No.783218

真・恋姫無双 覇王伝 第十四話

ZSANさん

月救出へ

2015-06-12 22:17:40 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4093   閲覧ユーザー数:3384

~一刀視点~

捕縛した華雄を高順と同じ所へ連行する

「高順っ?!お前処刑されたのではなかったのか?」

華雄は高順の顔を見て、驚いた声を上げる

「貴様~、騙したな!

 その所為で汜水関を・・・」

華雄は騙された事に怒り心頭の様子だ

「騙したのは策の一種だ それを恨まれても困る

 それよりも華雄にも話がある」

俺はそう言ってから高順にした説明と同じ事を華雄に話す

「ふんっ、つい先程私を騙した奴の話を信じられるか!」

無理もないか さてどうするか・・・ と考えていたら

「いや、華雄殿 この北郷に賭けるべきです」

高順が発言した

「高順?一体何を考えている?」

華雄が問い詰めると

「今回の戦いは長期戦に持ち込んで、連合軍の兵糧切れを待つ作戦だった筈」

「そうだったか?」

こら 華雄 作戦を理解しておきなさい

「その間の士気を維持する為の、後方からの騎馬隊の突撃だったはずです」

「だから何だ!?」

「汜水関がこんなに短時間で落とされた今、兵糧切れを待つ作戦は瓦解したと考えるべきです」

「だがまだ虎牢関が有るぞ」

「如何に虎牢関が難攻不落でも連合軍の兵糧切れを待つほど持ち堪えられません

 更に汜水関を落とされた事で士気も落ちているでしょう

 つまり虎牢関が落とされるのは時間の問題なのです」

高順が華雄に説明する

華雄は汜水関陥落の責任が自分にあるのを分かっている為か黙り込んでしまった

「北郷殿、虎牢関が落ちるまで待っていては手遅れになるかもしれません!

 私は貴男に賭けます

 董卓様救出に助力致しましょう

 ですから直ぐに行動を起こしてください」

「分かった」

俺は高順の縄を解いた すると

「待て、私も協力しよう

 だが北郷 騙した時は覚悟しろ!」

華雄の縄も解き、行動を開始する

二人の言葉を聞いて行動に移る

先ずは袁紹に会いに行く

俺達の軍は華雄の部隊との戦いで消耗が大きかった

だからこの汜水関で負傷兵の手当てと編成をし直してから虎牢関に向かう と偽りの言い訳を伝えた

汜水関攻めで戦功を上げれなかった袁紹は

「北郷さんの軍が汜水関で編成をし直す事を認めますわ

 その間に私、袁本初が虎牢関を落として見せますわ

 お~ほっほっほっ~」

莫迦で良かった

そして、俺、鞘姉、凪、高順、華雄は軍の事を星達に託して、密かに軍を離れ洛陽に向かう

「お土産、期待してるよ~」

巴の言葉で気勢を削がれたが

 

問題は道程だ

馬鹿正直に虎牢関の方面へ向かう事は出来ない

連合軍に見つかるから別の道順を取る

それは単純に呂布、霞、高順達の騎馬隊が来た道を逆に進んで行く道だ

難点は遠回りになってしまう事だが急ぐしかない

虎牢関が時間稼ぎをしてくれる事を祈って俺達は馬を走らせる

 

「北郷、何故董卓様を助けようとする?」

洛陽に向かう途中で夜営している時に華雄が訪ねて来た

「自己満足だよ」

俺はそう答えたが

「全ての人を助ける事は出来ない

 でも助けられる人は助けたい

 そう云う人なんだよ 一君は」

鞘姉の言葉に華雄が

「甘いが人としては好ましい

 それが本心ならな」

この言葉に高順も頷いていた

「一刀様の人柄に魅かれて多くの人物が集まっている

 それが今の言葉の証拠です」

凪が締めくくった

 

そして8日を経て洛陽に到着した

「到着したのは良いけど、門番もいるし、どうやって中に入るかな」

そう呟いたら

「此方へ 隠し通路が有ります」

そう言って高順が隠し通路へ案内してくれる

「この隠し通路は董卓様の洛陽での居に続いています」

「董卓さんって洛陽に来てからそんなに経ってないのに、よくこんなの造れたわね」

鞘姉が尤もな事を述べるが

「いえ、造ったのは以前そこに住んでいた十常侍の一人です

 十常侍を処断して残った建物を使っているのです」

「そんな建物使うのに抵抗なかったのかしら?」

「『建物自体は立派だから使えば良いのよ』と賈詡殿が言ってました」

軍師らしく現実主義者なのか

 

