No.780040

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

soranoさん

外伝~帝都の決別~前篇

2015-05-28 00:12:58 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1300   閲覧ユーザー数:1197

同日、15:40――――

 

 

オーレリア将軍達がメンフィル軍に投降していたその頃、クロチルダの転移魔術によってグロリアスに爆撃されたバルヘイム宮から脱出したカイエン公爵は瓦礫の山と化したバルヘイム宮の前に立っていた。

 

~バルヘイム宮跡~

 

 

「ああっ……何てことだ……伝統を誇ったバルヘイム宮がこんな無惨な姿に…………おのれえええええええッ!薄汚い簒奪者共が――――――ッ!貴様らに受けたこの屈辱は必ず倍にして返してくれる!」

「……お気持ちはわかりますけど、肝心の”アレ”が封印されている場所まで瓦礫で完全に埋もれてしまいました。少なくとも瓦礫を取り除いて”アレ”が封印されてある場所まで行く道を確保しなければなりません。それまでは絶対にこれ以上メンフィルの逆鱗に触れるような事はしないで下さい!当然メンフィル帝国領の襲撃は絶対に厳禁です!ユミルの件を考えると各領にも軍を展開して本格的に防御を固めているでしょうから、領邦軍に襲撃させても悪戯に兵を消耗するだけです!ただでさえ正規軍も制圧しきれていない状況なのに、そこにメンフィルも加われば状況はひっくり返って、我々が劣勢になる事はお分かりですよね!?」

崩壊したバルヘイム宮の前で怒りの表情で声を上げたカイエン公爵の様子を見たクロチルダは真剣な表情で声を上げて忠告し

「グググググッ……!」

クロチルダの忠告を聞いたカイエン公爵は悔しそうな表情で唇を噛みしめて唸り声を上げた。

 

「無事だったか、ヴィータ!」

するとその時オルディーネが空から現れ、クロチルダ達の傍に着地した。

「クロウ!?どうしてここに…………」

「……”パンダグリュエル”はメンフィルに制圧されちまった。悔しいが俺やスカーレット達と”神速”は”英雄王”に見逃されて何とか撤退する事ができた。」

「なっ!?」

「何だと!?――――!!”灰の騎士”と皇女殿下はどうなった!?」

オルディーネから聞こえて来たクロウの声を聞いたクロチルダは絶句し、カイエン公爵は血相を変えてオルディーネを睨んだ。

 

「あの二人なら俺達の守りを潜り抜けてメンフィルが来る前にヴァリマールで撤退したぜ。」

「嘘でしょう!?たった一人で……しかも足手纏いもいるのに貴方達の守りを潜り抜けるなんて、一体いつの間にそんなに成長したのよ……!?」

「なあっ!?みすみすと逃がすなど、何をやっている!?この役立たず共が!」

クロウの話を聞いたクロチルダは驚き、カイエン公爵はオルディーネを睨んだ。

 

「るせえっ!メンフィルが”パンダグリュエル”の制圧の為に戦艦で”パンダグリュエル”を包囲していたんだ。どの道結果は変わらねぇよ。今はこれからどうするかだろうが!」

「クロウの言う通りです、閣下。まずは”アレ”が封印されてある場所まで埋まっている瓦礫を取り除きつつ、今回の件を知った正規軍に隙を突かれないように対処する事が先決です。メンフィルも肝心の二人を取り返して貴族連合―――いえ、エレボニア帝国に対する”報復”もした事で、しばらくは落ち着くと思われます。口惜しいですが、メンフィルの事は後回しにするべきです。」

「ググググッ………!おのれええええええええええ―――――ッ!!」

クロウとクロチルダの正論を聞いて唇を噛みしめたカイエン公爵は怒りの表情で空を見上げて声を上げた!

