No.787228

九番目の熾天使・外伝 ~とあるモブキャラ視点①~

竜神丸さん

まずは12名。

ここで書けなかったメンバーは次の回で書き上げます。

2015-07-03 16:04:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4314   閲覧ユーザー数:1012

は、初めまして。

 

私の名前はA子、OTAKU旅団の調査班に所属している新米隊員です。立場的に言うなら、調査任務を請け負う事が多いナンバーズメンバーNo.9―――つまりokakaさんの部下という事になります。

 

私は最近加入したばかりなので、それほど旅団の詳細に詳しい訳ではありません。しかしながら、ナンバーズの皆さんがどのような方達なのか、素人ながらも私の視点から紹介していこうと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっほ、えっほ…」

 

現在、私は資料が大量に入ったダンボールを運んでいる最中です。何故そんな物を運んでいるかと言うと、私達調査班は仕事の関係上、過去に起こった事件を再び調べ通さないといけない事があります。ただ、その資料というのが私が思っていた以上に量が多くて、ダンボール二箱分もの量を一度に纏めて運ばないといけないというのだから本当に大変です。

 

だからこそ、運ぶ事に集中するあまり前方不注意なんてのも日常茶飯事な訳でして…

 

「えっと、確か道はこっちだった筈……キャッ!」

 

案の定、私は通路の曲がり角で誰かとぶつかってしまいました。

 

そのぶつかった相手はというと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1:okakaの場合

 

 

 

「キャッ!」

 

「おっと、大丈夫か?」

 

No.9―――okaka。先程も言ったように、主に次元世界やロストロギア、ナンバーズメンバー候補となり得る人物の調査任務を請け負っている暗殺者(アサシン)で、私の上司に当たる人物。

 

私がぶつかって落としそうになったダンボールを、彼は片手で支えて落ちるのを防いでくれました。あぁ何て事だろう、よりによって上司に対してこんな大変な無礼を…

 

「す、すみません!」

 

「どうって事ないさ。確か君、調査班の新入りの子かな?」

 

「は、はい。A子と申します。本当にすみませんでした…」

 

「忙しいと視野が狭くなりがちだからな。次からは気を付けてくれよ? はいこれ」

 

「え? これは…」

 

「それ飲みながら仕事頑張りなよ。それじゃ」

 

そう言って、okakaさんは持っていた缶コーヒーをダンボールの上に乗せ、すぐに去って行きました。この缶コーヒーは私への労いでしょうか?

 

部下への配慮を忘れない、実に理想的な上司。このような方の下で働けるなんて、私は幸せ者です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2:げんぶの場合

 

 

 

「キャッ!」

 

「ん?」

 

No.16―――げんぶ。旅団加入前は“悪鬼”の二つ名で恐れられていた人物で、仮面ライダーやガンダムといった戦士に変身する能力を持つナンバーズメンバー。強面である為に、周囲からかなり怖がられています。

 

私が倒れてダンボールも床に落とす中、元々体格も良い為か、結構思いきりぶつかったにも関わらず彼は微動だにもしていません。

 

「すまない、大丈夫か?」

 

「あ、すみませ……ひぃ!?」

 

「え、あ、おい!?」

 

彼は倒れた私の事を心配してくれたようですが……ごめんなさい、げんぶさん。私から見てもあなたの顔はかなり怖いです。

 

私はあまりの怖さに、その場から走って逃げてしまいました。

 

「…荷物、忘れてるんだが…」

 

彼がそんな事を呟いていた事など、逃げてしまった私が知る由などありません。その後、彼は律儀に調査班の所まで資料の入ったダンボールを届けてくれて、私は同じ調査班の先輩から盛大に叱られる羽目になってしまうのでした。

 

人は見かけで判断してはいけない、まさにその通りですね。トホホ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3:Unknownの場合

 

 

 

「キャッ!」

 

「おっと、失礼」

 

No.2―――Unknown。通称アン娘さん。同じナンバーズメンバーや私の先輩達曰く「重度のコジマ汚染患者」で、外見は女性と見間違えるくらい中性的な容姿を持っている。

 

彼(彼女?)もokakaさんと同じように、倒れそうになったダンボールを素早く支え、同時に倒れそうになった私の事も支えてくれました。

 

「す、すみません!」

 

