No.775335 魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第百四十話 敵地に突入2015-05-04 23:15:25 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:13117 閲覧ユーザー数:11910 |
俺の思った通り、ロボット達の襲撃のせいで文化祭は中止となり、生徒、教師、一般客の人達は既に学校にはおらず、校舎内は静まり返っている。
幸いにも校舎自体に被害は無く、保管庫と運動場が使えなくなった程度だった。
飼育小屋の動物達も当然無事。これに関してはツインエンジェル、ツインファントム、フェイトに感謝感謝。
で、人気の無い学校の学園長室。そこには俺を含め複数の人物が集まっていた。
それはこの部屋の主である学園長に執事の平之丞さん、ロボットやツインファントムと対峙していたメンバーに…
「ふーん…まさかアンタ達3人がツインエンジェルだったとはね」
「やよいちゃんが知ったら大変な事になりそうだね」
アリサとすずかもいた。
この2人には自分の家の財力、権力を借りて今回の事件の情報規制に取り掛かって貰っている。
神無月家の権力でも規制は可能だが、時間が掛かるので2人に頼んだ。
一般客に見られているという事実があるがそこら辺も何とか出来るだろう。
ただ、その代償として今回の一件は一体何が起きているのか説明を求められた。
ツインエンジェルの正体は隠しておいても良かったと思うのだが、優秀な執事は平之丞さんだけではない。
俺の父さんの旧友であり、元は裏の世界でも名が知られてたバニングス家の執事、鮫島さんが調べ上げた結果、ツインエンジェルの正体…というか『天ノ遣』や『聖杯』に辿り着いた。
そこで誤魔化そうとも考えたのだが馬鹿正直で純粋な遥が誰が見ても分かるぐらいに動揺して視線はキョロキョロ、言葉はカミカミだったため、とても誤魔化せる状況じゃなくなった。
で、仕方なく正体をバラす事にした訳だ。
「うぅ……アリサちゃん、すずかちゃん。お願いなんだけど…」
「言わなくても分かってるわよ。『正体はバラさないで』って事でしょ?」
「別に言いふらしたりはしないから大丈夫だよ遥ちゃん」
その言葉に感極まった遥が
「ありがとう2人共おおぉぉぉぉぉ!!!」
アリサにガバッと抱き着いて感謝していた。
アリサは『はいはい』と遥の頭を撫で、すずかはその様を見て苦笑している。
「……で、結局彼女達は魔導師じゃないのにバリアジャケットを纏ってるのはどういう事なの?」
ここまで口を挟まず、静観していたフェイトが俺に尋ねてくる。
「それはポケてんの中に宿ってる聖杯の欠片の力のせい」
元々ポケてんはただの通信端末だったが、聖杯の欠片の力を移譲させた事により、端末でありながら意思を持つ様になった。
俺達風に言うならば、アームドデバイスやストレージデバイスがインテリジェントデバイスへと変化した様なものだ。
ただ変身した際はリンカーコアが魔力素を吸収し、ポケてんの聖杯の欠片の力と共鳴してバリアジャケットと同性能の防護服を纏ってるのが実情。こりゃポケてんがデバイス代わりになってるせいと思う。
聖杯の欠片の力が混ざってる分普通のバリアジャケットより強度は上だがな。
「…てな訳だ。ご理解頂けたか?執務官殿」
「うん、納得したよ」
結構。
「…次は私からの質問良いでしょうか?」
今度は学園長か。
何だろうねぇ?
「今回の一件で貴方はロボットを操っているのが誰なのか突き止めているのですか?後、ロボットが突然運動場に現れたという現象についても」
「まず後者の問いについてですが答えは『Yes』です。アレは俺が使う魔法と同一の力でしたので」
アレだけのロボット群を一斉に転移させてきたのだ。相当腕の立つ魔導師と俺は見たね。
「次に前者の問いですが、答えは『微妙』ですね。ロボットを転移させてきたのは誰か知りませんが、指示を出したのはおそらくテスラとナインの育ての親である『ブラックトレーダー』……彼については先代のツインエンジェルである学園長の方がご存知なのでは?」
転移させてきた魔導師とブラックトレーダーは別人。だから『微妙』という答えで合ってる筈。
「ブラックトレーダー!?それは本当なのですか!?」
学園長は目を見開いて聞き返してきた。
「「「「「「ブラックトレーダー?」」」」」」
現役ツインエンジェル、フェイト、アリサ、すずかは首を傾げる。
まあ、君等は知らなくて当然だもんね。
何も知らない面々に学園長はブラックトレーダーとの因縁について答えていく。俺達はその話を静かに聞き、学園長が話し終えるのを待つ。
「……つまり、その男が
学園長の話が終わり、最初に口を開いたのはアリサだった。
「てかアンタさっきソイツが『テスラとナインの育ての親』とか言ってたわね?」
続いて葉月。
「えっ!?ていう事はテスラちゃんとナインちゃんのお父さんが黒幕なの!?」
最後にすずか。
皆さんの視線が俺に集まります。そしてその視線が訴えてきます。
『知ってる事を話して貰おうか』
と。
ま、俺としても隠すつもりはないから話すけど。
ツインファントムには俺が調べた『真実』を記したメモリを渡したからパソコン使って自分達で『真実』の内容を確認するだろう。
「……事の発端は11年前にテスラとナインが巻き込まれた火災事故にまで遡る」
コホン、と小さく咳き込んでから俺は話す。
