アナハイム社派遣社員日記番外
とある先輩の日常
???宅 朝
………ん、んー〜〜よく寝た〜………ん!良し!朝ごはんでも作ろうか!
私は隣で寝ている旦那様を起こさない様に注意して布団から出る。
布団から出るとパジャマからTシャツとスカートにエプロンといった服装に着替えて二階の寝室から階段を降りて、一階にあるダイニングキッチンへと向かった。
キッチンに到着した私は家族の朝食に何を作ろうか考える………アーちゃんは洋食派だけど、旦那様は和食派なんだよねーーうーん、まぁ昨日が和食だったから今日は洋食にしてあげようかな!よし、洋食に決定!
クリームシチューとサラダを作り終わると家族を起こす時間が近づいていたので準備を中断して旦那様と娘を起こしに行く
ーコンコンー
『アーちゃん〜入るよ〜』
私は娘の部屋の扉をノックして声を掛けてから、
(ガチャ)
扉を開けて娘の部屋に入ると娘は起きて着替えを始めていた。
『お母様おはようございます、着替え終わったらお手伝いしに行きますね。』
娘は寝癖の残る髪を手櫛で少し整えながらながら返事をしたので、
私はお父さんを起こしに行くことを娘に伝え、食器の準備をお願いして娘の部屋を後にした。
(ガチャ)
夫婦の寝室の扉を開けると旦那様が布団に包まって寝ていた、私はそっと近づいて、
『少佐!スクランブルです!急ぎ出撃を!』
旦那様の耳元で少し大きめの声で言ってみた、すると
『第4小隊は俺に続け!出るぞ!………?朝?……セレス、お前またか。』
飛び起きた旦那様が呆れた顔でこっちを見ている。
私は素知らぬふりをして、『ご飯できるよ』と声を掛けて寝室を後にした。
『……だから〜RMS-179の改修機テストも一緒にやるんだって〜』
『だがもう俺とお前とアティスとユウナのMSを運ぶから空きは無いぞ?』
私の発言に旦那様から無理だと言われた。
『ですがお父様、お祖父様からペガサス級を一隻手配したから輸送関係は大丈夫だと連絡がありましたよ?』
其処に娘から援護射撃が入る
『オヤジさんは過保護だな、まさか輸送機に旧型艦とはいえ戦艦を寄越すとは………』
旦那様は父親の私に対する溺愛具合に溜息を零す。
私は心の中で、まぁ貴方がオヤジさんって言っても、私の父親は貴方と殆ど歳変わりませんけどね!などと声に出してしまうと後ほどえらい目に会う事が明白なので、あえて心の中だけで呟いておく。
2日後
アナハイム社月面ドック
『……オーライ!オーライ!……』
誘導員がペガサス級を発進位置まで誘導しているのを見ながら、持ち出し品のリストを確認していると、ペガサス級から父親が私に向かって走って来るのが見えた。
『おぉ〜い……やぁ!我が娘よ!アティスちゃんは何処だい?可愛いヌイグルミが有ったからあげようと買って来たんだが、……………』
遠目でもわかる位巨大な紙袋を持ちながら父親が私の下に辿り着き開口一番にそんな言葉を吐いた。
何やら全長150cmは有りそうな紙袋を持っているかと思えば中身はヌイグルミかい!、と思いながら父親にアティスは自分のMSを点検する為にドックに行った事を告げた。
すると父親は私への挨拶はそこそこにさっさとドックに行ってしまった、私は何番ドックか言ってないんだけどなぁ……まぁ大丈夫かと結論付て、持ち出し品のリスト確認を再開した。
アナハイム社第4工区MSドック
[カタ…カタ…カタ…カタカタ…カタ]
人気の少ないMSドックの1区画で少女が黙々とキーボードを叩いており、人が少ない為ドック中にキーボードを叩く音が響いている。
[……………ドタ……ドタドタ…ドタドタドタドタドタドタドタ]
そんな静かなドックの外から何やら大きな音が聞こえてきた。
『??』
少女は音がこのドックの入り口で停止したことに気づき、首を傾げながら入り口に視線を向けた。
[ウィー『アティスちゃ〜んお爺ちゃんだよ〜〜』ーン]
少女=アティスが視線を向けた先では母の父親、ようは自分の祖父に当たる人物が自動ドアが空いた瞬間に自分に向けて駆け込んで来た。
『やぁアティスちゃん!久しぶりだね〜……おっ、少し身長伸びたんじゃ無いの?お爺ちゃんあんまり会えなかったからなぁ〜………………そうだ!はい、コレお爺ちゃんからのプレゼントだよ!』
