No.772564 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2015-04-21 00:23:10 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:2581 閲覧ユーザー数:2373 |
~バリアハート・クロイツェン州統括領主の館・客室~
「フフッ、まだ最初の方しか歌っていないのにもう眠るなんてよほど疲れていたのね………………」
リィンの頭を優しく撫でながらクロチルダは優しげな微笑みを浮かべてリィンの眠り顔を見つめていた。
「(全てが終わった後、私はどうなるのかしら……?少なくても監視があるとは言え、ある程度の自由は許された状態で刑期を過ごす事になるけど…………好きな時にリィン君に会うのは難しいでしょうね……それにさっきのセックスで恐らく宿ったと思う私とリィン君の子供は一体どうなるのかしら……?)フフッ、これも私の”罰”なのかしら……ごめんね、こんな私が貴方のママで…………」
ふと自分の将来を考えて不安に感じたクロチルダは寂しげな笑みを浮かべた後涙を流しながら自分のお腹を撫でていた。
「―――ちょっといいかしら?」
するとその時ベルフェゴールがクロチルダの目の前に現れた。
「貴女は……確かリィン君と契約している異世界の”七大罪”の”魔王”の一柱――――”怠惰”のベルフェゴール。」
「うふふ、自己紹介は必要ないようね。――――”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダ。その様子だと決戦を終えた後の自分の将来に不安を感じているようね?そんな貴女に良い話があるんだけど、ちょっと私の話を聞いてもらえるかしら?」
「?」
ベルフェゴールは”使徒”の説明をし、既にスカーレットがベルフェゴールの”使徒”になった事や、その事によってメンフィル帝国がスカーレットの減刑を決めた事を説明し、クロチルダに自分の”使徒”になるように勧誘した。
「そう…………もしその”使徒”になったら、減刑してもらえる可能性はある上私はリィン君にずっと若い私を見てもらえるのね……私にとっては様々な意味で都合のいい話だけど、一つ聞いてもいいかしら?」
「?何かしら?」
「貴女は初対面の私に対して、どうしてそこまで親切にしてくれるのかしら?それも貴女の主人の元”敵”だった相手に。」
「うふふ、私は恋する乙女の味方なの♪それにこれはご主人様の為でもあるしね♪」
「フフッ、話には聞いていたけど、本当に変わった”魔王”ね…………――――わかったわ。大いなる”七大罪”の一柱―――”怠惰”のベルフェゴール様。どうか私を貴女の”使徒”にして下さい。」
ベルフェゴールの答えを聞いて苦笑していたクロチルダは表情を戻して、ベルフェゴールに対して最大限の礼儀を払って一礼をした。
「ええ、いいわよ。―――受け取りなさい。」
そしてベルフェゴールははその場で集中して、小さな光の球体を両手から出し、球体はクロチルダの身体に入り、クロチルダは”七大罪”の一柱――――”怠惰”を司る魔神ベルフェゴールの”第二使徒”になった!
「……!何て凄まじい霊力(マナ)……!魔王である貴女の”使徒”になったからかしら?」
「まあね。―――それじゃ、用は済んだし私は失礼するわね♪」
クロチルダが自身の”使徒”になった事を確認し終えたベルフェゴールはリィンの身体に戻り
「愛しているわ、リィン君…………ん……」
その場に二人きりになるとベルフェゴールは眠っているリィンに口付けをし、その後リィンを抱きしめた状態で眠り始めた。そして翌朝、先に起きたクロチルダは服や下着を着た後リフィア達を訪ね、自分がベルフェゴールの”使徒”になった事を説明した。
1月13日、同日7;20――――
~執務室~
「え、えっと………クロチルダさん、申し訳ありませんがもう一度言って貰ってもいいですか?」
事情を聞き終えたプリネは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせながらその場にいる全員を代表してクロチルダに問いかけた。
「ええ、いいわよ。―――私はリィン君の使い魔―――魔王ベルフェゴールの”使徒”になったわ。メンフィルの客将である彼女の僕(しもべ)になったのだから、レーヴェやアリアンロード達みたいに自由の身にしてもらえないかしら?貴女達も知っていると思うけどこれでも私は歌姫として有名だったから、メンフィル領内で歌姫として活動してその際に発生する利益を勿論メンフィルに還元するし、私の”魔女”の知識が必要なら惜しみなく提供するつもりよ。」
