『人は殺せば死ぬ』
これは事実であり、変わりの無い事だと思う。
『1人殺せば殺人者。10人殺せば殺人鬼。100人殺せば英雄』
じゃあ、数万、数十万の単位で人を殺せば?
英雄ではなくなり、恐怖と憎悪を向けられる殺戮者となる。
僕はそう考えてる。
なぜそう思ったのか……
それは僕がその殺戮者と呼ばれるべき1人であるから。
「ハァ…ハァ……ハァ……」
僕はただ死にたかった。
それだけでの理由で戦場に立ち、人を殺し続けた。
……けど、生き長らえている。
頭では死にたいと思うのに、体はまるで生きたいと言っているかのように敵を殺した。
返り血で体は真っ赤に染まり、手なんかは誰の血で染まっているのかもう分からない。
分かっているのは殺すと人は死ぬという事。
今奪った命も儚く散って行く。
「完璧だソラ!君は私達の予想を超えた働きをしてくれる。実に嬉しいよ!」
今は生き長らえる為に僕はこの男と一緒にいる。
結局は死にたく無かったかもしれない。
けど、今も心の何処かでは死にたいと叫び悲鳴をあげていた……
この目の前にいる男は僕の今の主人マスターであり、衣食住を提供してくれる唯一の人。
僕を気に入っているのか、僕を良く護衛につける。
4年間の間、この男に命令されるがまま人を殺し続けた僕の心は磨り減り、そして壊れた。
感情を失い、面白可笑しく笑う事も無くなったし、悲しくて泣く事も、痛みで痛がる事も忘れてしまった。
誰かに愛情を向けられても理解出来ない。
そんな僕の気を紛らわせてくれるのは、本を読むことだけだ。
読んでいる間だけは嫌な事は考えなくて済んだ。
人を殺した事も、目の前で死んでいった仲間の事も全て忘れられた。
この後、あの少女と出会うまでは……
それまでずっと僕は人を殺すだけの人形だったのだから。
4年間ずっと……
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世界中の企業が集まるパーティへの武装組織襲撃により、全てを失った少年シラヌイ ソラはある男に拾われた。その男は自らを悪党と言い、連れて行かれたのは血塗られたダイヤモンドと言う組織だった。そこは人間以上の力を出す研究施設であり、男が作った私設の軍事教練施設でもあった。実験、戦いの日々に喜怒哀楽の感情すら失ったソラはいつしか戦場で殺戮者と呼ばれるまでになっていた。1人の少女が来るまでは。心を失った少年ソラは1人の少女の為に戦い、傷つき前へと進む。たとえ大きな犠牲が待っていたとしても……