~一刀視点~
部隊『鳳凰』と袁術軍3万が孫権の部隊3万に攻撃を仕掛ける
「隊列を乱された程度で狼狽えるな!
袁術軍の弱兵など我等の敵では無い!」
孫権が檄を飛ばすがその認識が既に間違っている
先陣を俺が指揮する『鳳凰』が務め、孫権の部隊を翻弄する
その直後に鞘姉と凪が指揮する袁術軍が続く
「ぐわっ」
「ぎゃっ」
「どこが弱兵だ 話が違うじゃねえか」
『鳳凰』だけでなく袁術軍にも孫権の部隊の兵は討ち取られていく
「なっ、袁術軍は弱兵揃いの筈
指揮するのが鞘華や楽進でも我等に遠く及ばぬ筈・・・」
孫権が狼狽しているのが手に取るように分かる
美羽と七乃を守ると誓って直ぐに考えた事が袁術軍の練度の低さ
それを解消しつつ、孫堅の油断を誘う為の方策を静里を中心に考えた
その方法とは、まず俺が1万の兵を護衛に見せかけ寿春を訪問する
そしてその兵は寿春に残して代わりに寿春の兵1万を連れて建業に帰還する
連れて帰った兵は建業でしっかり調練を受けさせる
次に七乃が寿春の兵1万を連れて建業を訪れる
帰還する時には前回俺が連れて行き、調練を受けた寿春の兵を連れて帰還する
残された寿春の兵は建業で調練受けた後、俺が連れて寿春に帰還させる
これを数回繰り返した
このおかげで袁術軍はそれなりの練度を持つことが出来るようになった
外から見れば連絡を密に取り合っているようにしか見えない
行きと帰りで兵が丸ごと入れ替わる事なんて常識外だから
勿論間諜等に調査させれば簡単にばれるが、明命率いる隠密部隊が間諜を残らず討ち取っていた
これで孫堅達に知られずに袁術軍の練度をあげる事が出来た
それが今回の孫堅軍の「袁術軍は弱兵揃い」との認識に繋がった
勿論袁術軍の練度がそれなりに上がったとは云え、孫権の部隊を本来なら圧倒できる程では無い
だが『鳳凰』に翻弄された事、弱兵との侮り この二つが重なり孫権の部隊を圧倒していた
「鞘姉と凪に伝えろ
此処は任せる 『鳳凰』は敵の本陣を強襲する」
俺は伝令を走らせて『鳳凰』を率いて孫堅軍の本隊へ向かう
~孫堅軍本隊~
『鳳凰』による奇襲、飛将軍呂布の出現、華雄と高順による横撃、そして呂布の進軍
この精神的な事も含む波状攻撃で孫堅軍は圧倒的な数で有りながら完全に押されていた
「くそっ、このままでは・・・」
炎蓮は苦々しげに呟く
「こうなったら・・・
雪蓮、梨晏 二人は華雄と高順を止めろ
祭、粋怜、思春は私と共に来い 呂布を止める
兵の指揮は冥琳が執れ
敵の将を止めて戦況を立て直す!」
「御意」
「そらそらそら
孫堅 出て来いー!」
華雄は勢いに任せて突き進む その前に
「アンタの相手は私がしてあげるわ」
雪蓮が立ち塞がる
「ふん、あ奴の娘か」
「母様は化け物退治で手一杯だから、猪狩りは私の役目よ!」
雪蓮対華雄
華雄の攻撃は空を切り続け
「ちょこまかと逃げおってー!」
焦った大振りの攻撃の隙を雪蓮に突かれる
流石に一撃で致命傷は与えられなかったが
「甘いわよ」
雪蓮の攻撃に防戦一方になる
「アンタは力任せ過ぎるのよ
だから攻撃が読み易い事この上ない
どんなに威力が有っても躱せば何の意味も無いわ」
華雄は雪蓮の言葉に反論出来なかった
疾風は梨晏に牽制されて華雄の手助けに行けない
「呂布ー!」
炎蓮は雷の如くの大声を上げて突進して行く
「?」
だがその相手の恋は軽く小首を傾けた後、武器を孫堅に向けて振る
「ぐわっ」
炎蓮は何とか剣で受けるが速さも威力も桁違いの恋の攻撃で吹き飛ばされる
恋が追撃を掛けようとすると粋怜と思春が横から斬りかかり、祭が弓で攻撃する
それを容易く防ぐが炎蓮への追撃は防がれた
「こいつを止めるのは命懸けになりそうだね」
炎蓮の言葉に祭も粋怜と思春も
「同感です」
だが4人のおかげで呂布個人の足止めは成功した
呂布、華雄、高順が足止めをされた為、北郷軍の勢いが止まった
そうなると数で勝る孫堅軍が北郷軍を押し返そうとした
その時、孫堅軍の後方から兵の叫び声が上がる
「大変です
後方に例の騎馬隊(『鳳凰』)が突っ込んで来ました!」
「なんだと!?」
兵の指揮を執っていた冥琳も驚愕していた
「まさか蓮華様・・」
主家の次女を心配するがそれより優先すべき事は炎蓮への報告と進言だった
「なんだって!」
冥琳からの報告を受けた炎蓮は驚き、そして
「それしかないか」
冥琳からの進言である撤退を命令した
炎蓮は祭が、雪蓮は梨晏が、それぞれ弓で呂布、華雄、高順を牽制している間に戦線を離脱した
「甘く見たつもりは無かった
だが情報を軽視した結果がこの様か!」
炎蓮は苦々しく思いながら撤退した
~凪視点~
一刀様が孫堅軍の本隊へ向かったが此処の戦況は一方的になっていた
孫権の部隊が壊滅状態になるのは時間の問題だ
そして私は敵の部隊長である孫権を見つけた
「お久しぶりです 孫権殿」
「楽進・・・」
孫権殿が身構え
「「うおー!」」
双方の掛け声が重なりぶつかり合う
「我等の悲願を北郷如きに邪魔されてたまるか!」
孫権殿は怒りに近い感情で応戦して来るが
「貴方達の悲願とは呉の地を取り戻す事ですか?
一刀様の目的に比べ随分小さい目的ですね」
「何だと!?」
孫権殿の攻撃が止まる
「一刀様はこの乱世を治めようとなさっている
強き力で統一すると云う方法で!」
「口先だけなら何とでも言える」
孫権殿と攻防を繰り返しながら会話を交わす
「あの方は何時も悩んでいる
その道が多くの犠牲の上に成り立つ事が分かっているから
口先だけなら悩む必要などない
それに貴女も一時とは云え、私達と行動を共にしていたでしょう
ならば一刀様が口先だけの人物でないのは分かる筈だ!」
「だからあいつに盲従しているのか!」
「あの方が道を間違えたなら命懸けで諫言する
そうでなければ一刀様の御心が少しでも安らぐように
少しでも早く乱世を終わらせるようにする事が私の”天命”だ!」
私はこう言い切った後、孫権殿の斬撃を受け流して胸倉を掴み背負い投げを決める
そして倒れた孫権殿の鳩尾に突きを入れて失神させる
「敵将孫権 討ち取ったりー!」
私がそう宣言すると敵は総崩れとなり、撤退命令も出ていた様で孫堅軍は撤退して行った
~あとがき~
合肥の戦い完結です
今回の戦闘は情報戦が勝敗を分けました
『鳳凰』にしろ「呂布」にしろ事前に情報を入手していれば対応のし様も有ります
しかし入手できなかった為、孫家は敗北しました
凪と蓮華の一騎打ちの結果は実力差を考えればこうなるでしょう
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
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合肥の戦い②