chapter:作戦シーン「直掩部隊」
提督が着任する……。これで、私たちのバイトと借金生活からサヨナラできるかもしれない!
一応、旗艦の任を拝領している私は早速、提督にいいところを見せられるように、戦闘時の作戦を立てることにした。閉店後、私と山城、吹雪ちゃんの三人そろって、お店の一角で早速作戦会議を行う。売れ残りのパゴダ・マストセット(特大ハンバーガーとアメリカ人もビックリのテンコ盛りポテトと艦橋型容器のジュース約750ml)を三人分、テーブルに置いて、と。
吹雪:扶桑さーん……私じゃ、パゴダ・マストセット、食べきれませんよぅ……。
山城:吹雪ちゃん……姉さまの用意したものを残すつもり……?
吹雪:そ、そんなつもりじゃ(汗)。
扶桑:いいのよ、山城。吹雪ちゃんも食べきれる分だけでいいんだからね。
吹雪:あ、ありがとうございます。
扶桑:それじゃ、早速、いつ出撃命令があってもいいように、作戦を立てておきましょうか。
吹雪:あの~……敵、このあたりにいるんですか?
扶桑:そこが問題よね……。敵がいるのかもわからないのに、作戦を立てるというのも変な話よね……。
山城:姉さま、航空部隊を出したらどうでしょう。水上機なら偵察もできるし、いざというときには空戦もできそうですよ。
扶桑:なるほどね……。それなら、このあたりの哨戒という名目も立てられそうね。
吹雪:でも、水上機、どうやって調達しましょ?
扶桑:私と山城の装備に水上機はないし……。あ、少しの間借りるのはどうかしら。
山城:他の泊地も自分のところで手一杯かもしれませんけど……。交渉してみないと分かりませんよね。
扶桑:そうね。ダメでもともとなんだから、他の基地や泊地に連絡してみるわ。
私は、この泊地の代表艦娘として、別の基地に連絡を取ってみた。顔なじみの足柄さんがいる「ブルネイ哨戒温泉」に電話をかけてみた。
足柄:はーい、こちら、「ブルネイ哨戒温泉」よ。
扶桑:こちら、「青春最強帝国」です……。足柄さん、お久しぶりです。
足柄:あら、扶桑さん。こんにちは。今日はどんな御用?
扶桑:そちらに余っている水上機はないかしら。
足柄:水上機ですか。それだったら、ここには結構余っているのがありますよ。でも、突然、水上機を使うなんて……。なにかあったんですか?
扶桑:実は、今度、こちらにも提督が派遣されることになって……。みっともないところを見せられないし、もしかしたら、深海棲艦の活動があるかもって思って。
足柄:そゆことでしたかぁ。じゃ、こっちから水上機を何機か派遣しておきますね。
扶桑:ありがと。助かるわ……。
足柄:いいのいいの。余り物なんだから、お礼を言われるほどのものではないわ。新しい提督にいいとこ、見せられるといいわね。
よかった。やっぱり、人間関係は大切よね。
翌日には水上機が6機届いた。これで、いざというときにも安心……かしら。
chapter:日常シーン「日々の訓練」
最初の通信から3日たった。今日は提督の着任日。「本日、臨時休業」の札をお店の前にかける。でも、まだ着任には時間があるわ。いつ、出撃命令が下ってもいいように、しっかり訓練しなきゃ。深海棲艦はもう何年もこのあたりに出ていないから、私たちはまだ、出撃したことはないけど、訓練に越したことはないしね。扶桑姉さまを中心に私と吹雪ちゃんで、艦隊運動・砲撃・回避行動の訓練をしておこう。
扶桑:何から始めるの?
