天空稲荷神社。
境内の掃除をしているのは巫女の北城愛、唯母娘。
「ふーっ、いつも思うんだけど、ここって境内が広いから掃除大変よねお母さん」
「そりゃ歴史のある神社ですもの。すみずみまでしっかりやるのよ」
「はーい」
しばらくして、周囲を掃き清めた二人は拝殿の前まで来ていた。
「さて、あとはここを掃けば今日の掃除は終わりね」
「やったあ!一生懸命やった甲斐があったわ!」
「さぁ、もうひと息よ唯!気合いれt…」
愛が最後の仕上げを始めようとしたそのときである。
「きゃあっ!?」
「え!?お母さ…」
わずかな段差に躓き、バランスを崩してしまったのだ!そして…。
「「ぎゃっ!…う、うーん…」」
なんと二人はお互いの頭を強くぶつけてしまい、その場に倒れてしまったのだった…。
数分後。
「…いたたたぁ…まさかあんなところで転んじゃうなんて。あたしったら…」
頭をさする愛。だが、彼女はその瞬間に強烈な違和感を感じた。
「あ、あれ…なんか、身体の感じが変…」
愛は起き上がり、辺りを見回す。そして、目に飛び込んできたものを見て驚愕した。
「う、うそ…ここに倒れてるのって…あたしの身体じゃないの!?ってことはまさか…」
愛は自分の胸を触ってみる。平坦だ。まごうことなき平坦だ。
「も、もしかしてこれって…唯の身体なの!?そういえば声も若いし…」
「う、うーん、どうしたのお母さ…きゃあ!?」
唯の身体で騒いでいる愛の声に反応し、愛の身体の唯が目覚めた。そして目に飛び込んできたものを見て声を上げる。
「こ、この巨大おっぱいは…それにこの色っぽいトーンの声…いったいどうなっちゃったの!?」
「そ、その反応は唯なのね?じゃあ…」
「「あたしたち…身体が入れ替わっちゃったーーーーー!?」」
静かな境内に、母娘の叫びがこだました。
社務所。
「う~~~~~ん、不思議なこともあるもんだねえ」
入れ替わった二人をまじまじと見つめるのはこの神社の祭神・天洸だ。
「まさかぶつかった拍子に心が入れ替わっちゃうなんて…」
「うん…」
しばらく頭を抱えて考え込んでいた唯と愛だったのだが…。
「あれ?お母さんの身体ってことはあたし今おっぱいあるのよね!」
「ちょ、ちょっと何言い出すのよ唯ってば!?」
「きーめた!あたしお母さんの身体で和美ちゃんちに遊びに行っちゃお!」
「あっ!?ちょ、ちょっと待ちなさい唯!もうっ!!」
身体が入れ替わった母娘のドタバタ劇を見て、ため息をつく天洸。
「基本的な性格が似てるとはいえ…やっぱあの身体で中身が唯となると違和感ありまくりだね…」
「お天さまったら、感心してないで助けて…って唯!唯ってば!」
「えへへへ。じゃ、いってきまーす!」
喜び勇んで走り去ってしまう唯。その背中に向かって愛は叫んだ。
「もうっ!あたしの身体なんだから大事にしなさいよねー!!」
後編につづく!
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母娘が入れ替わったらどうなっちゃうだろう、という話の中で生まれたネタ。
後編はNさんにおまかせしましたw
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