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Dear My Friends! ルカの受難 第1話 好奇心は時として…

enarinさん

☆当方のピアプロユーザーネーム“enarin”名義で書いていました、ボーカロイド小説シリーズです。第15作目の第1話です。
☆今回は1話分を短めにした、ファンタジーRPG風味の長編です。

☆当時は2期を意識してなかったのですが、本作は最新シリーズ“Dear My Friends!第2期”の第1期という作品になり、第2期のシナリオやカラクリに、第1期となる“本作”の話も出てきますので、これから長い長いお話になりますが、長編“Dear My Friends!”として、お楽しみくださいませ。

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2015-05-14 20:40:41 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:537   閲覧ユーザー数:534

 世の中には不思議なこともありまして、よく“ファンタジー”と呼ばれている『おとぎの国』っていう世界も、時代や空間を限定しなければ、探せばある物なのです。

 

 その世界の一国『クリプトン王国』は、カイト王とメイコ王妃が治める王立国家。周りに、友好条約が結ばれている『インタネ共和国』の他に、とりあえず話し合いで保たれている、軍備増強中の『アフス帝国』と『フォーリナー軍政国家』があるものの、今日もとりあえず王国は、普通の生活を送ってました。

 

そう、ごくごく普通…。そんな“平和”な生活を“退屈”と思っている女の子がおりました。

 「ふぅ…」

 

 そのため息の持ち主は、王国の一人娘にして『姫』である、“ルカ姫”、でした。今日も自室で、家庭教師の“ピコ”の見張り付きで、勉強を強いられてました。

 

ピコ:ルカ姫様! 勉強中ですよ! ため息禁止!

ルカ姫:え~、ですけど、本当につまらないんですもの。なんかワクワクドキドキする事でも、起きないかしら…

ピコ:姫! 「平和で何も起きない毎日」がどれほど大事な事か、理解できないと大人になれませんよ?

ルカ姫:だって~~、ピコは知っているでしょ? 私が好奇心旺盛だってこと~

ピコ:えーえー、よく存じておりますよ。休憩時間に、庭の魚を釣り上げたり、食事の料理に激辛香辛料を入れて、食べた王がもんどり打つのを笑っていたり、王妃のお水を強いお酒に変えて、飲んだ王妃が酔っぱらって、王にくだまいているのを観ていたり、それから…

ルカ姫:あー、ストップ!ストップ! 全部ごめんなさいです! ってか、さすがピコ、地獄耳…

ピコ:私の国内の情報網を舐めない方がいいですよ。メイドのネルハクテトに、魔導師のアペンド、護衛のリンレンに…

ルカ姫:うわ~! ホントごめんなさい!

ピコ:わかったら、さっさと次の書物に移りますよ

 

ルカ姫:あの~、その前に…、おトイレに行ってきていいですか?

ピコ:仕方ないですね。いいですよ

ルカ姫:サンキュー!

 

 こうして、ルカ姫は、トイレという嘘を使って、自室から抜け出したのでした。ついでにハンカチやお金も入っている、ナイショの探検用小袋も持ち出してました。

 

ルカ姫:さ~て、今日はどこに行こうかしら♪

(魔導研究棟内 魔導研究室)

 

 ルカ姫はいつも面白い物を見せてくれる、個人的には友達として接している“魔導師アペンド”が、魔導の研究をするために設けられた建物、“魔導研究棟”、の中でも、“アペンドのアトリエ”とも呼ばれている、“魔導研究室”、の前に到着しました。

 

 そこには、小さい黒板にチョークで書かれた“看板”が、かけてあった。

 

 『現在 試作魔法陣試験中につき 立入禁止』

 

ルカ姫:うわ~、いかにもな看板。面白そ~♪

 

 そんな注意書きが書かれた看板が掛けてあったのに、扉には鍵がかけて無く、すぐに入ることができました。どうやらアペンドはちょっと出かけてくる位なら大丈夫だろう、と判断して、鍵をかけていなかったらしいのです。好奇心旺盛のルカ姫にとっては、これほどオイシイ場所はなかったのでした。

(魔導研究棟内 魔導研究室内 試作魔法陣前)

 

 室内は、もう、ルカ姫にとっては、ウハウハする物の宝庫でした。しかし、やはりすぐに目に入ったのは、ゆっくり点滅して光っている、“試作魔法陣”、でした。

 

ルカ姫:これが、その“試作魔法陣”ってわけね。なんか、“いかにも”、な魔法陣ね~、これ、何の魔法陣なのかしら?