山城:まず、艦隊運動からかしら。陣形を組んでみましょう。といっても、3人だから、あまりいろいろできませんけどね。
私の提案に姉さまと吹雪ちゃんがうなずく。早速姉さまを先頭にした単縦陣を組む。そこから、単横陣に切り替える。そして、梯形陣を組んで、また単縦陣に戻る。こうした、戦闘中の陣形変更の練習を何度も行う。でも、久しぶりの訓練だったから、結構、バラバラな動きになってしまったわね。
扶桑:やっぱり、長く訓練をしていないと、なかなかスムーズにはいかないわね……。
吹雪:仕方ありません……。燃料も弾薬もあまりなかったわけですし……。
山城:せめて、まともに訓練するくらいの燃料と弾薬くらいは供給してくれないかしら。
扶桑:提督が着任したら、それも少しは改善される……かも。
山城:そ、そうですよね。もうちょっと、艦隊運動の訓練をしたら、今度は砲撃戦と回避運動の訓練にしましょう。
もう一セット、艦隊運動の練習をした後、回避運動や砲撃戦の訓練を行う。
久々の訓練で、汗びっしょり。姉さまも吹雪ちゃんも疲れているみたい。ちょっと休憩にしましょう。埠頭の方に移動して、用意していたスポーツドリンクを一口。
はぁ~、ひんやりとしたドリンクが身にしてみて美味しい……。
???:やぁ、君たちがここの艦娘……旗艦の扶桑に、妹の山城、それに吹雪だね。
後ろから、突然、男の人の声がする。私たちが同時に後ろを振り向くと、軍服を着た男の人が。この人が、もしかして……。
提督:やぁ。私が今度、ここに着任した者だ。
この人が、新しい提督かぁ。敬礼じゃなくて、軽く手を上げるだけの簡単なあいさつね。気さくな人、なのかなぁ。あれ? 今何時だっけ? 慌てて時計を見ると。
山城:って……あ! もう1230じゃない!!
提督:ははは。気にするな。それだけ訓練に身が入っていたってことだろう? いいことじゃないか。それに、敵がいないからって、君たちが暇そうにだらけているのでもなく、ちゃんと訓練をしていたみたいで、私は安心したよ。
扶桑:あ、ありがとうございます。
提督:そうそう。来る前に、チューハイや菓子を買っておいたんだ。ささやかだけど、訓練が終わったら、ちょっと、ゆっくりしようか。あ、吹雪には、コーラね。
扶桑:それじゃ、もう少し休んだら、また、練習しましょうか。提督は、ここでご覧になっていてください。
吹雪:私たち、練度はあまり高くないですけど、がんばりますっ!
練度が高くないのに、訓練を見てもらうのは恥ずかしい気もするけど、私たちのヤル気だけでも見せておけば、きっと活躍の場も増えるはずよ! 私たちはまた、海に出て、訓練を始める。提督は双眼鏡で私たちの様子を見ているようね。もうちょっと、頑張ろうかしら。
chapter:交流シーン「裸のつきあい」
久々の訓練。疲れたけど、いつものバイトとは違って、心地いい疲れだったなぁ。新しい司令官もいい人みたい。その後のフォローも適切だったし。何でこんな人がここに着任したんだろ? ま、いいや。それに、扶桑さんも山城さんもちょっとうれしそう。久しぶりに気持ちよくお風呂に入れそうです。そうだ! 今夜は扶桑さん・山城さんと一緒にお風呂に入ろう!
お二人も快諾してくれて、私たちはゆっくりと湯船につかりました。ここだけは昔のままだから、結構広いのがうれしいです。手足がちゃんと伸ばせるお風呂っていいですもんね!
扶桑さんも山城さんも、プロポーション、いいなぁ……。私もいつか、ああなれるかな?
扶桑:訓練の後のお風呂……いいわね。
山城:はい、姉さま!
吹雪:やっぱり、私たちは艦娘ですから。
扶桑:とはいっても、平和なことも一番よね。
吹雪:私たちが活躍するってことは、深海棲艦の活動が活発になるってことと同じですもんね。……まぁ、ここはあまり難しいことは考えずに、ゆっくりしましょうよ、ね。
扶桑:うふふ。そうよね。それじゃ、今日の訓練を提案してくれた山城と、射撃訓練で一番だった吹雪ちゃんの背中、私が流してあげようかしら。
山城:姉さまぁ……(うるうる)
吹雪:えっ! ホントですか!? わーい!