隠し通路の出口は建物の中だった

此処が洛陽での董卓の住まいなのだろう

今、董卓達が何処にいるのか分からないが建物の中には居ない様だ

何しろ人っ子一人いない

此処に居てもしょうがないので取り敢えず、宮殿の方へ向かう

何時の間にか、雨が降って来た 雨の中宮殿への道を走る

その途中で声が聞こえた

「連合軍がやって来たぞー!」

もうやって来たのか 急がないと

足を速め、宮殿へ急ぐ

角をまがった時、先頭を走っている高順が

「あれは、月様!

 それに詠殿も」

と驚いた声を上げる

確かに董卓さんと賈詡だ

問題は二人共追われている それも槍を持った兵に

「高順、華雄は董卓さん達を守れ!

 追手は俺達が倒す!」

そう言って向かって行く

兵達は10人 一般兵なら負ける数では無い

兵達を倒し、董卓さん達に話掛ける

「久しぶりだね」

「あんた、呉郡の北郷!?

 華雄、高順 アンタ達裏切ったの?

 こいつも月を狙う連合軍の奴なのよ!」

賈詡が喚き散らすが、高順が順を追って説明すると何とか落ち着いた

董卓さんが何故兵に追われていたのか尋ねると

「陛下は兎も角、取り巻きの宦官共は自分の保身の為月を生贄にしようとしたのよ!

 月と僕を殺して連合軍に差し出せば、自分達は安泰と、そういう事よ!」

怒りが収まらない賈詡は一気にまくしたてた

そして情勢を考え、

「北郷、他に選択肢が無いからあんたの提案を受け入れるわ

 でも月に妙な事をしたら・・・」

「安心しろ その為にも華雄と高順がいるだろ

 後の事は後で考えよう」

その言葉で納得したのか賈詡はそれ以上何も言わなかった

そして董卓さんの居に向かう途中で”それ”に遭遇した

あの白装束の軍団に

「ふふふ

 北郷一刀 洛陽で待っていれば少数で潜り込んでくると読んだ通りだったな

 ここでお前を殺す!」

左慈が俺に向かって来る

それを合図にしたかのように白装束も動き出す

「さあ、左慈の邪魔をさせませんよ

 貴方達には私の人形達の相手をして貰います」

道士の様な男が現れた その男は空中に浮かんでいる

俺は左慈の相手を、鞘姉と凪は白装束を、華雄と高順は董卓さん達の護衛に着く

 

「そら、そら、そら」

雨を切り裂き、左慈が攻撃を仕掛けて来た

左慈の猛攻を躱し、逸らすが今は此奴等の相手をしている場合では無い

早く洛陽から脱出しないと連合軍がなだれ込んで来る

俺の焦りは動きを鈍くしたのか、左慈の攻撃が何発もかする

直撃では無いが、当然反撃が出来ない

くそっ!

一か八かで踏み込み、上段からの斬撃を放ちそれを防いで隙が出来た左慈の胸倉を掴む

そして寸勁を放つ

「ぐわっ」

左慈が呻き声を上げた いける

そう判断して片手で背負い投げを仕掛けるが・・?・・軽すぎる!

そう思ったが遅かった 左慈は空中で身を翻して着地 自ら飛んでいたのだ

そして着地した左慈は直ぐ様、俺のコメカミに回し肘打ちを決める

人体の急所に肘打ちを決められた俺は朦朧としながら後ろに下がる

そこへ左慈の回し蹴りが放たれた

俺は躱せずに、その蹴りでその場に倒れた

「ふん、この時代の傀儡共ならいざ知らず、俺が寸勁を知らない筈が無かろう

 そんな当たり前の事も忘れていたのが貴様の敗因だ

 さあ、止めを刺してやる これでこの外史も・・・」

~鞘華視点~

私と凪は白装束の相手をしている

だが、いくら倒しても次々と湧いてくる

これでは切りが無いが現実としておかしい

あの道士の術なのかと考え、向かおうとしたが敵に阻まれる

その時、

「猛虎襲撃ー!」

凪の必殺技が道士に向けて放たれた

凪の気弾は道士に命中して、その胴体に大きな風穴を開けた だが・・・

「無駄、無駄、無駄~

 私を殺す事など貴方達には不可能

 故に如何なる攻撃も無駄なのですよ

 ふははは~」

道士が高笑いをするが、その時僅かな違和感を覚えた

(声の方向が僅かに違う?)

