No.779367 魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第百四十一話 ピンチ!(ツインエンジェル編)2015-05-24 18:47:55 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:12750 閲覧ユーザー数:11185 |
~~遥視点~~
私達はひたすらに上を目指して階段を駆け上がっていた。
「あっ!!出口だよ!!」
私達の先に見える1つの扉。階段ももう上に向かうのが無いから、あの扉の先が最上階の目的地だと私は思う。
「とりゃああぁぁぁぁっっっ!!!!」
私はその扉を蹴破り、勢いを殺す事無く扉の向こう側へと駆け抜けた。
「って、何扉蹴破ってんのよおぉぉぉっっっ!!!」
にゃ!!?
すぐ背後からクルミちゃんの怒声が飛んでくる。
「だって、扉を開けるよりも手っ取り早い方法だよ?」
「扉の向こう側に人がいたらどうするつもりだったのよ!!」
……………………あ。
言われてみればそうだよね。
「………………てへ♪」
チロッと舌を出して可愛らしくポーズを取ってみる。
「ふん!!」
けどクルミちゃんはジャンプして私の頭を叩いてくる。
「にゃっ!?痛いよクルミちゃん!!何で叩くの!?」
「アンタが馬鹿だからよ!」
「むぅ…勇紀君だって扉を蹴破って開けたよ?」
「アイツがしたからアンタがやっても良いっていう道理なんか無いわよ!!」
ぶーぶー。
「あ、あの2人共……今はそんな事よりも優先すべき事がある筈ですよ」
私とクルミちゃんの間に葵ちゃんが割って入ってくる。
葵ちゃん、さっきまで勇紀君におぶって貰ってたから体力回復してるんだよね。
今回は遅れる事無く私とクルミちゃんに付いて来てたし。
……おんぶ、羨ましかったなぁ。
「……お姉様の言う通りね。今はバカ遥を叱ってる時間も惜しいわ」
うぅ…クルミちゃんが毒舌だよぅ…。
「来たか。天ノ遣の使命を継ぎし者達よ」
突如、私達以外の人の声が耳に届く。
私達が向いた先には祭壇があり、祭壇の上に設置された天使の翼を生やした女性の石像、更に石像の要所要所には風芽丘学園の保管庫にあった
そして祭壇の前には立ち塞がる様に立つ、全身を黒いローブで覆い、目の部分はバイザーで隠した男の人が立っていた。
この人がブラックトレーダー。テスラちゃんとナインちゃんの育てのお父さん。
そして…
「何で…何で貴方はテスラちゃんとナインちゃんに酷い事を!!」
娘さんであるテスラちゃんとナインちゃんを攻撃した張本人。
私はその事実に強い憤りを感じる。
「例え娘であろうと我が目的を阻む者は全て敵だ」
「……許せない!!文化祭をメチャクチャにしただけじゃなく、私は2人を傷付けた貴方を絶対に許せない!!」
テスラちゃんもナインちゃんもこの人のために行動してたのに!!
「ふん。お前達に許しを請う気など毛頭無い!!使えない道具など、破棄されて然るべきなのだ」
『使えない道具』。
この言葉で私は元々ここへ来る前から我慢していた怒りが限界を突破した。
「こんのおおおぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!!!」
私はブラックトレーダー目掛けて駆け出す。
「エンジェルゥ~……」
グッと握りしめた拳を
「パーーーーンチ!!!!」
思い切リ突き出す。
渾身の一撃である私のエンジェルパンチがブラックトレーダーに
バチイイィィィィンンンンッッッッ!!!!
……届く事は無かった。
ブラックトレーダーの眼前で私のエンジェルパンチが
「(バリア?)」
勇紀君が使う魔法とは違う感じがするバリアに私の攻撃は阻まれてしまう。
けど1回通らないぐらいで諦める私じゃないもん!
「ていっ!!たあっ!!」
何度も何度も拳を振るう。
その度にバリアに阻まれるが、気にせずに振るう。
「エンジェルアローーーーッ!!!」
「エンジェルボム!!!」
その言葉が聞こえた私はブラックトレーダーから距離を取る。
後方から葵ちゃんが光の矢を放ち、クルミちゃんが爆弾を投げつけて攻撃するが、それでもバリアは砕けない。
「ははは、その程度の攻撃では私には届かんよ」
笑い声をあげながらバイザー越しに私達の方に視線を向けているブラックトレーダー。
個々に攻撃してたらあのバリアは抜けられない。なら私達の攻撃を同時にぶつければ…
「葵ちゃん!クルミちゃん!」
「はい!」
「任せて!」
私は大きく跳躍し、空中でグルグルと高速で回転する。
「エンジェルボム!!!!」
クルミちゃんのエンジェルボムがバリアの前で爆発。
爆煙でまずは相手の視界を奪う。
「エンジェルサウザンドアロー!!!!」
続いて葵ちゃんの放つ大量のエンジェルアローが雨のように降り注ぐ。
そして矢の雨の中心には私が。
「エンジェルハリケーン!!!!!!!!」
重力に引かれ、私の足と葵ちゃんのエンジェルアローが同時にバリアにぶつかる。
けど今度は先程までと違い、攻撃を阻むバリアは
「ブレイク!!!!」
パリイイイィィィィィィンンンンン!!!!!!