「こちらこそすまない。怪我は無いか?」

 

「え? あ、はい、大丈夫です…」

 

Unknownさん……キーボードで打ちにくいので、取り敢えずアン娘さんと呼びましょう(ォィ

 

彼は私の顔を覗き込んできました。うわぁ凄い、本当に容姿や髪型、雰囲気が本当に女性その物だ……一体何でしょうか、この何となく感じ取れる敗北感は…

 

「そうか、良かった……少し荷物が重たそうだな。どれ、私が荷物を預かろう。何処へ運べば良い?」

 

「へ? あ、だ、大丈夫です! あなたのお手を煩わせる訳には…」

 

「何、ぶつかってしまったお詫びという奴だ。このぐらいの事はさせてくれ」

 

結局、私が持っていたダンボールをアン娘さんが二つ纏めて運ぶ事になりました。ちなみに彼はダンボールを受け取る際に笑顔を向けてきたのですが、それを見た瞬間に私は少し胸がキュンときてしまいました…

 

あれ、これってまさかの恋?

 

嘘、よりによってこんな……いけない、こんな恋はいけない!

 

「む、どうした?」

 

「い、いえ、何でもありません!」

 

駄目、駄目よA子! こんな感情は抱いちゃいけない! 女同士の恋だなんてそんな…

 

※Unknownは男です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4:二百式の場合

 

 

 

「キャッ!」

 

「…!」

 

No.5―――二百式。旅団における参謀役のような存在で、任務外では一人で過ごす事が多い一匹狼的な人物。同じナンバーズメンバーのデルタさんとは犬猿の仲。

 

「す、すみません!」

 

「……」

 

彼も読書中だったのでしょうか。私が落としたダンボールから資料が散らばるのを見て、彼はすぐに読んでいた本を閉じ、せっせと落ちた資料を拾い集めてくれました。

 

「……」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

私が礼を言って資料を受け取ると、彼は特に何も言わずに再び読書を始め、すぐにその場から立ち去ってしまいました。

 

彼は片目に眼帯を付けている所為で少し外見が怖いのですが、それでも話で聞いていたほどの冷徹さは感じられませんでした。彼も一応、周囲の事を全く考えていない訳ではないようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや。読書して人にぶつかるとは情けないですねぇ」

 

「…黙れ、殺すぞ」

 

…それでも、デルタさんと出くわした直後に喧嘩(という名の殺し合い)を始めてしまいましたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5:ガルムの場合

 

 

 

「キャッ!」

 

「おっと」

 

No.10―――ガルム。単純な戦闘力ならナンバーズメンバーの中でも上位に食い込むほどの実力者で、幻想郷出身という特殊な経歴持ち……というか幻想郷って一体何なのでしょうか? 私はむしろそっちの方が気になって仕方がありません。

 

私は彼とぶつかった拍子にダンボールを床に落とし、資料もたくさん散らばってしまいまし……あれ? 散らばった筈の資料やダンボールが床に見えない…

 

「ほれ、気を付けろよ?」

 

「あ、はい……えぇ!?」

 

少なくとも、落とした資料は一枚や二枚ではなく、数百枚もの枚数です。なのにこの人、私が拾うよりも前に散らばった資料を一瞬で拾い集め、それをダンボールに入れてから私に渡してくれました……何この人、やってる事が凄過ぎません?

 

「さ、流石はナンバーズ上位クラスの実力者…」

 

そして気付いたら、彼は一瞬の内に姿を消してしまいました……礼くらいちゃんと言わせて下さいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7:デルタ&竜神丸の場合

 

 

 

「キャッ!」

 

「む…」

 

「おやま」

 

No.3―――デルタ。旅団の最初期メンバーであり、旅団の団長であるクライシスさんと対等の立場で話せる数少ない人物。経歴には謎が多くグルメ通でもあるが、仕事中は常に任務遂行を優先する冷酷なリアリスト。

 

No.12―――竜神丸。旅団における研究・開発担当で、ウイルスや生物兵器以外だとヘルヘイムの森の研究も行っているマッドサイエンティスト。ナンバーズの中でも特にヤバいと言われている二大危険人物の内の一人。

 

両者共に、私が苦手意識を抱いている人物です。

 

「全く、最近の新入りはドジが多いですね。この程度の仕事で苦労するようでは、この先とてもやっていけるようには思えませんが?」

 

