No.793923 九番目の熾天使・外伝 ~vsショッカー残党編~竜神丸さん 2015-08-03 15:08:28 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1481 閲覧ユーザー数:895 |
「フンッ!!」
「うわっと!?」
ショッカーキャッスル、独房フロア。メデューサレジェンドルガの頭から伸びる二頭の蛇が、龍星を捕まえようと鋭い牙を剥けて襲い掛かる。龍星は噛みつこうとして来た蛇を二本の双星刃で受け流し、メデューサレジェンドルガに向かって連続で斬撃を飛ばす。
「人質は全員返して貰いますよ!!」
「ほぉ? 返して欲しいのか?」
斬撃を全て手刀で掻き消したメデューサレジェンドルガはニヤリと笑い、彼女の伸ばした二頭の蛇が拘束されている人達を二人ほど掴み上げる。
「良いだろう。そんなに返して欲しいのならば、くれてやる」
「え…うわっとと!?」
投げ飛ばされた二人の人質を、龍星は双星刃を捨ててから慌てて受け止める。投げ飛ばされた人質は片方が中年の男性で、もう片方はまだ十代半ばの女子高生だ。
(命に別状は無いか、良かった…)
「どうした? 返して欲しかったのだろう?」
「…えぇ、返して欲しくはありましたよ。返し方が乱暴なのは苛立ちますけどね」
「良いじゃない。ちゃんと
-ガシガシッ!!-
「!? なぁ…!?」
双星刃を構え直す龍星を見て、メデューサレジェンドルガは指を鳴らす。すると龍星の受け止めた二人の人質が同時に拘束具を破壊し、龍星の右腕と左足にしがみ付いて来たのだ。これには龍星も驚きを隠せない。
「そんな!? 強制洗脳リングは付いてない筈なのに…!!」
「残念だったな。我等レジェンドルガに、わざわざそんな小道具を用意する必要など無い」
よく見ると、二人の人質はそれぞれ顔がデスマスクや包帯で覆われており、素顔が見えていない。仮面ライダー達が城内に潜入して来る事を見越していたのか、既に人質達を洗脳させていたのだ。
「これで迂闊な攻撃は出来まい……フッ!!」
『『シャァァァァァッ!!』』
「くそ……ぐぁあっ!?」
龍星はしがみ付いて来た二人を強引に引き剥がす。しかしその所為で反応が遅れてしまい、メデューサレジェンドルガの頭の蛇が放った光弾が命中し、吹き飛ばされて壁に叩きつけられてしまう。
「ヌゥンッ!!」
≪ディフェンド・ナウ≫
「くっ!?」
「いい加減、この趣味の悪い仮面飛ばして来るのやめて貰えないかしらねぇ…!!」
一方で、マミーレジェンドルガが飛ばして来るデスマスクを、メイジは魔法陣バリアで防御し、ヒートは両腕から火炎弾を飛ばしてデスマスクを破壊して回っていた。そんな二人の周りにも、マミーレジェンドルガに操られている人質達が蠢いている。
「ふん、小癪なマネをしてくれる…!!」
「悪かったわね。ミイラに炎は、相性最悪でしょう?」
何故、操られている人質達が二人に近付けないのか。それはヒートが全身から発している炎にあった。元々ミイラ男の伝承を持つマミーレジェンドルガは火を弱点としており、その所為で彼に操られている人質達も二人に近付けないでいるのだ。
≪イエス・スペシャル! アンダースタン?≫
「ヌ、グォォォォォォッ!?」
「よし、このまま押せば行ける…!!」
「真由、アンタが決めなさい!! 私はコイツ等を追い払っておくわ!!」
「「「「「うぅぅぅぅ…!?」」」」」
「はい!!」
≪イエス・キックストライク! アンダースタン?≫
「グ……おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」
ヒートの発する熱風で人質達が怯む中、メイジはその場から跳躍して右足を突き出し、マミーレジェンドルガに向けて突撃。マミーレジェンドルガは顔から黒い衝撃波を放つも、その衝撃波すらも突破されてメイジの跳び蹴りが命中。そのまま無惨に爆散するのだった。
「ッ……やった!」
「「「「「!? う、ぅぅぅぅ…」」」」」
「! 人質達が…」
マミーレジェンドルガの消滅と共に、操られていた人質達が一斉にその場へと倒れ伏した。どうやら人質達はその全員がマミーレジェンドルガの洗脳で動いていたらしい。
「よし、次はウルの方へ―――」
その時…
「フン!!」
「な…キャアッ!?」
「!? ハルカさ…あぅ!?」
直後、現れたレギオンがハルメギドを振るい、ヒートとメイジを纏めて弾き飛ばした。二人が壁に叩きつけられて変身が解ける中、レギオンはそちらには見向きもしない。
「あそこにいたかぁ、少年…!!」
≪ホオズキアームズ!
