No.78419

真・恋姫†無双IF 一刀が強くてニューゲーム? 第五話・前編

しぐれさん

前回も多くのご支援にコメント、ありがとうございます。

大変長らくお待たせしましたが、ここに第五話“前編”をお送りします。

今回は後書きもあります。

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2009-06-11 15:26:45 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:5830   閲覧ユーザー数:4521

 木々と空しかない荒野を進みながら、俺達は各方面へと斥候を放って黄布党の動きを追う。

 俺一人では手に余るような指示だが、朱里と雛里に殆どを任せたおかげで事は順調に運んでいる。おかげで俺は暇が出来てやる事がないぐらいだ。

 それでも、これからは戦いがある。遠くない過去の自分を思い出して少し物思いに耽っていると、抜けるような空が目に入った。

 

「……空が青いなぁ~」

 

 考え込んでいた所にこれだ、思わずのんきな呟きも漏れるというものだろう。仕方ないと思うのに、それを良しとしない真面目っ子から避難の声が飛ぶ。

 

「ご主人様、のんびりし過ぎだよ~」

「桃香様の仰る通りです。戦いは目前なのです、気を引き締めてください」

 

 俺の物思いを感じるようなエスパーじゃあるまいし、仕方ない事だ。しかし、愛紗だけかと思ったが、桃香にまで注意されるとは。そこまで緩んでいただろうか?

 

「……すまん」

「にゃははは! お兄ちゃん怒られてやんのー」

「うーん、どうにも戦いに対するお決まりの実感がなくてね」

 

 一度戦場を経験して血の熱さも肉を切る感触も知ったはずなのに、不思議と平静でいられるのだ。

 もちろん、恐いとも思うし気負いはあるけど、何かいつもと少し違うように思う。

 慣れない感触に嫌悪感も不快感もあるのに、覚悟の度合いが違うと言うか、戦えるような気がするのだ。

 

「戦場に出てさ、戦う事も指揮を取る事も経験したし、怖い思いもした。けど、なんだろうな…今までと違って、頑張れる気がするんだ」

 

 自分でも不確かな気持ちをそのまま言葉にしてみる。

 戦い、指揮を取る事で何を経験したか?

 戦っているのは人だった。俺達と同じ、人。日々、苦しくても生活を営み、大切な人たちと暮らしている。生きないといけないだろうに、戦いとなると武器を取る。それは、敵味方関係なく全ての人に当てはまる事。

 野盗に身をやつすのも、また然りだ。安寧を脅かす存在となった以上、倒さねばならない。でも、彼ら自身も野盗にならずに済むならば…どうだろうか。

 そこに感じたものは必要性で、抱いた覚悟が改まる。

 

「……結局、俺も相手も同じ人間だと言う事で。何故戦わないといけないのか、とか思ったけど…当然だよな、戦わないと生きていけない。何故生きていけないのか、それは、今が戦乱の世の中だから」

 

 ここにしてやっと、実感が伴ってきたと言う事なのだろう。今までは何度聞いても感じても、どこかで他所事のように捉えていたのかも知れない。今ならはっきりと言い切れる、変えなくてはいけない。変える力はある、あとは行うだけだと。

 犠牲はある。どれだけ減らそうと努力しても、それは無理だ。力を伴って行動する以上、それは避けられない。

 でも、それで尻込みして何もしないようでは駄目だ。戦乱は収まらず、犠牲は増えるだけ。先に待つ未来が、少しでも良い未来だと確信があるから――。

 

「だから変える。思いがあって、力があって……今、いよいよ実行する時が来たと思うんだ。だからかな、やれるって思う」

「ご主人様……」

「はは、ごめんな桃香、優柔不断で。足りなかった覚悟が、漸く抱えられたよ。これを乗り切って、俺達の誓いを実現する為にさ」

「……うん」

 

 一瞬沈んだ表情を見せる桃香に、努めて明るい口調を作って言う。桃香も分かっていたのだろう、頷いた時、微かに目が潤んでいたのを俺は見逃さなかった。

 桃香のことだ、少しの犠牲も認めがたいのだろう。やはり優しすぎるのかも知れないが……それはとても大事だと思う。

 今は犠牲を生んでも、いずれは…。

 

「今より良くなる。いや、してみせる。だから…」

「うん、変えなくちゃいけないもん。止まっている暇はないんだよっ」

「…だな」

 

 やっぱり強かだな、なんてちょっと場違いな事を考えつつ、桃香の頭を撫でる。桃香自身も色々考えているのだろう、少しずつ背負う覚悟ができてきているようだ。

 少し悲しい事だが、同時に頼もしくもある。

「……いつまで撫でているのですか?」

 

 

 と、気持ちよく撫でている所に、背筋に寒さを感じる声。振り向けば、愛紗が何とも湿度の高そうな目でこちらを見ている。

 あれ、今ってなかなか感動的なシーンじゃないかな? 少なくとも、俺が責められる雰囲気ではないはず…。

 

「ご主人様も桃香様も、こんな時に何を暢気に…」

「ま、まぁまぁ、変に鯱ばるよりはずっと良いですよ」

「兵士達は上に立つ者の気分や態度を見ていますから。ご主人様の動じない態度はきっと良く映ってます」

 

 軍師二人の言葉が暖かい。

 うぅむ……桃香も鈴々もただ笑っているだけだし、俺に味方してくれるのは君達だけだよ……。

 

「ふん、贔屓の引き倒しではないのか?」

「……愛紗、何気に酷いな?」

「でれでれしてないでもっとしっかりして欲しいという、可愛い部下からの諫言です」

 

 容赦無いなぁ。でれでれなんてしてないはず。

 ……してないよな?

