その1
~一刀視点~
全くどこに行ったんだろう?
鞘姉、巴、静里の三人の姿が見えない
別に今日が初めての事では無いが、野盗が出る様な地では心配するなと云う方が無理だ
まあ、鞘姉が居るから大丈夫
と言いたいところだが、数の暴力には勝てないだろうし
で、俺は三人を探している
「でも、あの呼び方はね~」
「多分、孫家の方だとは思いますけど」
「えっ?じゃあ一君、王族にあの呼び方してた訳?」
うん?話し声が聞こえる
何を話してるかは、はっきり聞こえないけど
俺は声の方向へ向かう
三人の人影が見えた
こんな所に小さな滝の様な場所が有るとは知らなかった
こんな所に揃って何しに来てたんだ?
「お・・・」
声を掛けようとして、慌てて止めた
そして横の茂みの陰に飛ぶようにして隠れた
何故なら三人は「水浴び」をしていた
その場面でなければ声を掛けても問題は無い
だが、この場面で声を掛ければ・・・
「きゃ~、覗き?
見損なったわよ一君!」
「一兄も覗きなんて・・・
我が兄ながら情けない」
「覗きのような行為をする人とは思いませんでした!」
と罵詈雑言を浴びせられその後鞘姉、巴にO☆SHI☆O☆KIを・・・
確実に悲惨な未来が簡単に想像できる
しかし・・・
言い訳すれば、俺も健全な男子な訳で
正直言えば「好機到来」とも思っている
さっきはしっかり見る前に隠れたので確認していないが、「水浴び」していたのは間違いなかった
鞘姉も静里も美少女なのは間違いないし、体の起伏もはっきりしている
そんな場面に遭遇してこう思わない男がいるだろうか?いや、いない!(断言)
まあ、巴は・・・
それはさて置き、俺には二つの選択肢がある
1.このまま立ち去る
2.見つからないように覗く
2だな
それしか無い
いや、1だろう
鞘姉達の信頼を裏切って良いのか?
それに、見つかった場合の悲惨な未来を考えろ!
頭の中で天使と悪魔が闘っている
俺は頭を抱えてしまった
「なに頭抱えてるの?」
後ろから声を掛けられ慌てて振り向く
振り向いたその目の前には、全裸の鞘姉が・・・
では無く、水着姿の鞘姉が居た
「え?」
俺は間抜けな声を出した
「何で水着が?」
俺の質問に
「私が気付いた時にあったバッグに入ってたのよ
何故か私のが2着と巴ちゃんのも
で、静里は私と体型が近いから貸して、水浴びに来てたの」
成る程、でなく俺の葛藤は何だったんだ
と思っていたら
「で、一君は此処で何してたの?」
ギクッ この言い方はばれてる
「まさか、水着を着てないと思って覗きをしていた、とか」
「してない、してない(しようか悩んでいただけ)!」
慌てて否定するが
「しようか悩んでいただけでも同罪に近いんだけどね~」
してないのに同罪?それに心を読まないで下さい
「一兄も・・・言えば条件次第で見せてあげるのに」
「こら!」
「え?」
巴の発言を叱る鞘姉と、驚く静里
「いや、巴を見たいと思った訳じゃない・・・」
俺は発言が終わる前に、巴に蹴り飛ばされた
その2
~鞘華視点~
復興作業の傍ら、凪が率いていた元義勇兵の人達に剣道を教える
この指導は私がする事が多い
指導受ける側が男なので女の私に指導を受けたい、との意見が多い
男の誇りは無いのか!?
と、怒っても仕方が無い
一君はと云うと、凪に武術を教えている
凪は素手の実力は私や一君よりも上だろう
しかし、我流の悲しさ 無駄な力が多いし、技が少ない
それを本人も自覚していて、一君に弟子入りした
一君曰く
「凪は弟子としては最高級の人物だよ
向上心は有る、伸びしろも大きい、素直、おまけに可愛い
これ以上なにを望むってくらいだ」
理由の最後がちょっと気になるんだけどね~
まあそんな訳で、一君の凪への指導は今日も行われている
~一刀視点~
凪への指導で今日は投げ技を教えている
投げ技をいくつか教え、俺を実際に投げさせる
凪は覚えが早く、直ぐに投げ技を習得していった
「じゃ、組手を行うか」
「はい、お願いします」
この日の組手で、不幸な(幸福な)事故が起こった
その事故とは・・
組手の最中、俺が凪の胸ぐらを掴もうと手を出した瞬間、凪が態勢を崩した
その為、掴もうとした場所と手を抱いた場所がずれた
そして、俺は凪の胸を思い切り掴んでしまった
その瞬間、全ての時間が止まった・・・
凪は普段なら胸当てをつけている
だが今日は、投げ技の指導のすぐ後に組手を行ったので、つけ忘れていた
その為に起こった事故だった
「一君、覚悟は良いわね」
「全く、一兄は・・・
言ってくれれば触る位、させてあげるのに」
巴、お前の胸を触っても嬉しくないぞ
「凪、一発 思いっ切り殴り飛ばしても良いわよ」
「いえ、私は・・・」
凪は事故だと分かってくれてるが
「甘い!
胸を掴まれたんだから殴り飛ばしても文句は言われないわよ」
「どうせならこの手甲『白虎』を付けたら?
凪さんの手甲 壊れてるし」
こら 家伝の品を制裁の道具に使うんじゃない!
それに死ぬだろ 凪が『白虎』を付けて全力で殴ったら
結局、制裁は鞘姉、巴の提案通りに行われることになった
こうなったら凪が手加減してくれる事を信じよう
そして・・・
トン
凪の突きは俺の頬に軽く触れただけだった
「え~と、それでいいの?」
「はい、指導してくれる方を殴るなんて・・・
それに・・・」
凪は言葉の後、俺の方を少し窺って顔を赤らめていた
可愛いけど、何故赤くなるんだろう(鈍感)
「結局凪は、一君の好感度を上げる事に成功したのね」
「う~、よし 次は私が胸を触られる!」
~あとがき~
今回は拠点です
早すぎるかもしれませんが、構成が纏まったのでお送りします
それに、1はこの時期しか出来ない話ですし、2は凪が一刀に師事している事を示す話ですので
1は水着イベントの変化版です
また別の形でやるかもしれません
一刀がスケベ心を出したらひどい目に合った、ありがちな話です
2は凪の修行イベントです
これは前々作でも有った凪が一刀に師事する、を拠点の話にしました
拠点として楽しんで戴けたでしょうか?
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
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