「当時、今回の黒幕であるブラックトレーダー……そしてテスラ、ナインの実父である『オスカー・ヴァイオレット』の2人は聖杯の欠片の研究を行っていた。オスカーは聖杯の欠片に関する知識及び技術はブラックトレーダーを上回っていたぐらいの科学者でな。聖杯の欠片を解析し、その力について解明するのもかなり良い所まで迫っていた……が、その時にとある組織が介入した事により、あの火災事故が起きた」
皆はただ静かに耳を傾ける。
これからその組織の名前を言う訳だが……フェイトがどう反応するのやら…。
多分驚くだろうけど。
「その組織だけど……名前は『時空管理局』」
「「「ええぇぇぇっっっ!!!?」」」
俺が暴露したら声を上げるフェイト…とアリサにすずか。
フェイトは予想通りだが、アリサとすずかは………ああ、魔法の事知ってる民間協力者だからか。まさか自分の親友達の所属する組織の名前が出て来るなんて思ってなかったんだろう。
「ま、待って勇紀!?どういう事なの!?その火災事故っていうのに管理局が関わってるなんて!!」
「どういう事も……言った通りの意味だ。あの事件に管理局が関わらなければ
そう……俺が調べた限りではあの時、オスカーとブラックトレーダーが聖杯の欠片の力の究明中、管理局が介入してきたのだ。
たまたま地球に局員がいたのか、付近の次元航行を行っていたのかは知らんが、おそらくは聖杯の欠片のエネルギーを感知し、現場に訪れたのだろう。
で、介入してきて…
「『高エネルギーを発するソレは危険な物だ。よって我々時空管理局で保管する』とか言って強引に持っていこうとしたんだろうさ。当然オスカーとブラックトレーダーからすれば『見知らぬ連中が訳分からない事を言って聖杯の欠片を奪おうとしている』と思うだろう。んで揉めた最中に聖杯の欠片が暴走してドカン、て所だな。ちなみにフェイトには言うまでもないと思うが、この件に関係してる局員は
ジュエルシード事件や闇の書事件みたいなロストロギアが絡む事件が起きたとしても動くのは確実に
「で、でもその聖杯の欠片って危ない物なんでしょ?なら管理局が回収しようとしても…」
「聖杯の欠片にそこまで危険性は無えよ。確かに聖杯の欠片……特に
「ていうかアンタよく管理局が関わってるって分かったわね」
「管理局のデータベースに『ロストロギアの回収優先リスト』ってのがあって、そこに聖杯の欠片や
アリサの質問にちょい不機嫌気味で答える。
本局の連中は何でもかんでもロストロギアに認定し過ぎだ。自分達の見た事が無い珍しい物だったり、高エネルギーを秘めている物を見掛けたらロストロギアと決めつけて持っていく。
現地の住人の意見を切り捨て、強引気味に持っていったという例もあるぐらいだ。
はっきり言って法の守護者どころか犯罪者集団と言われても否定出来ないぞ。
「地上の方にとばっちりが来ない様、対策を立てておくか」
レジアス中将に進言して次の会議の議題にして貰おう。
「ねえねえ、『時空管理局』って何なの?」
首を傾げながら尋ねてくる遥。
あー…説明せにゃいかんな。
「よしフェイト。説明は任せた」
「私が!?」
ただ説明してくれと頼んだだけでそこまで驚く事かね?
「だって俺より先に管理局員になってるから上手く説明できるんじゃないかと思って」
「別に説明するだけなら年季は関係無いと思うけど…」
そう言いながらもフェイトはここにいる面々に時空管理局という組織について説明し、皆静かに耳を傾ける。
アリサとすずかにとっちゃ復習みたいなもんだろうけど。
説明する事数分……。
「…と、こんな所かな」
説明を終えたフェイトが小さく一息吐いた。
「ほえー……凄い組織なんだねー」
遥の奴、どこまで理解出来たのやら…。
「……管理局という組織について理解は出来ましたが、可笑しくないですか?長谷川君の言う事が真実なら火災事故を引き起こした切っ掛けも管理局の介入なんですよね?」
「次元世界の守護…だっけ?そんな事を言っておきながら当人達が事件を起こしてたら意味無いじゃない」
神無月の疑問、葉月の言い分ももっともである。
「巨大な組織になり過ぎたが故の結果…と言っても過言では無いな。世のため人のために頑張ろうと躍起する局員が大多数を占めているが、やっぱり出て来るんだよ。自らの利益になるためには違法行為に手を染めたり、黙認する奴。で、さっき言った様に強引に押収しようとする馬鹿者は」
もっともそんな馬鹿が現在蔓延っているのは全て本局所属の奴だけ。地上は綺麗な管理局として生まれ変わっているからな。
ただ、少々やり過ぎたせいか、俺、亮太、椿姫、澪の4人は地上所属の上層部の皆さんから崇拝されてるんだけど。
「フェイトも執務官として働いているんだ。そういう馬鹿をお縄にした事ぐらいあるだろ?」
「………うん……」
小さく頷くフェイト。
執務官だから俺以上にそういう現場には出くわしているだろう。
「ま、管理局の裏については置いといてだ。今は奪われたブツを取り返しに行く事を考えないとな」
ブラックトレーダーがいる会社のビルは海鳴市から結構離れてる。
とっとと向かう事にしよう。相手側にいる魔導師に逃げられても困るし。
「どうやって行きましょうか?」
「電車と徒歩」
神無月の言葉に即答で返す。
「え?あのロボット達が攻めて来たみたいにワープしていかないの?」
ワープ…転移魔法の事だろう。
「向こうにいる魔導師に気付かれると面倒だし」
相手の実力は未知数。コッチの魔力反応に気付かないという保証は無い。
「今から海鳴駅で快速急行に乗って20分程の最寄駅まで行く。そっからは10分弱歩けば現地到着だ」
「ブーブー」
遥、何故ブーたれるよ?