私と山城さんが、扶桑さんに抱き付く。うわー……柔らかい……。
私が扶桑さんのナイスバディにちょっと感動していたその時。突然、お風呂場のドアがガラガラと開けられる。そこにいたのは……海パン一丁の司令官!
提督:はっはっはっ!! 諸君! 私を混ぜてくれないとは水臭いぞ! コミュニケーションは風呂でのんびりと行うのが一番! さぁ、扶桑・山城・吹雪よ、さらに交流を深めようではないか!!
一瞬、私の思考が完全に停止する。扶桑さんも山城さんも凍り付く。
吹雪:きゃぁぁぁぁぁぁぁ!! し、司令官のエッチーーーーーーー!
私は砲を取りに戻ろうとする。けど、慌てていたから、足元に転がっていた石鹸に足を取られてしまう。そして。
つるっ! ごちーーーーんんん……
吹雪:きゅぅぅぅぅぅ……(気絶)
山城:こんのぉぉぉぉぉ……ヘンタァァァァァァァァイイイイイイ!!!!!
山城さんの鋭いアッパーカット!
どかぁ! ひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんんんんんん……きらーん。
司令官はお星さまになりましたっ、まるっ
扶桑:提督が、こんなところに配属されたのは、このせいね……。はぁ……夜空が綺麗……。
山城:まともな人だと思って安心していたのに……。不幸だわっ!
chapter:リプレイパート
※ソロプレイですが、筆者代理のご隠居提督と軽空母・千歳の二人の会話という形でお送りします。
千歳:じゃ、こんどは鎮守府フェイズですね。何を選んだんですか?
ご隠居:うーん、作戦・日常・交流の3つかな。
千歳:じゃ、それをシャッフルして……。はいどうぞ。誰をPCにします?
ご隠居:まずは、姉さまで。……っと。作戦か。じゃ、ダイスを。3か。
「3.直掩部隊 『対空見張りも厳として。よろしくねっ!』敵の空襲を警戒し、直掩部隊を上げる。シーンプレイヤーは《航空戦/戦闘4》で判定」
ご隠居:確か、このシナリオ、対空戦はないよね。
千歳:ええ。
ご隠居:成功してもメリット無し。失敗すれば、ボーキ減少って……(汗)
千歳:でも、扶桑さんなら6以上で成功ですから、頑張ってくださいね。
フリー個性で長所にした《索敵/戦闘4》で代用。目標値は6。ダイスは7で成功。
ご隠居:はぁ。よかった成功だ。
千歳:でも、戦艦二人に駆逐艦でどうやって、直掩部隊を上げるんですか?
ご隠居:うーん。フレーバー直掩部隊(話だけの直掩部隊。戦闘には参加しない。) を陸から出したことにしておくか。
千歳:キーワードは足柄さんでしたからね。それも考慮に入れてくださいね。
ご隠居:そしたら、足柄さんのいる泊地から水上機を借りたことにするか。
千歳:二式水戦を借りたことにすれば、一応つじつまは合いますね。
ご隠居:艦これ本編でも実装はされてないから、ここはただ、水上機とだけしておくか。
ご隠居:じゃ、次のPCは山城にしよう。カードは……。日常パートか。
「9.日々の訓練 『当然のことをしたまでです。特別な評価なんて……』日々の訓練を真面目にこなす。《素直/魅力2》で判定」
千歳:「素直」は持っていませんから、「元気」で判定したらどうです?(ニヤリ)
ご隠居:山城の「元気」は弱点だろ? アクシデント表を使わないといけないから却下。
千歳:リプレイ的に「おいしい」のは、そっちだと思うんですけど?