硝子の様な音を立て、簡単に砕け散った。
「ぐうぅぅっ!!!」
そのまま勢いを殺す事無く私のキックがブラックトレーダーに命中する。
彼は防御を取る事も出来ず祭壇の壇上まで吹っ飛んだ。
やった!!
内心喜んだ時だった。
パアアァァァァァッッッッ!!!!!
石像に取り付けられている
祭壇の方に飛んで行き、突然ポケてんに罅が入ったかと思うと、そのまま割れて中から二対の首飾りが姿を見せる。
何!?何なの!?
葵ちゃんやクルミちゃんも突然の事に戸惑っている。
頭の中が混乱し始める中、ゆっくりと起き上がるブラックトレーダー。
立ち上がった彼は……まるで『計算通り』と言わんばかりの笑みを浮かべていた。
「ふふふ…これこそ
「「「本物の天使の涙!!?」」」
彼が言うや否や私と葵ちゃん、クルミちゃんの言葉が重なる。
と、同時に私達の変身が解かれる。
「何コレ!?何で変身が!!?」
クルミちゃんの言葉は私と、おそらく葵ちゃんも思ってる事だと思う。
そんな疑問を余所に事態は進んでいく。
「遂に…遂に全ての
歓喜に打ち震えているブラックトレーダーはそのまま祭壇の石像に近付き、『本物の天使の涙』と称した二対の首飾りを石像に取り付ける。
次の瞬間、全ての
「貴様等は知っているか?これが、
本当の使い方?
「どうやら知らない様だな。ならば教えてやるぞ、天ノ遣の末裔達よ」
ブラックトレーダーは嬉々とした表情で語り出す。
「研究当初、私もオスカーも
「鍵?」
「
「「「ギュスターブ…」」」
「ククククク、お前達の感情……私に対する怒りのエネルギーのおかげだよ」
「「「っ!!!」」」
そんな…それじゃあ私達のせいで…。
「はーっはっはっはっはっは。起動したら最後、もうギュスターブを止める事は出来ん。この世界を焼き尽くすまではなあっ!!」
彼の笑いに応えるかの様に
そして目も開けていられない程の輝きを放った後
「っ!!?何だコレは!!?どうした事だ!!?」
一斉に共鳴が止み、
困惑するブラックトレーダー。
「何があったんだろうね?」
「私が知る訳無いでしょ」
私とクルミちゃんはそんな彼の姿を見て首を傾げる。
ホント、どうしたんだろう?『ギュスターブ』っていうのが動くんじゃなかったのかな?
「っ!!遥さん、クルミさん。アレを見て下さい!!」
何かに気付いた葵ちゃんがある方向を指差す。
「……ティアラの輝きが消えちゃった」
他の
「馬鹿な!!私とオスカーの検討は間違ってなかった筈だ!!なのに何故共鳴が止む!?何故ティアラの活性化が止まるのだ!?」
「……理由は不明ですけど、この様子だとギュスターブが動く事は無さそうですね」
「みたいだね」
私達はホッと一息。
「とりあえず、アイツをどうにか無力化して
クルミちゃんの言葉に私も葵ちゃんも頷く。
けど変身が解けてるからいつもみたいに力も技も出せないよ。
どうやって取り返そう?
うーん、と頭を捻って作戦を考えていた時
「ぐああぁぁっっ!!!」
「「「っ!!?」」」
突如、空から降り注いできた光の弾に吹き飛ばされたブラックトレーダーの声が私達の耳に届く。
アレって勇紀君が使ってた魔法と同じ様な感じがする。
けど勇紀君が放っていた弾と色は違っていた。
私達が空を見上げると複数の人達が浮いていた。
「ぐふ、ぐふふ…」
にゃ!?
