No.781311

寂しがりやな覇王と御使いの兄58話

あなたまさん

戦後の対応

再会を果たした一刀と華琳の語らい

2015-06-03 00:02:33 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:9877   閲覧ユーザー数:7122

 

成都

 

 

一刀と霞が動けるようになってから成都に入城し、戦後の処理を行おうとしていた

 

 

一刀「みんな、今回の戦いでは防げたはずの犠牲を出してしまった。これは俺の油断が招いた結果だ、すまなかった」

 

 

桂花「何言ってるのよ、周囲に斥候を放つの怠ったのは私の責任でもあるのよ?あんただけが責任を負う必要はないのよ」

 

華琳「そうよ一刀。あなたは私達や兵達を逃がし、追撃が来ない様にボロボロになるまで戦ってくれた。そんな貴方を責める人なんているわけないでしょ」

 

 

春蘭「そうだぞ北郷!むしろでしゃばりすぎなのだ!お前は弱くないと私が落ち着かん!」

 

桂花・華琳・春蘭がそう言って慰めてくれた

春蘭のは慰めになってなかったけど・・・

 

 

一刀「華雄と季衣・・・助けてくれてありがと、本当に助かったよ」

 

 

華雄「気にするでない、董卓様・袁術様が慕っているお方だ。そんな方を殺させるわけにはいかないからな」

 

季衣「ボクもだよ!兄ちゃんを助けられてよかった!」

 

 

実際この二人が居なかったら俺と霞は死んでいたかもしれないからな

 

 

季衣「それと兄ちゃん・・・ごめんなさい」

 

 

そう言うと、季衣は少し俯きながら謝ってきた

何に対して謝っているのかはすぐわかった、かなり勇気を出したのだろう。それが証拠に少し足が震えていた・・・だから

 

 

一刀「なんの事だ?季衣が何に対して謝ってるかわかるか?華琳」

 

華琳「さぁ?私にもわからないわね。桂花はわかるかしら」

 

桂花「いえ、わたしにも『北郷も華琳様も桂花も何いって』」

 

秋蘭「空気を読め姉者!姉者はこっちで私と待機だ」

 

春蘭「おおう?なんだかわからんがわかった」

 

 

桂花「・・・・私もなんで季衣が謝ってるかわかりません」

 

 

季衣「兄ちゃん・・・華琳様・・・桂花ちゃん・・・」

 

一刀「そういうことだよ、誰も季衣の事を責める子なんていないよ。」

 

季衣「兄ちゃんーーーーー!」がば

 

一刀「おっと」

 

季衣「兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん!」

 

一刀「俺はここにいるよ季衣」なでなで

 

 

はぐれた親と再会した子供のように・・・

一刀がどこにも行かないように・・・季衣は一刀にしがみ付き、名前を呼び続けていた

 

そんな季衣を一刀は優しく抱きしめ、季衣が落ち着くまで頭を撫で続けていた

 

 

 

 

 

凪「いいなぁ・・・」ぼそ

 

華琳「今邪魔したらダメよ?凪」

 

凪「か、華琳様・・・今の聞こえました・・か?」

 

華琳「えぇ、ばっちりと」

 

凪「聞かなかったことには」

 

華琳「出来ないわね」

 

凪はですよねっといった表情でがっくりとしていた

やっぱり凪をいじるのはなんかこう・・・”ぐっと”来るわね

一刀が言ってた好きな子をいじめたくなるって衝動なのかしら?  

 

 

 

 

 

季衣「もう大丈夫、ありがとう兄ちゃん」

 

一刀「そうか?いつでもこうしてくれていいからな」

 

 

桂花「季衣の方から抱きつかせようなんて・・・この変態!」

 

一刀「ちょ!ここでそういう解釈する?」

 

桂花「近寄らないで汚らわしい!妊娠しちゃうじゃない!」

 

一刀「このやり取りも久々だな!そんな事言うなら妊娠させるぞ!」

 

桂花「上等じゃない!出来るもんならやってみなさいよ!というか、させなさいよ!」

 

一刀「ツンツンと思ったら催促してきただと!?」

 

桂花「何よ、出来ないとでも言うつもり?」

 

 

いままでの経験上・・・この流れはヤヴァイ

 

 

華琳「桂花貴方・・・何言ってるか・・・ワカッテルノカシラ?」

 

 

やっぱり華琳さんお怒りだー!語尾が片言になってるよ!めっちゃ怒ってるよ!