 

「愛紗のホンネが出たのだ」

「むっ、う、うるさいぞ鈴々! お前も場を弁え――」

『申し上げます!』

「何だ!?」

『ひっ!? あ、あの…』

 

 鈴々に説教の一つでもしようとしたのだろうか?

 そこに割り込む形となってしまった伝令兵に、怒りの矛先が向いた。凶悪な視線を受けた伝令兵は硬直して足が竦んでしまっている。

 ……無理もない。

 

「あー、愛紗。伝令さんが怖がってるぞ?」

「わっ、分かってます……すまない、何だ?」

『は、はっ! ここより前方五里の所で、黄布党と思しき集団が陣を構えております! その数約一万!』

「い、一万だって!? ちょっと多すぎるな…」

 

 伝令内容を伝え聞くや否や、それまでの緩んでいた空気が一瞬で引き締まる。いよいよ戦闘前というだけでなく、戦力差もあるからだろう。

 こちらの兵は六千、そのまま当たれば苦戦は免れないだろう。

 かといって撤退するという選択肢は取れない、敵がいた以上は引けないのだ。もし引こうものならば、黄布党討伐という大義名分で集まってくれた義勇兵達が俺たちを見限るだろう。

 とは言え、当初の方針通り大勢力を避けるのは当然ではある。どうしたものか、早速頭が痛い問題だ。

 

「んー……むむむ…?」

「あ、あの…」

「うん?」

 

 伝令兵から詳細な報告を聞きつつ、どう戦うえば良いかを考えていると、雛里から声がかかった。

 朱里の後ろに半身を隠れさせてはいるが、その手はクイクイと俺の袖を引いている。

 

「どうかした?」

「だ、大丈夫です…きっと勝てますから…」

「え? でも、相手は俺達の二倍近い兵力だよ?」

「それぐらいなら大丈夫です…」

 

 おずおずとしながらも、雛里はしっかりと俺の目を見て頷いた。

 

「私達は数こそ劣りますが勇将が揃っていますし、義勇兵の皆さんの士気も高いですから…」

「でも、戦いは数だろ? 単純計算だけど、味方の兵一人に対し向こうは二人で当たれるから、苦戦は必死じゃないか?」

「それは……えと、わ、私達が居ますから…」

「ん?…どういう事だ?」

「あわ…あぅ…」

 

 今の説明で腑に落ちなかったのか、愛紗が疑問を口にする。

 しかし、雛里は答えるでもなく、オロオロと辺りを見回すと俺の背中へと隠れてしまった。

 

「…あーあ」

「愛紗ちゃんが泣ーかせたー」

「愛紗、雛里を怖がらせたらダメなのだ」

「愛紗さん……」

「ええっ? そんな、わ、私は怖がらせる気など……普通に聞いただけではないか!?」

「ひぅ…」

「あぁ、よしよし、大丈夫だぞー。怒っている訳じゃないからねー」

 

 愛紗の大声での弁解に、さらに身を縮こまらせる雛里。

 何気に皆ひどいな、愛紗を煽るとは。ますます雛里が怖がるじゃないか。

 背中に隠れる雛里に手を回して、慰めるようにゆっくりと頭を撫でていると、

 

「う…むぅ……私の口調はそれほどキツく聞こえるのでしょうか…」

 

 よっぽど心外だったのか、愛紗が凹んで口を尖らせている。

 こういうところは可愛いのに……不憫だ。

 

「あははっ、大丈夫大丈夫。愛紗ちゃんは怖くないよー? ただちょっぴり真面目なだけだもんねー」

「ううう…助け舟になってませんよ、桃香さま…」

 

 桃香が慰めるのも、あまり効果が無いようだ。まぁ、否定というよりは置き換えただけという事に気付いているのだろう。

 

「……と、ともかくですね。こういう時にこそ、私と雛里ちゃんが役に立つと思うんです!」

 

 埒が明かないと判断したのか、やや強引に話を進める朱里。雛里もコクコク頷いているし、まぁよしとしよう。

 

「本来は敵より多くの兵を用意するのが用兵の基本でしょう。しかし、それが無理である以上、戦力の差を覆すには策あるのみです。ですから、私達が勉強してきた事が役に立つかと」