「おやおや、相変わらず冷たいですねぇデルタさんも」

 

デルタさんは私とぶつかる直前で後ろに下がった為、ぶつかったというよりは私が一人で勝手に転んだという感じになってしまいました。資料が盛大に散らばる中、私は急いで資料を拾い集めます。そんな様子を見てデルタさんは嫌味たらしく呟き、竜神丸さんはただ面白そうに笑っているだけ。この二人は他の皆さんとは違い、素直に物拾いを手伝ってくれるような人達ではありません。

 

「ま、精々気を付ける事ですね。この旅団では、役立たずはいつ切り捨てられるか分かりませんから」

 

「ふん…」

 

竜神丸さんは「お前なんかいつでも切り捨てられるぞ」とも取れる忠告を残して、デルタさんは特に興味も無いかのように鼻を鳴らしてから、その場を立ち去って行きました。その場に散らばっている資料が、余計に私を惨めな気分にさせてくれます。

 

うぅ……これなら二百式さんやげんぶさんの方がまだマシに思えます…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8:kaitoの場合

 

 

 

「キャッ!」

 

「うわっと!?」

 

No.15―――kaito。主に武器開発や武器販売を担当しているが、同時にナンバーズメンバーの中でも一番の悪戯好きであり、よく他のナンバーズメンバーに悪戯を仕掛けては追いかけられている人。

 

私と彼はぶつかった事でお互い盛大に転び、盛大に荷物を落としてしまいました。まぁ、これだけなら他のナンバーズメンバーとは違いも無かったのですが…

 

「痛たたた……あ、ごめんごめん! 急いでたもんだからつい!」

 

「い、いえ、こちらこそすみませんでし…キャアッ!?///」

 

直後、私の身体に変な植物のような物が絡みついてきました。彼が開発した悪戯用アイテムでしょうか……って呑気に状況説明してる場合じゃない!? あぁ、植物が服の中に入って来た!?

 

「ん? うげ、ヤバい!? 人口植物の種が芽生えちゃった!?」

 

「それどんな状況で使うんですか……あ、ちょ、服を破かないで…嫌ぁあっ!?///」

 

ちょ、見えちゃう!!///流石にそれ以上はヤバいって!!

 

お願い、誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※数分間お待ち下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ…」」

 

な、何とか植物の暴走を止められました。破かれた服はkaitoさんがすぐに元に戻してくれましたが……うぅ、異性に裸を見られてしまいました///…もうお嫁にいけない…orz

 

「あははは……本当にごめんね? お詫びに資料はこっちで集め終えたからさ」

 

「は、はい、ありがとうございます……それにしても、どうしてそんなに急いでるんですか?」

 

「それは…「「kaitoは何処だぁー!! 今日という今日は許さんーんっ!!」」うげ、ヤバっ!? ごめんA子ちゃん、また今度改めてお詫びさせて頂戴よ!! それじゃ!!」

 

「あ、kaitoさん!?」

 

支配人さんの声が聞こえてきた途端、kaitoさんは猛スピードで逃げてしまいました……あの人、一体何をやらかしたんでしょうか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9:aws&支配人の場合

 

 

 

「「kaitoは何処だぁー!!」」

 

「はわぅ!?」

 

No.11―――aws。機械工学に通じており、デバイスの簡単なメンテナンスや調整を引き受ける事が多い。旅団における常識人の一人で、最近では給料を胃薬に費やす事が多くなっている模様。

 

No.14―――支配人。旅団の中では調理担当であり、彼の作る料理は絶品ばかり。彼もまた旅団における常識人の一人で、任務中でも任務外でも貧乏クジを引く事が多くなってきた苦労人。

 

そんな苦労人である彼等だが、悪戯をやらかしたkaitoさんを追いかけて来たのだろう。いきなり私の目の前を駆け出して来た為、私は驚いて尻餅をついてしまった。

 

「む、すまない。大丈夫か?」

 

「あ、はい、大丈夫です…」

 

「すまんな、kaitoを追いかけるのに夢中になってしまっていた……む? 女性が運ぶにはこの量は多過ぎるな。どれ、運ぶのを手伝おう」

 

「え、あ、いえ、一人でも大丈夫です!」

 

「女性にそこまで苦労をかけさせる訳にはいかんさ。少しは手伝わせてくれ」

 