 

 

霞「せやで桂花、こんな真昼間から何を口走ってるん!」

 

凪「そうですよ桂花様!隊長の子を儲けるのは私です!」

 

霞「おーーい!凪も正気に戻れー!」

 

華琳「それも違うわ凪!一刀と最初に子供を儲けるのは私よ!これは誰も邪魔をさせないわ!」

 

凪・桂花「「いくら華琳様が相手でもそれだけは譲れません!」」

 

 

霞「華琳まで・・・もう収拾つかへん」

 

 

 

 

 

 

ギャーーギャーーーギャーーー!

 

 

秋蘭「ふふ...懐かしいな」

 

春蘭「ん?どうしたんだ秋蘭」

 

秋蘭「いや・・・こんな光景も悪くないと思ってな」

 

春蘭「そうだな、華琳様がこんなにはしゃぐのも・・・前の世界以来だな」

 

 

姉者もあの5人のじゃれ合いを懐かしいそうに見ている

華琳様が居て、姉者や私、魏のみんな。それに・・・一刀がいる

あの日失った光景がこうしてまた見れているのだ・・・・これ以上の幸せは私は知らないな

 

 

秋蘭「張任・李厳それと華雄も、すまないが落ち着くまで待っていてくれないだろうか」

 

李厳「それは構いませんが・・・曹操殿達は何をしておられるのですか」

 

張任「李厳よ、それは聞くだけ野暮ってものだ」

 

秋蘭「今まで会えなかった反動と思ってくだされ」

 

 

華雄「私はいつでも待つさ、この光景を見ているのも・・・嫌いではない」

 

 

華雄・・・私も嫌いではないさ

今は”少女”でいいんです。思いっきりはしゃいでください、華琳様

 

 

 

 

 

1時間後

 

 

一刀「すまない、3人共待たせたな。俺が曹仁子孝だ」ぼろぼろ

 

華琳「待たせたわね、私が曹孟徳よ」ツヤツヤ

 

桂花「曹仁軍が軍師・荀彧文若よ」ツヤツヤ

 

凪「曹仁軍が将・楽進文謙です」ツヤツヤ

 

 

霞「うちは張文遠や。(一刀・・・・お疲れ)」

 

一刀(労いありがと霞)

 

季衣「兄ちゃんの将・許褚です!」

 

春蘭「曹操様の剣・夏侯元譲だ」

 

秋蘭「その妹・夏侯妙才」

 

 

華陀「一刀と幼馴染で医者をやっている華陀だ、よろしく頼む。それと一刀薬を調合しておくぞ」

 

一刀「おぉ、たすか『龍の唾から作った精力薬でいいか?マムシも入れてあるんだが』ってねーよ!」

 

華琳・凪・桂花・霞「「「「華陀!是非作ってくれ!」」」」

 

 

秋蘭「霞もそっちになるのか。その・・・なんだ、骨は拾ってやる」

 

一刀「フォローになってないよ秋蘭。我らの紹介はこんなところだ、そちらも名乗りをあげてくれるか?」

 

 

張任「改めまして張任でございます。今後は曹仁様の手足として働きましょう」

 

李厳「拙者は李厳正方と申す、この度の帰順を受け入れていただき感謝します。張任と同じく働きに期待してくだされ」

 

 

華雄「私は紹介する事はないのだが・・・元董卓軍、現袁術軍所属の華雄だ」

 

 

 

一刀「まずは華雄、君に聞きたいことがある」

 

華雄「私か?」

 

一刀「あぁ、華雄は今までどこにいたんだ?」

 

華雄「反連合までは袁術様と一緒に居たのだが、袁術様が曹操に寝返る時に・・・・置いていかれてな」

 

 

 

一同「「「「「「「「え?」」」」」」」

 

 

華雄の発言に一同ぽかーんとしてしまった

え、え?いま置いていかれたと言ったよね?聞き間違えじゃなく

 

一刀「すまない、いま置いていかれたと言ったか?」

 

