～孫堅陣営～

孫堅陣営は合肥に向けて進軍を開始した

「む～」

殆どの将兵が気合、自信共に十分の中雪蓮だけが浮かない顔をしてうなっていた

「雪蓮、どうかしたのか？」

冥琳が訊くと

「うん、間諜が全く帰ってこない事が気になってね

　それって敵が情報を完全に封鎖してるって事でしょ

　そこに何かあるような気がしてね」

「確かにそこが懸念材料ではある

　しかし敵軍勢の大凡の規模等の必要最低限の情報は有る

　それに情報も含めて万全の状態での戦など有りえん

　呉を取り返す為には多少強引でも動く必要がある

　分かっているだろう？」

雪蓮は冥琳に説得されるが

「分かってるけど何か悪い事が起きそうな気がするのよね～」

「それは勘か？」

冥琳は質問に頷く雪蓮を見て

「お前の勘は恐ろしいほど当たるからな

　用心は必要だな」

「報告します

　合肥の城に袁術軍が入城しました

　数は凡そ３万」

「報告します

　建業より軍勢が出陣しました

　その数凡そ２万

　旗から北郷一刀自らが出陣しているようです」

斥候から立て続けに報告が入って来た

「伝令が届くまでの時間を考えると北郷軍が合肥に到着するのは我等とほぼ同じになります」

冥琳が炎蓮に伝えると

「北郷軍に先に入城されなければそれで問題は無い

　合肥の城より先に野戦で北郷軍を殲滅するまでだ

　仮に先に入城されても鎧袖一触で叩き潰す！」

炎蓮は強気の進軍を進めた

そして孫堅軍が合肥に到着し、城攻めの陣を敷いている時

「北郷軍が後方より向かってきています！」

斥候が飛び込んで来た

「来たか！

　蓮華！お前は兵３万を率いて合肥の城からの兵に備えろ！

　城を攻める必要は無い　あくまで袁術軍が出て来た時に備えろ

　他の者は北郷軍を叩き潰す

　２万の敵に対して此方は７万　一気に殲滅する！」

～一刀視点～

俺達が孫堅軍を視界に治めた時、孫堅軍は陣形を変えている最中だった

陣形としては右翼、中央、左翼と並んだ陣形

中央の後ろに中軍や後軍は無い　但し合肥の城を睨んでる部隊がある

「静里、どう見る？」

「そうですね　予想通りの動きですから事前の打ち合わせ通りの作戦で良いかと

　敵の左翼の動きが一番鈍いのでそこが練度が低い所でしょう

　だから・・・」

静里の言葉に俺は頷いて

「部隊『鳳凰』出るぞ

　目標は敵の左翼」

部隊『鳳凰』　それは凪の率いていた義勇軍の生き残りを中核として発足させた

その後志願兵や徴兵で集めた兵の中から武の力は有るが指揮が出来ない者を集めた５００人の部隊

その兵達に剣道を教え、更にその後槍術も教えた（北天一心流には槍術も有る）

兵一人一人の実力は武官に匹敵する程に鍛え上げた

その兵達を真桜に作成させた『鐙』を装備した騎兵とした

部隊『鳳凰』を率いて、孫堅軍の左翼に突撃する

「なんだ、こいつらは」

「強すぎる」

練度の低い左翼は俺達に完全に翻弄された

だが、圧倒的な数の差が有る

だから俺達は囲まれる前に突き進み、敵軍を突き抜ける

敵の左翼を突き抜け、今度は合肥の城を睨んでる部隊の後方に突撃を仕掛ける

～鞘華視点～

一君の部隊『鳳凰』が敵に突撃を仕掛けた

「門を開けなさい

　援軍に呼応して私達も出るわよ！」

門を開いて軍を出す

孫権の部隊と睨み合いになるが

（此方だけを気にしてていいの？）

その孫権部隊の後方から部隊『鳳凰』が突撃を仕掛ける

そして孫権の部隊をも突き抜け、私達と『鳳凰』が合流した

「さあ、孫堅の部隊を殲滅するぞ！」

一君の号令の元、部隊『鳳凰』と袁術軍３万が孫権の部隊とぶつかり合う

～孫堅陣営～

「くそっ、何て奴等だ」

炎蓮は驚きと悔しさで吐き捨てる

左翼の軍は壊滅はしていないが陣形を完全に崩された

そこに前方の軍が迫って来る

「まだ此方の方が圧倒的に有利な数だ

　落ち着いて対処すれば問題は無・・・」

兵を鼓舞し、落ち着かせる為の炎蓮の言葉は最後まで紡げなかった

前方の部隊が将旗を上げた　真紅の呂旗を

～静里視点～

「孫堅殿、これでも貴女の軍の士気は保たれますか？

　一刀さんの部隊『鳳凰』による突撃　その余韻覚めやまぬ内の飛将軍呂布の出現に」

孫堅軍は狼狽してますね

無理も有りません　

黄巾党３万を一人で退け、汜水関、虎牢関で尾ひれのついた噂で無い事を証明した

そんな敵に回したら最も恐ろしい人物がいきなり目の前に現れて平静でいられる訳が有りません

何とか将は勇を振り絞れても、兵は恐怖ですくむのは当然です

「でも、それだけじゃありませんよ」

狼狽している孫堅軍の左翼側から華雄さんと疾風さんの１万の部隊が突撃を仕掛けた

「な、何だと？

　北郷の援軍は２万では無かったのか？

　前方の呂布の部隊は２万程の筈・・」

と思っているでしょうね

でも此方の部隊は１万　後は偽兵で多く見せているだけです

普段の孫堅殿や周瑜さんならこんな手は直ぐに見破るでしょう

でも『鳳凰』『飛将軍　呂布』と立て続けに驚愕の物を見せつけられれば冷静な判断が出来なくなります

今回はそこを突かせてもらいました

そして、この部隊も１万は本当の兵なんですよ

「恋さん、お願いします」

「ん」

恋さんは頷くと孫堅軍に向かって行った

～あとがき～

今回は合肥の戦いの前半です

『鳳凰』は凪の義勇軍の生き残りに剣道を教えていたエピソードが伏線でした

この時から特殊部隊（鳳凰）の構想は有りました

一刀達の情報封鎖については次話で説明する予定です

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです