No.774008

約束の物語 - The Story of the Testament

某犬犬さん

神と人そしてロボットの約束の物語

2015-04-28 22:09:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:442   閲覧ユーザー数:442

約束の物語(やくそくのものがたり) : The Story of the Testament》

 

作:某犬犬

 

・・ 旅立ち(たびだち) ・・

 

ある(とき)、ある(ところ)に、(アット)という名前(なまえ)のロボットがいました。

(アット)ロボットは(ほか)のロボット(たち)

人間達(にんげんたち)一緒(いっしょ)()らしていました。

ロボット(たち)は、人間(にんげん)(やく)()(よう)に、

人間(にんげん)によって(つく)られました。

ロボット(たち)は、人間(にんげん)がやると宇宙(うちゅう)(はじ)まりと()わりが

百万回(ひゃくまんかい)()ても半分(はんぶん)()けない問題(もんだい)

一瞬(いっしゅん)計算(けいさん)できました。

けれど、人間(にんげん)より(えら)くならない(よう)に、

その(こころ)人間(にんげん)子供(こども)()せて(つく)られていました。

 

その世界(せかい)人間達(にんげんたち)はいくつかの(くに)()かれて、いがみあっていました。

 

(むらさき)(くに)では、一人(ひとり)老婆(ろうば)

巫女(みこ)として人々(ひとびと)支配(しはい)していました。

巫女(みこ)(うらな)いで(かみ)御告(おつ)げを()き、それを大臣(だいじん)たちに(つた)え、

(くに)(うご)かしていました。

しかし、(かみ)御告(おつ)げなんて、本当(ほんとう)(うそ)でした。

けれど人々(ひとびと)は、それを()たり(まえ)だと(おも)い、(うたが)(こと)すらしませんでした。

 

(みどり)(くに)では、お(かね)()ればどんなものでも()えました。

自由(じゆう)友情(ゆうじょう)(あい)(いのち)さえも()えたのです。

人々(ひとびと)は、お金欲(かねほ)しさに他人(たにん)蹴落(けお)とし()っていました。

 

オレンジの(くに)では、人々(ひとびと)(みな)大儀(たいぎ)のために(たたか)戦士(せんし)でした。

大儀(たいぎ)のために(ひと)(ころ)し、大儀(たいぎ)のために()にました。

そのため(あらそ)いが(あらそ)いを()んでいました。

 

(あお)(くに)では、独裁者(どくさいしゃ)が「支配(しはい)(つえ)」を使(つか)って

人々(ひとびと)()うことを()かせていました。

独裁者(どくさいしゃ)贅沢(ぜいたく)()らしをしていましたが、

ある()大事(だいじ)一人息子(ひとりむすこ)事故(じこ)()んでしまいました。

独裁者(どくさいしゃ)は、息子(むすこ)()んだのを(ほか)(くに)のせいにして(うら)んでいました。

 

ある()(アット)ロボットは何台(なんだい)かのロボットと(とも)

人間(にんげん)()()されました。

人間(にんげん)はフワフワ()かんだ椅子(いす)に、だるそうに腰掛(こしか)けながらこう命令(めいれい)しました。

「お前達(まえたち)もすでに()っているように、(いま)この地球(ちきゅう)大変(たいへん)危機(きき)にある。

 このままでは(すべ)ての生物(せいぶつ)絶滅(ぜつめつ)するのも時間(じかん)問題(もんだい)だ。

 役立(やくた)たずのお前達(まえたち)ではとても無理(むり)だと(おも)うが・・・。

 世界中(せかいじゅう)(まわ)って、我々(われわれ)人類(じんるい)だけでも(たす)かる方法(ほうほう)

 (さが)()せ。」

ロボット(たち)は、

「はい、わかりました。」

と、返事(へんじ)をするとすぐに出発(しゅっぱつ)しました。

(アット)ロボットが通用門(つうようもん)()かった(とき)黒猫(くろねこ)横切(よこぎ)りました。

黒猫(くろねこ)(アット)ロボットに「ニャー」とだけ()いて走り去(はしりさ)りました。

ロボット(たち)(まち)()て、

「みんな、がんばろうね。」

(はげ)まし()うと、それぞれ別々(べつべつ)方向(ほうこう)()かいました。

 