 

華雄「そうだ!私だけ忘れられたんだ!文句あるかー!」

 

華雄の悲しい発言に一同今度はしーんとしてしまった

美羽もどこ行ったかわからないって言ってたけど・・・そういうことだったんだ

 

 

華雄「連合が終わった後に、天水でお前に言われた意味を探す旅に出ていたのだ。袁術様もお前達と一緒なら危険は無いからな」

 

 

華雄「そうして大陸を回っている時に、西涼の馬騰殿に出会ったのだ」

 

 

馬騰さん!?余計な事喋ってなかったらいいのだけど・・・

なんとなく嫌な予感が・・・

 

 

一刀「馬騰さんに会ってたのか・・・なにを話したんだ?」

 

華雄「お前の強さの秘密についてだよ」

 

一刀「俺の強さの秘密?」

 

華雄「あぁ、なんでもお前は数々の女に手を出し、その女達を護るために強くなったと」

 

一刀「馬騰さーん!何言ってるのさーー!」

 

華琳「実際間違ってないでしょ?」

 

一刀「それはそうだけど・・・それじゃあ俺が女誑しみたいじゃないか」

 

 

一同「・・・・・・・」

 

今更何言ってるのこいつ?みたいな目でみないで!

そんな見境なく手を出してるわけじゃないし・・・

ちゃんと一人一人愛してるから・・・誑しじゃないよね?

 

 

華琳「バカな事いってる一刀は無視するとして、華雄はその後どうしたの」

 

 

華雄「己の武だけを追求していた私には、馬騰殿が言っていた意味がわからなかった。だからその意味を知るために、曹仁の領地を見て回ること

 

にしたんだ」

 

 

華雄「そうして気が付いた、どこに行っても笑顔が溢れている。この笑顔を絶やさないように戦っているんだとな。それに気が付いたら己だけの

 

武の強さなどどうでもよくなってな。この程度で天下最強を名乗っていたのが恥ずかしいぐらいだ」

 

 

一刀と関わる人は少なからず影響を受けて変わっていくのね

それが悪い方向への変化ではなく、いい方向の変化なのは、一刀が裏表がなく真っ直ぐな人格のお陰なのかしら

 

 

華雄「私も誰かを”護る”為に力を尽くしたい。それを気づかせてくれた曹仁殿の為に力を振るいたい。そう思いここに参った」

 

 

一刀「(そうか・・・一人で考え、ここまで変われたか)華雄よ、その武は平和を望む民の為に振るうと誓えるか」

 

華雄「わが名に誓って」

 

一刀「ならば華雄!これよりは民を護る鉄壁となり、いかなる暴力からも護りきってみせよ!」

 

華雄「御意!」

 

 

一刀「次は李厳」

 

李厳「っは」

 

一刀「曹操(華琳)から話しを聞いている、裏切り者と言われるのを覚悟で俺たちに味方してくれた事、感謝する」

 

李厳「私は曹仁殿達に弓を引きました。ですがこうして迎えていただき感無量にございます」

 

一刀「よいよい、主君の命を受けて戦っていたに過ぎない。過去の遺恨は忘れ、俺たちに力を貸してくれ」

 

李厳「御意!」

 

 

桂花「一刀、劉焉とその配下の捌きがまだだけど、どうするの?」

 

一刀「それはもう少し待ってくれ、そろそろ来るはずだ」

 

桂花は頭を少し斜めにしながら誰か来るの?といった表情だ

本当に・・・桂花は穏やかになったな。毒舌が飛んでこないのが寂しいなんて、俺Mっ気あるのか?

春蘭にボコられて、華琳にはいじめられ、桂花には罵られ、風にはいじられ・・・あれ?振り返ったら俺ドMじゃん!

