No.798096

九番目の熾天使・外伝 ~vsショッカー残党編~

竜神丸さん

反逆のネオ

2015-08-24 00:02:09 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2278   閲覧ユーザー数:1130

ウォーロックとソーサラーが対峙する、数十分前…

 

 

 

 

 

 

 

 

「オーバーロード、それが君の正体という事か……っと!!」

 

「うん、そうだよ。かつては僕も、フェムシンムという一族の末裔だった…ッ!」

 

ディアーリーズ、ハルカ、真由、そして突然姿を現した少年―――ラピスの四人は、ショッカーキャッスルの最上階を目指して突き進んでいた。道中はショッカー戦闘員やマスカレイド・ドーパント、ダスタードなどといったレベルの低い怪人しかおらず、四人は変身せずとも戦闘員達を次々と叩きのめしながら先へと進んで行く。

 

≪コネクト・ナウ!≫

 

「一族を救う為に、そのロシュオって王様が黄金の果実を手に取り、一族に更なる進化を齎した……それが君の言う、フェムシンムの進化の過程なんだね…よいしょお!!」

 

「ゴハ!?」

 

「はっ!! …それにしても驚きました。私達の知らない世界で、そんな事があったなんて…!」

 

「でも少し変ね。私がかつて財団Xという組織から持ち去ったデータの中で確認出来たのは、そのロシュオって王様を含めて六人しかいない。シャムビシェなんてオーバーロードはいなかった筈……えぇい邪魔!!」

 

「グヘェッ!?」

 

「確認出来ないのは当然さ。何故なら僕は、もう生きてすらいないからね。この身体だって、ウルの中にいるレグルスから借りた魔力で出来た、一時的な物に過ぎない」

 

ディアーリーズが魔法陣から取り出したウォーロックソードでダスタードを斬り裂き、真由が両手で突き飛ばしたヤミーをハルカがエルボーで薙ぎ倒す。そうしている間に、次の階へ進む為のエレベーターのボタンを押したラピスは開いたエレベーターに乗り、他の三人が乗り込むのを見てエレベーターの扉を閉じる。

 

「生きてすらいない、じゃあ今の君は…」

 

「今の僕は生き霊みたいな物だよ。フェムシンムを滅亡寸前に至らせた存在……僕はそいつを封印する為に、この身を犠牲にした」

 

「フェムシンムを滅亡寸前に? …フェムシンムは確か、一族同士で殺し合いをしたんじゃ?」

 

「一族の皆が殺し合いを始めたのは、そいつが一族に邪悪の種を植えつけたからなんだ」

 

「邪悪の種……名前からして、碌な物じゃなさそうだね」

 

「うん。邪悪の種を受けつけられた者は、怒りや憎しみの感情を無理やり増幅させられる。フェムシンムはほとんどの民がそれを植えつけられて、互いに殺し合い、身を滅ぼしていった……僕はその邪悪の種を広めた存在―――コウガネを封印する事に成功した」

 

「コウガネ……フェムシンム滅亡の裏に、そんな奴がいたのね」

 

「でも、僕がコウガネを封印した後も皆は殺し合いをやめず、結局一族は滅亡寸前に追い込まれた……ロシュオと力に溺れた奴が数人だけ。それ以外は全員死んでしまった……僕を含めてね」

 

「ラピス…」

 

エレベーターが最上階一歩手前の階で止まり、四人はエレベーターを降りて通路を走り抜けていく。その道中でも戦闘員達は襲い掛かって来る。

 

「その後、コウガネはある科学者の所為で封印から解き放たれてしまった。でもそのコウガネも、ある人物によって倒されて滅亡したんだ。その人物の名前は―――」

 

「葛葉紘汰……でしょう?」

 

「…そう。彼のおかげで、僕も立ち上がる事が出来た」

 

「「「「「グギャアッ!?」」」」」

 

ラピスは左腕の腕輪を光らせ、ある特殊な杖―――蒼銀杖(そうぎんじょう)を召喚。空中に浮遊した蒼銀杖は前方で待ち構えていたラットファンガイア逹を攻撃した後、ラピスは左手に収まったそれを床に突き刺す。そしてラピスの腰に、召喚された戦極ドライバーが自動的に装着される。