「ワープする感覚ってのを味わってみたいんだよ」
感覚ねぇ…。
「機会があったら味わわせてやるから今回は諦めぃ」
「むぅ…」
むくれるなむくれるな。
「それとツインエンジェルは
先程の戦闘では使わなかったアフロディーテを使えば、ロボット群なんて目じゃないね。
「じゃあ魔導師の方は私が対処するよ」
フェイトは参戦する気満々。
学校での戦闘に介入してくれただけでも充分だが…
「ん、俺もサポート出来る様に動くから後ろは気にせず思う存分やれ」
今回の件、戦力は多いに越した事はない。
その気になればまだ戦力を増やす事は出来ると言えば出来るのだがその場合、ツインエンジェルの事も話さなければいけなくなるかもしれないので今回は控えておこう。
ちなみに今すぐ声を掛けて集められそうなのは、フローリアン姉妹にナンバーズ、後は美由希さんかねぇ。
この面々は管理局云々について知ってるし。
管理局の事を度外視すればまだ呼び出せる人達は増やせるけど。
自分の指を折りながら数えていく。
鬼斬り役、妖、退魔師、HGS、武偵etcetc……。
……人以外も混じってるけど強いですもんねぇ。
サウザーとレスティアはメンテナンスのため神様に預けてるし、アギトはシグナムさんの任務を補佐するため地球にはいない。
メガーヌさん、ルーテシア、ジークは戦力としては数えない。理由は現在地球にフェイトと……
フェイトにはバレたとしても誤魔化せる自信あるけど、原作知識を持ってる
「(本当に…何でこんなタイミングで帰ってきやがったのやら…)」
内心で愚痴っても現状がどうにかなる訳ではないのだが、愚痴ってしまう。
アイツがあんな人間じゃなけりゃ多少は戦力になるんだがなぁ………。
「……という訳で敵さんの本拠地に殴り込みに行くんで。ひょっとしたら建物が倒壊するかもしれないんですが、そこは大目に見る様、上の人達に説得して下さい」
「建物を壊さない様に戦ってくれる方がボクとしてはありがたいんだけどね」
あれから一旦解散した俺達。
俺は早速海鳴警察署を訪れ、応接室に案内されてからリスティさんに根回しを頼んでいた。
文化祭の襲撃の一件の捜査担当がリスティさんではなかったのは意外だったな。あんなテロ行為ならHGS患者のリスティさんが担当に回されそうなものなんだが。
「出来るだけ配慮はしますけど、絶対と言い切れないんですよねぇ」
ちゃんと結界は張るつもりだけど、相手の魔導師がなのはのスターライトブレイカーみたいに結界の破壊効果を持つ魔法なんか使ってきたら現実空間にも被害出る可能性あるし。
「まあ、最悪建物は倒壊したとしても住民だけは巻き込まないでくれよ?」
「一応、夜に向かうから人気は無いと思いますし、人払いもしますからそこは大丈夫かと」
俺達以外に怪我人なんて出すつもりは無いです。死人なんて以ての外だ。
「ま、病院のお世話になる様な事になればフィリスは喜ぶと思うけどね」
軽く言い放つリスティさんだが、病院のお世話にならない方が人間として良い事なんだと思う。
「勇紀、用件はそれだけか?無いならボクはもう仕事に戻るけど」
「特にありませんね。時間取らせてすみませんでした」
警察署の外まで見送って貰い、俺は一旦家に帰り、既に帰宅してきたルーテシア、ジーク、丁度買い物から帰って来たメガーヌさんに事情を話してから、すぐさま制服から私服に着替えて家を出る。
目的地は集合場所の海鳴駅前。
他の面々は既に集まっており、俺が最後の様だった。
切符を買って改札を抜け、電車に乗り込んで目的地を目指す。その間は他愛も無い世間話でもして暇を潰していた。
この間に遥が持ち前の明るさと人懐っこさでフェイトと仲良くなってた。その時の『やっぱりなのはに似てるなぁ…』というフェイトの呟きが聞こえた時は苦笑せざるを得なかった。
ま、遥かだけじゃなく神無月、葉月とも友達になったみたいだし、交友関係が広くなるのは良い事だと思うよ。
そんな事を思いながら最寄駅で降り、徒歩で歩いて…
「敵の本拠地にやって来ました……と」
俺達は地面から1つのビルを見上げていた。
「こ、このビルの中に学校を襲ったロボットが一杯いるんだね…」
そりゃ敵の本拠地ですもん。俺達の行く手を阻む様に配備されてると考えるのが妥当っしょ。
「心配せんでもロボット群の相手は俺が引き受けてやるから、お前等は戦闘に参加せず、体力を温存しとけよ」
「お願いしますね長谷川君」
神無月の言葉を聞いてから街を覆うぐらいの大きめの結界を張り、バリアジャケットを纏って
「うらぁ!!!」
正面入り口のドアを蹴破った。
「うし、行くか……ってお前等さっさと変身しろよ」
振り返って視界に入った遥神無月、葉月、フェイトはまだ私服のままだった。
4人共ポカーンとした表情を浮かべている。
「あ、アンタ…何やってんのよ…」
