～トールズ士官学院・旧校舎～

「皆さん、頑張って下さい！！」

エンネアとの戦闘を開始したメサイアはクラフト――――魅惑の応援で仲間達の闘志を高め

「月よ、災厄を退け――――クレシェントシェル！！」

エマは魔導杖に搭載されてある特殊魔法（アーツ）を発動して仲間達の防御能力を高めた。

「燃え尽きなさい……ファイアッ！！」

アリサは炎を宿した矢をエンネア目掛けて放ったが

「フフッ、私に弓で挑むなんて100年早いわよ！」

「キャアッ！？」

エンネアが放ったクラフト――――パワーショットによって放たれた矢は破壊され、強烈な一撃を受けたアリサは怯んだ。

「ハアッ！―――喰らえっ！！」

「！！」

上空から強襲して来たガイウスの攻撃をエンネアは後ろに跳躍して回避した後反撃しようとしたが

「炸裂せよ、聖なる光よ――――ホーリーバースト！！」

「キャッ！？」

セレーネが発動した魔術によって発生した光の爆発を受けて怯んだ。

「闘技！虎口一閃！！」

そしてメサイアは電光石火の攻撃をエンネアに叩き込み

「竜巻よ、薙ぎ払え！！」

「クッ……！」

メサイアに続くようにガイウスはクラフト――――タービュランスを叩き込み

「今回復します！―――セレネスブレス！！」

「ありがとう！さっきはよくもやってくれたわね……！降り注げ、炎の竜巻！――――メルトストーム！！」

エマの特殊魔法で傷を回復してもらったアリサは炎の竜巻を発生させる矢の雨を解き放った。

「ッ……！」

上空から襲い掛かって来た矢の雨をエンネアは次々と回避し

「吹き飛べっ！」

「ハッ！石化の雨を喰らいなさい！」

ガイウスが放ったクラフト――――ゲイルストームを跳躍して回避すると同時にガイウスとメサイア目掛けて石化効果を持つ矢の雨を降り注がせた。

「……ッ！」

「グッ！？しまった……！」

襲い掛かる矢を見た瞬間回避行動を取ったメサイアと違って、回避が遅れたガイウスは矢の雨を受けた影響で石化した。

「ガイウス！？今治してあげるわ！アークス駆動―――」

「フフッ、簡単に治療はさせないわよ？」

ガイウスの石化を治療する為にオーブメントの駆動を開始したアリサにエンネアは攻撃しようとしたが

「斬闇！！」

「！！」

メサイアの暗黒の魔力を纏った斬撃を回避する為に攻撃を中断して回避行動を取った。

「銀（しろがね）の剣よ―――お願い！！」

「フッ！貫け―――ピアスアロー！！」

続けてエマが放った銀の剣達を側面に跳躍して回避した後エマ目掛けて貫通する矢を放った。

「させません！」

しかしメサイアはエマの前に出て剣を振るって襲い掛かる矢を斬り裂き

「行きますわよ……！―――スパイラルピアス！！」

セレーネはエンネアに一気に詰め寄って強烈な一撃を叩き込んだ。

「！！」

セレーネの攻撃をエンネアは側面に跳躍して回避したが

「まだ終わりませんわ！――――ハリケーンブリザード！！」

「キャアアアアアアアッ！？」

セレーネが自身を中心に発生させた猛吹雪を受けて怯んだ。

「えい！キュリア！！」

「すまない、助かった。風よ、力を貸してくれ……！ハアッ！」

アリサのアーツによって石化状態を回復したガイウスは全身に風を纏った後跳躍し、セレーネの魔術によって怯んでいるエンネアの目の前に十字槍を叩き込んだ。

「喰らえっ！！」

「クッ……！？悪魔の矢を受けなさい！」

十字槍を地面に叩きつけた影響で発生した岩の槍を受けたエンネアは痛みに表情を顰めた後跳躍してガイウス目掛けてクラフト――――デビルズアローを放った。ガイウスに襲い掛かった漆黒の矢はガイウス自身を纏っている風に全て弾かれ