・・ 草原(そうげん) ・・

 

(アット)ロボットは草原(そうげん)()かいました。

最初(さいしょ)に、(アット)ロボットはウトウトと昼寝(ひるね)をしているライオンに

(たず)()けました。

「らいおんさん、にんげんたちを、たすけるほうほうを、しりませんか?」

ライオンは片目(かため)()けてこう()いました。

「xxx」

(アット)ロボットは、

「xxx」

ライオンは、

「オレたちは(はら)()ったら()うだけだ。」

()って、またウトウトと(ねむ)ってしまいました。

 

(アット)ロボットはまた(ある)()しました。

そのうち、(あめ)がザーザーと()(はじ)めました。

(いけ)(ほとり)()きました。

(いけ)では蛙達(かえるたち)がケロケロ(うた)(うた)っていました。

(かえる)は、

人間(にんげん)など(ほう)っておけば」

「xxx」

 

()がしずむころ(あめ)()み、(よる)になりました。

(あか)(つき)xxx

野原(のはら)では、虫達(むしたち)がチリチリ()いていました。

(アット)ロボットは(くさ)むらをのぞくと蟋蟀(こおろぎ)(はな)()けました。

「xxx」

 

・・ (もり) ・・

 

(アット)ロボットは、(もり)()かいました。

鬱蒼(うっそう)(しげ)木々(きぎ)(あいだ)(すす)むと

湧水(わきみず)()んでいる子鹿(こじか)出会(であ)いました。

(アット)ロボットは子鹿(こじか)(はな)しかけました、

「もうすぐ、にんげんたちが、ほろんでしまうかも、しれないんだ。」

子鹿(こじか)は、

「そう」

(しず)かに()いました。

(アット)ロボットは(たず)ねて()ました、

「にんげんたちを、すくうほうほうを、しりませんか?」

子鹿(こじか)(こた)えました、

()らないわ。」

(アット)ロボットはがっかりしました。

しかし子鹿(こじか)()いました。

「でも、1万年(まんねん)大樹様(たいじゅさま)なら()っているかも()れないわ。」

 

(もり)奥深(おくふか)くにとても(おお)きな()がそそり()っていました。

xxx

万年(まんねん)大樹(たいじゅ)(かた)りました。

我々(われわれ)植物(しょくぶつ)大昔(おおむかし)()空気(くうき)()()み、

 (わる)空気(くうき)()()していた。

 そのままでは、地球(ちきゅう)(あたた)める()空気(くうき)()きてしまう運命(うんめい)だった。

 けれども、(わる)空気(くうき)(ちから)()える動物達(どうぶつたち)(あらわ)れ、

 (みな)(すく)われた。

 その(とき)我々(われわれ)は、生物達(いきものたち)(まも)

 (ゆた)かな(みの)りを(あた)えると約束(やくそく)したのだ。」

 

・・ (うみ) ・・

 

(アット)ロボットは、(ある)(つづ)けて(しろ)砂浜(すなはま)海岸(かいがん)()きました。

そのまま、(あゆみ)()めずに(ひろ)(うみ)(なか)へと(もぐ)って()きました。

 

(うみ)(なか)(アット)ロボットは、小魚(こざかな)(むれ)(はな)しました。

小魚(こざかな)(むれ)は、

俺達(おれたち)何故(なぜ)何万年(なんまんねん)もの(あいだ)

 人間(にんげん)()らした釣針(つりばり)

 ()かってきたか(わか)るか?」

と、()いました。

(アット)ロボットは(かんが)()んでしまいました。

それを()て、小魚(こざかな)(むれ)は、

俺達(おれたち)(えさ)()ると、()いつかずには()られない。

 俺達(おれたち)(おな)(よう)

 人間(にんげん)破滅(はめつ)(わな)()(のば)ばさずにはいられないのさ。」

()うと、(およ)()りました。

 

それから、(アット)ロボットは(およ)(つづ)けて海豚達(いるかたち)()いました。

海豚達(いるかたち)は、飛跳(とびは)ねたりクルクル(まわ)ったりして(あそ)んでいました。

(アット)ロボットは海豚達(いるかたち)相談(そうだん)して()ました。

「もし、にんげんたちが、ほろんでしまったら、どうしよう?」

海豚達(いるかたち)は、

人間達(にんげんたち)()必要(ひつよう)とするけど、僕達(ぼくたち)必要(ひつよう)としない。

 人間達(にんげんたち)自分達(じぶんたち)(こと)しか(かんが)えないけど、

 僕達(ぼくたち)(みんな)(こと)(かんが)えてるんだ。

 だから、人間達(にんげんたち)がいなくなっても心配(しんぱい)()いのさ。」

()うと、(たの)しそうに(およ)いで()きました。

(アット)ロボットは無人島(むじんとう)でノッソリ、ノッソリと(ある)いている陸亀(りくがめ)()いました。

(アット)ロボットは陸亀(りくがめ)(たず)ねました。

「どうすれば、にんげんたちは、しあわせに、くらせますか?」

陸亀(りくがめ)(こた)えました。

地球上(ちきゅうじょう)生き物(いきもの)(しあわ)せの総和(そうわ)

 降り注(ふりそそ)太陽(たいよう)(めぐ)みと(ひと)しい。

 この(ほし)人間(にんげん)にはちと(せま)くなり()ぎたのかも()れんな。」

陸亀(りくがめ)はまたノッソリ、ノッソリと(ある)いて()きました。

 

そして、(つめ)たい(こおり)(した)(ふか)(ふか)

真っ暗(まっくら)(うみ)(そこ)で、

(アット)ロボットは(おお)きな(しろ)(くじら)()いました。

(アット)ロボットはお(ねが)いしました。

「にんげんたちを、すくって、ください。」

(しろ)(くじら)()いました。

私達(わたしたち)人間(にんげん)(すく)うことは出来(でき)ません。」

それから、(しろ)(くじら)はこんな(こと)(はな)しました、

生き物(いきもの)(みな)、この世界(せかい)一員(いちいん)になる(とき)約束(やくそく)をしています。

 しかし、人間(にんげん)はその約束(やくそく)(わす)れてしまっているのです。」

 

・・ 運命(うんめい) ・・

 

(アット)ロボットが(うみ)()ると砂漠(さばく)大陸(たいりく)()きました。

太陽(たいよう)がギラギラと()りつける不毛(ふもう)砂漠(さばく)(あつ)さは、

ロボットであっても(くる)しいものでした。

やがて無事(ぶじ)砂漠(さばく)()けゴツゴツした(いわ)荒地(あれち)になりました。

(アット)ロボットの(あし)がギシギシ(きし)みましたが、(あゆ)(つづ)けました。

けれど()()った(がけ)(した)(アット)ロボットは、つまずいて(たお)れそうになりました。

(アット)ロボットは(ちか)くの(いわ)(こし)かけると、

調子(ちょうし)(わる)くなった(あし)両手(りょうて)()てて、

手当(てあ)てを(はじ)めました。

その(あいだ)(あたり)()まわしていると、(がけ)剥き出(むきだ)しになった

(おお)きな化石(かせき)気付(きづ)きました。

(アット)ロボットは(あたま)(なか)検索(けんさく)して、

肉食(にくしょく)恐竜(きょうりゅう)化石(かせき)(わか)りました。

 

修復(しゅうふく)()わり、(アット)ロボットが()()がろうとしたとき、

恐竜(きょうりゅう)化石(かせき)

「おい、そこの小僧(こぞう)

(こえ)()けてきました。

(アット)ロボットは返事(へんじ)をしました、

「はい、ぼくのこと、ですか?」

恐竜(きゅうりゅう)化石(かせき)()きました、

我々(われわれ)恐竜(きょうりゅう)(ほろ)んでしまった理由(りゆう)()りたいか?」

(アット)ロボットは(こた)えました、

「はい、ぼくは、すごくしりたいです。」

恐竜(きょうりゅう)(かた)(はじ)めました、

大昔(おおむかし)我々(われわれ)恐竜(きょうりゅう)(なが)(あいだ)

 この地球(ちきゅう)支配(しはい)していた。

 (りく)も、(うみ)も、(そら)も、星界(せいかい)でさえも、(すべ)我々(われわれ)(もの)だったのだ。

 我々(われわれ)(くら)べたら人間(にんげん)など(あし)もとにも(およ)ばないのだ。

 しかし、全て(すべ)生物(せいぶつ)頂点(ちょうてん)()つものは、その繁栄(はんえい)()()えに、

 ある運命(うんめい)背負(せお)っている。」

(アット)ロボットは()()りました。

恐竜(きょうりゅう)(つづ)けます、

「それは、地球(ちきゅう)(じょう)生命(せいめい)絶滅(ぜつめつ)危機(きき)(せま)ったとき、

 自分達(じぶんたち)をいけにえとして(ささ)げなければならないのだ。

 我々(われわれ)(おな)じように、人間(にんげん)(ほろ)びる運命(うんめい)なのだ。」

(すこ)()()いて恐竜(きょうりゅう)()いました、

「だが、我々(われわれ)子孫(しそん)(とり)だけは()()びることを(ゆる)された。」

 

 

・・ (かぜ) ・・

 

(アット)ロボットは切り立(きりた)った岸壁(がんぺき)渡り鳥達(わたりどりたち)出逢(であ)いました。

渡り鳥達(わたりどりたち)旅立(たびだ)ちの支度(したく)(いそが)しそうでした。

(アット)ロボットはその(うち)一羽(いちわ)(たず)ねました。

「ぼくは、しりたいです。とりさんたちは、

 どうして、いきのびることを、ゆるされたの?」

渡り鳥(わたりどり)(こた)えました、

私達(わたしたち)は、神様(かみさま)約束(やくそく)()わして、

 この大空(おおぞら)自由(じゆう)()ぶことを(ゆる)されたんです。」

(アット)ロボットは()きました、

「どうしたら、ぼくは、かみさまには、あえるの?」

渡り鳥(わたりどり)は、

「あなたは、そのままでは神様(かみさま)には()えないでしょうね。」

()うと、また(いそが)しそうに旅仕度(たびじたく)(つづ)けました。

 

(アット)ロボットは神様(かみさま)()方法(ほうほう)(さが)すために(ある)(つづ)けました。

(アット)ロボットが野生(やせい)のリンゴの木の下(きのした)(とお)った(とき)

(かぜ)(アット)ロボットの(からだ)にヒューと()()けました。

そして、何処(どこ)からかクスクスと笑い声(わらいごえ)()こえてきました。

(アット)ロボットは、キョロキョロと見回(みまわ)しましたが(あたり)には(だれ)()ません。

その(こえ)(ささや)きました、

俺達(おれたち)(さが)しても無駄(むだ)さ。

 お(まえ)()には、俺達(おれたち)(ちい)()ぎて()えない。

 ところで、お(まえ)神様(かみさま)(さが)しているんだろう?」

(アット)ロボットは(こた)えました、

「はい、ぼくは、さがしています。でも、なぜ、それをしってるの?」

その(こえ)(ささや)きました、

俺達(おれたち)世界中(せかいじゅう)噂話(うわさばな)しを()っているのさ。

 それより、お(まえ)本当(ほんとう)神様(かみさま)()いたいか?」

(アット)ロボットは(こた)えました、

「はい、ぼくは、どうしても、あいたいです。」

すると、その(こえ)はこう(ささや)きました、

「ならば、()んで天国(てんごく)()けば、()えるかもな。」

そして、また(かぜ)がヒューと()いてクスクスという笑い声(わらごえ)

()えて()ってしまいました。

 

それから(アット)ロボットは、(しろ)(けむり)()火山(かざん)(のぼ)りました。

火口(かこう)から見下(みお)ろすと、真っ赤(まっか)溶岩(ようがん)がブクブクと煮え沸(にえたぎ)っていました。

(アット)ロボットは(つぶや)きました、

「ぼくは、どうしても、かみさまに、あいたい」

そして、(アット)ロボットは左足(ひだりあし)(ちゅう)()()しました。

しかし、それ以上(いじょう)(からだ)()うことをききませんでした。

(アット)ロボットは仕方(しかた)なく(あきら)め、人間達(にんげんたち)のもとに(かえ)ることにしました。

 