「何って、入り口をこじ開けたんだが?」
「あ……アホかああぁぁぁぁ!!!!!完全に今の行為は犯罪もんでしょうが!!!!!」
激昂する葉月。
……ああ、今は俺が張った結界の中だって気付いて無いのか。
「問題無い。結界解いたらドアはちゃんと元通りだし」
普通なら器物破損で捕まる犯罪行為だが、ここは結界の中。結界の外である現実世界のドアには何ら影響していないので問題無し。
「わ、私も流石にこんなやり方をするとは思わなかったよ」
フェイトもやや引き攣った笑みを浮かべながら言ってきた。
「批判を受け付けるつもりは無いからな」
『ごめんくださーい』って言って素直にドア開けてくれる訳無いっすからねぇ。
ならブチ破った方が時間をロスしなくて済むんだよ。
ほら、とっとと行こうぜ。
納得いかない様な表情を浮かべている4人を変身させて俺達はビル内に侵入する。
結界内なので電気は通ってないが、周囲を明るくする程度の配慮は忘れておりません。
「……何か高価そうな絵や壺なんかが飾ってあるね」
「表向きは美術品の投機事業を展開してる企業らしいですし」
「でもコレ全部実は複製品とかだったりして」
ツインエンジェル達はキョロキョロと辺りを見回し、美術品を見ながらの会話中。
……君等、『怪盗天使』でしょ?怪盗って単語使ってんだからもちっと緊張感持ちましょうよ。
「……………………」
逆にフェイトは警戒を怠らず、いつ戦闘になっても対応出来る様に注意を払っている。
流石優秀な執務官殿だ。
てかさぁ……
「……ロボットいねえなぁ」
ここは美術品を展示してるフロアだからいないのだろうか?
俺としては美術品を倉庫にでも放り込み、このフロアにもロボット群を配備してるもんかと思ってたんだが、ロボットがいないのに少々拍子抜けだ。
結界張った時にロボットだけ取り込み忘れたなんて事は有り得ないし…。
「…まあ、楽して進めるから良いんだけどさ」
罠の類も無いみたいだし、このまま楽に進めるんじゃあ…
そう思っていた矢先に…
ズズズ……ンン……
僅かな振動が俺達の足元を襲ったのは。
「ふぇ!?な、何!?」
「この振動…上からですか?」
「まさか!!連中が
いや……今の振動はおそらく……
「上の階で誰かが戦ってる?」
天井を見上げながら言うフェイト。彼女も俺と同じ結論に至ったか。
「戦ってるって…誰が?」
ブラックトレーダーと戦う奴かぁ……。
って、考える必要無くね?
「上にいるのは多分ツインファントムだな」
あの2人が真実を確認するためここに訪れ、尚且つブラックトレーダーの目的を止めるために来た……という原作通りの流れならの話だが。
「テスラちゃんとナインちゃんが!!?」
真っ先に反応したのは遥。
「…絶対とは言い切れないが可能性としては高いんだよ」
「じゃあ早く助けにいかないと!!」
急ごうとする遥の前に手で制して待ったを掛ける。
「にゃっ!?何で止めるの!?」
「……………………」
遥の抗議を無視して俺は目を細め、薄暗い廊下の先をジッと見据える。
程無くして俺達の前に足音を鳴らさず、ゆっくりと歩きながら1人の人物が姿を現した。
視認出来た人物は…女性だった。
「お客様…当店の営業時間は既に終了しております。どうかお引き取りを」
俺達よりも年上と思われる女性はニコニコと笑顔を浮かべながら言ってくる。
どの口が言ってるのやら……。俺達が不法侵入した事ぐらい知ってる筈なのに。
普通ならここに不法侵入してきた事を問い詰め、警察にでも連絡するのが普通の対応だ。
もっともここが結界内である以上、外部との連絡は基本取れないがな。
しかしこの女性……どっからどう見てもこのビルで美術品の販売を勧める店員さんとは思えない。
薄暗いフロアに目が慣れ始め、徐々に女性の容姿も分かる様になってきた。
レヴィよりも少し薄い程度の水色の髪は先端が肩に掛かる程度のショートカット。
藍色の瞳をしており、右目のすぐ下には小さなホクロがある。
そして女性の恰好なんだが…
「(エロいよなぁ……)」
そう……エッチぃのである。
全体的に肌の露出が多く、女性として最低限の部位を隠す以外は手甲やニーソックスとブーツで手足を覆う程度。
胸や下腹部に身に着けているのも見た目は完全にビキニタイプの水着だ。
ただ、バリアジャケットっぽいのでビキニアーマーとでも言うべきなのだろう。
まさか新・ソニックフォーム時のフェイトを上回る露出のバリアジャケットを拝む事になるとは…。
けどバリアジャケットなら胸元の部分の生地も調整しろよ。女性の豊満な乳房を完全に隠し切れず、下乳がはみ出てるじゃないか。
俺達男からすれば眼福ものの光景なんですけどね。
「……って、痛い痛い痛い痛い痛い!!!!」
背中から鈍い痛みが襲ってくる。
抓られた!!背中を抓られちゃったよ!!