「レーヴェは正確に言えば自由の身ではなくツーヤという監視がいるのじゃがな…………」
「……一体どういう風の吹き回しでベルフェゴール殿の”使徒”になったのだ?」
クロチルダの答えを聞いたリフィアが頭を抱えて疲れた表情で溜息を吐いている中、ゼルギウスは眉を顰めて尋ねた。
「フフッ、それを答える前にレオン、一つだけ謝っておくわね。」
「……何だ?」
突如名指しされたレーヴェは警戒の表情でクロチルダを見つめた。
「”結社”にいた頃は貴方に何度も私に振り向いてくれるようにアプローチしていたけど、私、心から愛する男性ができたから貴方の事はどうでもよくなったの。だから悪いけど私の事は諦めて。」
「…………………」
「あら……フフッ、今の話は初耳ですわね。」
「ア、アハハ……帝都であたしにレーヴェさんへの伝言を伝えた時から何となく察してはいましたけど……というか”また”ですか、ベルフェゴールさん………」
「うふふ、さすがは”七大罪”の一柱を司る”魔神”だけあって、テロリスト、裏組織の最高幹部と、最上級レベルの元犯罪者ばかりを”使徒”にしているわね♪」
「ま、プリネと付き合うつもりなら過去の女とは別れるのが当然だね。」
クロチルダの言葉を聞いたプリネが呆けている中、シグルーンは微笑みながらレーヴェを見つめ、ツーヤは苦笑したがすぐに疲れた表情で肩を落とし、レンはからかいの表情になり、エヴリーヌは静かな表情で呟いてレーヴェに視線を向けた。
「……言っておくが”蒼の深淵”と男女の仲になった覚えはない。誤解を招くような事は言わないでもらおうか。―――それと”蒼の深淵”。諦めるも何も俺は出会った当初からお前の事を何とも思っていなく、むしろ迷惑していたくらいだ。お前が他の男に熱中する事で、俺への関心がなくなる事は俺自身が望んでいる事だ。俺に遠慮する事なくその男に付き纏ってくれた方が俺としても助かる。」
「まあ……あんなに熱いアプローチを何度もしてあげたのに、そんな答えを口にするなんて酷い男ね。―――でも、今となってはどうでもいいわ。今の私は彼のハーレムの一員だしね♪」
エヴリーヌに指摘した後静かな笑みを浮かべて答えたレーヴェの言葉に目を丸くしたクロチルダはすぐに気を取り直し、ウインクをした。
「…………クロチルダさん、念の為に一つだけ確認しておきたい事があるのですがよろしいですか?」
その時呆けた表情で黙り込んでいたエリゼは背後に魔力によって発生した電撃をバチバチと迸らせると共に周囲の空気を震わせる程の膨大な闘気と威圧を纏って微笑みながらクロチルダを見つめ
「ヒッ!?」
「ぬおっ!?」
エリゼの様子に気付いたエヴリーヌとリフィアは悲鳴を上げた後表情を青褪めさせて身体を震わせ始めた。
「何かしら?」
「……クロチルダさんが懸想している男性と言うのは兄様ですか?」
「ええ♪それとエリゼ、昨日はリィン君にあんな罰を与えてくれてありがとう♪お蔭でとても情熱的で素敵な初体験になったわ♪」
「!!!!??い、一体何を……!?―――――!!ま、まさかあの後貴女が兄様の部屋に……!?」
クロチルダの答えに混乱したエリゼだったがすぐに心当たりを思い出し、身体を震わせると共に全身に膨大な闘気や魔力をさらけ出しながらクロチルダを見つめて問いかけた。
「ええ、グリアノス越しで状況を見て、貴女がリィン君と情熱的な愛し合いを終えて部屋を去った後にリィン君に今までのお詫びや助けてくれたお礼も込めて奉仕をした後、リィン君の手錠を外してあげた後リィン君と何度も愛し合ったわ♪」
「…………………………リフィア。急用ができたから少しの間休憩時間を取るわね。」
「ヒッ!?こ、こっちを見ないで……!」
「ぬおっ!?わ、わわわわ、わかった!お主の気が済むまで休憩するがよい!というか昨日リィンがお主の試練を乗り越えた時点でお主は”紅き翼”の所属になったから、目的を果たすまで戻って来なくてよいぞ!」
エリゼに視線を向けられ、エヴリーヌと共に恐怖に震えていたリフィアはエリゼに退室を促し
「――失礼します。」
そしてリフィアから許可を貰ったエリゼは部屋を出た。
と言う訳で予想していたかもしれませんがクロチルダまでベルフェゴールの”使徒”に(汗)そしてもうお気づきと思いますがクロチルダの事もエリゼに判明した為、次回の展開はもうおわかりでしょう?(大爆笑)
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第624話