「竜巻よ、薙ぎ払え！！」

風によってその身を守られたガイウスは十字槍を回転させて竜巻を発生させた。

「ああっ！？」

「今よ！集束せよ、爆炎よ！――――轟熱爆炎閃！！」

「雷光よ、我が右手に宿れ！――――サンダーストライク！！」

「聖なる光よ、ここに来たれ―――ホーリーランス！！」

「深淵の闇、受けなさい――――ヴォア・ラクテ！！」

「キャアアアアアアア――――ッ！？」

ガイウスが発生させた竜巻によって滞空状態に陥った事で逃げ場を失ったエンネア目掛けてアリサ達は集中攻撃をし、集中砲火を受けたエンネアは大ダメージを受けた事によって悲鳴を上げ、地面に叩きつけられた。

「フフ、やるわね。でもここからが本番よ？」

地面から立ち上がったエンネアは不敵な笑みを浮かべてアリサ達を見回した後クラフト――――リフレクトミラージュで自身の姿を消した。

「ええっ！？き、消えた！？」

「一体どこに……」

「集中して周囲を警戒してください！」

エンネアが消えた事にアリサ達が混乱している中、メサイアは忠告をして周囲を警戒していた。

「……………………」

それぞれが周囲を警戒している中、アリサはかつて学院で実戦技術の授業の際に自分と同じ弓使いであり、自分より遥かな高みの使い手であるエヴリーヌから聞いたある言葉を思い出した。

え？戦いになったら普通なら真っ先に誰から狙うかって？そんなの後衛から魔術や銃とかで攻撃するウザい奴等に決まっているじゃない。

どうしてかしら？普通なら距離を詰められたら反撃の手段が少ない前衛を狙うべきだと思うのだけど……

そんなの避けるなり距離をとるなりすればいいだけだし、前衛を盾にして時間を稼がせるのが普通。むしろ後ろから魔術や銃とか遠距離攻撃をして前衛を援護する奴等の方がウザいから先に潰すのが定石だよ。それに後ろから攻撃する奴等は大概ひ弱だから、すぐに潰れるしね、キャハッ♪