 

 

 

 

 

 

 

門番「曹仁様、曹仁様に面会したいとお客様が参られました」

 

一刀「きたか、丁重に案内してくれ」

 

門番「っはは!」

 

 

華琳「誰が来たの?それと、なんでそんなに落ち込んでるの」

 

一刀「気にしないでくれ・・・客は俺達に味方し、ずっと戦ってくれていた人達さ」

 

 

春蘭・季衣はわかっていない様だが、華琳達は察したようであぁ~と納得していた

 

 

 

桔梗「呂珂殿改め、曹仁殿!お久しぶりにございます」

 

 

一刀「桔梗も元気そうでなりよりだ、益州平定が遅くなってすまなかったな」

 

桔梗「なんのなんの、わしらで戦うのと決めたのですから。それに、こうして平定してくださったのだ、謝罪など不要ですぞ」

 

桔梗「それよりも、傷を負ったと聞いておりましたが、具合は大丈夫ですかな」

 

一刀「華琳が華陀に連絡を送り、迅速に治療をしてくれたからね。しばらく武器は持てないが命に別状はないよ、心配かけたかな」

 

桔梗「当たり前です、わしらの新たな君主であり、民や大陸の希望なのですぞ?驚かさないでくだされ」

 

一刀「今後は気をつけるよ。桔梗、後ろの人達がもしかして」

 

桔梗「そうでした、ご紹介が遅れましたな。わしと共に劉焉と戦ってくれた勇士と、わしらの知恵袋法正、涪城を守っていた将をお連れしました」

 

 

張嶷・張翼「「張嶷・張翼にございます」」

 

雷銅・呉班「「雷銅・呉班と申します」」

 

馬忠・高翔「「馬忠・高翔にございます」」

 

法正「ご紹介に預かりました法正になります」

 

 

呉懿・王平「「涪城・守将の呉懿・王平です、今後は曹仁様の天下統一実現に力を尽くします」」

 

 

一刀「俺が曹仁子孝だ。君達から見て俺は侵略者と言われても反論できない。だが、君達がこうして俺に蜀を託してくれているのだ、この益州をより良い都市にすること我が真名にを誓う。そのためにも君達の力を俺に貸してくれ、俺の真名は一刀だ。自由に呼んでくれて構わない」

 

 

一同「御意!曹仁様の真名と覚悟、確かに受け取りました」

 

 

 

 

 

 

 

お待ちください!

 

曹仁様はいま軍議中でして

 

 

うっさい!ボクを止めるつもり?

通しなさい!

 

 

 

 

次の話題に移ろうと思ったが・・・

あのままだと兵士が怪我しそうだし・・・仕方ない

 

一刀「秋蘭すまないが詠を連れて来てくれ」

 

 

秋蘭「あぁ、わかった」

 

 

 

 

桂花「何よあいつ、あんなに慌てちゃってみっともない」

 

華琳「桂花も一刀が危ないって聞いてすぐ駆けつけようとしてたじゃない」

 

桂花「華琳様!駆けつけようとしたのは、あいつが死ぬところを見るためでして、助けようとしたわけではありません!」

 

 

華琳の問いに、桂花がさも当たり前のように切り替えしてきた

素直な桂花も可愛いが、毒舌の桂花も捨てがたいな・・・うんうん

 

 

華琳「そう・・・桂花は一刀が死んでもよかったのね?」

 

うわーすっごいいい笑顔してるな~

初めて玩具を買ってもらった子供か!

 

桂花「なんの話しですか?華琳様」

 

お互い話が若干かみ合ってないらしく、桂花の頭には?が

華琳があれ?と言う表情をしていた

 

桂花「もしかして華琳様は、私が言った”あいつ”を一刀と誤認したのですか?」

 

華琳「そう思ったのだけれど、どうやら違うみたいね」

 

桂花「当たり前です!死ぬところを見たいと言うのは、”一刀”が劉焉又は黄権を”倒す”ところを見たかったのです!一刀のカッコイイ姿を見逃すわけにはいきません!」

 

 

華琳「そ、そう」

 

 

そこから桂花に火がつき、怒涛の惚気が始まり

桂花の変貌振りに、以前の桂花を知る華琳は唖然としていた

 

 

詠「一刀ーー!」

 

 

秋蘭に案内された詠が小走りでドアを開けて俺に向かって飛び込んできた

詠が現れた事により、桂花の惚気がようやく止まった

 

 

詠「バカ一刀・・・ボクがどれだけ心配したと思ってるのよ」

 

 

一刀「ごめんな詠、あの場を切り抜けるにはあれしかなかったんだ」

 