私達とブラックトレーダーから離れた屋上の片隅に位置する所に新しい第三者がいつの間にかいた。
コチラにも数人の護衛らしき人達が付いている。
空に浮いていた人達もゆっくりと降りてきてソチラに合流する。
「ツイてる。私は実にツイてるぞ。まさか私が管理局に認定させた
男の人は
…………誰なんだろう、あの人達は。
「ぐふふ。11年前には余計な邪魔が入ったせいで
何だか独り言をつぶやいてるけど声大きいなぁ。私達の方にまで聞こえてきてるよ。
「遥さん、何としても
にゃ?何で?
「アンタ、さっきのあの男の独り言聞いてたでしょ?『管理局』とか『11年前』っていうキーワード出てたじゃない」(ヒソヒソ)
そう言えば…。
「そのキーワードから察する事が出来ると思いますが、あの人達は長谷川君が教えてくれた11年前の火災事故に関わった人達だと思うんです」(ヒソヒソ)
ええっ!?じゃ、じゃあテスラちゃんとナインちゃんの本当のお父さんが…。
「うおおぉぉぉぉっっっっ!!!!!」
立ち上がったブラックトレーダーのバイザーからビームが放たれたが、バリアみたいなもので弾かれる。
やっぱり勇紀君の使う魔法と同じだ。足元に魔法陣出てるもん。
「貴様は……貴様はあっ!!!」
ブラックトレーダーのこれまでに無かった、明らかに殺意を孕んだ声色に私達は身を竦ませた。
「んん~?何だお前は?」
「どうやら
攻撃された男の人はようやくブラックトレーダーの方を向く。
首を傾げる男の人に、護衛の1人がソッと耳打ちする。
「おおっ!!そうかそうか、ご苦労だったな。だがコレは君が思っておる以上に危険な物なのだよ。よって我々時空管理局の管理下に置き、保管させて貰うよ」
「っ!!ふざけるなあっ!!!」
バリアに阻まれると分かっていながらも攻撃を止めようとしないブラックトレーダー。少し前、彼に攻撃してた私達と同じだ。
「むぅ……鬱陶しい奴だな。おい」
「はっ」
男の人が1人の護衛に指示を出すと、魔法でブラックトレーダーに攻撃した。
「がああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
魔法が直撃し、膝を地に着くブラックトレーダー。
「全く……管理局の科学、技術力を知らない管理外世界の住民はこれだから困るのだ」
男の人がブラックトレーダーに向けるのは相手を見下す視線。自分達の方が格上だと言わんかの様な嫌な視線だ。
そんな視線を真正面から受け止めながらブラックトレーダーは睨み返している。
「…殺す!!貴様だけはこの手で殺してやる!!」
「私を殺す?ははっ、管理外世界の住人はジョークが上手い様だ」
「黙れ!!11年前に貴様等『管理局』と名乗る連中がやってきたせいでオスカーは死に、あの火災が起きたのだ!!許せるものか!!」
「む…」
ブラックトレーダーの言葉を聞いた男の人は、表情を引き締める。
「11年前の事を知ってるとは、貴様はあの時の当事者か?」
「……………………」
「まさかあれだけの火災にも関わらず生存者がいたとはな。だがあの火災が起きたのは貴様等の自業自得だろう。大人しく我々に
「貴様あっ!!!」
激昂するブラックトレーダーだが、今度は立ち上がる間もなく、また魔法で攻撃される。
「おい、お前達はあそこの
「「「はっ」」」
「少将。アチラの3人はどうします?」
「「「っ!!」」」
うっ…さっきからコチラに反応示さないから気付いて無いと思ってたんだけどなぁ。
護衛に付いてる人達はブいつの間にか武器をコチラに構えている。
「んん~?子供ではないか。……もっともこんな所に唯の子供がいる訳無いな。おそらく
少々と呼ばれた男の人は顎に手を当て、考える仕草をとる。
それも数秒の事。
「…そこまで深く考える必要も無いな。事故に見せかけて殺しておけ」
平然とそんな事を言い放つ男の人に私は恐怖を感じた。
どうしてそんな事が言えるの!?この人達勇紀君と同じ組織に所属してるんだよね!?