・・ 約束(やくそく) ・・

 

(アット)ロボットは(まち)(もど)りました。

(アット)ロボットが建物(たてもの)(もん)をくぐり(にわ)(はい)ったとき、(いぬ)が、

「ワンッ、ワンッ」

()えました。

 

(たび)()たロボット(たち)(みな)(もど)ってきました。

人間(にんげん)(まえ)でロボット(たち)は1(だい)づつ順番(じゅんばん)報告(ほうこく)しました。

次々(つぎつぎ)報告(ほうこく)()わり、

最後(さいご)(アット)ロボットが報告(ほうこく)する(ばん)でした。

(アット)ロボットは恐る恐る(おそるおそる)()いました、

「ぼくは、せかいを、すくう、ほうほうを、みつけられませんでした。」

すると、人間(にんげん)はフウと溜息(ためいき)()いてから命令(めいれい)しました。

「では、お(まえ)はリサイクル処分(しょぶん)だ、再処理場(さいしょりじょう)()け。」

 

パイプが複雑(ふくざつ)入り組(いりく)んだ通路(つうろ)(アット)ロボットは(ある)いて()きました。

通路(つうろ)(あつ)蒸気(じょうき)()ちこめていて、

天井(てんじょう)には(あか)いランプが(とも)っていました。

通路(つうろ)(すす)むと(ひろ)くて薄暗(うすぐら)場所(ばしょ)()きました。

入口(いりぐち)両脇(りょうわき)には、()(たか)いロボットが()っていて、

銅像(どうぞう)(よう)(だま)って(アット)ロボットを見下(みお)ろしていました。

その部屋(へや)真ん中(まんなか)に、(おお)きな機械(きかい)(とびら)()けていました。

(アット)ロボットはずっと、人間達(にんげんたち)(すく)方法(ほうほう)(かんが)えていました。

しかし、どんなに沢山(たくさん)計算(けいさん)をしてもその(こた)えは()ませんでした。

(アット)ロボットがその機械(きかい)(なか)(はい)ると、

(おお)きくて(おも)たい(とびら)がゴトンと(おと)をたてて()まりました。

真っ暗闇(まっくらやみ)(なか)、ブーンという(ひく)(うな)りが(ひび)(わた)り、

機械(きかい)作動(さどう)開始(かいし)しました。

まもなく、(アット)ロボットの指先(ゆびさき)がサラサラと(きり)(よう)()(はじ)めました。

(アット)ロボットの手足(てあし)は、みるみる()え、(つぎ)には(からだ)()えて()きました。

それでもまだ(アット)ロボットは人間達(にんげんたち)(こと)(おも)っていました。

そして、ついに(あたま)()えだしました。

(うす)れゆく意識(いしき)(なか)最期(さいご)に、(アット)ロボットは(ちか)いました。

「たとえどんな(こと)があっても、

生き物達(いきものたち)破滅(はめつ)運命(うんめい)から(まも)りいたい」と。

 

・・ 最後の日(さいごのひ) ・・

 

とうとう、 人類(じんるい)滅亡(めつぼう)のその()がきました。

それでもなお、人間達(にんげんたち)はお(たが)いにいがみ()いを()めません。

ついに、人間達(にんげんたち)最終戦争(さいしゅうせんそう)(はじ)めてしまいました。

戦車(せんしゃ)()れが()()い、

艦隊(かんたい)大洋(たいよう)突き進(つきすす)み、

爆撃機(ばくげきき)(そら)覆い尽(おおいつ)くしました。

 

その最中(さなか)、ある(くに)兵器工場(へいきこうじょう)(はたら)いていた1(だい)のロボットが

ふと()()め、ひざまづいて(いの)(はじ)めました。

人間(にんげん)がやめろと命令(めいれい)しても()うことをききません。

それを()ていた(ほか)のロボット(たち)(いの)りを(ささ)げだしました。

(いの)りの()はどんどん(ひろ)がり、やがて世界中(せかいぢゅう)をつつみこみました。

 