涙目の俺は背後を振り返って抗議しようとしたけど……出来なかったよ。
「「「「……………………」」」」
4人共無表情なんだぜ。けど恐ろしいほどの怒気を放っている。
……ここは何も見なかった事にして話しを進めよう。
「悪いがこちとら奪われた物を取り戻しにやって来たんだ。ちゃんと返すもん返してくれりゃ、素直に帰るんだが?」
一応聞いておかないとね。万が一って事も有るだろうし。
俺の言葉に対する女性の返答は…
「そうですか…………じゃあ死ね」
何とも物騒な一言だった。
即座に放たれる数発の魔力弾。ご丁寧に非殺傷設定解除してくれちゃってやがりますよ。
イージスで俺達を囲み、全ての魔力弾を防ぐけど、もうアレだね。降伏勧告とかいらないよね?
向こうは
「『やられたらやり返す!!倍返しだ!!』が今の俺の信条だ!!」
先日観たドラマの名言と共にコッチも反撃に移る。
相手が再び放ってきた7発の魔力弾に対し俺は
「「「「明らかに『倍』のレベル超えてるよね!?(超えてますよね!?)(超えてるじゃない!!)」」」」
4人のツッコミを無視して迎撃迎撃ぃ。魔力弾に対しては同数のアルテミスをぶつけて相殺。残り全てが不規則な軌道を描きながら女性に迫る。
「ふんっ!!」
女性は四方八方からのアルテミスに対し、イージスの様な全方位を囲う障壁で全弾防ぐ。俺が対処したのと同じやり方だ。
さて…
「(あの女の人をどかさないと奥に進めないんだよなぁ)」
俺達の進行を妨害するかの様に立つ女性をどうやってどかすか……。
「(俺が女性の相手を引き受けて、4人を先行させるのが無難かな)」
俺と目の前の女性を転移魔法で別の場所へ転移させ、遥達を
そして彼女がブラックトレーダーに協力してる魔導師と思われる以上、逮捕する理由も出来ている。
「(よし!)」
行動の方針を決め、一歩前に出ようとしたら横から別の人物に割り込まれた。
フェイトだった。
バルディッシュを構え、相手の動きを見逃さぬ様に視線は前を向けたまま念話を俺に飛ばしてくる。
「《勇紀。ここは私が引き受けるよ》」
「《……良いのか?俺がやるつもりだったんだけど》」
「《うん。彼女の相手は私がする。それよりも早く上に行かないとマズいでしょ?》」
まあ、こうしてる間にも
問答する時間も惜しいぐらい急ぐべきだしな。
ただ相手の実力は測りきれていないからフェイトの勝率は未知数なので、フェイトが負けるとは思わないが勝てるとも言い切れないため不安はある。
けど本人はやる気満々みたいだし…
「《…相手はまだどんな隠し玉を持ってるか分からないんだ。気を付けろよ》」
「《任せて》」
ここはフェイトの意を汲んで任せよう。
「《何かヤバそうになったら連絡くれよ。すぐに駆けつけるから》」
「《心配してくれてるんだ?》」
「《当たり前だろ》」
友達だぞ俺達は。
バルディッシュにも状況がヤバそうならコッチに連絡する旨を伝え、次は遥達に指示を促す。
「という訳で3人共、あの女性の相手はフェイトに任せて俺達は上の階を目指すぞ」(ヒソヒソ)
「何が『という訳で』なのかさっぱりなのですが…」(ヒソヒソ)
フェイトとは念話で会話してたからねぇ。
「それは後で話す。今はあの女性の向こうに行く事だけを考えろ」(ヒソヒソ)
「……作戦会議は終わったかい?ならコチラからいくよ!!」
再び魔力弾を生成しようとする女性だが、それよりも先にフェイトが動き、女性の眼前にまで移動する。
「させない!!」
「なっ!?ちいっ!!」
フェイトがバルディッシュを振り下ろす。
女性は一瞬驚いた後、小さく舌打ちをしながら魔力弾の生成を中断し、回避行動をとる。
ふむ……あの身のこなし、やっぱり只者じゃない。
軽くバックステップで距離を取る女性だが、フェイトの追撃は止まない。
2人は廊下の奥の方へ消えていく。
この狭い廊下であの機動性を維持しながら戦えるフェイトは流石だと言わざるを得ない。
俺達も多少距離を取った状態でフェイトと女性の後を追う様についていく。
走り出してすぐ右側にエレベーターと上の階に上がる階段を発見。
結界内ではエレベーターは動いていないので階段を選択し、上の階を俺達は目指す。
「待ちな!!上には行かせないよ!!」
遥、神無月、葉月に続いて俺が上ろうとした時に女性が邪魔をしようとするが
「プラズマランサー、ファイア!!」
フェイトの射撃魔法が女性の邪魔をして俺達への追撃を許さない。
そのまま振り返る事無く俺達は駆け上がっていく。
フェイト……負けんじゃねえぞ………。
結構上の階まで来た所で上に上がる階段は終着点を迎える。
ビルの高さを考えるとまだ少し上の階はある筈だ。て事はこことは別の場所に上に上がる階段があるって訳か。
最後の一段を上り切り
「神無月、降ろすぞ」
俺は
「あ、ありがとうございました……////」
「いえいえ」