詠「ボクたちの王は一刀しかいないんだから・・・少しは自分の身を大事にしてよね」

 

霞「一刀に抱きついちゃって~詠も乙女やな~♪」

 

詠「茶化してきても今は反応してあげないわよ」

 

 

霞「なんや、つまらんな。それより漢中の難民達はどうしたんや?」

 

 

詠「ちゃんと3人に長安に連れて行くように指示したわよ、ボクが放置なんてするわけないじゃない」

 

一刀「そうだな、詠はよくやってくれてるよ。これからも頼りにしてるよ」

 

詠「ボクの本気はこんなもんじゃないんだから、これからもちゃんとボクの事見てなさいよ!」

 

一刀「もちろんだよ」

 

 

詠と一刀の会話が終って二人が振り向くと、華琳達が一刀と詠を睨んでいた

 

一刀「え~と・・・みんなどうかした?」

 

 

華琳「あなた、何を言ったかわかってるの?」

 

凪「どうかしたではありません!」

 

霞「いま言った発言を思い出してみ」

 

 

いま何かおかしなこといったか?

 

詠に抱きつかれる

  ↓

落ち着くまでそのままでいる

  ↓

詠を褒める

  ↓

詠がずっと一緒にいてと頼む

  ↓

俺が承諾した

 

 

おかしなところなんてどこにも・・・

 

 

 

 

・・

 

 

・・・

 

 

 

・・・・

 

 

・・・・・

 

 

 

一刀「さらばだ!」

 

 

華琳「逃がさないわよ!春蘭、秋蘭!一刀を捕らえなさい!手段は問わないわ、私の下に連れてきなさい!」

 

 

春蘭・秋蘭「「お任せください」」

 

 

霞「凪!うちらも追うで!」

 

凪「もちろんです!」

 

桂花「一刀の性格上逃げる経路と潜伏場所は・・・ブツブツ」

 

 

 

 

季衣「兄ちゃんはどこにいても変わらないな~なんか気が抜けちゃった」

 

詠「これって・・・ボクのせいかしら」

 

季衣「兄ちゃんは毎日こんな感じだったから、関係ないと思うよ」

 

 

 

桔梗「はーっはっは!曹仁殿の陣容はなんと面白い事か!」

 

張翼「臣下に追い掛け回される君主を見るのは初めてだ」

 

法正「しかし、みなさん楽しそうです」

 

桔梗「そうじゃな、こんな君臣のあり方もいいのかもしれぬの」

 

 

 

 

 

 

一刀「ゼェ・・・ハァ・・・・すまない、お待たせした」

 

張嶷「それはよろしいのですが・・・」

 

呉班「お体は大丈夫でございますか」

 

一刀「なれ・・・てるから・・・落ち着けば大丈夫」

 

雷銅「命を懸けての追いかけっこで慣れるとは・・・曹仁殿恐るべし」

 

 

華琳「そんなことよりも一刀、今後の話しに移りなさいな」

 

一刀「誰のせいで話しが進まないと思ってるの!?」

 

華琳「あなたが鈍感のせいでしょ?」

 

一刀「はい・・・その通りです」

 

 

桔梗を除く蜀将一同「曹仁様、そこで弱気ですか!?」

 

 

あたりまえだ!ここで強気でいってみろ!

どんなお仕置きがされるか・・・と声に出してもいえないけど

 

 

桔梗「おぬし達もまたまだヒヨッ子よの~ここで強気でいったら、また火に油を注ぐだけじゃぞ」

 

 

一刀「それじゃあ話しを進める。桔梗たちの尽力のお陰で蜀は平定した。残る敵は荊州の劉表・冀州の袁紹のみだ」

 

 

法正「劉表軍に対する孫策殿は睨み合い、袁紹軍に対する劉備殿は苦戦しておられるとか」

 

一刀「その通りだ。既に劉備軍には洛陽から、孫策軍には洛陽と長安から援軍を送っている。そろそろ合流する見込みになっている」

 

 

季衣「それだけ送れば大丈夫じゃないの?兄ちゃん」

 

一刀「油断は禁物だよ季衣。油断して足元を掬われないようにする為にも、俺たちもまずは荊州に向かい、劉表を叩く」

 

 

