本来の流れとはかなり異なる内容となった袁紹軍との戦い。
それでも何とか妖術を行使して袁紹軍の撤退という結果だけにはたどり着いた。
そして随分と遅くなってしまったが、いよいよこの瞬間がやって来た。
魏の覇王曹操…華琳との出会いである。
「こら、風! 曹操様の御前よ! ちゃんと起きなさい!」
「……おおっ!?」
鄄城へとやって来た春蘭と共に華琳の所へ向かった俺達は、
休む間もなくそのまま軍議の場へと引っ張り出される。
考えてみればこんな形で軍議に出席するのは初めてだ。
それにしても風の奴、毎度の事だが何故この状況で眠れるんだろう?
最初は寝たフリだと思ってたんだけど、この時ってマジで立ったまま寝てるんだよな。
「おはよう……で?」
「ふぁ……あ、えっとですね…」
稟によって起こされた風が華琳の質問に答え始める。
と言っても今回は全く状況が違っていた。
今までの状況ならば華琳も事前に風の策に気づいていたが、
今回に関しては本当にどんな方法で袁紹軍を追い払ったのか解らないらしい。
まぁ、俺が妖術を使って袁紹軍を退けたなんて事は想像もつかないだろう。
しかし風の奴、華琳に対して一体どんな説明をするつもりなんだ?
俺が妖術を使えるってのは絶対話さないって言ってたけど、それでまともな説明が出来るのか?
「ここにいるお兄さんに単騎で敵本陣まで突撃して貰い、大将である顔良さんの身柄を拘束。
その後顔良さんの解放と引き換えに全軍を撤退させたんですよ~」
「「「「「………………え?」」」」」
喋っている風とその隣にいる稟を除いた全員の声がハモった。
もちろんいきなり話題に上げられた俺もである。
「………程昱? 私は貴女がどのような策を用いて袁紹軍を退けたのかを聞いているのよ?」
「はい。ですから今、袁紹軍を撤退させるに至った経緯を説明させていただきました~」
「………その言葉に嘘偽りはないのね」
「袁紹さんと文醜さんが一緒に来てくれていれば別の策もあったのですが、
顔良さんお一人でしたのでこの方法しかありませんでしたので」
華琳の再度の問いかけにも自信満々に答える風。
「郭嘉、程昱の言っていることが真実であるという証拠はあるのかしら?」
「恐れながら曹操様。私達がこの場にいるという事実が紛れもない証拠かと存じます」
風に続いて稟までもがこの主張を肯定する。
妖術の事で庇って貰っている俺が言えた義理ではないのだが、いくらなんでも無茶があり過ぎないか?
確かに2千程度の兵が相手だったら春蘭や蜀の関羽さん、呂布あたりなら可能かもしれない。
しかしその10倍もの軍勢に単騎で突撃をかけて陣を突破し大将を捕らえるなんて荒業、
誰がどう考えたって不可能に決まっている。
いくら袁紹軍を撤退させたという結果があるとはいえ、信じろというのが無理な話だ。
「まぁ、確かに当事者の私達ですら信じられないような戦果ですからね~。
ですので曹操様、実際にお兄さんの力量をご覧になられては如何でしょう?」
「………………はい?」
その2日後、名立たる武将全員を加えた魏軍2万を俺一人で相手にするという、
虐待なんて言葉すら生温い地獄の模擬演習を本当に組まれてしまった。
一応言っておくと、今の俺でも2万全員を倒すなんてとてもじゃないが無理である。
確かに一般兵はもとより、春蘭を筆頭とした魏の武将達が相手でも苦戦はしない。
しかしそれらを一度に、しかも全員相手にするとなると話は別。
どれだけペースを考えてギリギリまで節約しても、絶対に体力が続かないからだ。
一度に相手にして全滅出来る限界なんぞ、良くても精々2千人までといった所か。