 

「! 戦極ドライバー…」

 

「僕はもう一度戦う……紘汰が願っていた夢を、僕も叶えてみせる…!」

 

「ラピス……うん、一緒に戦おう」

 

≪ドライバー・オン≫

 

「ちょっとウル、ラピス。私達を忘れるんじゃないわよ?」

 

「戦うなら、私達も一緒です」

 

ラピスの横に立ったディアーリーズと、それに続いて並び立つハルカと真由。ディアーリーズ達がそれぞれの変身手順を行う中、ラピスは右手に銀のリンゴロックシード(以下シルバーロックシード)を出現させる。

 

≪シルバー!≫

 

頭上のクラックからは、青色のリンゴを模したシルバーアームズが銀色に輝きながら出現。ラピスはシルバーロックシードを持った右手と左手を頭上でクロスさせた後、シルバーロックシードを戦極ドライバーに装填。そのままカッティングブレードを倒す。

 

≪ロック・オン!≫

 

「変身!!」

 

≪シルバーアームズ! 白銀(はくぎん)・ニューステージ!≫

 

頭に被ったシルバーアームズが、展開して鎧となる。ラピスは明るい青色と銀色による配色が特徴的な戦士―――“仮面ライダー(カムロ)”への変身が完了し、床に突き刺していた蒼銀杖を抜いて構え直す。

 

「「「変身!!」」」

 

≪≪チェンジ・ナウ≫≫

 

≪ヒート!≫

 

ディアーリーズ、ハルカ、真由もそれぞれウォーロック、ヒート、メイジへの変身を完了。向かって来た戦闘員達を一体ずつ順番に薙ぎ払っていく。

 

「「「グルァッ!!」」」

 

「ッ!? ちぃ、こんな所まで来て面倒な…!!」

 

そんな四人を、戦闘員達の合間を縫って出現したシカインベスとライオンインベス。シカインベスが禍々しい形状の角でウォーロックを攻撃し、そこへライオンインベスが爪を振り下ろそうとしたが、その爪は冠の振るう蒼銀杖で防がれる。

 

「ウル、ここは僕達に任せて!」

 

「ラピス……よし、三人共頼んだ!!」

 

「分かりました!」

 

「さっさとオーマの奴を倒して来なさい」

 

襲い来るインベス逹を冠達に任せ、ウォーロックだけが一人で最上階へと進んで行く。そして階段を昇り切った彼は最上階の部屋に到達し、大きな扉を堂々と蹴り開ける。そこには…

 

「見つけたぞ、ソーサラー…!!」

 

「…来たか、魔法使いよ」

 

タナトスの器の前に立つ、ソーサラーの姿があった。既に変身を完了していたソーサラーは右手に持つディースハルバードを構える。

 

「かつて私を敗北させた魔法使い。この手で今度こそ、確実に葬ってくれるわ!!」

 

「やってみろ、倒せるものなら!!」

 

≪オリジン・ナウ≫

 

≪エクスプロージョン・ナウ≫

 

ソーサラーが右手を翳した瞬間、ウォーロックは大きな爆発の中に呑み込まれる。しかし突如発生した白い雪風が爆炎を掻き消し、その中からウォーロック・オリジンスタイルがローブを靡かせながら姿を現す。

 

「さぁ、貴様に終幕を与えよう…!!」

 

「面白い、精々この私を楽しませてみろぉ!!」

 

ウォーロックソードとディースハルバードがぶつかり、火花が大きく散らされる。その後も二人は何度も刃をぶつけ合い、ウォーロックは壁を蹴って跳躍し、ソーサラーに向かって真上から斬りかかったが、ソーサラーはそう来る事を分かっていたのか、ディースハルバードで防御してからウォーロックの胸部を強く蹴りつけ、ディースハルバードをその場で大きく振り上げる。

 

「喰らえ!!」

 

「喰らうもんか!!」

 

≪エキサイト・ナウ≫

 

「む!? えぇい、小癪な…!!」

 

≪デュープ・ナウ≫

 

≪ライトニング・ナウ≫

 

「うわぁ!?」

 

