「ねぇ、レファーの家柄ってそんなに大事なわけ?」
「えっ?」
「貴族ってことがそんなに誉れ高いことなのかって聞いてるんだけど?」
「それは…」
彼女も彼もいつもそう。シェリファンの押しが強くてレファーヴァインは必ずどもる。
「はぁ。そんな直ぐに出てこないんだから大した事ないってことでしょうよ。違う?そんなちっぽけなもんに何時までぶら下がってるわけ?あんたこの屋敷で生涯終えるつもり?」
「…屋敷から出ないのは…」
「神獣のせい?神獣の何が悪いの?可愛い狼ちゃんじゃない。私の可愛い悪魔たちと大差ないわよ」
「…」
「何よ?あ、悪魔と同じじゃダメだってこと?失礼しちゃうわね!あたしの友だちを何だと思って…」
「僕は君みたく強くない!」
広い部屋がしんと静まり返る。
「シェリファンみたく平然となんかしていられないよ!どうしてそんなに蔑まれても疎まれても平気でいられるの?僕にはそんなこと耐えられない。君とは違うんだ」
レファーヴァインが喋り終えると、突然シェリファンは笑い出した。
「な、何で笑って…」
「あーあ。おっかしい!レファー、あんた間違ってる」
「え?」
「あたしには誇りがあるのよ!!」
笑っていたシェリファンが急に真剣な顔付きに変わった。
「結局レファーもそう思ってたんだ?凄く残念。でもね、あたしは大魔女の血に誇りを持ってるのよ!!偉大な血脈だわ!あんたの下らない貴族の血筋とは違うの!古の時代からこの土地の恩恵も災いも関係なく甘んじて受けてきた!与えられるもの全てに感謝して精霊とも悪魔とも手を取り合って生きてきたの!そこいらの適当な人間に何言われたって何とも思わないわよ!!!」
また広い部屋がしんとなり、レファーヴァインの頬を涙が静かに伝った。
「…って、ちょっと!何でレファーが泣くわけ!?」
「だ、だって、僕、君に酷いことを…」
「別にこれくらい大した事ないわよ…」
流石のシェリファンも勢いをなくしてしまう。レファーヴァインはしくしく泣き続ける。
「はぁ。勘弁してよ。そんなに思い詰めてるんなら家出でもなんでもしちゃえばいいじゃない」
「…でも」
「ぐずぐずしない!前を見て胸張って歩かなきゃ!何か行動しないと何にも始まんないでしょ」
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オリジナルのshort-shortです。ナンバリングはしてありますが、時系列は沿っておらず読み切りなので、どのナンバリングからでも読むことが出来ます。※short-shortの定義に関しましては自分の場合は2000字までとしております。