詠「反曹操連合諸侯同盟の劉表を倒せば袁紹は孤立する」

 

桂花「逆に私達は劉備・孫策・一刀の袁紹軍包囲が完成するわね」

 

 

一刀「そういうことだ、呉班・雷銅・馬忠・呉懿・高翔は成都で治安向上と内政強化に取り組んでくれ、法正殿はその補佐を頼みます」

 

 

呉班「御意」

 

法正「お任せください」

 

 

一刀「残りの将は俺と共に戦場に向かう、出陣の準備を整えてくれ」

 

一同「御意!」

 

 

一刀「最後に劉焉の捌きだ、近衛兵は獄から劉焉とその配下を連れてきてくれ」

 

 

近衛兵「ははっ!直ちに連れて参ります!」

 

 

桔梗「曹仁殿、劉焉をどうするおつもりですかな」

 

一刀「奴の態度次第だが・・・甘く処分するつもりはない」

 

桔梗「わかりました、奴が何を言うか待ちましょう」

 

 

 

 

 

 

近衛兵「曹仁様!劉焉を連れて参りました!」

 

劉焉「離せ!わしを誰だとおもっているのだ!」

 

 

縄で縛られており暴れることが出来ないが、縄を解こうとじたばたしながら叫んでいた

 

劉焉「お前達!わしが将に引き立ててやった恩を忘れたのか!曹仁のような若造に味方しよって!」

 

 

呉蘭「劉焉様、我々は負けたのです。潔く捌かれましょう」

 

劉焉「わしはまだ死ねぬのだ!益州・漢中・長安はわしのものだ!」

 

 

劉焉は呉蘭の静止を受けずに暴れるが、一緒に捕らえられた呉蘭は落ち着き、静かに裁かれるときを待っていた

 

 

一刀「反省の色が見えぬな・・・桔梗、お前の好きなようにしろ」

 

桔梗「一刀様、よろしいのですか」

 

一刀「あぁ、更生の余地がない。話す気にもならないからな。桔梗の手で引導を渡してやれ」

 

 

桔梗「わかりました、劉焉を引き立てい!」

 

桔梗にそう命じられた兵達はすぐさま転がりながら叫ぶ劉焉を立たせた

 

 

劉焉「お前達のような雑兵が触るな下郎が!」

 

桔梗「やれやれまだわめくか・・・豪天砲最大出力!」

 

 

劉焉「ぐほ・・・お・・・のれ」

 

桔梗の武器から放たれ、劉焉の体を貫き絶命した、貫かれるまで益州

はわしのものだとつぶやき続けていた

 

 

一刀「あそこまでいくと救いようがないな。呉蘭次はお前だが、俺たちに降らないか」

 

呉蘭「私をお誘いくださるのは大変光栄なのですが、私の主君は劉焉様ただ一人、2君に仕えるつもりはありません。劉焉様の後を追わさせてくだ

 

さい」

 

一刀「・・・わかった、ならば俺自ら」

 

呉蘭「天下に名を轟かせる曹仁殿に介錯していだけるとは・・・私は幸せ者よ」

 

 

一刀「・・・疾!」

 

呉蘭は満足な表情を浮かべ死んでいった

 

一刀「丁重に葬ってやれ」

 

近衛兵「御意」

 

 

一刀「今日の軍議はここまでだ、各自明日に備えしっかり休んでくれ。解散!」

 

 

 

一刀(成都か・・・あそこに行かないとな)

 

 

 

 

華琳「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真夜中 成都付近のとある林

 

 

 

満月か、そういえばあの夜も満月が綺麗に見えていたな

華琳と別れてたあの日からかなりの年月が経過したが・・・ここに来ると当時の光景を思い出すな

 

 

ザク  ザク  ザク

 

ん、この足音は

 

 

 

 

華琳「部屋に居ないと思ったら、やっぱりここに居たのね」

 

 

一刀「あぁ、眠れなくてな」

 

華琳「そうね、成都は私達にとって忘れられない、”忘れることの出来ない”場所だものね」

 

 

俺たち曹魏と劉備・孫策連合との最後の戦いの地

 

曹魏が勝利し、戦乱の世に終止符を打った地

 

 

 