振り下ろしたディースハルバードは、エキサイトの魔法で強化されたウォーロックの筋肉で弾かれる。ソーサラーは舌打ちしながらもその場で七体の分身を召喚し、分身逹は一斉に雷撃を放ってウォーロックに大きなダメージを与えていく。

 

「ぐ……なんのこれしき!!」

 

≪ゲイザー・ナウ≫

 

雷撃でその場から動けないウォーロックだが、指輪をドライバーに翳して無数の魔法陣を召喚。魔法陣から放たれた氷槍はソーサラーの分身を一体、二体、三体と確実に貫き、消滅させていったが…

 

「…いない!?」

 

分身を全て消滅させた結果、ソーサラーの姿が見えなくなってしまった。本物が何処にいるのか周囲を探そうとするウォーロックだったが、彼はすぐにソーサラーの行方に気付いた。

 

「私はここだよ」

 

「ッ…装置の陰に!!」

 

≪テレポート・ナウ≫

 

いつの間にかタナトスの器の物陰に隠れていた本物のソーサラー。ウォーロックはテレポートの魔法で瞬時にソーサラーの目の前まで移動し、ウォーロックソードを突き立てようとしたが…

 

「ネオ」

 

-ドゴォッ!!-

 

「ぐはぁあっ!?」

 

ソーサラーが指を鳴らした直後、クロックアップで駆けつけたネオが出現。真横からウォーロックの腹部を思いきり殴りつけ、ウォーロックの身体が壁に減り込まれる。

 

「ぐ……貴、様ァ…!!」

 

「ライダーパンチ」

 

「ッ…がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

減り込んだ壁から抜け出した瞬間、ネオのライダーパンチがウォーロックの胸部に炸裂。ウォーロックの胸部の装甲が砕け散り、その拍子にウォーロックは変身が解けてディアーリーズの姿に戻り、床を大きく転がる。

 

「よくやった、ネオ」

 

「ッ…オーマ…!! まともに、戦うつもりは無いのか…!!」

 

「そもそも私は、貴様の都合に付き合う義理など無いからなぁ? …さて、そろそろ始めようか」

 

ソーサラーはタナトスの器の前に立ち、操作盤を開いて出力を上げ始める。

 

「今からこのタナトスの器に溜めていた魔力を逆流させ、このショッカーワールドに存在しているゲートを全て強制的に絶望させ、新しいファントムとして生まれ変わらせる!! 氷の魔法使い、貴様も己の無力さに絶望して新たなファントムを生み出すが良い…!!」

 

「させる、か……ごふっ!?」

 

ソーサラーの動きを止めようと、ディアーリーズは指輪をドライバーに翳そうとする。しかし翳そうとした指輪の付いた右手をネオが踏みつけてしまい、妨害が出来ない。そうしている間に、ソーサラーはいよいよタナトスの器の起動レバーに触れようとしていた。

 

「完成させてやろう、私が楽しむ為の世界を…!!」

 

「やめろぉっ!!!」

 

ディアーリーズが叫んだ瞬間、ソーサラーは起動レバーを操作。するとタナトスの器のパーツとなっている無数の骸骨からドス黒いオーラが放出され始めた……だが。

 

「…ん?」

 

ソーサラーは気付いた。タナトスの器からは黒いオーラが放出されてはいるが、一向に起動する気配が無い。それどころか、最初に放出されていた黒いオーラも、少しずつだが勢いが弱まり始めていた。

 

「おかしい……魔力は確かに逆流させている筈だぞ」

 

「? 何、だ…?」

 

ソーサラーがいくら操作盤を動かしても、タナトスの器はいつまで経っても起動しない。それどころか途中で黒いオーラも完全に消え去り、タナトスの器は機能を停止してしまった。ソーサラーは苛立ちのあまり操作盤を思いきり叩く。

 

「くそ!! 何故だ、何故上手く起動しない…!?」

 

「起動する筈が無いだろうさ」

 

「!?」

 

ソーサラーの疑問に答える人物がいた。それは…

 

「装置に溜まっていた魔力は、こことは違う場所に移し替えておいたからな。いくら操作したって、エネルギーである魔力が無いんじゃ起動させる事なんて出来やしない」

 

「…何?」

 