 

「公爵閣下!緊急のご報告があります!」

するとその時領邦軍の兵士が慌てた様子でカイエン公爵に駆け寄った。

「何だ、こんな時に!?」

「そ、それが……ユーゲント陛下達がオリヴァルト殿下達に奪還されました!」

「何ですって!?」

「何だと!?まさか殿下はメンフィルと手を組んで、陛下達を奪還したのか!?」

驚愕の報告を聞いたクロチルダは驚き、カイエン公爵は怒りの表情で問いかけた。

 

「殿下達とメンフィルが同盟関係であるかどうかはわかりません!ただ陛下達の無事を確認をしに行った部隊からの通信によるとメンフィル軍がカレル離宮から撤退した後、上空に待機していた”カレイジャス”が着陸し、学生達がメンフィル軍の猛攻によって進路が阻まれた影響で進軍が厳しい状況であった我らの妨害を行い、陛下達や殿下と共にカレイジャスに乗り込んで撤退したとの事です!」

「なっ!?学生って事はあいつらか!クソッ!てっきりリィンの救出の為にパンダグリュエルを襲撃すると思ったのに、完全に裏をかかれちまったな……!」

「クッ……メンフィルの襲撃に便乗して、皇帝達を救出するなんて想定外だわ……!」

「!!陛下達という事はまさか皇太子殿下まで奪われたのか!」

報告を聞いたクロウとクロチルダは厳しい表情をし、カイエン公爵は焦りの表情で問いかけた。

「は、はい……それより最悪の報告がまだあります……」

「何だと!?まだあるというのか!一体何だ!?」

「――――バリアハート並びにオルディスの防衛部隊がメンフィル軍の奇襲によって壊滅し、バリアハートとオルディスはメンフィルによって制圧されてしまったとの事です!」

「「な――――――」」

「何だとっ!?」

兵士の報告を聞いたクロウとクロチルダは驚愕のあまり絶句し、カイエン公爵は血相を変え

「そ、そんなっ!?」

「陛下達が奪われた事に加えて、バリアハートとオルディスが制圧されるなんて……!」

周囲にいる領邦軍の兵士達は表情を青褪めさせていた。

 

「さ、更に……メンフィル軍はバリアハートとオルディスの貴族街で破壊活動を行い、その際に貴族の当主の方々を処刑し……アルバレア公爵夫妻並びにナーシェン卿と閣下の細君を拘束したとの事です!」

「な――――――――」

「嘘でしょう!?」

「クソッタレ!幾らユミルやエリス達の件で貴族連合に対して相当な怒りを持っていたとはいえ、普通、”そこまで”するか!?」

表情を青褪めさせて身体を震わせながら報告した兵士の話を聞いたカイエン公爵は絶句し、クロチルダは信じられない表情で声をあげ、クロウは悔しそうな表情で声を上げた。

「お、おのれ……!直ちに全軍を持ってメンフィルに制圧されたオルディスとバリアハートを奪還させ、ナーシェン達を救出しろ!」

「なっ!?――――閣下!先程メンフィルの事は後回しにするべきだと言い、閣下もその意見に賛同したではありませんか!」

兵士に命令をしたカイエン公爵を見たクロチルダは血相を変えて反論したが

「黙れ!エレボニアの伝統ある”五大都市”のバリアハートとオルディスを薄汚い簒奪者共に奪われたままでなるものか!第一これも全て貴様ら”裏の協力者”共の無能さが招いた事!今回の失態の責任を取ってもらう為にも貴様らにも当然バリアハート並びにオルディス奪還に加わってもらうぞ!」

カイエン公爵は聞く耳を持たず、クロチルダを睨んで更に反論した。

 

「何ですって!?そういう領邦軍こそ、肝心な時に都市を守れずにむざむざと奪われてしまったのですから、そちらの失態なのではありませんか!?第一私達”裏の協力者”は内戦の”裏側”を担当する存在で、”表側”――――軍と真正面でぶつかり合って戦う存在ではないと最初に言いましたよね!?」

「き、貴様……っ!」

「お前ら、こんな非常事態に仲間割れとか何をやっているんだよ!?仲間割れなんてしていたら、敵(メンフィル)の思う壺だぞ!?」

互いに睨みあって言い争うクロチルダとカイエン公爵の様子を見たクロウは制止の声をあげ

「か、閣下………まだ最悪の報告は残っているのですが、続けてもよろしいでしょうか……?」

兵士は表情を青褪めさせてカイエン公爵を恐る恐る見ながら問いかけた。

 

 

 

 

敵の仲間割れ程見ていて面白いものはないでしょうねww

 


 
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