「これならどうだぁ!!」
「何…ギャアァァ!?」
「それから、こっちの二人にはすみませんが…」
≪スパイダー!≫
「「うぅぅぅぅぅぅ…!?」」
龍星はスターアームズからホオズキアームズに変化し、突き出した鬼灯廻槍の一撃でメデューサレジェンドルガを吹き飛ばす。同時に操られている二人の人質が掴み掛かろうとするが、こちらは予めハルカから借りていたスパイダーショックのワイヤーで巻きつける事で、その動きを二人纏めて封じてみせる。
「これで…」
「ハァッ!!」
「がっ!?」
戦極ドライバーのカッティングブレードに手を伸ばそうとした龍星を、真横から飛び掛かって来たレギオンがハルメギドで斬りつける。突然の攻撃で倒れた龍星は、レギオンを見て仮面の下で歯軋りする。
「ッ……お前は、レギオン!!」
「ようやく見つけたぞ、少年。お前を探すのは随分と手間がかかった」
「グゥ……貴様、何のつもりだ…!!」
「うるさい、俺の快楽を邪魔するな!!」
「ギャアッ!?」
レギオンの肩に掴み掛かろうとしたメデューサレジェンドルガも、レギオンは鬱陶しそうにハルメギドを振り回して彼女を容赦なく吹き飛ばす。これには龍星も眉を顰める。
「お前、ショッカーの一員じゃないのか…!!」
「ショッカーだと? 勘違いするな、俺はあくまで、俺の快楽の為に戦っている……それだけの事だぁ!!」
「ッ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
≪ホオズキスパーキング!≫
「無駄だ!!」
「あぐ!? がは、ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
戦極ドライバーのカッティングブレードが三回倒され、龍星はエネルギーの充填された鬼灯廻槍をレギオン目掛けて投擲。しかしレギオンはこれをハルメギドで容易く弾き返した後、龍星の装甲に一撃、二撃、三撃と斬撃を加え続け、龍星は力尽きて変身が解けてしまった。
「く、くそ…」
「フン」
「あ…!?」
外れてしまった戦極ドライバーに手を伸ばすディアーリーズだったが、その戦極ドライバーはレギオンの右足で遠くに蹴り飛ばされる。これで頼みの綱はなくなってしまった。
「ウル!!」
「ウルさん!!」
「邪魔だ小娘共ォッ!!」
「「キャァァァァァァァァッ!?」」
背後から攻撃しようとするヒートとメイジ。それすらも読んでいたのか、レギオンは素早く振り返りながらハルメギドで二人を斬りつけ、二人も同じように変身が解けてしまう。
「ッ……ハルカさん、真由さん…!!」
「終わりだ、諦めろ」
ハルメギドの刃先が、倒れているディアーリーズの首元へと向けられる。それでもディアーリーズの目は、諦めた様子を見せてはいない。たとえ一筋の涙が流れようと、その目はレギオンを未だ睨みつけている。
「ほぉ、まだ足掻こうというのか…」
「僕は……二度と絶望なんかしない…!! 僕は希望を守る魔法使いで、仮面ライダーなんだ……たとえ魔法が使えないとしても……ライダーに変身出来ないとしても…」
「…フゥン!!」
レギオンの振り上げたハルメギドが、ディアーリーズ目掛けて振り下ろされる。
「それでも僕は……目の前の希望を、決して諦めない!! 諦めてたまるもんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ディアーリーズはその場から起き上がり、振り下ろされたハルメギドを両手で受け止めようとする。そんな彼の両腕を、ハルメギドが無惨にも斬り裂くと思われた―――その時だった。
-キィィィィィィィィン…-
「!?」
斬り裂かれる筈だったディアーリーズの両腕が、ハルメギドの刃先を防ぎ切った。その瞬間、ディアーリーズの前身が青く光り出す。
「な、何だ……ヌォオ!?」
「!? あの光は…」
「ウル、さん…?」