頬を染め、俯きがちで視線を合わせないまま礼を言ってくる神無月に俺も短く返す。
おんぶされたのがそんなに恥ずかしかったのかねぇ。
俺が神無月を背負っていた理由……それは神無月が階段を上る度に息を切らし、途中で体力を切らしてしまったからだ。
ゆっくり上ってやりたかったのは山々だが、如何せん時間が無い。
本人の意見を無視し、背中に背負って身体強化を掛けた俺がここまで上がって来た。背負ってる間は背中にでっかくて柔らかいもんが当たって役得でした。
ただ上ってくる途中、残りの2人からの視線が突き刺さる様に痛かったが。
「神無月はもっと体力つけるのが今後の課題だな」
後、運動音痴も克服出来たら万々歳。
「が、頑張ります」
ん、頑張れ。
しばらく歩いていると重厚そうな扉が見えてきた。
鍵は……掛かってない様なのでそのまま扉を開け、部屋に入ると
「「うぅ……」」
テスラとナインが部屋の中央で呻きながら倒れていた。
「っ!!テスラちゃん、ナインちゃん!!」
遥を先頭に俺達もツインファントムに近付いて行く。
見た所、命に関わる程の大きな怪我ではない様だ。
「だ、大丈夫ですか2人共!!」
「一体何があったのよ?」
「私達の事は良い。早く…お父様を……っ……」
「お父様は
テスラが弱々しくも指を差した先には上の階に行く階段が。
「どうかお父様を…お父様を止めて下さい!!」
「でも、2人を置いてなんて…」
「遥、神無月、葉月、お前等先に行け。ここは俺が引き受ける」
「引き受けるって…アンタ、何する気なのよ?」
「テスラとナインを治療する」
そこまで酷い怪我じゃないから
「2人を治療したらすぐに追うから早く行け」
3人共、少し迷っていたが今自分のすべき事をちゃんと理解してるが故に小さく頷いて奥の階段を駆け上っていく。
神無月も俺がおんぶしてる間に体力がある程度回復してた筈だからすぐにバテはしないだろう。
ツンエンジェルの背中を見送ってからテスラとナインの側でしゃがみ込んでうつ伏せになってる2人の背中に手を置いて治療魔法を施し始める。
「あっ…痛みが…」
「どんどん引いていく…」
「もうじき完治すると思うからジッとしててくれよ」
2人を治療しながら念のため周囲を警戒する。
けど治療が終えるまでの間、特に何かが起きる事は無く、1分も経たずして2人を完治させる事が出来た。
ゆっくりと身を起こすテスラとナイン。
俺も腰を上げて立ち上がる。
「ありがとうございます長谷川君」
「……感謝」
良いって事よ。
それよりテスラとナインは何でここで倒れてたんだよ?
「私達はお父様に聞きに来た」
「貴方が渡してくれたUSBに記された真実が正しいのかどうか…」
「ふーん。で、どうだったんだ?」
「…あの情報が真実だという事は納得出来ました」
「私と姉さんが『時空管理局』という単語を出した時、お父様は僅かに反応してたから」
ほうほう。
「他にもいくつかの単語には反応してたんですが、結局お父様は答えてくれず…」
「お父様にこれ以上罪を重ねてほしくなかったから説得してたけど、私と姉さんは攻撃されて…」
で、倒れてたという訳ですな。
ブラックトレーダーは管理局を憎んでいる筈。けどこの世界の何処を探しても時空管理局という組織は出てこない。
そりゃ当たり前。だってこの世界には存在しない組織なんだから。
その事を知る由も無いブラックトレーダーはだからこそ
自分が闇の一族で天ノ遣との代々の因縁とかはどうでも良く、
「それで…お前等これからどうすんの?説得しても聞き入れて貰えなかったんだろ?」
「「お父様を止める(止めます)」」
即答だった。
「血の繋がりが無くても私達にとってあの人がお父様なのは変わらない」
「復讐に囚われてもう無関係の人を巻き込んでほしくないんです」
テスラとナインの瞳と言葉からは揺るぎない意志を感じる。
「ならツインエンジェルと敵対する気は?」
俺が問うと2人共静かに首を左右に振るだけ。
敵対する気は無い……この返答が聞けて良かったと思う。育ての親のためにツインエンジェルと敵対するという可能性も俺は考慮に入れていたから。
俺に嘘を吐いているという感じもしないし。
ならコイツ等にはツインエンジェルの後を追わせて…
「俺は下の階に戻るんで後よろしく」
「???一緒に来ないの?」
首を傾げるナインに答える。
「下でフェイト…文化祭の時にお前等も会った金髪の子が1人で戦ってるんでな」
ツインエンジェルとツインファントムで5人。
こんだけ入りゃ俺はフェイトの応援に向かっても大丈夫だろ。
今の所フェイトからもバルディッシュからも連絡は無いけど、やっぱり心配なんだよね。未知数の実力者と戦ってるフェイトの事。
「つー事で俺は下に……っ!!」
言葉を言い終える前に俺は感知した。
ぐにゃりと空間が歪み出す。
「え!?」
「これって!?」
テスラとナインは驚愕に目を見開く。
コレは……転移魔法か!!