それはネオだった。ネオは踏みつけていたディアーリーズの右手から足をどかし、ソーサラーの立っている隣まで移動する。

 

「どういうつもりだネオ? タナトスの器が作動しなければ、私の計画が進まな―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ドシュウッ!!-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――が、ぁ?」

 

「!?」

 

ソーサラー、そしてディアーリーズは驚愕した。何故なら…

 

「どういうつもりか? こういう事さ、オーマ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネオの右手が、ソーサラーの腹部をドライバーごと貫いていた(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)のだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ、がは…!?」

 

ドライバーが破損した事でソーサラーの変身が解け、ファントム態であるドレイクの姿に戻る。ネオはそんなドレイクの腹部から右手を引き抜く。

 

「き、貴様ァ……裏切るつもり、か……ショッカーの首領である、この私を…!!」

 

「俺はお前達ショッカーに改造された時から、ずっと疑問に思ってたんだ……オーマ、何でお前なんかが(・・・・・・)ショッカーの首領なんだ?」

 

「な、何を言って……ゴハッ!?」

 

(何だ……仲間割れか…!?)

 

腹部を押さえながら立つのが精一杯なドレイクを、ネオは容赦なく足で蹴りつけ、タナトスの器に力ずくで押さえつける。そんな様子を見ながら、ディアーリーズは痛む胸を押さえつつ何とかその場から立ち上がる。

 

「俺はなぁ、勝者がこのショッカーを支配するべきだと思っている。敗者が支配者の座に就くなんて事は、到底許されない……俺の言いたい事が分かるか? ウィザードに負けた事のあるオーマさんよぉ?」

 

「!? そ、それは…」

 

「このショッカーだって、強引に従わせているだけのようだしな。全員が思ってるぜ? 何でお前みたいな敗者が首領なんだ……とな。このタナトスの器だってそうだ。一度失敗したような計画を二度も繰り返すなんざ、馬鹿にも程があるぜ。ゲートじゃないライダーは一体どう対処するつもりだ、あん?」

 

「ぐっ!?」

 

ネオの右手がドレイクの頭を掴み上げる。すると掴んでいる右手を通じて、ネオはドレイクの全身から少しずつ魔力を吸収し始める。

 

「がぁ、あ……貴様、何をする気だァ…!?」

 

「このままショッカーワールドを維持し続けるには、クリエイトの指輪と一定の魔力が必要になる。それと、お前がこの俺を改造人間にしたのも一応だが事実……だからせめて、お前が持つ魔力を有効活用してやるよ」

 

「ま、待て、ネオ!! やめろ……やめろおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!???」

 

その瞬間、全身が魔力粒子となってネオの右手に吸収された事で、ドレイクは完全に消滅してしまった。ネオの右手にはクリエイトリングだけが残り、ネオはそれを自身の胸部へと押し込み、自身の力の一部として取り込んでしまった。

 

「オーマが……ドレイクが、消滅した…」

 

「ククククク……指輪と魔力さえあれば、このショッカーワールドの維持は簡単だ。オーマの奴め、よくこんな便利な身体に改造してくれたものだ…………さてと。お前の処遇をどうするかだなぁ? 氷の魔法使い」

 

「ッ…変身!!」

 

≪オリジン・ナウ≫

 

ディアーリーズは再びウォーロック・オリジンスタイルに変身し、ウォーロックソードを構え直す。ネオはその様子を見て「クックック」と余裕そうに笑う。

 

「つまりあなたを倒す以外に、この世界を元に戻す方法は無い訳ですね」

 

「まぁ、そういう事になるなぁ……まさか、俺を止めるつもりか?」

 

「当たり前です。もうこれ以上、関係の無い人達を犠牲にする訳にはいかない…!!」

 

「クハハハハ、面白い……ならば止めてみるが良い。止められるものならなぁ?」

 

 

 

 

 

 

-ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!-

 

 

 

 

 

 

「うわっとと!?」

 

「む…」

 

二人が正面から対峙した直後、轟が鳴り響くと共にショッカーキャッスルが大きく揺れ出した。同時にタナトスの器も亀裂が入って崩壊し、壁や天井も少しずつ崩壊し始める。

 

「な、城が…!?」

 