ご隠居:それはそうだけど、PC的にはイヤ。「おしとやか」も同じ目標値だから、それで。
《おしとやか/魅力5》で代用して判定。目標値は8。一度目は4が出て、失敗。行動力を3消費して、もう一度振り直す。今度は9が出て成功。山城は経験値10点と吹雪からの感情値を1点獲得する。
ご隠居:とりあえず、このパートも成功、と。
千歳:キーワードは「チューハイ」ですね。なんで、このキーワードなんですか。
ご隠居:いや、チューハイ飲みながらプレイしていたから。
千歳:酔って、変なプレイしないでくださいね。じゃ、後は吹雪ちゃんですね。残ったカードは「交流パート」ですから。じゃ、ダイスを振りますね。(コロコロ)えっと……目は、6。内容は……「裸のつきあい」!?
ご隠居:なにぃぃぃぃぃぃ!!(歓喜) 扶桑姉さまに山城、吹雪と「裸のつきあい」なんて!
千歳:喜んでばかりもいられませんよ。説明を見てください。
●6.裸のつきあい
『みてみて~、この輝く肌。ウフッ、もっと近くで見てよ』一緒にお風呂。たまには裸のつきあいもいいかもね? シーンプレイヤーのPCは《入浴/趣味11》で判定。」
ご隠居:吹雪の能力だと……一番近いので、短所の「砲撃」。それに、それをつかっても(汗)。
千歳:スペシャル(6のゾロ目。判定は必ず成功となる)じゃないと、成功しませんね。
ご隠居:声援を送れば(汗)
千歳:感情値も扶桑姉妹同士と「吹雪→扶桑」と「吹雪→山城」しかないですよ。仮に声援を送っても目標値12です。どっちみち、スペシャルが出ないと成功しません……。それに、「砲撃」と「裸の付き合い」って、何が関係あるんですか?
ご隠居:まぁ、普通に考えれば入渠ドックに侵入した提督を砲撃で追い払うとか。
千歳:……どうして、どこの提督さんも変態ばっかりなのかしら(溜息)。気を取り直して。今回は弱点の「砲撃」を使用しますからね。アクシデント表のチェックから。
ダイスの目は5。損傷が1つく。戦闘しないうちから、小破してしまった!
ご隠居:うー……。スペシャル、来い!!
と、願ったとしてもダメなものはダメ。賽の目は無情にも7。当然、失敗である。振り直しても、行動力を無駄に消費するだけで良いことはなさそうだ。幸い、ここでは失敗しても行動力は1しか減らない。本来なら、それに加えて吹雪に対する感情値を持つキャラの声援欄にチェックが入るのだが、吹雪に対する感情値を持っているキャラがいないので、そこは省略。
千歳:このパートの成否よりも吹雪ちゃんに損傷がついたのが痛いですね。鎮守府フェイズ終了で入渠もできないから、回復もできませんし。それに、吹雪ちゃんへの感情値を持っているキャラがいないから、轟沈してもサルベージできないですよ?(注:艦これTRPGでは、轟沈しても感情値を持っているキャラが判定に成功すれば救出できる)
ご隠居:……あっ! やべっ!!
千歳:本当に大丈夫なのかしら。
【鎮守府フェイズ終了Result】
・作戦シーン「3.直掩部隊」
プレイヤーキャラ・扶桑:成功
・日常シーン「9.日々の訓練」
プレイヤーキャラ・山城:成功
・交流シーン「6.裸のつきあい」
プレイヤーキャラ・吹雪:失敗
・行動力
扶桑:9→8 山城:9→5 吹雪:17→16
・感情値
吹雪→山城に1点追加(「素敵」)
・経験値
山城に10点
・その他
*次の艦隊戦では敵の航空攻撃が1点減少する。
*吹雪に損傷1(小破)
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艦これTRPGの机上演習「提督着任」(『艦これRPGぼっちリプレイ 空はあんなに青いのに』pp.232-237収録)のリプレイ記第二回です。
今回は鎮守府フェイズのお話です。
なお、pixivに上げたものと同じ内容です。