それは演習を提案した風も解っていたらしく、
『2万の兵を突破し大将(もちろん華琳)を捕らえること』
と演習の勝利条件を先に自身の行った説明の内容に則った形にするよう併せて提案した。
これならば妖術無しでも何とか勝機はある。
という訳で俺は演習開始直後から一般兵を無視して本陣に突撃。
途中で待ち構えていた武将達は相手の士気低下に有効であるため、実力差を誇示するよう瞬殺。
そのまま華琳の所まで一気に突き進み、一騎打ちの末に彼女を捕縛。
どうにか勝利条件を達成する事が出来た。
もっとも、演習終了と同時にぶっ倒れてそのまま丸2日寝込む羽目になってしまったのだが。
ちなみにこの演習終了後に風が、
『さすがはお兄さん。天の御遣いの名は伊達ではありませんね~』
みたいな事を言ったらしく、おかげで今回もまた俺に『天の御遣い』という肩書きが加えられていたりする。
ともかくそんなこんなで俺と風と稟の3人は正式に華琳の傍で仕える事となった。
恋姫†無双 終わらぬループの果てに
第5話 20週目 その3
「おはようございます、お兄さん。今日も早起きですね~」
「おはよう、風。風こそ最近早いじゃないか」
華琳の下で仕え始めて10日が経った。
まだ人気もまばらな早朝、日課としている鍛錬の最中に風がやって来る。
「それにしてもお兄さん、鍛錬の時間が随分早くなりましたね~」
「日中は色々と忙しいからね。早起きでもして時間作らないと出来なくなるから」
鄄城にいた時は政務など殆どしなくて良かったため自由な時間も多かったが、
ここでは文官としての仕事を任されてしまう機会がかなり多い。
さらに仕事以外にも時間消費の要因が存在しており、結構多忙な日々を送っていた。
いや、どちらかと言えば後者の方が忙しい主な理由と言っていいかもしれない。
「北郷っ! 北郷っ! どこにいるのだ、北郷っ!!!」
「一刀ぉー! 今日こそ負けへんでー! うちと勝負やー!!!」
「………ああ、もう時間か」
遠くの方から聞こえてくる覇気の篭った声で、俺は本日の鍛錬がここまでだと悟った。
あの演習を勝利で飾って以来、俺は魏の武官達の一部に四六時中つきまとわれているのである。
言うまでもないが春蘭と霞だ。
春蘭はあの演習で自分を完膚なきまでに叩きのめした俺に対する対抗心ゆえに、
霞は純粋に自分よりも強い俺と戦って己を高めたいという武人のとしての心ゆえに、
こちらの都合などお構い無しに勝負を挑んでくる。
ところで以前この事を風に話した時、何故か深いため息をつかれてしまった。
しかしそれはそれで好都合みたいな事も言っていたので、風の考えがイマイチよく解らない。
「見つけたぞ北郷っ! 今日こそ貴様の首、貰い受ける!!!」
「こんな所におったんか、一刀! えらい探したでー。さぁ、勝負や!!!」
そうこうするうちに2人見つかってしまい、いつの間にか状況は戦闘開始直前。
しかし春蘭、さすがにその台詞は問題あると思うぞ?
ともかくこれは相手をしないとダメそうだ。
2対1でも負けはしないけど、正直シンドイんだよなぁ。
「春蘭ちゃんも霞ちゃんも少し待ってもらえますか~?」
そんなやれやれと覚悟を決めた俺を制し、風が2人の前に歩み出た。
「ん? 何や、風。あんたもおったんかいな。あれ、元ちゃんまで?」
「む? お前達いつの間に?」
「お2人共お兄さんとの試合を望んでいるようですが、残念ながらそれは無理なのです。
先程お兄さんが『今日は一番最初に魏の武将の中で最強の一人と戦う』と言ってましたので」
俺はそんな事言った憶えないのだが?