「外の奴等か……派手にやってくれたものだ」

 

「!? 待て、ネオ……ッ!!」

 

≪テレポート・ナウ≫

 

ショッカーキャッスルの崩壊は止められないと判断したのか。ネオはウォーロックをスルーしたまま、今いる部屋から素早く脱出。それを追いかけようとしたウォーロックだったが、目の前に落ちて来た瓦礫の所為で足止めを食らい、止むを得ずテレポートの魔法で外へと脱出するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「脱出しよう、ここはもう崩れる!!」

 

「面倒な事になったわね、生き埋めなんて冗談じゃないわ!!」

 

「ッ…二人共、私の傍に!!」

 

≪テレポート・ナウ≫

 

インベスや戦闘員達を倒し終えていた冠、ヒート、メイジの三人も、ショッカーキャッスルの崩壊には既に気付いていた。メイジが二人を傍に引き寄せ、テレポートの魔法ですぐにその場から転移する。

 

その直後…

 

 

 

 

 

 

『―――ギャォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!』

 

 

 

 

 

 

床や壁、天井などが一気に崩壊し、その下から巨大な骸骨恐竜が姿を現したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何じゃありゃ!?」

 

「おいおい、マジかよ…」

 

その巨大骸骨恐竜の存在は、崩壊する城の外にいたokaka達にもしっかり見えていた。全員が驚いている中、骸骨恐竜はその頭部が四つに分かれ、その中から人間の頭蓋骨を模した顔が露わになる。

 

『グギャォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!』

 

「ッ…危ない!!」

 

「キャア!?」

 

「うわわわわわっ!?」

 

「ちぃ…!!」

 

骸骨恐竜は顔から紫色の火炎弾を大量に放射し、それがokaka達の周囲に次々と降り注いだ。すると紫色の火炎弾が落下した場所から、また更に大量の怪人達が姿を現した。サドンダスやバハムート、マンティスイマジンやライオンオルフェノク、更にはショッカーライダーなど、強豪怪人ばかりだ。

 

「んな、またこんなに…!?」

 

「…やるしか無いようだ」

 

「「「「「グルァァァァァァァァァ…!!」」」」」

 

「皆、行くぞ!!」

 

「「「「「変身!!」」」」」

 

現れた怪人達はokaka達の方へと振り返り、一斉にその場から駆け出す。それを見たokakaが叫ぶと共に、一同は一斉にそれぞれのライダーに変身。襲い掛かって来る怪人達を纏めて迎え撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ、また面倒なのが来たな…!!」

 

そんな中、オーライナーの前に立っていた支配人は厄介そうに呟く。そんな彼の前方には…

 

「……」

 

ドス黒いオーラを全身から放ちつつ、ライドブッカー・ソードモードの刃を左掌で撫でているダークディケイドの姿があった。とんでもない強敵を相手に、支配人はオウキベルトを自身の腰に素早く装着。支配人の隣には駆けつけたジンバも並び立つ。

 

『行くぞ、レイ!!』

 

「あぁ、気を抜ける相手じゃなさそうだしな……変身!!」

 

≪Cavalry Form≫

 

ライダーパスをオウキベルトのバックル部に翳し、支配人は全身がオーラアーマーに包まれる。その上に鎧と仮面も装着され、仮面ライダー王騎へと変身が完了。ジンバも盾形態のスヴォルに変化し、王騎の左手に収まる。

 

「ひれ伏せ、我が剣の前に」

 

「…フンッ!!」

 

『聞いてないようだぞ』

 

「やっぱ、人形相手に言っても無駄か……ハァァァァァァァァッ!!」

 

ダークディケイドはガンモードとなったライドブッカーを、王騎はガンモードとなったナイトガッシャーから銃弾を連射。互いの射撃を相殺させながら二人は同時に駆け出し、王騎は距離が近付いたところで前転し、ダークディケイドの射撃を回避。座り込んだ体勢のまま、ダークディケイドの腹部にナイトガッシャーの射撃を確実に命中させる。

 

「グゥ!?」

 

「うし、ここから一気に―――」

 

「「ハァッ!!」」

 

「うごぁ!?」

 