 

 更にここで2つ目の不注意が重なってしまったのでした。魔法陣の横の机に、魔法陣の研究途中の説明を書いた紙が、置かれたままだったのでした。

 

ルカ姫:何々? 『時空転送魔法陣』? “魔法陣の真ん中で目をつむって、この世界以外で行きたい場所を告げると、転送してくれる”…うっわー! 面白そ~♪

 

 ルカ姫は更に読み進めた。

 

ルカ姫:“現在、この異世界で解明が進んでいるのは、“電脳街 アキバ”、のみだが、異世界の技術を取り入れるのには、非常に好都合のため、まずここから調べてみるのが良いと思われる“…ふんふん。”アキバ”ね

 

 もうこうなるとルカ姫の好奇心は止まらない。小探検に使っている小袋を抱え、魔法陣の真ん中に移動し、わくわくしながら目をつむった。

 

ルカ姫:えっと、『アキバ』、に連れてって!

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!

 

 突然魔法陣の文様が回転しだして、上方に向かって光が渦を巻いてせり上がり、ルカ姫を包んでいったのでした! そして、光に包まれたルカ姫の姿はどんどん消えていき、最後は完全に無くなってしまいました。

 

 …しかしそれだけではなかったのでした。もう一度魔法陣から渦を巻きながら回転する光があふれ、少しずつだが、ルカ姫に、“似た”、女性が現れ、魔法陣の真ん中で倒れた状態で完全に出現したのだった。どうやらショックで気絶しているようでした。

(数分後)

 

 ザッザッザッザ・・・・・バタン!

 

 部屋の主、魔導師アペンドが血相変えて部屋に飛び込んできたのでした。

 

アペンド:誰だ! 魔法陣をいじったn・・・・・ん? ルカ姫?

 

 中央で倒れたままの、ルカ姫に似た女性はまだ気絶したままでした。服装が“お姫様スタイル”だったので、アペンドもすぐには気づかなかったのでした。

 

アペンド:ルカ姫…、いや違う! ティアラが紙製で靴はこの世界の物ではない! こ…この女性は、もしや!

 

 アペンドの大声でようやっと、その女性は目を覚ましました。まだもうろうとしていたが、一応回りを把握する事は出きるようでした。

 

女性:う~ん…えっと、なに、ここ。なんか化学薬品臭いし、埃っぽいし、それに、なにここ、中世のお城???

アペンド:あの、すみません

女性:? なに、ミク、そのコス! 今度は魔法使いでもやることにしたの??

アペンド:あ…あの、すみませんが、お名前を訊いていいですか?

女性:なに、改まって! まぁいいや、そういうシチュのコスの練習なのね。うん、私は“巡音ルカ”よ。これでいい?

アペンド:あ・・・ああああああ!!!!!! ヤっちゃったの、ルカ姫かぁぁあぁ!!!!

 

ルカ:な、なに! ミク、突然! ってか、ここ、どこ? こんなスタジオ知らないんだけど…

アペンド:えーーーー非常に申し上げにくいのですが、ここは、あなた達の世界の“アキバ”という所ではないのです。ここは…“ファンタジー”の世界の“クリプトン王国”という国の、“魔導研究室”、という所です。それと、私は貴方の世界の“ミク”という人物に対応する人間で、“アペンド”、という名前です

ルカ:ちょ! ミク! ふざけるのも・・・・・あれ? そういえば、ちょっと声が違うかも…

アペンド:矢継ぎ早で一方的に説明して申し訳ないですが、あなたは、こっちの世界の貴方に対応する、この国の“ルカ姫”の「代わり」に、こっちにやってきてしまったのです

ルカ:ちょ・・・もしかして、これ、異世界体験ですか?