突然光り出したディアーリーズにレギオンは怯んで後退し、ハルカと真由はその青色の綺麗な光に思わず見惚れてしまっていた。そして光が少しずつ収まっていった後、ディアーリーズは何かを握っている感触が右手から感じ取れた。
「これは……指輪…?」
それは、藍色に白銀が加わった新たな指輪―――エタニティリングだった。それを見たディアーリーズはもしやと思い、エタニティリングを左手中指に嵌めてから、右手のリングを腹部のベルトの手形部分に翳す。
≪ドライバー・オン≫
「!! ここは…」
全てが消滅した筈のアンダーワールド。真っ黒だった空間は修復されていき、かつてのイルヴィーナで過ごした光景が甦って来た。そしてディアーリーズの目の前には、消えた筈のレグルスが全身白銀の姿で降り立った。
「レグルス、どうして…!」
『心の強さで俺を甦らせるとは、本当に面白い野郎だぜ』
全身が白銀となってもなお、レグルスが面白そうに笑っているのがディアーリーズには目に見えて分かった。レグルスはディアーリーズの周囲を駆け回り始める。
『良いぜ? そんなに俺の力が必要だってんなら……俺が改めて、お前の希望になってやるよ』
「ッ……あぁ、力を貸してくれ!! レグルスッ!!!」
『上等だ……後悔するなよ、ウルティムス・マクダウェルゥ!!!』
そしてレグルスは、ディアーリーズと一体化する―――
≪シャバドゥビタッチヘンシーン! シャバドゥビタッチヘンシーン!≫
ウォーロックドライバーから鳴り響き続ける、相変わらず騒がしい待機音。それすらも、今のディアーリーズからすれば非常に嬉しいものだった。一度消えた力を、再び使う事が出来るようになったのだから。そうなれば、後はあの言葉を叫ぶだけだ。
「―――変身ッ!!!」
≪エタニティ・ナウ!!≫
その音声と共に、ディアーリーズの足元には白銀の魔法陣が、周囲には白銀姿となったレグルスの幻影が何と四体も出現。レグルスの幻影は周囲を数回ほど駆け回ってから、一斉にディアーリーズの全身を包み込む。そして足元の魔法陣がディアーリーズの身体を通過し、彼を新たな姿へと変身させた。
外見は、オリジンスタイルに酷似している。しかし藍色だった筈の全身はダイヤモンドのように固く、白銀の輝きに満ちていた。
「これが、ウォーロックの真の力…」
仮面ライダーウォーロック・エタニティスタイル。
“永遠を司りし白銀の獅子”が、このショッカーキャッスルにて爆誕した。
「ウル……魔力が戻ったの…!?」
「晴人さんのインフィニティーと同じ……消えたファントムが甦って、魔力が戻ったんですね…!!」
ハルカと真由が歓喜の笑顔を浮かべる中、レギオンは興味深そうにウォーロックを見据える。
「エキサイティング……面白いではないか。ならば今度こそ、貴様の心を切り開かせて貰うぞ!!」
ハルメギドを構え、レギオンはウォーロックを空間ごと斜めに斬り裂く。
しかし…
「…!?」
斬り裂いて出来た空間の裂け目は、一瞬で消滅してしまった。ウォーロックは平然と立っているままで、ならばとレギオンは直接飛び掛かり、ウォーロックを右肩から斬り裂こうとしたのだが…
-バギィンッ!!-
「!? ば、馬鹿な…!?」
「ふん!!」
「グ、オゥッ!?」
ウォーロックの右肩を斬ろうとした瞬間、逆にハルメギドの刃先が根元から折れてしまった。まさか折れるとは想定していなかったのかレギオンが激しく動揺する中、ウォーロックはそんなレギオンを突き飛ばし、ただの跳び蹴りでレギオンを一番奥の壁まで吹き飛ばす。
「レグルス!!」
『たく、ファントム使いが荒ぇな…っと!』
ウォーロックの胸部からレグルスの幻影が飛び出し、幻影が変異して一つの武器に変化する。大剣を模しているその武器―――レグルスカリバーはウォーロックの右手に収まり、ウォーロックはそれを構えて走り出す。
「く、おのれ…!!」
「悪いがレギオン……今の僕は、お前に負ける気がしない!!」
「ング!? ガ……ヌォワァッ!?」