座り込んだ体勢から立ち上がった直後、王騎の背中が何者かに斬りつけられる。鎧武・闇とダークキバだ。更にはネガ電王やリュウガ、ダークカブトも姿を現し、一斉に王騎に襲い掛かって来た。

 

『他のダークライダー逹も一緒なのか!?』

 

「くそ、一人ずつ確実に潰そうって魂胆か……ぐっ!?」

 

ナイトガッシャーがリュウガのドラグセイバーで弾き飛ばされ、王騎は攻撃手段を一つ失ってしまう。それでも王騎はスヴォルを使って鎧武・闇とダークキバの攻撃を何とか防ぎ続けたが、ネガ電王が真下から振り上げたネガデンガッシャーでスヴォルを弾き上げられ、隙が出来たところをダークカブトがゼクトクナイガンで斬りつける。ダークライダー逹の絶妙な連携に、王騎はどんどん追い詰められていく。

 

(マズい、流石にコレは俺でもキツい…!!)

 

「フンッ!!」

 

「ぐぁ!?」

 

『レイ!!』

 

ダークディケイドに蹴りつけられ、オーライナーの壁まで追い込まれる王騎。そこにリュウガとネガ電王が同時に斬りかかり…

 

-ガキィンッ!!-

 

「「はっ!!」」

 

「「グワァッ!?」」

 

「!」

 

リュウガの攻撃をメイジが、ネガ電王の攻撃を冠がそれぞれの武器で防御。メイジはウィザーソードガンの連射でリュウガを押し返し、冠は蒼銀杖で防御したままネガ電王の腹部を思いきり蹴りつける。

 

「レイさん、大丈夫ですか!?」

 

「あぁ、大丈夫だ……って、もう一人誰だ…?」

 

「自己紹介は後でするよ、今はとにかくコイツ等を…!!」

 

メイジはリュウガと、冠はネガ電王とそのまま相対。王騎は冠の存在に少しばかり疑問を抱いたが、そこにダークカブトが容赦なくゼクトクナイガンで斬りかかる。

 

「おっとマズ―――」

 

-ドガッ!!-

 

「グゥ…!?」

 

「!?」

 

その時、横から現れた一人の人物がダークカブトを蹴りつけた。その蹴りつけた人物を見て、王騎はピシッと動きが固まった。

 

「げ、お前は…」

 

「…ライダー……良いよなぁ、お前達は…」

 

そう、あの矢車想だった。現在の彼は先程までのスーツ姿ではなく、白シャツの上に右袖が破けたボロボロのコート、そしてアクセサリーなどの装飾を付けている。その両足には鉄製のブーツを履いており、歩くたびにガチャガチャ音を鳴らしていた。

 

「どうせ俺なんか、ショッカーに操られるしか能が無い…」

 

「いや、ちょ……もしも~し?」

 

「笑え……笑えよ、この俺を…!!」

 

「グァッ!?」

 

支配人の呼びかけも無視される中、何処からか現れた緑と灰色の配色が施されたバッタ型のガジェット―――ホッパーゼクターが出現。ダークカブトを攻撃した後、ホッパーゼクターは矢車の左手に収まった。

 

「変身…」

 

≪HENSHIN≫

 

「はぁぁぁぁぁ…」

 

矢車はいつの間にか装着していた銀色のライダーベルトに、ホッパーゼクターを左側から挿し込んでセット。すると矢車の全身に緑色のアーマーが装着され、仮面ライダーキックホッパーへの変身が完了した。キックホッパーは俯いたまま、大きく溜め息をつく。

 

「フン…!」

 

「! …今、俺の事を笑ったか…?」

 

ダークカブトの掛け声を、笑っている声だと思ったのか。キックホッパーはダークカブトの方へと振り返り、低いテンションのまま一歩一歩近付いて行く。

 

「お前かぁ……俺を笑ったのはぁっ!!!」

 

「ヌグ…!?」

 

直後、キックホッパーは左足を振り上げて強烈なキックを繰り出し、ダークカブトを蹴り飛ばした。ダークカブトが地面を転がり、そこにキックホッパーは追い打ちをかけるかの如く襲い掛かる。そんな彼を、王騎は呆然としたまま立ち尽くしていた。