あ、貴女ねぇ…………

「（……この場合狙って来るとしたら私かエマ……加えてどちらを先に潰すかを考えれば……）――――メサイア！エマの背後を守って！」

「えっ！？ア、アリサさん！？突然何を……」

「わかりました！」

アリサの突然の指示にエマが戸惑っている中メサイアが素早くエマの背後へと移動して迎撃態勢を取った瞬間、エマの背中目掛けて矢が襲い掛かり

「させません！」

襲い掛かって来た矢をメサイアは剣を一閃させて斬り裂いた。

「そこよ！―――ブラストエッジ！！」

メサイアが剣を一閃すると同時にアリサは矢が飛んで来た方向目掛けて炎の魔力を宿した矢を放った。

「グッ……！？」

すると矢は何もない場所で炎の爆発を起こし、爆発が消えるとそこにはエンネアがいた。

「落ちよ！聖なる雷―――ライトニングプラズマ！！キャッ！？」

「踊れ、炎よ―――アステルフレア！！ああっ！？」

エンネアが姿を現すとセレーネとエマはそれぞれ魔術やクラフトを叩きこもうとしたが、エンネアを覆う結界が二人の攻撃を反射し

「魔法反射結界……！？でも、今ので消えたみたいね。」

それを見たセリーヌは目を細めた後アリサ達に助言をした。

「友よ、頼んだ！」

「ピュイ――――ッ！」

「ッ！？」

ガイウスが呼び寄せたガイウスの相棒の鷹であるゼオの突撃を受けたエンネアは怯み

「光よ、煌めけ―――昇閃！！」

「アアッ！？クッ……！フフ、まさか私が彼女を狙うと悟っていたとはね………一体どうやってわかったのかしら？」

メサイアの光の魔力が纏った斬撃を受けた後後ろに跳躍してメサイアから距離を取ったエンネアは興味ありげな表情でアリサを見つめた。

「貴女と似たような二つ名を持っている私のクラスメイトが戦いの際には誰を真っ先に狙うか教えてくれたおかげよ……！」

「ええっ！？一体誰の事ですか……？」

「―――”魔弓将”ね。」

「そ、そう言えばエヴリーヌ様の二つ名も”魔弓”の名を冠していましたわよね……？」

アリサの答えを聞いたエマが驚いている中既に察したついていたセリーヌは静かな表情で呟き、セレーネは苦笑し

「フフ、なるほど。さすがはあの”剣帝”や”魔弓将”達と関わっていた学生だけはあるって所かしら。―――ならばこれはどうかしら？―――踊れ、矢よ！」

エンネアは不敵な笑みを浮かべた後数本の光の矢をアリサ達目掛けて放った。

「ハッ！―――えっ！？」

放たれた矢を剣を振るって纏めて弾き飛ばしたメサイアだったが、弾き飛ばされても自分達に襲い掛かってくる矢に驚き

「キャアッ！？」

「ああっ！？」

「矢に意志が宿っているのか……！？」

メサイアが処理しきれていない矢に命中したアリサとセレーネはダメージを受け、ガイウスは二人を守るように前に出て襲い掛かる矢を見極めようとしていた。

「エマ！結界を貼って凌ぎなさい！」

「わかったわ！絢爛たる光よ、惨禍を和らぐ壁となれ！！―――フォースフィールド！！」

「これで止めよ！ベリアル・ワルツ！！」

セリーヌの助言に頷いたエマが結界を展開した瞬間、エンネアは止めの矢を放って爆発を起こしてアリサ達に攻撃した。そして爆発による煙が貼れるとそこには結界に守られた事によって、ダメージを受けていない様子のアリサ達が現れた。

「……！まさかあの絶妙なタイミングで防ぐとはね……！さすがはあの”蒼の深淵”の縁者ね……！」

自身が放ったSクラフトを防いだ結界の術者がエマだと察したエンネアが不敵な笑みを浮かべた後追撃をしようとしたその時！

「ハァァァァァ……グオオオォォォ――――ッ！」

「な――――――」

何とセレーネが竜化し、竜へと変化したセレーネを見たエンネアは絶句した。

「女王惑星轟雷爆撃（クイーンプラネットサンダースパーク ）―――――ッ！！」

「しま―――――キャアアアアアアア―――――ッ！？」

そして竜化したセレーネが放った雷光の竜の息吹（ドラゴンブレス）を受けてしまったエンネアは大ダメージを受け

「これで決めるわ……！オーバルエネルギー……リミットブレイク！フェニックス――――アローッ！！」

セレーネのブレスが終わった瞬間、アリサは不死鳥と化した矢を放った！

「か、身体が動かな……アアアアアアアアアア―――――ッ！？」

雷光のブレスを受けた影響で全身が麻痺したエンネアはアリサが放ったSクラフトをまともに受けてしまい

「参ります！桜よ、咲き乱れよ！ハァァァァ……！奥義――――桜花乱舞！！」

「迅き風よ、唸れ！はあああ！イクスペル・ランサー！」

「キャアアアアアアア――――ッ！？」

メサイアとガイウスも続くように無防備なエンネアにSクラフトを叩き込んだ！

「ハア、ハア……クッ！？まだよ……まだ終わらないわ……！」

満身創痍の状態でいつ地面に膝をついてもおかしくないエンネアだったが未だ闘志を衰えさせない様子で反撃をしようとしていた。

「ならばこれで終わらせます！万物の祖たる七耀の力よ、今こそ我が仇名す者に七耀の制裁を与えよ！」

「あ――――――」

しかし仲間達の猛攻の間に詠唱を終わらせていたエマが発動した伝説魔法（レジェンドアーツ）によって発生した周囲の七色の球体を見ると呆け

「セプトクライシス！！」

（フフ、さすがはデュバリィが決戦の相手と認めただけはあるわね……）

球体が一斉に光った瞬間自身に襲い掛かる膨大なエネルギーを満足げな笑みを浮かべながら見つめたエンネアは戦場全体を虹色に輝かせる程の巨大な柱に包みこまれた！そして柱が消えるとエンネアは何と未だに立っていたが

「お見事……フフ、私の負け…………ね…………」

エンネアは静かな笑みを浮かべて地面に膝をついた！