「最強の武将? ふん、ならば私が戦う事に何の問題もないではないか。勝負だ、北郷っ!!!」
「元ちゃん、それは聞き捨てならんなぁ。
確かに腕っ節だけやったら元ちゃんかも知れんけど、それだけで最強とは言わせへんで?」
「なんだとっ!? ならば北郷の前に張遼! まず貴様を倒してくれよう!!!」
「元ちゃんには悪いけど、一刀と戦うのはウチや。返り討ちにしたるでぇ!!!」
風の放った一言によって春蘭と霞の標的が変わる。
先程まで俺しか見えていなかった2人は、今度はお互いしか見えなくなったらしい。
「それではお2人共、頑張ってくださいね~」
「「勝負ッ!!!」」
風の激励?を合図に戦い始めてしまう春蘭と霞。
得物がぶつかり合う度に大気が震えているかのような凄まじい迫力である。
「ささ、お兄さん。今のうちにこの場を離れてしまいましょう」
「いや、しかし、このまま放置するのはマズイんじゃないか?」
「お2人なら大丈夫ですよ~。それよりも朝食を済ませてしまいましょう」
そんな感じで風に促されるまま、俺は激しい剣戟を繰り広げる2人を背に食堂へと向かったのだった。
日中の俺の仕事はもっぱら内政に関するデスクワークと兵士…というよりも武将相手の鍛錬。
そして時折だが自主的に行っている街の警邏である。
「おはようございます、一刀様!」
「………ん? あっ、おはよう、凪」
散歩感覚で適当に歩いていると、警邏をしていた凪と遭遇。
当たり前のことだが、今の魏に北郷隊は存在していない。
さらに華琳が俺を自分の親衛隊のような立場に据えてしまったため、
そもそも俺が自分の部隊を率いること自体なくなってしまった。
そんな訳で凪達からは『隊長』ではなく『一刀様』と呼ばれているのだが、
今までの習慣からかなかなか慣れない。
なお、警邏の仕事は凪、沙和、真桜3人の部隊が正式な任務として行っている。
「今日は沙和や真桜と一緒じゃないんだね?」
「はい。あの2人は西地区の担当になっていますので」
「なるほど。あ、もしよかったら俺も凪の警邏についていっていいかな?」
「えっ!? か、一刀様と御一緒に、ですか?!」
俺の何気ない提案に過剰反応する凪。
今までとは立場も関係も違うためか、俺に対する態度に壁があるように感じてしまう。
単純に凪達と接する機会が少ないからなのかもしれないが、やっぱり寂しい。
「あっ、嫌なら別にいいんだけど…」
「い、嫌などと! そのような事は断じて在りません!!!」
そう力強く言われると、かえって無理してるってのが解るんだけどな。
「なら、一緒に行かせてもらうよ。邪魔にならないようにしてるからさ」
「は、はい! 不束者ですが、その、よろしくお願いいたします!!」
この反応はなんかちょっと違う気がするけど……まぁ、いいか。
「そ、それでは早速警邏の続きを……あっ!?」
「どうした?」
いざ歩き出そうとしたところで何かを発見したらしく、凪が声を上げる。
何が起こったんだろうと凪の視線を追ってみると、
そこにはオープンカフェ式の茶屋で暢気にお茶している沙和と真桜の姿があった。
……あいつら、俺が隊長であろうとなかろうと関係無しだな。
「一刀様、申し訳ありませんが……」
「うん、いってらっしゃい」
さっきまでの動揺が一転、凄まじい怒気を発しながら2人に駆け寄っていく凪を見送る。
これは血の雨が降りそうだ。
「おやおや、お兄さんではないですか」
「ん?」
もうすぐあの2人の身に降りかかるであろう悲劇を想像して苦笑する俺の背後から聞き慣れた声。
振り向くと、そこには数冊の本を抱えた風が立っていた
「買い物かい?」
「はい。さすがに都は品揃えが豊富でいいですね~」
どうやら良い物が手に入ったようで、かなり機嫌がいいみたいだ。
「お兄さんはここで何をしているんですか?」
「いや、凪と一緒に警邏に行くつもりだったんだけど……ね」
再び視線を凪のほうへ向けてみると、
ちょうど彼女が気を込めた拳で沙和と真桜のいるテーブルを破壊したところだった。
仕事をサボってる2人が許せないのは解るけど物を壊したらダメだぞ、凪。
「凪ちゃんも沙和ちゃんも真桜ちゃんも相変わらずですねぇ~」
「うん。そうだな」
「ところでお兄さん? お兄さんは今の風に対して何か言うことがあるのではないですか?」
「うん?」
テーブルに続き何かが潰れたような音と沙和や真桜の悲鳴を聞きながら、俺は風を見る。
はて、朝ごはんを一緒に食べた時と同じ………あっ。
「髪形が普段と少し違うね。いつものもいいけど、それも似合ってて可愛いよ」
「えっ…………あ、ありがとう、ございます……お兄さん」
ポッと頬を染めて視線を逸らす風。
どうやらいつもと違うお洒落に気づいて欲しかったらしい。
「そ、それでは風は急ぎますので、これで失礼させてもらいますね!」
その後、風は顔を真っ赤にしたまま足早に去っていった。
凪も沙和と真桜を追いかけてどっか行っちゃったみたいだし、
どうせなら城まで本を運んであげればよかったかな?