「よろしいのですか?見た所、かなりの魔力を有しているようですが…」
「普通ならスカウトする所なのだがな。流石に現状を見られているとあっては私にとって不利益にしかならん」
口封じのために私達を殺すという結論を出したみたい。
ヤバいよ。変身出来ていない今、ちょーピンチだよ。
相手は皆構えた武器の先端に光を集めて…
「うおおぉぉぉぉっっっ!!!!」
「「「「っ!!?」」」」
横から放たれたビームに邪魔をされ、吹き飛ぶ護衛さん達。
そのせいで溜まりつつあった光が霧散した。
邪魔をしたのはブラックトレーダー。
「しつこい奴だな。おい、私が許す。非殺傷設定を解除して攻撃しろ」
「はっ?しかし管理局の規定では次元災害規模の犯罪を犯そうとする者以外への非殺傷設定解除による攻撃は原則禁止されていますが?」
「そんなもの私の虚偽報告と権力でどうにでも出来る。いいからやれ。奴は11年前の事件の当事者だし、今みたいに横槍を入れられるのは目障りだ」
護衛の人達は戸惑った様な感じだったけど、男の人はどこ吹く風といった感じで命令してる。
「少将。
「おお、そうか!!」
3人の護衛さん達が全ての
「ふむふむ。ロストロギアでなければ装飾品として我が家に飾りたいぐらいだ」
どうしよう……。このままだと
「遥さん。
にゃ!?
良いの葵ちゃん!!
「ここで私達が死んでしまっては元も子もありません。それよりも今はこの場をどうやって切り抜けるかを考えましょう」(ヒソヒソ)
う……確かに死んじゃったら
「この場をすぐに離れるか、時間を稼ぐか……いずれにせよ長谷川君か、下で戦っているフェイトさんに合流して事情を説明しないと…」(ヒソヒソ)
「確かフェイトって執務官とかいう役職でしたよね?なら彼女を通じてなら同じ局員のアイツ等を逮捕出来るんじゃないのですか?」(ヒソヒソ)
葵ちゃんの言葉に頷きつつクルミちゃんが想った事を口にする。
だね。今の私達は正直戦えないから勇紀君かフェイトちゃんに何とかして貰わないと。
けど…
「万が一私達がここから逃げれたとして、フェイトちゃんがまだ戦ってるとしたら寧ろフェイトちゃんの邪魔になっちゃうよ」(ヒソヒソ)
だから頼るとするならテスラちゃんとナインちゃんの治療をしてる勇紀君って事になるよね。
方針が決まれば後は実行あるのみ。ここから逃げ出すだけなんだけど…。
「(私達が逃げちゃったらブラックトレーダーは…)」
たった1人で管理局の人達と対峙する事になってしまう。
あの人は
「ぐううぅぅぅっっっ!!!!」
思考に浸っている間にブラックトレーダーへの攻撃が再開された。
1つの弾がブラックトレーダーの肩に当たると先程までと違い、服の一部が焼けたかの様に焼失し、露出した場所から赤い液体が流れ落ちていた。
……血だ。
「「「うっ…」」」
思わず私と葵ちゃん、クルミちゃんは目を逸らす。
ツインエンジェルとして活動してる際に、色んな悪い人達と対峙したけど、こんな風に誰かが傷付けられ、血を流す現場に出くわした事は無かった。
傷を負わされたブラックトレーダーは肩の傷口を手で押さえ、脂汗を掻いていた。
「ぐふふ、痛いか?痛いのか?だが泣いて謝っても許さんぞ。貴様はこの私に刃向かい、攻撃してきたのだからな。後悔しながら死ぬがいい」
「ぐふっ!」
少将と呼ばれていた人が
…何であの人は笑いながら平気で他人を傷付けられるの?心が痛んだりしないの?
「……最低です」
「どうしようもない外道ね」
葵ちゃんとクルミちゃんがボソリと呟く。
ていうか葵ちゃんがここまで表情を歪めるのを私は今まで見た事無い。本気であの人に嫌悪を抱いてる証拠だ。
ガシイッ!!×3
「「「っ!!?」」」
男の人の蛮行が続く中、私達はどこからともなく現れた鎖に身体を縛られて動けなくなる。
これも魔法なの!?