「べんきょーって、朱里達は何をべんきょーしてきたのだ?」

「あわわ…えと…孫子、呉子、六韜、三略、司馬法……それと九章算術、呂氏春秋、山海経……あとはいくつかの経済書と民政書です…」

「うわー! それ全部勉強して覚えたの?」

「はい…」

 

 自信無さそうに頷く雛里。いや、すごいってものじゃないな。学校で聞いたことあるものは当然、名前程度しか知らないものまで覚えているとは。

 伏龍と鳳雛は天才で、かつ努力家という事か。

 

「すごーい! 愛紗ちゃん愛紗ちゃん、この二人ってば、もしかしてとてもすっごい人かも!」

「そうなのですか? 孫子の兵法書は私も読みましたが、その他の書籍は名前も聞いたことがありません。いったいどのような書籍なんですか?」

「ええと…孫子、呉子、六韜、三略、司馬法は全て兵法書です。あとは算術、農政学、地理書…それと経済学の本とか、民を治めるための本などです」

「うへー、すごいのだー。朱里達は完璧超人なのだなー」

「そ、そんなことないですよぅ……えへへ…」

 

 皆に絶賛されて嬉しかったのだろう、謙遜しながらも頬は緩ませて微笑んでいる。雛里も帽子を深く被っているが、見えている耳は真っ赤だ。

 

「うんうん。それじゃ皆に実力を認められた所で、数の差をひっくり返す策を教えてくれるかな?」

「はい、えっとですね…伝令さんによれば敵軍が陣を構えているところは五里先との事ですが、そこは衢地となっています」

「くちー? くちって何なのだ?」

「衢地とは、道が収束している場所の事です。いわゆる交通の要衝ですね」

「なるほどな…」

 

 道が収束しているということは、物資を配備しておくのにいい場所と言えるだろう。何かあればすぐに補給物資を各方面に送ることができる。

 

「そんな重要な場所に兵が一万しか配置されてないとは……何だかなぁ?」

「だからこそ、敵が雑兵だと判断できるのですよ。そして、そここそが私達の狙い目かと」

「どういう事ー?」

「…敵は私達より兵力は大きいですが、雑兵でしかありません。またその雑兵が守っているのは黄布党全体でも重要であろう地です」

「そこを破れば、私達の名は否応無く高まります。だからこそ、これは千載一遇の好機」

「…更に、私達は敵よりも寡兵。そんな部隊が現れた所で敵は獲物と思いこそすれ、恐れはしないでしょう…。そこが付け入る隙です」

「ほう、なるほど…。敵を油断させ、策を持って打ち破る、と、そう言いたいのだな?」

「はっ、はひ!」

「……いや、そんなに緊張しないで欲しいのだが」

「あわわ……ごめんなさいです…」

 

 要約する愛紗に、再び怯える雛里。戦術を話すときの饒舌さとは大違いだ。やはりまだ怖いのだろうか。

 にしても……話しかける度に怖がられる愛紗。

 くぅっ、不憫だ…。

 

「よしよし、愛紗は見た目と違って凄くやさしい子だからねー。怖がらなくても良いんだぞー」

「……ほぉう、私の見た目は怖いと、遠回しながらそう仰るのですね、ご主人様は」

「えっ、い、いや違う! そういう意味じゃなくてな!?」

 

 またじっとりとした目で睨まれる俺。おかしい、フォローしたはずなのに…。

 ただ誤解を解こうとして……俺、何か悪い事した?

 

「もーそんなのどっちでもいいのだ! さっさと方針を決めて戦うのだー!」

 

 長い話に飽きたのか、この期に及んで騒ぐ俺達に呆れたのか。

 おそらく両方だろうが、痺れを切らした鈴々が癇癪を起こす。うーん、お前も一緒に騒ぐタイプだと思っていたのにな。

 

「そーだよーご主人様。愛紗ちゃんとイチャイチャするのは後にしてねー」

「と、桃香さまっ!」

「……あー、分かった。後にするから、話の続きを聞かせてくれるかな?」

「ごごっ、ご主人様まで!?」

 

 桃香にまで注意されてしまっては、黙るしかない。

 愛紗が何かあたふたとしていたが、取りあえずは無視だ。面白いし、からかってやりたいが……それでも我慢だ俺!

 

「…それで朱里、雛里。具体的に策とは?」

 

 数々の誘惑を鋼の意思と舌を噛む事で何とか無視し、小さな軍師二人に続きを促す。

 

「そうですねー、まず第一に敵を陣から引っ張り出す事」

「…その後、野戦に持ち込む事。ですが、平地で対峙することは避けます」

「数で負けているなら、数で負けない状況を作り出すんです」

「ふむ…数で負けない状況をね…そんな事可能かな?」

 

 朱里と雛里の交互の説明に考える。大軍を相手に平地で戦っては数に押されるのは分かる。自由に展開され、包囲でもされたら大変だ。

 ではどうするか。どのようにそんな状況を組み立てるか…。

 

「ふーむ、衢地だから…道の狭いところを利用するって所か?」

「はわわ…その通りですぅ!」

「あわわ…先に言われちゃいました」

「おぉー、さすがご主人様、正解だったみたいだね!」

「いや、まぁ、それほどでも…」

 