私は目を凝らす 微かに雨の軌跡がおかしい所に気が付いた

「そこか!」

適当に当たりを付けた所へ跳躍して斬りかかる

傍目には虚空に刀を振った様にも見えるだろう だが

「ぐわー!」

男の絶叫が響いた そして斬り落とされた手が地面に現れ、道士の本体も姿を現す

私の斬撃は道士の片手を肘から斬り落としていた

「何故、私の術が・・・」

「教える義理はないわ!」

更に攻撃を仕掛けるが道士は空中へ逃げる

そして凪の攻撃を警戒してか白装束を壁にして地に降りる

「北郷鞘華~!

 左慈の頼みで北郷一刀を左慈が殺すのを邪魔させない様にするだけのつもりだったのですが・・・

 今日の所は引き下がりますが、貴方は私が殺します

 しかし只では殺しません

 女として生まれた事を後悔するほどの辱めを与え、知己の人が殺される様を見せつけ、心をへし折り、

 もう殺して下さいと懇願するほどの苦痛を与えてなぶり殺しにしてあげましょう」

そう言って道士は消えた

とんでもない奴の恨みを買ったわね

ところで、一君は無事なの?

ー左慈地点ー

左慈は北郷一刀の所へゆっくりと歩み寄って行き、拳を振り上げる

華雄と高順は董卓達に向かって来る白装束の相手で助けに行けない

そして左慈が拳を振り降ろそうとした時、唸りを上げながら飛来する物が有った

左慈に向かい飛来したものを左慈は反射的に躱す その飛来した物は旗だった

穂先が付いているので槍と変わらない その真紅の呂旗は・・

 

白装束を切り裂きながらも、無人の野を行くが如くの速度で呂布が歩んで来る

その後ろには

「恋殿~、お待ちください~」

と陳宮が追従している

呂布は倒れている一刀と自分を警戒している左慈を見て、首を傾ける

「恋さん、その倒れている北郷さんは私達の命の恩人です

 そっちの男は北郷さんを殺そうとしている私達の敵です」

董卓が端的に説明すると

「月の敵は許さない

 月の恩人ならそいつも恋が守る」

最強の武人 呂奉先が左慈に闘気を放つ

「く、傀儡とは云え此奴の相手をするのは骨が折れる

 干吉っ「ぐわー!」何をやってるんだ あの阿呆は!」

左慈は干吉の力を借りようとしたが、その叫び声を聞き何かあった事を察知する

「くそっ、後は止めを刺すだけだと云うのに!」

逡巡している左慈に呂布が攻撃を仕掛ける

左慈はその攻撃を手甲で防ぐが、大きく飛ばされた上に一撃で手が痺れている

「くそっ、やはり分が悪いか・・・

 北郷一刀、その命預けておいてやる

 次こそは殺してやる!」

苦々しげに左慈は言い放つと、その姿が消えた

 

そこへ鞘華と凪がやって来る

二人は呂布を見て、一瞬身構えるが

「大丈夫です」

董卓が鞘華達と呂布の双方に言うと、鞘華達も警戒を解いた

「一君、しっかりして」

鞘華は一刀の脈や呼吸を確認し、無事だと分かると応急手当てを施す

負傷した一刀、鞘華、凪、高順、華雄、董卓、賈詡、呂布、陳宮は隠し通路から洛陽の外へ向かう

隠し通路から外に向かっている最中に洛陽の外での戦闘が終結した

そのどさくさに紛れて一刀達は自軍に合流した

余談ながら

「一兄を傷つけた左慈は私が(精神的に)殺す!」

左慈は巴の恨みを本人の知ら無い所で買っていた

 

~あとがき~

 

月の救出成功しました

高順も華雄も選択肢が無くなる前に一刀に賭けました

信用したのではなく『賭けた』のです

その結果、これからは信用されるでしょう

 

鞘華が于吉の術を見破ったのは、雨が有っての事です

だから、雨が無ければどうなるか・・・

 

左慈の出番は暫く無い予定です

ですから巴に(精神的に)殺される事も暫く無いでしょう

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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