~鞘華視点~
反董卓連合は解散となり、私達を含め全ての諸侯が各々の領地への帰路につく
「一兄~、本当に何が有ったの~
鞘姉の様子からして絶対に何も無かった何て事、無い筈だよ~」
帰路についてから、否、つく前から一君が巴ちゃんに問い詰められ続けている
『夫として愛する妻と・・・』
あの言葉の件 一君の本心はどうなんだろ?
完全なあの場の方便?つい出ただけの言葉?それとも・・・
夫と妻の点は完全に嘘なんだけど
本心を知りたいような、知りたくないような
あ~、こんな事で悩まなきゃならないなんて~!
一君!何とかしてよ!
~一刀視点~
巴の執拗な追及に耐えながら建業に帰還した
到着すると
「一刀はん、お疲れさん」
「お帰りなさいなの~」
真桜と沙和が出迎えてくれた
建業を留守にするのが不安なのと、真桜に頼んでいる事があるから二人には建業に残ってもらっていた
城に入り月達を紹介する
真名は全員帰路につく時に預かったが、真桜と沙和は初対面だ
「一刀はんが保護にこだわった訳やな~」
「こんな可愛い娘だと知ってたはずだから~」
二人共、発言に気を付けてくれ 月が真っ赤になってるし、詠が思いっ切り睨んでるだろ!
「それより、二人共、報告を頼む」
無理矢理、話題を変える
「街の様子に特に変わりはないの~
何時戻って来るか訊かれた事は多かったけど、それ位なの~」
まず沙和が答えると
「真面目に、警邏してたんだろうな
茶店でさぼってばかり、では無いだろうな
もし、そうだったなら覚悟はいいな」
凪の問いに
「そ、そんな事はしてないの~」
沙和、何故目を逸らす?
更に凪が
「まあ、明日にでもいくつかの店で訊いてみれば分かる事だな」
沙和、何故血の気の引いた顔をしている?
「うちからの報告は、一刀はんの言ってた”あれ”の件やけど増産体制に入ったで
今も工房で職人達が作っとるわ 数も取り敢えず必要な分は揃ってるで」
「そうか、これから規模も大きくなって数が必要になるからな
増産を頼む」
「待かしとき」
(その一)
~一刀視点~
今、俺は呆然としている
月と詠は暫くの間、正体を隠す為俺の侍女になった これは問題無い 詠は文句を言ってたけど
問題はその服装 何故、メイド服!?
「似合うでしょ~
私が意匠をしたから完璧だよ!」
巴が得意気に胸を張って言う お前の仕業か!
でも今回は褒めたい!
「へう~、あの似合ってませんか?」
「僕にはこんな服、似合う訳無いのに」
呆然としていた俺に二人が不安になって尋ねて来た
俺は我に返り
「いや、凄く似合ってる
可愛すぎて驚いていただけだよ」
この答えに
「へう~」
「み、見え透いたお世辞言っても騙されないわよ!」
二人共、赤くなってしまった
これも可愛いと思った瞬間、両足の甲に痛みが走る
右を鞘姉が、左を静里が踏んでいた
痛みで声がうまく出せない俺に対して、二人共踏んだままそっぽを向いている
「ふん!」
「全く、デレデレして!」
俺が何をしたんだ?
そんな時、星が
「静里よ、ちょっと良いか?」
「はい?」
何やら静里に耳打ちすると、”ボンッ”と音がしそうなほど静里の顔が赤くなる
だが、次の瞬間顔つきを変えて
「巴さん!!
私にもあの服を作って下さい!
作るんです!
作りなさい!
作らないとは言わせません!」
巴に掴みかからんばかりの形相で訴える
「静里さん、怖い!
キャラが変わってるよ~!」
巴が涙目になっている
「星、静里に何を言ったんだ?」
「いや、大した事ではありません」
星はにやにやしながらはぐらかす
「一刀様はあの服装の女子が好みの様子
ならば、あの服装でいれば一刀様の寵愛を受ける機会が増えるやも知れんぞ」
星が言った言葉を俺が知ったのはずっと先の事だった・・・
(その二)
~巴視点~
反董卓連合で一兄を傷つけた左慈 とついでの道士
小百合ちゃん以上に許せない存在
その左慈を精神的に抹殺する作戦の実行準備を私は進めている
文字を書く 徹夜で書く ひたすら書き続ける
何を?それは
「太守を狙う刺客と謎の道士 ~禁断の果実~」
と云う題名の八百一本
静里さんと氷雨さんがこの手の話を愛読しているのは知っていた
二人は隠してるつもりらしいが、私から見れば何でバレ無いと思えるの?って感じ
だから二人に師事して、この話の執筆に掛かった
「腐腐腐
巴さんが仲間になったという事は、『天の御遣い』が加わったと云う事」
「腐腐腐
これで大陸中に八百一を広げられます」
「腐腐腐
これが世に出回れば左慈は大陸に身の置き所が無くなる」
計画は順調に進んでいる
私達は腐った気配(?)の笑いを浮かべながら作業を進める
後日
~干吉視点~
「なんだ、これは!!!」
左慈が怒り狂ってますね
原因は私が手に入れた物語「太守を狙う刺客と謎の道士 ~禁断の果実~」
まあ、文才は大した事が有りませんが題材が良いですね
「どこの誰だ!こんなふざけた話を書いたのは!!」
まあ、察しは付きますが左慈には黙ってましょう
何故ならこの話の最後に付けられた一言『続く』
私もこの続きを読みたいので
~あとがき~
建業に帰還した一刀達の一コマでした
一刀が真桜に頼んでいた物は敢えて伏せておきました
そんな驚く程の物ではありません
予測がつく方は御内密に
月と詠は原作と同じで侍女に
誑され済みの静里が暴走しました
稀に彼女はこうなります(前作でもそうでした)
巴の左慈抹殺計画です
これはコメントで予測されてました 慧眼恐れ入ります
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
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呉郡への帰還と日常の出来事③