 褒められるとどうにも照れくさい。出された情報から推測しただけなのに、ここまで持ち上げられるとはなぁ。

 

「しかしご主人様、我らの行く先にそのような場所がありますか? 目の前には荒野が広がるばかりですが…」

「む…それもそうか……」

「あ、あの…ありますよ?」

「ここより北東へ二里ほど行った所に、干上がった谷があります」

「ええっ? 地図には載ってないのに、そんな所があるのー?」

「はい、市販の地図は主要な街道や山しか書いてませんから、分からないのも当然です……」

「正確な地図は漢王朝や官軍しか持っていませんから。幸い私も雛里ちゃんも水鏡先生の伝手で、正確な地図を見ましたから覚えています」

「はへー…すごいのだ…」

 

 言われてみれば、こういう時代では地図を作るのは現代以上の労力だったと聞く。

 今の場合も、地方の有力な諸侯ならば独自で作ったりしているのだろうが、新進の桃香たちや、勢力はあれど小さい白蓮たちでは手に入れられないのだろう。

 白蓮の城下町で買ったこの地図も、その影響というところか。

 

「さすがだな二人とも。えらいぞっ! 伏龍と鳳雛の名は伊達じゃないな!」

「はわ…そんな、大げさですぅ…」

「あわ…きょ、恐縮です…」

 

 遺憾なく能力を発揮してくれる二人に、嬉しくてつい、頭を撫でてしまう。

 この感触はなかなか…うーん、二人とも真っ赤になって、可愛い…。

 

「……ご主人様?」

「はっ!? ……ゴホン。じゃあ、その峡谷に敵を誘い込むとしよう。どうやっておびき出そうか?」

 

 物理的な冷たさを伴った声に、思わず姿勢を正す。これはヤバイ、そろそろ堪忍袋の緒は限界と見える。

 首元に触れている青龍刀をそっとどけると、真面目な声を作って目を白黒させる二人に問いかける。

 

「か、簡単です…。敵陣の前に全軍で進軍し、後は逃げるだけです…」

「…ふむ? なるほど、敵を釣ろうという訳か」

 

 雛里の言葉少なな説明にも関わらず、愛紗はそれで理解できたのだろう。厳しい顔を真面目な表情に変えて頷く。

 

「そういう事です。幸い…というと語弊がありますけど、私達の軍はどう見ても官軍や正規兵には見えません。黄布党からすれば格好の獲物に見える事でしょう」

「…だよなぁ。悲しいけど」

 

 朱里の補足説明に頷く。悲しいかな、俺達の軍は白蓮に武器や兵糧を工面してもらって漸く形になっているようなものだ。

 意気軒昂で士気は高いが、それだけに寄せ集め集団が見せる一時の勢いのように取れるだろう。

 

「元々、黄布党は義憤で立ち上がった集団ですが、それはあくまで中央の一部の人に限っての話。構成するのは食い詰めた農民でしょう。欲望のままに襲ってくる可能性が大です」

「奪い尽くすために、容赦なく襲ってくるだろうな。しかも後腐れ無いよう徹底的に殺しつくすように……」

「…だからこそ、だよ。だからこそ、私達がコテンパンにやっつけて、食い止めないといけないの!」

 

 暗い表情になる俺達に、桃香が拳を強く握り締めながら、熱のこもった言葉で話しかける。言葉以上に熱い光が瞳を輝かせていた。

 その瞳に、その言葉に、誰しもが同じ思いを抱いてるのだろう、皆の目に炎を宿らせる。

 

「……そうだな。獣にも劣る行為だ、許すわけには行かない。愛紗、前衛を率いて釣り役を。状況を見極めて峡谷に誘い込むんだ、頼むぞ」

「御意!」

「鈴々は後衛についてくれ。移動する部隊の殿を任せる」

「前衛が良かったけど…仕方ないのだ、次は鈴々が前衛!」

「はは、分かった分かった」

 

 鈴々の言葉には頼もしさを感じるが……猪突猛進の気があるのはやはり、張飛らしい。まぁ、納得してくれてよかったか。

 

「鈴々の補佐に朱里が付いてくれ。俺と桃香で本陣を形成、補佐は雛里、頼む」

「はいっ!」

「御意です!」

「りょーかい! あ、でもご主人様……今回も指揮だけにする?」

 

 心配そうな表情で聞いてくる桃香。先程俺の決意を話したとはいえ、やはりまだ心配が勝るといったところか?