「悪く思うなよ。これも少将の命令なのでな」
杖を構えた護衛の1人が告げる。
そして光弾が数発、私達の方に飛んでくる。
逃げようにも身動きが取れず、このままだと光弾の直撃を受け、私達の命も……。
「っ!!」
思わず私は目を瞑る。
……………………
………………
…………
……
「(…………あれ?)」
しかし一向に光弾が当たる様子も痛みもやって来ない。
おそるおそる目を開けるとそこには、先程『天使の涙』が出た際に砕けた筈のポケてんの欠片が私達を庇うかの様に眼前でフワフワと浮いている。
「な、何だアレは!?」
私達に向かって攻撃してきた護衛の人を含め皆が目を見開いていた。
「ポケてん…私達を護ってくれたのですか?」
葵ちゃんの言葉にポケてんの欠片が答えたかの様に、淡く光り出す。
それだけじゃない。ティアラを除く
粒子を浴びているポケてんは、欠片同士がくっつくと割れた個所がゆっくりと消えていく。
ポケてんが……少しずつ修復されていく。
「アレもロストロギアなのか?お前達、さっさと小娘達を始末してソレも回収しろ!!」
少将さんの命令で護衛の人達が次々と光弾を放ってくるけど、私達に届く前に光弾は消滅し、コチラへの被害は一切無い。
「クソッ!!魔力弾じゃ全く通じねえ!!」
「てか障壁も張って無いのに何で消えるんだ!?フィールド系か!?」
「分からねえ!けどもっと威力のある魔法なら…」
「どけ!!俺の砲撃魔法で一気に決めてやる!!」
1人の大柄の男の人が一番前に立ち、杖の先端を私達に向けると、先程とは違い、杖の先端に発現した光球が少しずつ大きくなっていく。
アレは……何となくだけどヤバい気がするよ。
「ぎゃああぁぁぁぁっっっ!!!」
そんな時、先程までブラックトレーダーを蹴りつけていた少将さんが悲鳴を上げる。
「腕が!!私の腕がああぁぁぁぁっっっ!!!!!」
そう叫ぶ少将さんの左腕は
さっき眩い光が一瞬見えたからビームで攻撃した結果、左腕が無くなったんだと思う。
その姿を見て私はまたすぐに視線を逸らす。葵ちゃんとクルミちゃんも同様に。
だって、あんな風に人が傷付く姿には見慣れてないから。
「ぐっ…ごほっごほっ!!」
けど散々蹴られたせいか咳き込む度にブラックトレーダーは口から吐血していた。
彼も相当のダメージを負っている。
「な、何をしているんだお前達!!早くこの場にいる連中を皆殺しにせんかあっ!!!」
怒鳴り散らす少将さん。
慌てて護衛の1人が腕の無くなった部分に淡い光を纏わせる。
無くなった腕先から流れていた血が止まる。
それと同じくして私達の前で浮いているポケてんも完全に元の形状を取り戻していた。
ポケてんが私と葵ちゃんの側まで近寄ると私達を拘束してた光の鎖がパキン、と音を鳴らし砕けた事で私達は身動きが取れる様になった。
ポケてんは自由になった私達の前で浮いたまま、液晶モニターからAIホログラフを投映する。
『にゃあ~。大昔に『天使の涙』を食べてたの忘れてたてん』
食べちゃってたんだ!?
語尾に『てん』をつけて可愛らしい声で喋るAIホログラフ。
「そう言えば長谷川君は本物の『天使の涙』の在処を知ってると聞いた事がありますけど、もしかしてこの事も…」
葵ちゃんが思い出したかの様に言う。
勇紀君なら知ってそうだよねぇ。
でも今はそんな事よりも…。ポケてんが戻ってきたという事は再び変身が出来る可能性が!
『さあ遥、葵、クルミ。ツインエンジェルに変身だてん』
AIホログラフの言葉を聞いて私達は顔を見合わせ
「「「うん!(はい!)」」」
大きく頷いた。
「何をする気かしらんがコイツを食らえええぇぇぇぇっっっ!!!!!」
けどココで今まさに大きく膨れ上がった光球を放とうとしてる護衛さんの姿が。
「てーーーーい!!!!」
しかし先にクルミちゃんがカバンから取り出したボールを投げつけ
ボフン!!
空中で爆発したかと思うと周囲一帯が煙で覆われた。
「な、何だ!?」
「クソ!!何も見えねえ!!!」
護衛さん達の声だけが耳に届く。
「元々は対ロボット用に使うつもりだったビームの霧散用煙幕よ!!」
ほえ~。この煙、ビームを霧散出来るんだ。
「お姉様!遥!今の内に」
「「了解だよ!(分かりました!)」」
これはチャンスだよね。
「レッツゴー、フィーバータイム!!」
クルミちゃんの台詞に私と葵ちゃんも続く。
「「ラブリーエンジェル!!」」
私は赤、葵ちゃんは青、クルミちゃんは白い光に包まれ、再びツインエンジェルの衣装を纏う。
「「「怪盗天使ツインエンジェル、再び参上!!!(参上です!!!)」」」
うん!!変身したら力が漲ってきたよ。
ここから反撃開始……って言いたいけど、まだピンチっぽいんだよね私達。
けど負けられない!
~~遥視点終了~~
~~あとがき~~
今回はいつもよりちょい短めです。
次回はフェイトか勇紀&ツインファントムの視点を書きます。
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神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。