ごちゆり7
【リゼ】
眠りから覚めてまだ眠気が取れず瞼が閉じたままでいるとどこやらいい匂いがしてくる。
どこからするんだろうと手探りで探していると。
むにゅっ
柔らかい感触が私の手のひらから伝わってきて思わず驚いて目を開ける。
すると目の前にいるのはココアで私はココアの胸の位置に手を置いていて
思い切り揉んでいるではないか。
「ど、どどどどど!」
動揺しすぎて言葉にならない声が出ると私の声でココアが目を擦りながら起きて私を見て、
すごく幸せそうな笑顔を向けてくる。
「あっおはよう、リゼちゃん。何かさっき工事しているような音が聞こえたけど」
ココアの胸を揉んで動揺してそういう声が出てしまったなんて言えるはずもなく
私はとぼけながらお腹丸出しになっているココアの寝巻きをはたくように勢いよく下ろした。
「ここ!しっかり隠せよ!」
「あはは、ごめ~ん」
こいつは本当に無防備すぎて色々と心配になってくる。
そんな私の心配をよそにココアは笑いながら。
「リゼちゃんだから安心しきっちゃってだらしなくなっちゃうのかな」
「お前のだらしなさは今に始まったことじゃないけどな」
「ひどい!」
何で私がココアの部屋で寝ているかというと、さほど難しい経緯ではないのだが。
みんな揃って話をしている時にお泊りの話をココアがした際にみんな予定の日は
忙しくて行けなくなりこの話はまたの機会になるのかと内心残念がっていた
私の気持ちを知ってか知らずかココアは私にたずねてくるものだから
その日は空いていると告げると目を輝かせたココアが私とのお泊りを決行したのだった。
同じ家にチノたちもいるのだが食事や遊びの時間を除いて
私たちに気を遣うかのようにココアの部屋に私とココア二人きりにさせられて
話をしているうちに眠ってしまい現状に至っていた。
頭の中が真っ白になっていたせいか、さっきの匂いに気が回らなかったけど
少し落ち着いた今はまたはっきりと匂いを感じとれていた。
私はココアに近づいて軽く匂いを嗅いでみる。
やはり匂いの元はココアから発せられていることがわかった。
それを嗅いでいると胸の辺りがドキドキして反面安らぐような気持ちさえ抱けてしまう。
私がそんな行動を見てちょっと震えたような声で。
「リゼちゃん・・・もしかして・・・」
「あ、なんでもない。なんでもないからな、ココア!」
私は変な気はないと手を振りながら訴えるとココアは。
「私ってそんなに臭い!?」
と、私の恐れていた言葉と全く違うことを聞いてきた。
臭いどころかいい匂いでずっと嗅いでいたい・・・だなんて言えるわけがない。
「そ、そんなことないぞ!」
私はとりあえず素直な気持ちでそう言うがココアはちょっと不安気に自分の体の
肩や脇の辺りの匂いを嗅いでいた。
「だって~、すごい神妙な顔つきで嗅いでたから・・・汗くさいかなぁ?
シャワーで洗い流したほうがいいかもしれないね」
「そんなもったいないことをするな!」
「え?」
「あっ・・・」
そのいい匂いが消されると思ったらつい考えていたことが口から出てしまった。
私はいたたまれない気持ちになって顔を真っ赤にして俯くと
ようやくココアも私の言葉に意味に気づいて同じく顔を赤くして笑っていた。
「リゼちゃんって匂いフェチなの?」
「そ、そんなことはないぞ!だけどな、好きな子の匂いってよく感じるものだろ?」
「うん・・・そうなのかな?」
そういってココアも私の胸元に顔を近づけるとスンスンと鼻を鳴らすと
再び私の顔を見て笑顔でこう言った。
「うん、確かにいい匂いする!」
お互い寝起き後の匂いが臭いのではなくいい匂いに感じるのだから不思議だ。
少しの間、お互いに抱きしめるようにしながらその香りを満喫していると
部屋の外からチノの呼び声が聞こえてから慌てて私とココアは離れて笑った。
その後、軽くシャワーを浴びて朝食を3人で囲んで食べ終えると
そのままいつもの仕事の準備に取り掛かった。
今日は珍しく客の入りがよく気温も高めのせいもあって少し汗をかきながら
注文されたものを速やかにお客さんに届けているうちに客が早いこと捌けて
チノの判断で早めの休憩をとることにした。
軽く目を回していたココアは疲れた様子で近くの椅子に腰をかけると
ものすごい早さで眠りに就いていた。
「く~・・・」
「ったく・・・しょうがないな。ココアは」
可愛い寝息と仕事服から香る匂いが私の鼻に強烈に届いて
思わず喉がごくりっと鳴った。そして私の視線の先にはココアの
艶やかに濡れた唇にいっていて、私は引き寄せられるように
ココアの唇に自分のを重ねていた。
柔らかくて濡れていてココアの匂いが鼻からも感じていて
まるで幸せな気持ちが凝縮して私の中でいっぱいに広がるような感覚。
そんな感覚を私は今まさに味わっていた。
「んん・・・」
私がしたことにココアは感じていたのか少し頬が紅潮して目を開けた。
私はびっくりしているとココアは目でもっとしてくれというように私に訴えかけてきた。
「リゼちゃん・・・」
「しょうがないな・・・」
本当にしょうがないのは私の方なんだろうけどその場に誰もいないのをいいことに
私はもう一度ちゃんと起きているココアと唇でしっかり繋げていた。
私の動きに向こうも一緒に気持ちよくなろうと反応してくれるのが可愛くて
ずっとこうしていたくなる気持ちを抑えながら少しずつ少しずつ相手のことを味わった。
休憩時間が終わるまでの間、私とココアは互いを求めあって疲れを癒していた。
休憩時間の間のこともあってかこれまでにないくらいスムーズに仕事が進んでいって
みんなが満足できるような一日になった。
私は更衣室で私服に着替えてから出ようとするとココアに見送られた。
ラビットハウス入口でココアが少し腰を低くして上目遣いで私をみながら。
「今日はすごくたのしかったよ、リゼちゃん。またこういう時間つくれるといいね」
「あぁ・・・」
なんだか離れるのが寂しいけれどずっとこうしているわけにもいかない。
私は笑顔をつくってココアに向けて手を振った。
「また明日な」
「うん、また明日」
帰り道の途中、まだ感覚が残る唇に指で触れて思い浮かべるように私は空を見て
ココアへの思いを馳せながら帰路に就くのだった。
お終い
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ブログに書いていたものを見てちょこっと文を修正したもの。自分が書くものはけっこうな割合で匂いが大事になってるんでこういう話になりがちですが。匂いって大事ですよ、良い匂いって良いじゃないですか、ねえ(´◉◞౪◟◉)←