霧ヶ原電鉄。
雪天駅を起点に、鍾乳洞で有名な霧ヶ原市まで向かう小さな軽便鉄道だ。
「それにしても、まさか親子そろって誘い出されるなんて思わなかったわよねwねえ唯?」
「そうよねー。あの鍾乳洞、一度見てみたかったのよねお母さんw」
電車の中で話をしているのは、北城唯・愛の母娘。
「でもいいの愛ちゃん?お仕事も大変でしょうに」
「またまた。誘ったのは美歩ちゃんじゃないw」
「そうそう。臨時休暇だからって張り切って周遊パス用意しちゃったのよねママってばw」
「まったく母ちゃんらしいって言うかw」
美歩・和美・雪歩の今河家も加わり、和気藹々としたムードである。
『まもなく、霧ヶ原市、霧ヶ原市です』
電車内の自動放送が鳴り響く。
「ほら、ここからバスに乗り換えるわよ」
「「「「おーっ!」」」」
さて、霧ヶ原市駅からバスで20分ほど。
やってきたのは
「へー、これが鍾乳石ね。なんか自然の神秘を感じちゃったわ」
「ねー」
と、感動する唯と和美。
「フラッシュは炊いてない…な。和美、唯!写真撮るぞーっ」
と、手持ちのデジカメで写真を撮影する雪歩。さすが写真家。うまいものである。
「ねえ、ところで愛ちゃん。あたしは有給だからあれなんだけど、愛ちゃんはよかったの?神社の仕事ほったらかしてきちゃって」
「あー、それなら代わりの人たちに頼んできてますからw」
「なるほど、この母にしてこの娘ありかwww」
「それって褒めてるのか
さて、鍾乳洞を満喫した5人。出口付近でソフトクリームを食べる。
「美味しい!この霧ヶ原ソフトって近くの牧場で作ってるのよね!」
「あたし5個いっちゃおうかな和美ちゃんw」
「なにをー!じゃああたし7個!」
「じゃああたし8個だもんね!」
「あら、じゃあママは10個よ」
「美歩ちゃんなんかに負けるもんですか!あたしは15個!!」
「「「「ぐぬぬぬぬぬ…」」」」
いがみ合う4人をよそに、5個のソフトクリームを注文した雪歩は思った。
(みんな5個ずつでいいじゃねーか…腹壊すぞ?)
そして、霧ヶ原観光を楽しんだ5人。
「今日は本当に楽しかったわ。ありがとう美歩ちゃん」
「いえいえ、どういたしまして」
「それじゃあまた明日ね唯ちゃん」
「明日は日曜だし、神社の中探検しようぜ!」
「うん!じゃあね和美ちゃん、雪歩ちゃん!」
…そして、愛と唯が帰宅したその直後、悲劇は起きた。
「…よりによって母娘二人そろって抜け出すたぁ…どういうことだいっ!」
「え、やだ…バレてるわよお母さん…」
「完璧な作戦だった…ハズよね?」
愛と唯は母娘そろって祭神・天洸の説教を喰らっていた。
「何が完璧だって?…まず唯!また優奈ちゃんと入れ替わったそうだね…」
「は、はい…」
「巫女がロケットパンチしたって言うからもしやと思ったがやっぱりか!」
「う…優奈ちゃん、余計なことをしなくてよかったのにっ…」
「それから愛!祐さんと入れ替わったそうだね?」
「ど、どうしてそれを!」
「肩を揉んでもらおうと思って呼び寄せたら当たったんだよ!あたしの頬に!よりによって女にあっちゃならない『モノ』がね!!」
「し、しまった、アレの存在を忘れてたわ…」
「どうするのよお母さん…?」
「こうなったら…逃げるのよー!」
「おーっ!」
「ちょっと待ちな」
「「ぐえっ!?」」
逃げようとした愛・唯母娘は障子戸に張られた結界に弾き飛ばされ逃げ出せない!
「二人そろって巫女の仕事を投げ出した罰だ。明日一日石像になって反省しな!!」
「「あっ…や、やめ、許し…いやぁぁぁぁぁぁ!!」」
あわれ、愛と唯は石像にされ、一日神社の境内に置かれることになった。
翌日。
「ふんふんふん…こんにちはー、愛さ…うわ!?」
いつものようにパトロールもかねて参拝に来たドラゴ郎こと龍野吾郎は、石像を見るなり一瞬面食らった。
「どうしちゃったの愛さん…唯ちゃんまで…って、なんとなく想像はつくけど…」
『こ、こっそり抜け出したのが…お天さまにバレちゃって…』
『罰として今日一日石像でいろっていわれました…』
「…やっぱりね。そんなことだろうと思ったよ…」
と、またかと言った様子でドラゴ郎はため息をついたのであった。
同じ頃、今河家。
「いたたたたたたたたた…こんなことならアイス20個なんて食べるんじゃなかったわ…」
「うう、あたしも欲張ってママと同じ20個食べたら、まさかこうなるとはぁぁぁぁ…」
と、母娘そろって腹痛になった美歩と和美。結局、美歩は今日の仕事もキャンセルせざるを得なくなってしまったのだった…。
「調子に乗って張り合ったりするからだ!…俺は5個しか食べてないもんね!」
「「め、面目ない…」」
結論。親が親なら娘も娘。お後がよろしいようで。
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だから、どんな工作してもダメなんですってばw
お天さまの目はごまかせないぞ!w
■出演
愛:http://www.tinami.com/view/744298
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