突然の事で成す術も無く、俺とツインファントムは何者かに強制転移させられた………。
~~貴志視点~~
「うーん……うーん……ん?」
俺様はゆっくりと目を開ける。
まず視界に入ったのは満天の星空。
「ここは…外か?」
何でオリ主の俺様が外で寝てたんだ?
ゆっくりと上半身を起こして、自分の記憶を振り返る。
………そして思い出した。
「そうだそうだ。俺様は地球にいる嫁達に会いに来て、その嫁達の通う学校が文化祭やってて、フェイトとも会って、それから……」
あのクソモブに問い詰めたんだっけか。アミタやキリエ、そして『怪盗天使ツインエンジェル』のキャラがいた事について。
で、アリサ達の教室で僅かな間だが、彼女達と交流を深めたんだったな確か。
他にも見知らぬ美少女達がいたな。モブだとは思うがアリサ達原作キャラに負けず劣らずの美少女達だったぜ。
勿論、皆俺様のニコポにメロメロだったのを覚えているが……そこから先が思い出せねえな。
……まあ良いか。些細な事だ。
それよりも…
「クソ!!嫁達とイチャイチャする筈が寝ちまうなんて我ながら不覚を取ったもんだぜ」
せっかくの休暇なんだ。一秒でも無駄にはしたくねえぜ。
「だが愚痴ってても何も始まらねえ」
こういう時は思考を切り替え
「明日に備えるとするか」
今日付き合えなかった分、明日こそ嫁達と至福の時間を過ごす事にするぜ。
とりあえず、今日はもう家に帰るとすっか。
ミッドに移住して半年程しか経ってないが懐かしく感じる我が家にな。
そうして帰ろうと思った瞬間デバイスのギルから報告が入る。
海鳴市から少し離れた場所で街を覆う程の大きな結界を感知したと。
結界を張った魔力の持ち主は、俺様の嫁達に付き纏うあの忌々しいクソモブ転生者だという。
クソモブの事なんぞ知った事かと思っていたが、今度は結界が突如消えたらしい。
まあそれもどうでも良いんだがここで新たな問題が。
「フェイトの魔力も感知しただと!?」
場所は先程消失した結界の張られていた街から。
何故フェイトがそんなトコに……。
しかも
「何っ!!誰かとフェイトが戦ってるだと!?」
俺の嫁と何者かの魔力がぶつかり合ってるという報告がギルから届く。
それを聞いて俺様はすぐさまセットアップし
「待ってろ
空を飛んで現地に向かうのだった………。
~~貴志視点終了~~
~~漢女視点~~
ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
休暇申請が受理され、急いで転送ポートから私は地球に戻ってきたわん。
「……って、戻って来たのは良いけどご主人様は何処にいるのかしらん?」
ここは人気の無い海鳴市の海岸近くの倉庫が並ぶ場所。
ご主人様がこんな所にいる訳無いわよねぇ。
「『アナゴ』。ご主人様のいる場所を発見できるかしらぁ?」
私は自分が穿いているビキニ型インテリジェントデバイス『アナゴ』にご主人様の居場所を特定して貰う。
「マスタァ~。マスターの想い人は現在空を飛んで移動中だぁぁ」
飛んで?何処へ向かってるのかしらぁ。
私の家に飛んで向かう程離れた場所にいるのかしらぁ?
「何だか別の場所で感知した魔力の発生源に向かっているようだぁ」
魔力を感知?事件かしら?それともロストロギアが見付かった?