 先程までの俺なら渋々でも頷いていただろう。しかし、今こうしてここに立っている俺は、頷かない。

 

「いや、今回は出る事も考えてるよ。まぁ、出番は少ないかもだけどね? でも一応、本陣の事は桃香と雛里に任せるよ」

「そっか。うん、任せて!」

「が、頑張ります!」

「ありがとう。頼んだよ!」

 

 しっかりと覚悟を受け止めてくれる二人がありがたい。縁起じゃないかも知れないが、これなら俺がいなくても心配は要らないだろう。

 

「ふふ、ご主人様まで出番が回ればいいのですが」

「鈴々も、お兄ちゃんに敵が行く前に倒してやるのだ!」

「私の策ですと、ご主人様の活躍は難しいですね」

「言ってくれるね。これは負けられないな!」

 

 戦場に立つというのに笑ってくれる三人が頼もしい。これは本当に俺の出番は無いかもしれないな。

 

「じゃあ方針も決まった事だし、みんなー、敵さんめがけて微速ぜんしーん!」

 

 桃香の気の抜けそうな号令に、俺達をはじめ部隊のあちこちで笑いが漏れる。

 気を引き締めるべき場面で普通ならあり得ないだろうが、俺達らしくてちょうどいい気もする。気分転換にもなったのか、全軍から落ち着いた雰囲気が感じられた。

 これなら、初陣で緊張しているだろう義勇兵も全力で戦えるだろう。

 後は俺達次第だ。

 

「よし、行こう!」

 

 桃香に頷き、一度皆を見回してから、大きく一歩を踏み出した――。

 荒々しい風が俺達の旗を靡かせていく。動同意と更新する俺達の前に、放っていた斥候が情報を携えて戻ってくる。

 

『前方、敵陣に動きあり!』

「よし。愛紗、鈴々!」

「御意! 全軍抜刀、これより作戦に移る!」

『応!』

「まずは敵の攻撃を受け流し、隙を見て転進、後退するのだ!」

「そして、ここより二里後方の峡谷へと誘い込む。それまで戦いは極力避けて移動するぞ、各員、指示を聞き漏らすな!」

『応っ!』

「これが初陣になる人も居るだろうけど…頑張ろう! 頑張って、黄布党をぶっ飛ばして、平和な世の中を掴み取ろう!」

『おおぉぉぉーっ!』

『敵陣開門! 敵部隊、来ます!』

「よし、行くぞみんな!」

「御意! 勇敢なる北郷の戦士達よ、我に続けぇーっ!」

 

 愛紗の雄叫びに呼応するように、兵士達が咆哮を上げて突撃する。大地を揺るがすそれに、前方からは対抗するように土煙が舞い上がった。

 そして、ここまで聞こえてくる金属の噛み合う音。ついに先陣が激突したようだ。

 

「……」

 

 眼前で繰り広げられる、凄惨な銀と赤の乱舞。それは怒号と悲鳴を巻き込んで、粉塵を背景に花咲くように広がっている。

 笑いそうになる膝を叱咤し、抱き直した覚悟を胸に、俺はそれをじっと見つめる。

 

「……まだか」

 

 前線のぶつかり合いは激しさを増し、段々とこちらが押され始めていた。

 戦力差が響いているのか、ここにきて経験の差が出てきたのか…どちらにせよ、危険だ。ジリジリと押されてくる兵士達の様子に、焦燥感が湧き上がってくる。

 

「マズイ…。雛里、まだ下がれないのか!?」

「まだです、まだ敵の後方部隊が釣られていません…! あと少し、耐えて下さい…」

「耐えるって…今はまだ大丈夫だけど、このままじゃ前線が崩壊しちゃうよ~…」

「まだ大丈夫です、愛紗さんが奮闘してくれてますから…」

 

 雛里の言葉に旗を探せば、関の字は健在だった。押されていた前線だが、旗を中心に頑強に抵抗しており、下がる速度を落としている。

 とはいえ、それもいつまで続くか……心配が募る。

 とそのとき、旗の周囲で歓声が上がった。

 

「!! 押し返してる!?」

「きっと、愛紗ちゃんが頑張っているんだよ!」

 

 歓声は一気に広まり、先陣の勢いが増す。

 それは、一時的に前線を支え、何とか前線を持ち直すまでとなった。

 

「何とか持ち直したか!」

「はい…。ですがご主人様、このままでは再び押されるのも時間の問題です。本隊の半分を前線に投入しましょう!」

「分かった、桃香! …いや」

 

 桃香に指示を出そうとした所で思いとどまる。

 今ここで欲しいのは勢いだ。敵の攻撃を押し返す事が出来れば俺達に引く時間が出来る。そして、押し返された敵は俺達を強敵と見て後方部隊を投入する可能性が高くなる。

 その為には、前線には先頭を切って戦い、士気を上げる事が出来る者。本陣には落ち着いて全体を後退させることが出来る者が必要だ。

 

「…俺が出る」

 

 条件的には俺が出るのが最善だろう。

 自惚れながら、俺ならば先頭を切る程度の腕はある。逆に、桃香に全体の指揮を執らせれば部隊が慌てることなく後退できるだろう。雛里の補佐もある。

 

「俺がそのまま前線を押し返すから、桃香と雛里で後退の指揮を頼む」

「そんな、ご主人様!?」

「……」

「条件的に俺が出るのが一番だ。前線を押し返すんだ、士気を挙げるためにある程度戦える者が必要だ。それに、本陣には落ち着いて後退してもらわないと困る」

「でも…」

「…はい、分かりました」

「雛里ちゃん!?」

「ご主人様の言う通りです。ご主人様が前線、桃香様が本陣を率いるのが最も成功率が高くなります」

「そうだけど、それじゃご主人様が…」

 