レグルスカリバーの刃が、レギオンのボディを何度も斬りつける。たった数回斬られただけで圧倒的ダメージに到達したレギオンはその場に蹲り、ウォーロックはレグルスカリバーを放り捨て、右手のリングをウォーロックドライバーに翳す。
「これで終わりだ!!」
≪イエス・キックストライク! アンダースタン?≫
ウォーロックはその場から大きく跳躍し、レギオン目掛けて跳び蹴りの構えに突入。体勢を立て直したレギオンがそれに気付くも、既に手遅れだった。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「グォアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?」
ストライクウォーロックの一撃は、レギオンのボディを貫き巨大な風穴を作ってみせた。胸部から腹部にかけて巨大な風穴が出来たレギオンはフラフラの状態から、ゆっくりとその場に跪いた。
「エ、キサイティン……グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!」
最後までイカれた発言をしながら、レギオンは盛大に爆発。優雅に着地するウォーロックの背後で、派手な爆風が舞い上がるのだった。
「よし、これで全員無事ですね!」
その後、レジェンドルガ達の洗脳を受けていた人質達は無事に全員救出。拘束具も取り外され、全員がディアーリーズのテレポート魔法で街に送り返されようとしていた。
「な、なぁ坊主」
「?」
「さ、さっきはすまなかったな。あんな状況で、戦いの邪魔になるような事しちまって…」
どうやらこの男性は、レジェンドルガに操られていた時の事を僅かにだが覚えていたようだ。申し訳なさそうに謝る男性に、ディアーリーズは笑顔で告げる。
「大丈夫ですよ。全員無事に助ける事が出来たんです、特に怒る理由はありません」
「…そうか。本当にありがとな、坊主」
「どういたしまして」
そして人質達は全員テレポート魔法で転移され、その場にはディアーリーズ、ハルカ、真由の三人だけが残る事になった。もちろん、このまま三人はショッカーキャッスルの最奥部まで進まなければならないのだが…
「ウル、
「ちょ、ハルカさん!? まだショッカーと戦ってる最中ですから!!」
『…おいウル。あの女、目がヤベぇぞ』
「あ、あははははは…」
エタニティスタイルを見て研究者としての好奇心を抑え切れないのか、ハルカは両手に手術道具を構えながらディアーリーズに迫ろうとし、真由に後ろから羽交い絞めにされるというシュールな光景が出来上がっていた。ハルカの獲物を見つけたかのような目付きにレグルスはドン引きしており、ディアーリーズはもはや苦笑いする事しか出来ない。
『…あ、そういえばウル』
と、ここでレグルスがある事についてディアーリーズに問いかける。
『お前に甦らせて貰った直後から、ずっと気になってる事があったんだがよぉ…………お前のアンダーワールドに勝手に居座ってやがる、
「え?」
その時…
≪良かった、これでやっと実体化が出来る≫
「「「!?」」」
突然聞こえてきた少年の声。ディアーリーズ以外にも聞こえたのか、興奮していたハルカと彼女を押さえていた真由も動きを止め、ディアーリーズの方へと視線を向ける。
≪レグルス、君の魔力を少し借りるね≫
『あ、テメェ、俺の魔力を…!?』
「! 腕輪が…」
ディアーリーズが左腕に付けていた銀色の腕輪が青白く光り、彼の腕から外れて宙に浮かび上がる。そのまま腕輪の周囲にディアーリーズから授かった魔力が集まり、一人の少年が実体化した。
「君は……そうか。君があの時、僕の夢に出て来た…」
「やっと顔を合わせられたね、ウル」
「僕はシャムビシェ。ラピスって呼んでくれると嬉しいな」
ショッカーキャッスル、その城外では…
≪さて、そろそろお前達には地面に降りて貰おうか≫
「んな……うぉわっと!?」
「ウェアッ!?」