 

『…レイ、彼の身に一体何があったのだ…?』

 

「俺にも分からん……まぁ良い。一応アイツもこっち側みたいだし、俺達も戦いに集中しよう」

 

「でやぁ!!」

 

「ガッ!?」

 

「おっ」

 

その近くでは、オーライナーの上から跳躍して来たヒートがダークキバに飛び蹴りを炸裂させていた。ヒートがダークキバの相手を引き受けている以上、自分が戦う相手もある程度は定まってきた。

 

「フン…」

 

「ハァァァァァ…!!」

 

「ダークディケイドに、黒い鎧武か……良いぜ、かかって来いよ」

 

王騎は先程落としたナイトガッシャーを拾い上げ、その銃口をダークディケイドと鎧武・闇に向ける。するとそこにウォーロックと、okakaの変身したバロン・レモンエナジーアームズが駆けつけて来た。

 

「お、ディアにokakaか」

 

「手を貸すぜ。あのダークディケイドには攻撃された恨みがあるからな」

 

「ネオの行方が分からない上に、あのデカい骸骨恐竜も動く気配がありません。だから先に支配人さん達の助っ人に来ました」

 

「あぁそうかい……んじゃま、とっととアイツ等を潰そうぜ!!」

 

「おう!!」

 

「はい!!」

 

王騎、バロン、ウォーロック。三人は同時に駆け出し、ダークディケイドと鎧武・闇も同じくその場から勢い良く駆け出して行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、オーライナーのある場所から大きく離れた場所では…

 

 

 

 

 

 

「「「「ウォォォォォォォォッ!!」」」」

 

「ぬぅ、また面倒な奴等じゃの…」

 

「ッ……イラつく…!!」

 

ヴァニシュが変身したオルタナティブ、ユイが変身したサイガの二人は、四人のショッカーライダー達と対峙しているところだった。ショッカーライダー達はバイクに乗ったまま二人の周囲を走っており、二人を大きく惑わせようとしている。

 

「まずはバイクから、引き摺り下ろしてやるとするかの」

 

オルタナティブは一枚のカードを引き抜き、それを右腕のスラッシュバイザーに通そうとする。

 

その時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ギュィィィィィィンッ!!-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三台のシフトカーが、猛スピードで走って来たのは。

 

 

 

 

 

「な……グワァッ!?」

 

「「!?」」

 

現れた三台のシフトカーは、バイクで走っていたSR7号に向かって突撃し、SR7号がバイクから落ちて地面を転がった。これにはショッカーライダー達だけでなく、それを見ていたオルタナティブとサイガも仮面の下で驚きの表情を浮かべる。

 

「え、何…?」

 

「アレは確か、シフトカーという奴じゃったかの? 聞いていたのとは、色が少し違うようじゃが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違うのは当然さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!」」

 

後方から聞こえてきた声に、二人は同時に振り返る。その先には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイツ等は皆、最新型のシフトカー逹だからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダークシルバーに、赤いラインの入ったカラーリングのボディ…

 

 

 

 

 

 

左右でそれぞれ違っている、両腕のアーマー…

 

 

 

 

 

 

斜めに装備された、胸部の黒いタイヤ…

 

 

 

 

 

 

仮面に存在する、二つの赤い複眼…

 

 

 

 

 

 

バックル部のディスプレイに『A』のアルファベットが映った、腰に装着されているベルト…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

okakaが変身した事のある仮面ライダードライブと、特徴が少し似ている戦士がその場には立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレって、ドライブ…?」

 

「いや、どうやら少し違うようじゃな…」

 

「ッ……何だ貴様は!?」

 

「俺か……そうだな、名乗るとするなら…」

 

オルタナティブとサイガが首を傾げる中、ショッカーライダー達は一斉にその戦士をの周囲を取り囲むが、それでもその戦士は特に慌てているような様子は無い。すると彼のベルトに付いているホルダーに、先程の三台のシフトカー逹が同時に収まる。

 

「俺は新たに開発された、もう一人のドライブ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またの名を、アナザードライブ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現れた戦士―――アナザードライブは、右手をギュッパギュッパ握りながらそう名乗ってみせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued…

 


 
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