 雛里の説明でもってしても、桃香はまだ納得がいかないようだ。

 にしても、雛里は今の俺の説明で納得してくれたのか、元々理解していたのか……間違い無く後者だな。

 

「危険なのは重々承知だ。でも、今はそうするべきなんだよ、桃香」

「……分かった。でも約束して、絶対に無事で帰ってくるって」

「勿論、こんな所で終われないよ!」

 

 引いてくれてなお、心配そうな桃香に頷く。

 二人とも俺に任せてくれたんだ、後は俺次第か。改まった覚悟が早速試されるという訳だ。

 

「…じゃ、言ってくる」

「うん、絶対帰ってきてね!」

「どうかご無事で…」

「ああ。……よし、俺の直衛と本隊の偶数隊は抜刀!」

 

 初陣以来抜かなかった剣を抜き、天高く掲げる。隊の皆もそれに習い、各々剣を突き上げる。

 

「これより、関羽将軍に加勢する! 俺に続け!」

『おおおぉぉーーーっ!』

 

  掲げた剣を振りって前線を指し示すと、一気に駆け出した――。

 

 

『関羽様! 後方より本隊の一部が前進してくるようです!』

「桃香様か! 我らの援護をして下さるのか…これでもう少し戦えるな!」

『い、いえ、それが…旗印は十文字です!』

「な!? ご主人様だと!? ……いやそうか!」

『か、関羽様! 敵軍の後方に砂塵が…て、敵の援軍です!』

「怯えるな! これこそ我らが望んでいた展開だ! 良いか、ご主人様の軍と協力して一気に押し返す。その後部隊を反転させ、後退に移るぞ!」

『はっ!』

 

 

『報告! 敵本陣に動きあり! 後方部隊が出撃しました!』

「よし、ついに釣れたか! 伝令さん!」

『はっ!』

「後衛に援護の打診を! 打ち合わせた通りに動くよう伝えてくれ! その後本陣へ後退準備に入るようにと!」

『御意!』

 

 

『前線より伝令!』

「おー、何なのだ?」

『これより北郷様、関羽様の部隊が後退してきます。張飛様はその後退を援護しつつ、作戦を実行せよとの事です!』

「応、なのだ! やっと出番がきたーっ!」

「頑張ってね、鈴々ちゃん」

「任せるのだ! 朱里も頑張れよー」

「うん! 部隊の後退指揮は私に任せて、鈴々ちゃんは殿の戦線維持に集中してね」

「了解したのだ! それじゃ行こう、朱里!」

「はいっ!」

 

 

「! 桃香様、伝令さんから報告が…。これより前衛は後退するようです!」

「分かった! それじゃ私たちも後退の準備をしなくちゃ。 雛里ちゃん、指揮を任せてもいいかな?」

「えっ、桃香様は…?」

「私は待ってるよ…」

「……分かりました。しっかりと迎えてあげて下さいね…」

「うん、ありがとう!」

 

 

 ついに戦況が動き始める。各々に指示は飛ばした、後は俺達前線の動きにかかっている。

 

「見つけた! 愛紗!!」

「ご主人様! 言いたい事は後です、まずはこの場を切り抜けましょう!」

「ああ! よし、行くぞ!」

『おおおぉぉーーーっ!』

 

 膠着の様相を見せる前線に、新たな波が押し寄せる。

 俺も抜き身の剣を引っさげ、愛紗の隣へ踊りこんだ。

 

「はぁっ!」

「せぇいっ!」

 

 愛紗と即席の連携を組んで、周囲の敵の掃討にかかる。即席ゆえに複雑な動きは出来ず、お互いの背後を守って援護する程度だ。

 これから、俺の覚悟が問われるかと思うと、やはり緊張してくる。今のところ平静は保てているが、一人目を倒した時にどうなるのか……自分の事ながら想像がつかない。

 しかし、それは杞憂に終わった。

 俺が現れて数合切り結ぶやいなや、一人も倒れぬうちに敵は後退を始めたのだ。

 

「ご主人様、今です」

「……あっ、ああ! 全軍、一当てした後に後退だ!」

『応!』

 

 策が読まれたかと驚きはしたものの、どうやら後方との合流のために下がっただけらしい。敵の雰囲気に怯えや警戒の色は無いように見える。

 当然その隙を逃す俺達ではない。攻勢の止んだ隙に突撃体制を取ると、一当てして返す勢いで続々と転進してゆく。

 

「よし。愛紗、後退しよう!」

「御意!」

 

 最後まで残っていた兵士が転進するのを確認し、俺達も後退に移った――。

「ご主人様! 愛紗ちゃん!」

 

 援護に出てきた鈴々の部隊とすれ違うように本陣へと向かうと、思いもよらぬ出迎えを受けた。

 