「は、はぁ…」

 

そう言って、awsさんも支配人さんもダンボールを一箱ずつ運んでくれる事になりました。やっぱり彼等は話しやすい上に優しいので、こういう時は非常に頼りになります。

 

「…あれ? そういえば二人共、どうしてkaitoさんを追いかけていたんですか?」

 

「「……」」

 

ありゃ、急に二人の動きがピタリと止まっちゃいました。え、何、聞いちゃいけない事だったのかな。

 

「…kaitoの奴め。人が作った虹の実ゼリーを一人で全部食い尽くしやがって……せっかく大量に買った虹の実を使って、新しいゼリーの作り方を実践していたってのに…」

 

「私なんか、部屋中にあの人口植物が繁殖してしまっていたんだぞ? おかげで植物を燃やして処理しなくちゃいけなくなった上に、繁殖の所為で壊れた部屋は修理しなければならなくなったわで…」

 

「「あの馬鹿は一回潰さなきゃ気が済まない」」

 

「…支配人さん、awsさん、ご苦労様です」

 

後日、私からも二人に胃薬を送ってあげましょう。

 

そう思わずにはいられなかった私でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10:ディアーリーズの場合

 

 

 

「キャッ!」

 

「うわっ!?」

 

No.17―――ディアーリーズ。通称ディアさん。ナンバーズメンバーの中でも年齢が若く心優しい性格なので、ナンバーズメンバーの中でもかなり気軽に話しかけやすい人物。女性からも非常にモテており、ディアラヴァーズという集団からも強く愛されているみたいなのですが…

 

「「…あ」」

 

そんな彼とぶつかった結果、仰向けに倒れた私の上にディアさんが乗っかっているという、まるでディアさんが私を押し倒しているかのような状況が出来上がってしまいました。

 

しかも…

 

(あ、胸に…)

 

ディアさんの片手が、私の胸をしっかり揉んでしまっているという……うぅ、恥ずかしい…///

 

「―――うわわわわわ!? す、すみません!!」

 

「い、いえ、こちらこそすみません!!」

 

お互いすぐに離れ、同時に呼吸を整えます。でも何故でしょうか。胸を揉まれたのに、彼に対してはさほど殺意という物が湧いてきません。

 

「ほ、本当にごめんなさい。もし許せないなら、思いきり僕を殴って下さい。もしくは蹴って下さい」

 

「へ!? い、いやいや、流石にそこまではしませんよ! 私も別に怒ってはいませんから!」

 

「そ、そうですか……怪我はありませんか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「そっか、良かった。怪我がなくて何よりです……あ、待ってて下さい、すぐに資料を拾い集めますから」

 

「あ、いえ、私も一緒に拾います!」

 

「大丈夫ですよ。これぐらいならすぐに拾い終えますから」

 

ディアさんは優しそうな笑顔を私に向けてから、すぐに資料集めを再開する。非常に手際が良く、ほんの数秒の内にどんどん資料を拾い集めていく。

 

(…あぁ、そっか)

 

彼は純粋なんだ。悪い事をしてしまった時は、言い訳せず素直に謝る。自分の事よりも、まず相手の事を心配してくれる。相手の事を第一に考える。

 

優し過ぎるんだ。それが彼の短所であり、長所でもある。

 

これがディアさんの魅力……ディアラヴァーズの皆さんが惚れているのも分かります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクン…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、あれ…?

 

 

 

 

 

 

何だろう……急に胸が苦しくなったような…

 

 

 

 

 

 

 

「よし、拾い終わりました! …A子さん?」

 

「―――え、あ、はい!? 何でしょうか!?」

 

「あぁいえ、資料を拾い終わったのですが……大丈夫ですか? 顔が少し赤いみたいですが」

 

「い、いえ、大丈……ひゃ!?」

 

ディアさんの手が私の額に……そ、そんな急に…!!

 

「うぅ~ん、熱は無いみたいですね。でも無理はしないで下さいね。仕事はかなり大変かも知れませんが、時には休む事だって大事ですから」

 

「は、はい…///」

 

…あぁ、どうしよう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私も、この人に惚れてしまったのかも知れない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにこの様子を、kaitoがこっそり撮影してディアラヴァーズに見せていたのは言うまでもない。

 


 
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