グランサイクロンの砲撃を立て続けに浴びた事で、オーライナーはとうとうバランスを崩し地面に不時着。ジャックフォームの状態で飛んでいたブレイドも撃墜されて地面に落下し、変身が解けて剣崎の姿に戻った後、ブレイバックルが外れて地面を転がってしまう。
「死ね、仮面ライダー!!」
「く…!?」
ブレイバックルが手元から離れてしまった為、仕方なく剣崎はブレイドジョーカーに変身。襲い掛かって来たサドンダスをオールオーバーで斬りつける。そんな彼から大きく離れた場所では、ザビーのライダーブレスが外れた事で正気に戻った矢車が起き上がろうとしていた。
「ッ……ここは…」
「ズゥカァァァァァァァァァァッ!!!」
「ぬぉわぁぁぁぁぁぁ!?」
「ぐぉ!? くそ……あんの亀、そろそろ本気でイラついてきたぞ…!!」
ショッカーキャッスルの塔の上から、ウィザードとバロン目掛けて砲撃を繰り出して来るタートルバズーカ。ウィザードは砲撃で吹き飛ばされ、バロンは同じくダメージを受けながらもタートルバズーカを睨みつける。
「ズゥゥゥゥカァァァァ…」
そんな時だった。
「ライダー……キィィィィィィィィィック!!!」
「ズカァアッ!?」
余裕そうに構えていたタートルバズーカを、真後ろから思いきり蹴りつけるライダーがいた。タートルバズーカは地上に落下し、現れたライダーも地面へと華麗に着地する。
「!! その声、げんぶか?」
「あぁ、救援で駆けつけたんだ」
現れた仮面ライダー1号は変身を解き、げんぶの姿に戻る。元々は他の任務で忙しかった彼だが、その任務が予想よりも早く片付いた事で、すぐにこちらの戦いに加勢しに来たのだ。
「ズゥーカァー…!!」
「ほぉ、あのカメバズーカの改良版か。V3で行くか…?」
≪スキャニング・チャージ!≫
「セイヤー!」
「ズカァァァァァァァァァッ!?」
直後、何処からか飛んできた仮面ライダーオーズ・タトバコンボが、タートルバズーカ目掛けてタトバキックを炸裂させた。タートルバズーカは大きく吹き飛ばされ、オーズがその場に着地する。
「その可愛らしい声……咲良ちゃんも来たのか!!」
「やっほー、ハルトン! 咲良も、皆を助けに来たよー!」
「あぁ、助かるぜ!!」
≪レモンエナジー!≫
げんぶと咲良の救援で、取り敢えず体勢を立て直す事には成功した。バロンは腰に装着していた戦極ドライバーをバナナロックシードごと取り外し、代わりにゲネシスドライバーを装着。更にレモンエナジーロックシードも取り出して開錠する。
≪ロック・オン……ソーダァ!≫
「ズカッ!?」
≪レモンエナジーアームズ! ファイトパワー・ファイトパワー・ファイファイファイファイファファファファイト!≫
出現したレモンエナジーアームズはカメバズーカを突き飛ばした後、バロンの身体に装着される。金色の鎧に黄色と銀色のマントを装備した強化形態“仮面ライダーバロン・レモンエナジーアームズ”は、右手に出現したソニックアローを順手から逆手に持ち替える。
「さぁ、仕切り直しだ!!」
「ハァァァァァァァァァッ!!」
「く…ぐぉわ!?」
ザビーゼクターの毒素が原因で、暴走を続けているパラドキサアンデッド。彼女が振るうザヴェッジとワイルダーの攻撃がカリスを吹き飛ばし、カリスは吹き飛んだ先にあった柱を粉砕してから地面を転がる。
「カテゴリーK…やはり侮れないな…!!」
「ウゥゥゥゥゥ…!!」
「ッ…目を覚ませ枯葉、聞こえないのか!?」
「…ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
「…どうやら、呼びかけても無駄のようだな!!」
パラドキサアンデッドはザヴェッジとワイルダーを振り続け、カリスも構えたカリスアローで攻撃を防ぎつつ互角の戦いを繰り広げる。しかしパラドキサアンデッドの方がパワーが上だからか、次第にまたカリスが少しずつ押され始める。
(ちぃ、やはりパワーが向こうが上か…!!)
「ガァアッ!!」
「ぐぉ!?」
ザヴェッジの刃がカリスの左肩に食い込み、カリスは激痛でその場に膝をつく。そこをパラドキサアンデッドに蹴りつけられ、カリスは地面を転がりつつも一枚のカードをカリスアローに取り付けたカリスラウザーにスラッシュする。
≪CHOP≫
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
パラドキサアンデッドが跳躍し、カリスに向かってザヴェッジとワイルダーを同時に振り下ろす。カリスは立ち上がると同時にカリスアローを地面に放り捨て…
「でりゃあっ!!」
-ズドォン!!-
「グゥッ!?」
…その右手を、パラドキサアンデッドの腹部に強く叩き込んだ。腹部を突かれたパラドキサアンデッドはその場で制止し、ザヴェッジとワイルダーがゆっくりと彼女の両手から地面へと落ちていく。
「ウ、ァ……ァ…」
パラドキサアンデッドは人間態である枯葉の姿に戻り、カリスの胸元に顔を埋める形で倒れ込み、カリスもそれを優しく支える。かつて、ある人間の少女を守った事がある彼にとって、アンデッドである彼女の身体を支えるのは非常に容易だった。
「ァ、ウ………相、川……始…」
「…正気に戻ったか」
「…分か、らない……何故……そんな、に……強く…なれ、た…?」
「……」
戦闘不能に陥った事で、正気を取り戻した枯葉。先程までのような狂気が消え失せた彼女の目は、純粋な子供のような目だった。カリスは彼女を抱きかかえながらも答える。
「俺も、すぐに答えを出す事は出来ない……だからこそ、お前にも見ていて欲しい。お前のその目で、俺が強くなれた理由を見届けてくれ」
「…分かった……我、皆の戦い……見届、け…る…」
-パキンッ-
枯葉はパラドキサアンデッドの姿に戻った後、腹部のベルトのバックル部分が左右に割れ、ハートのKの文字が露わになる。そしてカリスは何も描かれていないブランクカードを取り出し、それを彼女の額に当てる。
「あ……カリ、ス―――」
パラドキサアンデッドがカリスに手を伸ばそうとした瞬間、彼女の身体がブランクカードの中へと一瞬で吸い込まれていく。そしてブランクカードはパラドックスカレハカマキリの絵が描かれたラウズカードとなった。
「……」
カリスは枯葉の封印されたラウズカードを持ったまま、先程放り捨てたカリスアローを拾い上げ、それに取り付けられていたカリスラウザーを一度、自身の腹部のベルトに戻す。
(こんな俺ですら、仲間に出会えて変わる事が出来たんだ……だから俺は、見せなければならない。俺がここまで変わり、強くなれた理由を…)
「グルルルルルルル……グルァァァァァァァァッ!!」
カリスの背後から、トライアルGが迫り来る。そのまま槍状の武器を振り下ろそうとしたが…
「…フンッ!!」
「グガァッ!?」
振り返ったカリスはカリスアローを振るい、トライアルGを斬りつける。トライアルGが倒れる中、カリスはそのままラウズカードをカリスラウザーへとスラッシュする。
≪EVOLUTION≫
音声が鳴ると同時に、カリスが所有するラウズカードが十三枚、その全てがカリスの周囲に出現。その十三枚がカリスと融合し、カリスは更なる進化態へと姿を変える。
「フゥゥゥゥゥゥゥゥ…!!」
漆黒の黒から、まるで人間の血のような赤色に変わったボディ。彼がアンデッドである事を示す、緑色のハート型の複眼。
「―――ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
仮面ライダーワイルドカリス。
アンデッドの本能を封じ、人間としての理性を得た一匹の獣は、その場で高く吼え上がってみせるのだった。
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覚醒の永遠