「「桃香(様)?」」

「うん、待ってたんだよー!」

 

 愛紗と異口同音に出迎えの者の名を呼ぶ。てっきりすでに後退済みだと思っていただけに、驚きもひとしおだ。

 

「後退したんじゃなかったのか?」

「だって、ご主人様も愛紗ちゃんも心配だったもん。特にご主人様は、戦ったら倒れちゃうような人だし」

「うぐ……」

 

 痛いところを突いてくる。

 助けになるかと愛紗を見やれば、苦笑して肩をすくめているだけで、桃香の言葉自体は否定する気は無いようだ。

 

「無事でよかったよー、お帰りなさい、二人とも!」

「あ、あぁ…ただいま」

「お待たせして申し訳ありません」

「うぅん、二人とも無事に帰ってきてくれたからいいの!」

 

 笑って首を振る桃香。その目にはうっすらと涙がにじんでいるようで、しかし、とても嬉しそうで……何も言えなくなる。

 

「ご心配ありがとうございます、桃香様。しかし、戦いはこれからが本番です」

「…そうだな、安心するのはまだだ、早く後退しよう」

「あ、そうだったね、早く下がろう! 二人とも、大丈夫?」

「ああ、まだまだ行けるさ」

「勿論です。少々暴れ足りないぐらいですよ」

 

 息一つ切らした様子のない愛紗にはまだまだ余裕が見える。俺も一当てして数合切り結んだ程度だ、疲れは感じない。

 

「じゃあ、ご主人様!」

「ああ、反転しよう。…雛里、部隊の後退指揮をお願い! 愛紗は鈴々の後方について補佐してやってくれ! 俺と桃香は本陣に詰めよう!」

「はいっ!」

「りょーかい!」

「御意です! ご主人様、どうかご無事で…。桃香様もお気をつけて下さい。…では」

 

 力強く頷いた後、一礼して駆けてゆく愛紗。その背を見送って準備に入ろうとした所で、桃香が話しかけてきた。

 

「…愛紗ちゃんってば、ご主人様スキスキーって視線で物語ってるねー…」

「そうか? 桃香心配視線の間違いじゃないか?」

「うーん、それも確かにあるかもだけど…」

「だろう? ははっ、お互い、それを杞憂で済ませないとな」

「……鈍いんだから」

「うん? ごめん何だって?」

「う、うぅん! 頑張ろうねって言っただけ!」

「おう。じゃあ、部隊を動かそう!」

 

 桃香が小声でなんと言ったかは聞こえなかったが、桃香の事だからおそらく気合を入れ直していたんだろうな。

 指示に戻る桃香を一度だけ見ると、俺も指揮を執るために本陣中心へと向かった――。

「華琳様、西方にて砂塵を確認しました。……おそらく黄布党とどこかの軍が戦っていると思われます」

「ありがとう秋蘭。この辺りの敵に目をつけたとなると、功に逸る官軍ではなさそうね」

「恐らくは。主戦場から離れていながら重要なこの地点に目をつけるなど、目先の利に囚われる官軍に出来るはずがありません」

「私も桂花と同意見です。諸侯にもなかなか目端の利く、見所のある人間が居るという事でしょうな」

「ふむ。……面白い、一度顔を見てみたいわね」

「今すぐ向かいますか?」

「そう急く事はないわ春蘭、まずは目の前の事を片付けましょう。…春蘭、秋蘭、桂花」

「はっ!」

「は…」

「はい…」

「奪うしか脳のないケダモノに、恐怖という名の躾を施してあげなさい」

「「「御意!」」」

「――後方の状況は!?」

「大丈夫! 鈴々ちゃん達が追い払わない程度にうまく引っ張ってくれてるよ!」

「よし! 雛里、目的の場所までどれぐらいだ?」

「もう目の前です! あと少し…」

「分かった! ……伝令さん!」

『はっ、こちらに』

「先行する部隊に反転の準備をさせて。峡間の所で二手に分かれて待機、殿が通り過ぎた所で反撃に移るって伝えて!」

『御意!』

 

 走り去る伝令を見送った後、そのまま後方の様子を眺める。

 朦々と砂塵が立ち込めていてはっきりとは見えないが、その砂塵のおかげで殿が上手く敵を釣ってくれている事が分かる。

 

「桃香! 雛里! 俺達も反撃の準備に移るぞ!」

「りょーかい!」

「はいっ!」

 

 帽子がずれ落ちそうなほど力強く頷いた雛里が、その体躯からは想像もできないほど大きく、澄んだ声を張り上げる。

 

「では皆さん、峡間を通り過ぎた所で一斉に回れ右をしましょう! その後、一度深呼吸をして、落ち着いて殿の人と交代します」

『応っ!』

「勢いづいた敵の初撃をはじき返して、そのまま峡谷を利用して各個撃破に移るからね! みんな、一緒に頑張ろう!」

『おおぉぉぉーーー!』

 