「まさかあの鈍感なお兄さんがすぐに気付いてくれるなんて………うふふっ♪」
「風、そんな所で何をにやけているの?」
「なんでもないですよ、稟ちゃん。ただ、予想外に良い結果が得られて嬉しかっただけです♪」
「?」
警邏を終えた俺はデスクワークもそこそこに昼食を済ませ、活気溢れる演習場へと足を運んだ。
ここでの仕事は先にも挙げたとおり武術指南である。
と言っても降って湧いたように力を得た俺が武術の基本から懇切丁寧に説明したりは出来ないので、
実戦形式の打ち合いの中で気になった点を指摘していくという形を取っている。
その形式が問題なのか、俺が指導するのはもっぱら武将クラスの面々のみとなっていた。
「はあぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
「てやぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
今相手にしているのは親衛隊の中でも群を抜いた強さを誇る双璧、季衣と流琉。
おそらく単純な身体スペックでは魏でも3本の指に入るであろう彼女達だが、
いかんせんそれに頼りすぎているためまだまだ荒削りと言わざるを得ない。
それでも並の相手なら圧勝できるだろうが、各国の主力級武将が相手ではさすがに荷が重い。
そう考えてみると、普段は魏の愛すべき馬鹿な春蘭がいかに凄いのかが良くわかる。
この2人を凌ぐであろう身体スペックを持ちながら、武術の技量もトップクラス。
華琳への忠誠心の賜物なのかなんなのかは解らないが、とにかく凄い。
「おっと?!」
いかんいかん、余計な事に気を取られていた。
訓練用ではなく本来の得物で戦ってるから、一発貰えば確実に致命傷だ。
「さてと、そろそろ終わりにするか!!!」
それからさらに数分が経過し、2人の動きにだんだんとキレがなくなってきた。
この後まだ他の連中の相手も残ってるし、この辺が潮時だろう。
ここまで防御と回避に徹していた俺は攻勢に転じ、一気に2人との距離を詰める。
「えっ?!」
「わわっ?!」
いきなり突っ込んできた俺に驚いたのか、一瞬2人の動きが止まった。
その隙を逃すことなく俺は2人の背後に回り、両手をそれぞれの頭にぽふっと乗せる。
これで戦闘終了だった。
「うぅ~……兄ちゃん強すぎるよ~」
「季衣と2人がかりでも全然敵わない……はぁ」
戦闘終了後、武器を下ろした2人は何だか落ち込んだ様子だった。
確かにあの演習以降こうして何度も手合わせしているが、
2人は俺の勝つどころか一撃を入れることさえ出来ていない
自分の武に誇りを持つというような感覚は薄いようだが、さすがに悔しいのかな。
「でも2人とも、最初に比べて随分と強くなってるぞ? こんな短い時間なのに大したもんだよ」
安易な言葉は2人をさらに傷つけてしまうのではないかと思いもしたが、
やはり何か言わずにはいられない。
俺は2人の頭に乗せた手を動かし、ナデナデしながら褒める。
実際、既に完成されていると言ってもいい春蘭達の武に比べて彼女達はまだ未熟。
そのため俺との闘いを通じて格段の進歩を遂げているのだ。
この調子で成長していくのなら、春蘭達に追いつく日も近いだろう。
それまで俺がここにいられるという保障はないんだけどね。
「兄ちゃん……えへへっ!」
「兄様……ありがとうございます!」
どうやら季衣と流琉の機嫌も戻ったらしい。
しかしこんな風に頭を撫でられるのは恥ずかしいのか、顔が少し赤くなっている。
別に誰かに見られてるわけでもないのに、2人とも可愛いなぁ。
「………………」
「風? そんな所から一体何を覗き見ているの?」
「………………」
「ちょ、壁に指がめり込んでるわよ?! 貴女、いつの間にそんな握力を?!」
武将達相手の模擬戦を一通り終えた俺は早めに夕食を済ませ、中庭へとやって来ていた。
今日は珍しく仕事が全部終わっているので、あとは寝るまで自由時間。