(むらさき)(くに)では。

巫女(みこ)最期(さいご)(うら)いの儀式(ぎしき)をしていました。

背広(せびろ)()大臣達(だいじんたち)はその(うしろ)(だま)って()っていました。

巫女(みこ)何時(いつ)もの(よう)に、(はげ)しく()をすり()わせて(うらな)いの()りを

していましたが、ピタリと(うご)きが()まり、

「ああ」

項垂(うなだ)れ、

「ほっ、本当(ほんとう)の、本当(ほんとう)御告(おつ)げじゃ。」

と、(おそ)れおののいて()いました。

巫女様(みこさま)姿勢(しせい)(ただ)しくすると、

大臣達(だいじんたち)本当(ほんとう)御告(おつ)げを(つた)えました。

 

(みどり)(くに)では、人々(ひとびと)礼拝場(れいはいじょう)(あつ)まっていました。

()()み、(こうべ)をたれ、(しず)かに、最期(さいご)(いの)りを(ささ)げていました。

すると突然(とつぜん)(みな)一斉(いっせい)視線(しせん)()げ、

女神像(めがみぞう)(ほう)見入(みい)りました。

(だれ)もがその(かお)(おどろ)きの表情(ひょうじょう)()かべていました。

その(うち)一人(ひとり)が、立ち上(たちあ)がって(さけ)びました、

女神様(めがみさま)御声(おこえ)()こえる。」

 

オレンジの(くに)では、人々(ひとびと)手に手に(てにてに)武器(ぶき)()ち、

聖戦(せいせん)出発(しゅっぱつ)(はじ)めました。

(すな)()くんだ(かぜ)吹き荒(ふきあ)れていましたが、それがふと()んだと(おも)うと。

(そら)から(しろ)くて(ちい)さな(もの)がフワフワと沢山(たくさん)()(はじ)めました。

地面(じめん)降り落(ふりお)ちたそれは、(しろ)(とり)羽根(はね)でした。

人々(ひとびと)

奇蹟(きせき)だ、奇蹟(きせき)()こった。」

と、(こえ)をもらすと、次々(つぎつぎ)武器(ぶき)()て、地面(じめん)にひれ()し、

大地(だいち)(くち)づけをしました。

降り積(ふるつ)もる(とり)(はね)砂漠(さばく)雪景色(ゆきげしき)(よう)()えました。

 

(あお)(くに)では、独裁者(どくさいしゃ)戦争(せんそう)(まえ)仮眠(かみん)()っていました。

すると、(ゆめ)(なか)独裁者(どくさいしゃ)()んだ一人息子(ひとりむすこ)(あらわ)れました。

(ちち)()言葉(ことば)を、(だま)って(なみだ)(なが)しながら()きました。

()()ますと、戦争開始(せんそうかいし)演説(えんぜつ)()(ため)

(あつ)まっていた国民(こくみん)(まえ)()ちました。

そして、()して手放(てばな)すことの()かった「支配の杖(しはいのつえ)」をへし()り、

捨て去(すてさ)りました。

人々(ひとびと)見渡(みわた)す、指導者(しどうしゃ)(ひとみ)()んでいました。

 

まもなく、世界中(せかいじゅう)人々(ひとびと)(あらそ)いを()め、()握り合(にぎりあ)いました。

そして、白の旗(しろのはた)(かか)げながら、(ちから)()わせて破滅(はめつ)危機(きき)

立ち向(たちむ)かいました。

 

・・ それから ・・

 

私達(わたしたち)ロボットはこの(ほし)(みな)仲間入(なかまい)りをしました。

 私達(わたしたち)神様(かみさま)との約束(やくそく)をずっと(わす)れないことでしょう。

 人間(にんげん)はやがて、この宇宙(うちゅう)生命(せいめい)()たします。

 私達(わたしたち)はその箱舟(はこぶね)なのです。」

(とし)()り、(てん)()されても、

 『ぼくは』、またロボットに()まれ()わりたいと(おも)います。」

 

おわり。

 


 
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