 追従して鼓舞する桃香の声に、兵士達は高らかに答える。

 部隊の中に広がっていく、みんなが一体となったかのような雰囲気に気分を高揚させつつ、決戦の時を待つ。

 道の両側に見えていたそそり立つ壁が段々と眼前に迫り、それは視界を横に通り過ぎた後、横に大きく広がりを見せる。

 

「そろそろだな、雛里!」

「はい、ここなら大丈夫です!」

「じゃあみんな、回れー右っ!」

 

 桃香の号令に兵士達はみんな足を止めると、その場で一斉に反転する。その一糸乱れぬ精緻な動きからは、最高潮まで高まった士気が感じ取れた。

 

「ではみなさん、深呼吸してくださーい!」

 

 雛里の言葉に、兵士達の息を吸い込む音が峡間にこだまする。その音が止んだ途端、兵士の顔には高まった士気を失わないままに、穏やかな表情が浮かんでいた。

 冷静さを保ったまま気概を持ちつつけている。戦いに臨む上ではこの上なく良い精神状態と言えるだろう。

 

「…これならやれる!」

「うん! じゃあみんな、まずは愛紗ちゃんたちを迎え入れるよー!」

「その後、追撃してくる敵を押し返して、いよいよ反撃開始です!」

『おおおぉぉぉーーー!』

 

 いよいよ始まる反撃に、これまで防戦一方だった兵士達から雄叫びが上がった。

 

「あわ…あうぅ…」

 

 その剣幕に圧倒されたのか、呼び水となった雛里が俺の背中に隠れてしまう。

 

「大丈夫大丈夫、怖くないよ」

「あわわ…だ、大丈夫です…。別に怖がってなんていませんから…」

 

 言葉の割には裾を掴む手に力が入っていて、そんな意地を張っている姿は何とも可愛いのだけれども。

 思わず出そうになった微笑を何とかかみ殺して、軽く頭を撫でてやる。

 とその時、桃香が緊張した声を上げた。

 

「ご主人様、愛紗ちゃん達が来たよ!」

「分かった! みんな、間隔を開けて待機! 愛紗たちが通り抜けた後、すぐに前線を構築して敵の初撃を押し返すんだ!」

「来た! 愛紗ちゃん! みんなも!」

「桃香様! ご主人様!」

「ただいまなのだ!」

「お待たせしました!」

 

 部隊を率いて駆けてくる愛紗、鈴々、朱里の無事な姿が見えて、分かっていた事でも安堵のため息が出る。

 

「良かった、みんな無事だな!」

「はっ!」

「うんっ!」

「はいっ!」

 

 返ってきた三者三様の返事には、多少の疲れはあるのだろうが、それ以上の意気込みが感じられた。

 

「よし、それじゃ反撃に移るぞ!」

「待ってましたー! そろそろ我慢も限界なのだ! お兄ちゃん、おもいっきりやってもいいよね!?」

「おう! 次はこちらの攻める番だからな、好きなだけ暴れてやれ、鈴々!」

「合点なのだ! へへっ、鈴々ちょっとだけ本気出しちゃうもんねー! 愛紗、今回は愛紗の手柄も鈴々が頂くのだ!」

「言ってくれるな。私もまだまだ動ける、そう簡単には譲らんぞ!」

「望む所なのだ! じゃあみんな、行っくぞー! 突撃、粉砕、勝利なのだ!」

『おおおぉぉぉーーー!』

 

 今まで殿と言えど活躍の機会がなかったのだろう、勇ましく周りを鼓舞しながら鈴々が、勢いよく敵の先鋒へと駆けてゆく。

 その背を愛紗が、鼓舞された兵士達が追いかける。

 慢心は良くないのだろうけど…これは勝ったと早々に思えた――。

 

・後書き

 

 ありがとうございました。

 「真・恋姫†無双IF 一刀が強くてニューゲーム? 第五話“前編”」をお送りしました。

 少しでも面白いと感じていただければ幸い…なのですが、この話は“前編”とあるとおり、まだ終わっていません。

 

 といいますのも、本当は終わるはずでしたが、途中で思う所が出来、このような形をとらせて頂きました。

 

中途半端とお思いでしたら、申し訳ありません。

 

 元々、この話は私なりの解釈に基づいた二次創作作品という形でしたが、どうもオリジナル要素が薄いように感じました。

 登場人物は言うに及ばず、状況描写や台詞回しに変化が足りないように思いました。

 それはいままでの話もそうだったかもしれませんが、今回、特に強く感じました。ただ筋を追っているだけのような気がしています。

 

 そこで、唐突ですが“後編”では脱却を目指してみようと思い立ちました。二次創作作品である以上、原点に基づく事に変わりはありませんが、大なり小なり変化を加えていきたいなと考えています。

 

 遅筆である上に新しい事に手をつけるなんて、身勝手で無謀だと思われるでしょうが…これも面白い話を提供したい一心なれば、どうかご容赦頂きたく存じます。

 

 今回も付き合い頂き、誠にありがとうございました。

 ご意見・ご感想はいつでもお待ちしております。

 

 それでは、次回作まで失礼します。


 
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