頼みかと思われますが、どうかお願いしますわ……!」
セドリック皇太子の説明の後にアルフィン皇女は頭を深く下げた。
「…………………フウ。―――リグレ候、セドリック殿下に何か入れ知恵をされましたね?」
少しの間目を伏せて黙り込んでいたサフィナは大きな溜息を吐いた後疲れた表情でパントに視線を向けた。
「フフ、元帥閣下はどうしてそう思われたのですかな?」
「普通に考えて政治に携わった事も無いセドリック殿下がこれ程の条件を思いつく事をできる訳がありません。元ミレティア領主であった私を納得させられるくらいの条件を思いつけるくらいならレンのように既に政治に関わっていてもおかしくありませんよ。」
「うふふ、確かにレンみたいな”天才”でない限り、セドリック皇太子の歳で政治に関わるなんてありえないものね♪」
「レン、貴女ね……」
「よくそこまで自分の事を自画自賛できるわよね……」
「サ、サラ教官。レン姫に失礼ですよ。」
パントの疑問に答えたサフィナの話を聞いてからかいの表情になったレンの言葉を聞いたプリネは呆れ、ジト目でレンを見つめるサラ教官の言葉を聞いたリィンは冷や汗をかいて指摘した。
「ハハ……入れ知恵と言っても大した事はしていませんよ。具体的な内容を教えれば、それこそ私がセドリック殿下を傀儡にしているのかと勘違いされるでしょうし。私はメンフィルが納得できるヒントを与えただけで、先程の結論に辿り着けたのはセドリック殿下の成長の賜物かと。」
「そんな………今の僕がいるのもパント卿のおかげですよ。」
「うふふ、セドリックの成長ぶりを知ったお父様達もできればパント卿にセドリックに皇族としての教育をしてもらいたいと仰っていたくらい、パント卿のお蔭でセドリックはエレボニア皇族として成長しましたものね♪」
パントの話を聞いたセドリック皇太子は謙遜し、アルフィン皇女は微笑みながら答えた。
「ハア……リフィアもセドリック殿下を見習って、次代のメンフィル皇帝になる為に大人しくしてくれたら、私の苦労も減るんですけど……―――無理でしょうね、あの破天荒なリフィアにそんな事を求めるのは。」
「エ、エリゼ。」
その様子を見守っていたエリゼのリフィアに対する毒も混じった言葉を聞いたリィンは冷や汗をかき
「……殿下は将来きっと善き王になられるでしょうね。」
「ええ……それが衰退が確定しているエレボニアにとってはせめてもの救いにもなるでしょうね。」
ラウラの言葉にサラ教官は静かな表情で同意した。
「――――わかりました。セドリック殿下が先程仰った条件も含めて父上達には私の方から取り直しておきますので、カイエン公や貴族連合の残党を捕え、真の意味で内戦を終結させるまでの間引き続きこの城館にてユーゲント皇帝夫妻を保護する事を私がお約束します。」
「あ、ありがとうございます……!」
「できる限り早期にカイエン公や貴族連合の残党と決着をつけますので、どうかよろしくお願いしますわ……!」
そしてサフィナの答えを聞いたセドリック皇太子とアルフィン皇女はそれぞれ明るい表情で頭を下げた。
「これで陛下達の身の安全は保証されたな。」
「ああ。後はカイエン公達を拘束し、ヨアヒムを討つだけだ………!」
ラウラの言葉にリィンは決意の表情で頷いた。
「それでこれからどうするのですか?」
「そうね…………あれから一日経っているんだから”情報部”もカイエン公達について何か掴んでいるかもしれないから、クレアに連絡を取って聞いた方がいいかもしれないわね。」
エリゼの疑問にサラ教官は考え込みながら答え
「そうですね……―――それじゃあ俺達もカレイジャスに戻ろう。」
リィンはサラ教官の言葉に頷いて仲間達にカレイジャスに戻るように促した。するとその時通信の音が聞こえ、音を聞いたサフィナは自身が持っているARCUSで通信を始めた。
Tweet |
|
|
2
|
1
|
追加するフォルダを選択
第81話