アペンド:そうです。この“時空転送魔法陣”は試作段階でして、今の段階では、“転送するためには、転送先の自分に対応する人間と「交換」で向こうに行ける”、という危険な物だったのです。どうも、うちのルカ姫は、注意書きを読まずに使ってしまったようで、ルカ姫と交換であなたをこっちに転送することで、あなたのいた“アキバ”に転送されてしまったようなんです

ルカ:・・・・で、これ、いつ完成するの? 完成すれば、おそらく交換無しで行き来できるんでしょ?

アペンド:さすがルカ姫に対応する人物! はい、予定ではあと数日で完成し、自由に行き来できるようになるはずです。そうなったときに、貴方を元に帰して、私が向こうに行ってルカ姫をつれて帰ります。もう本当にすみませんです

ルカ:・・・で、完成するまで、私がルカ姫になっていろ・・・と

アペンド:あなた、スゴイ冷静ですね。はい、なんか性格はちょっと違うみたいですが、その作り物のティアラとかを保存しておいて、こちらで新しいティアラや靴を用意します。事前に人物の説明とかはしますので。食事とかは、たぶん、食べられる物だと思います。ルカ姫はもう、どうしようもない“ヤンチャ”な方ですので、その、本当はあなたのような性格だと嬉しいのですが、大変だと思いますが、“ヤンチャ”、になっていてください

ルカ:まぁ、なんとかやれるだけやってみるわ。ところで、私とルカ姫が対応していて、あなたとミクが対応しているみたいだから、私が知っている人も、こっちの世界に対応する人がいるのかしら?

アペンド:あとで人物は説明するつもりですが、知っている人だと接しやすいですね。名前を教えてください

ルカ:えっと、コスプレ仲間の“リン”ちゃんは?

アペンド:リンは皇室お抱えの“僧侶”です。なかなかの魔力を持ってます

ルカ:じゃあ、その双子の弟の“レン”君は?

アペンド:レンも同じく、勇者をやってます。彼の剣術と魔力はスゴイですよ

ルカ:じゃあ、バイト先の“カイト”さんは?

アペンド:カイト・・・様は、この国の王です

ルカ:“王”!・・・ぷっ・・・くっくっ・・・ご、ごめん、意外だったので(こりゃ帰ったら教えなきゃ)。じゃあ、酒屋のメイコさんは?

アペンド:メイコ様はカイト様の王妃です

ルカ:つまり・・・“妻”! おぉ~こりゃますます帰るのが楽しみです! あ、ソレくらいなのでいいです

アペンド:では、こちらで備品などを用意しますので、頑張ってください。というか、姫の性格から考えられないほど冷静で、本当に助かりました。それに洋服も姫様の物にそっくりなものを着こなしていただけているし

 

ルカ:あ、私、『コスプレイヤー』ですし

アペンド:???、『コスプレイヤー』、??? ま、まぁいいです。では作戦開始です

 

 こうして、こっちの世界のルカの受難がスタートしたのでした。でも、なんか、こっちのルカさんなら大丈夫そうですね。

(魔導研究室の鉄格子の窓の外)

 

???:なるほど…あの魔法陣が完成したら、利用させて頂くとしよう… くっくっくっ

 

(続く)

 

CAST

 

ルカ姫、巡音ルカ(ルカ):巡音ルカ

初音ミク(ミク):初音ミク

魔導師アペンド:初音ミクAppend

 

僧侶リン(リン):鏡音リン

勇者レン(レン):鏡音レン

 

カイト王:KAITO

メイコ王妃:MEIKO

 

メイド・ネル(ネル):亞北ネル

メイド・ハク(ハク):弱音ハク

メイド・テト(テト):重音テト

家庭教師ピコ(ピコ):歌手音ピコ

 

その他:エキストラの皆さん


 
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