「……いずれにせよ、ここにいても仕方ないわぁ。私達もご主人様を追い掛けましょう」
「承知ぃ」
私はすぐさま走ってご主人様の後を追う事にしたわぁ。
ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
~~漢女視点終了~~
~~???視点~~
「……………………」
「どうかしたか?」
「何者かが魔法を使ったみたいだ。ビルの上階にいた反応が消えた」
僕は目の前で
反応が消えたという事は転移魔法の類で別の場所へ転移させられたのだろう。
「……そうか」
「上階には貴方の娘達がいた筈だったね。心配かい?」
「……娘と言えど私に立ち向かうのならそれは敵と同義だ」
答えるまでに僅かな間があった。親としての情は捨てきれないという事か。
「(小物だな)」
僕はブラックトレーダーに一瞬だけ視線を向け、内心で見下しながらすぐ別の方に向き直る。
まあ、この男の心中などどうでも良い。それより…
「現在下の方では僕の部下が敵と戦い、3つの反応がここを目指してやってきている」
「おそらくはツンエンジェル…天ノ遣が向かって来ているのだろう。好都合だ。
「そうなのかい?残念だ。上階にいた連中が消えた以上、ここに来ようとしてる連中を退屈しのぎ代わりに殺そうと思っていたのに」
「力の解放さえ済んだ後で良いならば好きにすれば良い」
「そうだね…」
その時はブラックトレーダー…君にも消えて貰うとしよう。
聖杯の欠片の力の解放が済めば君は用済みなのだから。
しかしそれまで本当に退屈だな。
「………下の階に行ってくる」
僕はビルの屋上から飛び降りるため安全策を乗り越える。
「何をしに行くのだ?」
「ヒマだからね。下の階で僕の部下と戦っている魔導師と遊んでくるよ」
僕はビルから飛び降り、地上を目指す。
さて、どうやって
~~???視点終了~~
~~言葉視点~~
「ただいま戻りましたぁ」
「随分お疲れの様だね言葉君」
私がドクターの研究所に戻ってくると、ドクターが出迎えてくれました。
「今回も外れだったのかい?」
「はい」
ドクターに頼んで誠君の捜索をお願いしてる私ですが、次元世界に『マコト』という名の人は意外に多く私の意中の相手である誠君は未だに見付かりません。
「一応聞いておくけど、どんな人物だったのかな?」
「名前は『
思い出してみると段々怒りが込み上げてきます。
私を見る目がとても卑しいモノでしたし、私に触れようとしてきたんですよ。
「あまりにもイラッとしたので殺してきましたけど」
「ハハハハハ!!流石言葉君だね。意中の相手以外には一切の容赦無しかい」
当然です。
卑しい目を向けて良いのも、私に触れて良いのもこの世界で誠君ただ1人だけなんですから。
ところで…
「ドクターは何か上機嫌ですね。何か嬉しい事でもあったんですか?」
「ん?うむ、実は新たなロストロギアが『地球』という管理外世界で見付かってね」
「地球…私の生まれ故郷じゃないですか」
「そう言えばそうだったね」
ドクターは私が言って思い出した様にポンと手を叩く。
「それで、どんなロストロギアが見付かったんですか?」
「うむ。
「はぁ……それでそのロストロギアは危険な物なんですか?」
「レリック同様の高エネルギーを内包してるみたいなのだが、レリックとはまた違ったエネルギーを内包してるみたいでね。私はそのエネルギーが何なのか興味があるのだよ」
心底嬉しそうにテンションが上がるドクター。
でも地球でそんな物が見付かったなんて良く分かりましたね。
「
それで
「折角だし私の
「息子……まさか『彼』が向かったのですか?」
ドクターは先日、自分の持つ知識から自分の息子とも呼べる存在を生み出しました。
何でも
『私は魔導師としては然程有能ではないが、自らの知識を用いればある程度のリスクは回避出来るからね』
彼を生み出した時にドクターが言ってた事です。
事実、オーバーSランク魔導師数十人分の魔力量でも足りない様な禁呪であったにも関わらず、本人曰く『Bランク相当の魔導師』であるドクターはたった1人分の魔力量で成功させたので見事だと言わざるを得ません。
「彼に
「実力的には申し分ないと思うのだがねぇ。息子も私同様自分の欲望には忠実だし、
「くまさんの方が良かったのでは?」
「くまは現在メンテ中でね。タイミング悪い事この上ないよ」
やれやれと肩を竦めるドクターですが、そこまで落胆的でもないですね。
「ま、失敗したならしたで別に良いさ。今回じゃなくとも手に入れる機会はあるだろうし」
テンションが高く、欲しいとは言いつつもそこまで優先度は高くないんですね。
「それより言葉君、その服は洗濯した方がいいのではないかね?返り血が付着してるよ」
「そうですね。ついでにお風呂も頂きたいのですが」
「うむ。存分に入浴して疲れを癒してくれたまえ」
ドクターとの会話を終えて私は衣類を洗濯機に入れてから、お風呂に入ります。
誠君、貴方は今どこにいるのでしょうか?
早く会って色々お話したいです………。
~~言葉視点終了~~
~~あとがき~~
約1ヶ月間を置いての更新。遅れて申し訳ないです。
毎日残業が当たり前のリアル環境……。いい加減泣きそうです。
今回はツインエンジェル原作の終盤にオリ要素加えました。結果…
勇紀=テスラ、ナインと共に強制転移で一時退場。
遥、葵、クルミ=ビルの最上階目指して進行中。
フェイト=謎の魔導師と交戦中。
西条=フェイトの元へ飛行魔法で急行中。
鉄先輩=西条を追い掛けて道路や民家の屋根の上を爆走中。
てな感じです。
上記のメンバーが全員集合するまではまだ数話先に話になりそうですがね。
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神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。