せっかくなので今朝中途半端に終わってしまった鍛錬の続きをしてみようと思う。
「おや、お兄さん。こんなところで会うとは、奇遇ですね~」
この瞬間、俺は自分の自由時間が消滅した事を悟る。
昼間に会った時の上機嫌は何処に行ってしまったのか、不機嫌真っ只中の風が現れたのだ。
「………どうしたんだ、風」
わざわざ振り向かなくても、微妙な声色の違いだけで彼女がどんな精神状態なのか手に取るように解る。
しかし無視するとさらに悪化して洒落にならない事態になってしまうため、しぶしぶ応じるしかない。
なお、彼女の心情の変化を正確に把握するのは結構難しく、かなりの付き合いでないと判断できない。
今の時点でそれが出来るのは俺と稟、あと星くらいなものだろうか。
「実は先程急ぎの仕事が入ってしまったのですが、生憎風一人では間に合いそうにないのです。
そこで暇そうにしていたお兄さんにも手伝って貰おうと思いまして…」
文面だけなら単なるお願いのように聞こえなくもないが、実質俺に選択権などないのである。
「それでは、いつものようにお願いしますね~」
「………ああ」
そんな訳で風の部屋に連れてこられた俺は、彼女を膝の上に乗せながら抱っこしつつ彼女の頭を撫でていた。
………言っておくけど、別にふざけてるわけじゃないからな?
俺自身信じられない事だが、
この状態で仕事する風は通常の3倍のスピードと正確性でデスクワークをこなす事が出来るのだ。
そのためどうしても政務に手間取ってしまう時などはこうして手伝わされている。
「………くー……」
「寝るな!」
「……おおっ?」
しかし仕事が速い反面眠気も普段の3倍の頻度でやってくるらしく、油断していると速効で眠りこけてしまう。
これだと意味ないのではと正直なところ思わないでもないが、
風にはなにかと世話になっているしこのくらいはしてあげたいと思う。
ただ、手伝わされるときに決まって風の機嫌が悪かったりするのは何故だろうか。
「お兄さん、ちゃんと頭も撫でてくださいね~」
「ん、ああ、すまんすまん」
「解ればいいんですよ、解れば……うふふっ」
何だが風の機嫌も直ったみたいだし、このまま仕事が終わるまで待つか。
このまま風と一緒に俺まで寝てしまうというのが毎度のパターンなんだけど…ね。
「あぁ……か、一刀殿、そんな、仕事中に後ろからだなんて…………ぶはっ!!」
「ん? 今、なんか変な音がしなかったか?」
「気のせいですよ~。それより、もっと強くギュッて抱きしめておいてください」
「さ、更に強く?! ぶ、ぶはッ!!!」
あとがき
どうも、『ささっと』です。
今回は魏の日常編もとい風との日常編をお送りいたしました。
華琳様以下登場してない人もいますが、そこは次回ということでスルーしてください。
ていうか本来は華琳様との絡みがメインのはずだったのに、
前回の短編の影響で気付けば風が……
あと一応言っておきますと、このSSでの一刀君も結構鈍いです。
同時にこんなに早く彼女達から好意を向けられるはずがないと思い込んでおります。
決して天然を装っている腐れ外道ではありません。
ただ、風に関してはキチンと好意を自覚しております。
稟は………まぁ、いいか。
次回、20周目のループもいよいよ中盤の山場を迎えます。
劉備との会話、そして対決を前に一刀は……
コメント、および支援ありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。
PS:短編の注意書きの反論に心打たれました。風は俺の嫁。風は俺の嫁。(大事な事なので2回言いました)
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妖術を用い、袁紹軍を撤退へと追いやった一刀。
風と稟の想いを知り、心に巣食っていた蟠りも消え去った。
そしていよいよ彼女との出会いの瞬間を迎えた。