4月6日。
学園へと続く坂道の両側には、満開に咲いた桜が数多くあり、これから始まる新しい出会いを快いものにしていた。……約一名を除いてだが。
「遅刻だー!!!!」
そう言って校門までダッシュして来るのは吉井明久。本来の学年首席であり、観察処分者である(ちなみに
今の学年首席は霧島翔子さんです)。
そして彼が校門までダッシュしていると、校門に浅黒くとても筋肉質な体をした、短髪の人が立っていた。
「吉井!遅刻だぞ!」と言うこの先生の名前は、西村宗一。通称「鉄人」。
「生活指導の鬼」とも呼ばれ、とても厳しい教育をする先生だ。
「あ、おはようございます、鉄…西村先生」
「吉井、今俺のことを鉄人と言おうとしてなかったか?」
「そ、そんな訳ないじゃないですか。やだな〜。(汗)」
「ふぅ、まあいい。お前のクラスだ。受け取れ。」
「って、貰わなくてもどこかはわかりますけどね。」
「まぁな。吉井、あの事は本当にすまなかった。俺個人としてはお前にまたもう一度振り分け試験を受けさせ
たかったんだが…。学園長が許可しなくてな。」
「西村先生が気にすることじゃないですよ。僕はしたいようにやっただけだし」
「そうか、分かった。それより早く自分のクラスへ行け。皆待ってるぞ。」
「はい!」
…………吉井明久、Fクラス
side 明久
ここが新校舎か。去年は来ることがなかったし、初めて来たけどすごいな。
時間もまだあるし、Aクラスを見て行こう。
〜Aクラス前〜
うわーこれがAクラス!?噂には聞いていたけど、まさかこんなに凄いとは…。
って、こうしちゃいられない。早く自分のクラスに行かないと!
〜Fクラス前〜
こ、ここがFクラス…。なんか入りたくないな…。
や、優しい人はいるかな…?怖い人や、痛い人はいないかな…?
でもこうしちゃいられない。とにかく入ろう。
「おはよ「早く座れこの蛆虫野郎!」…。」
「ん?なんだ明久か。一体どうし「ガラッ(廊下の窓を開ける音)ガッ(廊下の窓に登る音)」明久落ち着け!すまん!とにかくすまん!だから飛び降りだけは!」
「雄二…、まさかそんな人だったとはね。がっかりだよ。」
「すまんすまんすまんすまんすまんすまん本気ですまん!」
「なら、一体誰のことを蛆虫って言ったのさ?」
「……島田だ。」
「……納得。」
と、そこへ
「ウチがなんだって!?」
はぁ、厄介な人が来たよ。もう面倒だ。無視。
「ちょっと吉井!何無視してるのよ!なんか言いなさいよ!」
ここでこうやって僕にいろいろ言ってくるのは島田美波。僕の天敵だ。はっきり言って、彼女とはもう一切
関わりたくない。
「ウチを無視するなんて!O☆SHI☆O☆KI☆よ!」
はぁ、面倒な人だ。
「何よ!なんか言いなさいよ!」
「邪魔。」
「は?何よ!」
「とりあえず、僕は教室に入りたいの。邪魔だからどいてくれる?」
「な、何よウチに対してその言い方は!吉井の癖に生意気な!オシオキよ!」
と、島田と言い合いをしていると、(さん付けではない)
「吉井!ここはオレ達に任せてお前は教室に入れ!」
と、全身真っ白で青い字で【F】と書かれた真っ白のローブを着た覆面の集団が現れた。
うわ、あのローブかっこいい…!……じゃなくて!
「え、FFF団?君らが?あの?」
須「そうだ。しかし名前こそ同じだがやっていることは去年とは全く違う!」
福「須川の言う通りだ!我々の本当の名は【文月平和友好会】だ!」
明「えぇええー!!!!去年は、『異端者は処刑だ!』とか言って襲ってたのに!?」
須「その事については本当にすまなかった。我々もあの後しっかり反省をし、そして学校の為に何かできることをやろう、という決心をしたのだ。だから去年の我々とは全く別物だ!そう思ってくれ。」
明「そうだったんだ。ありがとう。」
須「いや何、例を言われるほどではないさ。」
溝「ところで吉井、そいつに構わず早く中に入れ!」
明「分かった、ありがとう。」
溝「いやいや、別に構わんよ。オレ達は誰かの役に立とうと努力している訳なんだから」
明「そっか、じゃお言葉に甘えて。」
こうして僕は、FFF団の力を借りつつ、教室内へ入る事が出来た。
〜教室内〜
「ところで雄二」
「ん?どした?」
「座席は?」「ああ、特に決まってないから適当に座っとけ。」
「適当って……。」
「ま、座っとけ。」
「了解」
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とある不良が、文月学園に通い仲間とワイワイ騒ぎながら困難に立ち向かっていく物語。