祖父は直ぐに私の前に着くと満面の笑みでまくし立て、思い出した様に私にプレゼントだと大きな紙袋をくれた。
私はこの前に会ったのは一週間位前だったがそんなに身長伸びたのかな?後で測ってみようかな?などと考えながら祖父から紙袋を受け取る。
私は紙袋の中は何だろう?と思って居ると
『ほら、気になるなら開けてご覧?』
と祖父が言うので紙袋の封を解いてみた。
『わぁ、すごい………お祖父様!ありがとうございます!』
中身は自分より少し大きなクマのヌイグルミで、私は思わず抱き締めながら祖父に御礼を言った。
少しの間ヌイグルミの感動に浸っていると、祖父が私が点検して居たMSを見て感慨深い顔で呟いた。
『……一年戦争末期に私達が造ったMSに最初は娘が乗り、次は孫娘が乗るか……』
私はヌイグルミに夢中で見ていなかったが、その時の祖父は今までに見たことが無い位真剣な顔をしていた。
1時間後
同ドック
『……の関節のサーボモーターに過負荷が掛かるんです、ここの設定値が高いんでしょうか?』
『んーーいや、コレはアームユニットの反応値が高いだけだから設定値はそのままで反応値だけ少し落とせば大丈夫だよ。』
祖父に貰ったヌイグルミを汚れない様に離れたところに置いて、祖父に質問して改善点を直して行く。
『いやーそれにしても、ティターンズの遺物がこんな所で役に立つとはねーいやほんとアティスちゃん良くこんな物見つけたね?』
私がキーボードで数値を直していると祖父が話を振って来た
『何か役に立つ物を造りたいと思い災害救助用装備って書いて有ったし、未完成だったのでつい完成させたくなりまして、元ティターンズ製だと知ったのはつい最近何ですよ。』
祖父と会話しているとドックの入り口ドアが開いて其処には
『アーちゃん〜ご飯食べに行くよ〜お母さんお腹すいた〜』
満面の笑みのお母様がしょうがないなと呆れ顔のお父様を伴って現れた。
私が時計を見るとこのドックに来てから3時間は経っていることに気づいた、そういえばお腹すいたなぁ
『だそうです、ちょうど食堂も空く時間ですのでオヤジさんも一緒にどうですか?』
お父様がお祖父様も一緒にどうですか?と誘うと
『娘と孫娘が行くのに私が行かない道理があるのかね?さぁ!サウス君先に席を取りに行くぞ!』
それを聞いたお祖父様はお父様の手を引っ張って食堂へ行ってしまった。
『あはは〜流石お父さん、動きが速いなぁ〜』
取り残されたお母様が苦笑しながらお祖父様とお父様を見送る
私は汚れていた手を拭くと、祖父から貰った大きなクマのヌイグルミを抱きお母様の所まで歩いて
『お母様?私達も行きましょうか、私もお腹が空きました。』
『ん?そう!!?………あー…ビックリした、お父さんアーちゃんにそんな大っきいのあげたんだ、確かにさっきの紙袋の大きさだったらそれぐらいかな?……あっ、そうだね早く行かないとお爺ちゃんが待ちきれなくて迎えに来ちゃうからね』
お母様と2人でドックを後にした。
道中、すれ違う方達が私達の方を見てびっくりしていた様だがやはりこのクマのヌイグルミの所為だろうか?
『おい!あれ見たか?』
『ん?あれ?何のことだ?』
『あぁ、あれでしょ?見たよ〜すっっっごい可愛かったよね〜』
『私も見た、アティスちゃんが笑顔満開ででっかいヌイグルミ抱き締めながらセレスティアさんと歩いてた』
『何だと!滅多に笑顔を見せないアティス嬢が笑顔満開でヌイグルミだと!………シャ、写真は、写真は無いのか?』
『ごめん、私ビックリして撮るの忘れた……』
『私も』
『あっ俺もだ』
『くっそ〜〜〜〜〜〜〜!!』
後ほど、食堂に居ると判明し、人が殺到してヌイグルミを抱き締めながら笑顔で家族と会話するアティスを眺める団体が居たが、当の家族は父親以外はその光景に気付かず、管理部署の『仕事に戻れ!』との叱責が出るまで食堂には人集りが絶えなかった。
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何故か番外を書いてみました本編進んでないのに……