そして・・・俺が消滅し、寂しがりやの女の子”華琳”を一人にして、かせてしまった地

 

 

 

一刀「華琳、俺は・・・強くなることが出来たかな」

 

 

華琳「あなたは強くなったわ一刀。天の国に戻る事が出来たのに、あなたはここに残ることを選んだ。小さき日から私達を守り、自己研鑽を続けてきた。そんなあなたを頑張ってない、なんて言える人間は居ないわよ」

 

 

一刀「俺は魏のみんなが記憶を取り戻さなくても、全員護るつもりでいた。でも旅をしている時から風や凪、霞達が記憶を取り戻し、こうして俺に力を貸してくれている・・・それがなにより嬉しかったんだ」

 

 

 

一刀だけが前世の記憶を持ってこの世界にやってきた・・・

風達が以前の記憶を持っていなかったら、一刀は思いに潰れてしまっていたかもしれないわね

 

 

一刀「みんなが記憶を取り戻してきてるうちに、こんな事を思うようになったんだ、”華琳は思い出さなくていい”ってね」

 

 

華琳「なぜ・・・私だけ思い出して欲しくなかったの?」

 

 

私は思い出さないでいてもよかった、そう言われても怒らなかった。いや、怒る気にもならなかった

なぜなら、そう話す一刀が・・・一刀の表情が今にも泣きそうになっているもの

 

 

一刀「華琳は以前の世界では、働きすぎという言葉が負けるほど働き、その不器用な性格から様々な人から恨みを買っていた。だから、ここでは一人の女の子として、平穏無事に過ごして欲しかったんだ」

 

 

その後小さく俺のエゴだけどなと呟いていた

 

言っている言葉はわからないけど、文脈からして自分の考えを押し付けていただけって事かしらね

もうそうだとしたら・・・本当にバカなんだから

 

 

華琳「顔をあげて一刀。確かに何も思い出さなかったら”兄さん”って甘えながら一生を過ごしていたと思うわ、確かにそれも悪くない・・・でも」

 

 

華琳「でもね一刀・・・私はこうして思い出せてよかったと思ってるの」

 

 

一刀「え・・・」

 

 

華琳「確かに思い出した事によって、あの日の・・・あの夜の出来事が鮮明に頭の中に浮かんで悲しくなったりもする、泣きたくなったりもする・・・けど」

 

 

 

 

 

 

 

華琳「あなたは私にたくさんの思い出を作ってくれた。あなたと過ごした日々は・・・私が愛した唯一の人との思い出は、何ものにも代えがたい大切な思い出なの。だからね一刀、私はこうしてあなたとの思い出を思い出せて・・・とても幸せなのよ」

 

 

一刀「華琳・・・」

 

 

華琳「今まであなただけに辛い思いを、あなたを一人にしてごめんね一刀。いまは・・・君主じゃなくていいの、泣きたいなら思いっきり泣きなさい」

 

 

一刀「華琳・・・華琳・・・あの日いなくってごめん」

 

 

華琳「うん」

 

 

一刀「あの誇り高い・・・華琳を泣かせてごめん」

 

 

華琳「うん」

 

 

一刀「華琳達が造る太平の世を見届けられなくて・・・ごめん」

 

 

華琳「うん」

 

 

一刀「でも・・・もう離さない、これからはずっと側にいるよ。愛してる華琳」

 

 

華琳「えぇ、私も愛している。今度はその腕で私をしっかり捕まえていてね」

 

 

 

 

 

 

 

かつて満月の光が二人を裂き

 

 

 

 

 

十数年の月日が流れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていま・・・満月の光に護られながら

 

 

 

 

 

 

 

天の御使い・北郷一刀と魏の覇王・華琳が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かに再会を果たす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

58話でした

 

 

戦後対応でいろいろ詰め込んでいたら長くなっちゃったので、荊州編は次回に!

 

 

桔梗の口調も難しいな~

華琳と一刀、二人の真の再会シーンをようやく描くことが出来ました(駄文ですが)

時間表記で今更ツッコミいれないでね!

 

 

 

 

 

61話完結予定と言いましたが、早速1話伸びちゃいましたー

終る終わる詐欺ではないので!

 

 

今月中には完結を目指します!

 

 

 

 


 
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