No.768509

九番目の熾天使・外伝 ~vsショッカー残党編~

竜神丸さん

Kを探せ/襲撃の洗脳ライダー

2015-04-02 23:55:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2587   閲覧ユーザー数:1112

風都タワー、正面入り口前…

 

 

 

 

 

「さて、ここまで来たのは良いが…」

 

あの後、三つの結界維持装置を破壊する為に三手に分かれる事となったライダー達。炭鉱には刃、ハルト、幸太郎の三人が。人造ファントム研究所にはディアーリーズ、ハルカ、始の三人が。そして風都タワーにはokaka、支配人、荘吉の三人が向かう事になった。この内、風都タワー組の三人は何とか風都タワーの正面入り口前まで到着していたのだが…

 

「…まるで、俺達が来る事を分かってるかのような布陣だな」

 

「チッ面倒な…」

 

隠れている三人が見据える先には風都タワーの正面入り口が存在し、そこではオルフェノクやワーム、ファンガイアやゾディアーツなどの怪人達が徘徊していた。その数の多さから見て、正面入り口からの侵入はあまり得策ではなさそうである。

 

「おやっさん、どうするよ?」

 

「正面からは無理だな。他の出入り口から侵入するぞ。場所なら知っている」

 

「おぉ、流石おやっさん」

 

正面突破は無理だと悟り、別の入り口から突入する事を決めた三人。彼等は移動を開始し、正面入り口から少しずつ遠ざかって行く。

 

「しかし、おやっさんも大変だな。一度に二つの仕事をこなす事になるなんて」

 

「やれる事をやってるだけだ……それに、俺も少し会ってみたいからな」

 

荘吉はそう言いながら、取り出した紙切れを眺める。その紙切れには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下手ながらも特徴はしっかり掴んでいる、ブレイドジョーカーの絵が描かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分前…

 

 

 

 

 

 

 

「青色の怪物さん…?」

 

少女―――サツキが告げた言葉に、一同は思わず困惑していた。サツキはこくりと頷く。

 

「おかしな事を言いますね。自分を襲った怪物にもう一度会おうだなんて―――」

 

「違います!」

 

刃の言葉をサツキが強く否定する。

 

「へ? 違うって…」

 

「…私、助けて貰ったんです。その青色の怪物さんに」

 

「「!?」」

 

サツキの発言にディアーリーズ、ハルトの二人が驚かされる。ハルカは薄々勘付いていたからか、二人ほど驚愕の表情は見せていない。

 

「私、ずっと別の怪物に追われてたんです……その怪物達は、私の事をゲートと呼んでいました」

 

「!! ファントムに…」

 

「それで、その怪物達に捕まりそうになって……その時に、私を助けてくれたのが…」

 

「青色の怪物さん、という訳か」

 

「…あれ、もしかして僕達…」

 

「…命の恩人を、追い払っちゃったって事か…?」

 

「そういう事になるわね」

 

よし、次会った時に謝ろう。

 

自分達がやった事を思い出して青ざめたディアーリーズとハルトが、まず最初にそう考えたのは言うまでもないだろう。

 

「青色の怪物さんか……幸太郎、もしかして…」

 

「いや、たぶんテディは違うな」

 

支配人が聞く前に、幸太郎はスパッと言い切る。

 

「テディは一度ターミナルに戻って、今頃オーナーや駅長達に報告をしてる最中だ。時間的に考えても、テディがサツキちゃんと出くわすような事はまずあり得ない」

 

「そうか……となると…」

 

「…サツキちゃん」

 

「? 何ですか…?」

 

今まで黙っていた始が口を開き、サツキに呼びかける。

 

「君が言う青色の怪物さん……覚えてる範囲で良い。何か絵に描いて、俺達に見せてくれないか?」

 

「あ、はい。分かりました」

 

サツキは荘吉から紙切れとペンを借りて、紙切れに怪物の絵を描き始める。少しして書き終えたのか、ペンを置いた彼女はその絵を一同に見せる。

 

それが、あのブレイドジョーカーの絵だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前達、実は色々知っているんじゃないのか?」

 

「「…!」」

 

風都タワーの裏口へと向かう中、荘吉はokakaと支配人に問いかける。

 

「この絵を見た時、お前達と相川始の三人が一番驚きの反応がデカかった。何も知らない奴は、そんな反応を見せたりはしない」

 

「…本当によく見てるよな、おやっさんって」

 

「相手の反応を見る事、それも探偵に必要な能力だ。でなきゃ相当苦労する事になる……あの時のようにな…」

 

「「?」」

 

「…いや、何でもない。気にするな」

 

最後辺りが小声だった為に、okakaと支配人は最後まで荘吉の台詞を聞き取れなかった。二人は荘吉の様子を疑問に思ったが、そんなタイミングで風都タワーの裏口に到着した。見たところ、裏口の前にはショッカー戦闘員が数人しかいないようだ。

 

「この絵の怪物の件は、ひとまず後回しだ。今は装置を破壊する事に集中する」

 

「今はそうしてくれるとありがたい……怪物の件も、どうせ後で始の口から説明してくれるだろうからさ」

 

「うし……行くか」

 

「「「!? イ、イィーッ!?」」」

 

物陰に隠れていた三人は、タイミングを見てすぐさま突撃。ショッカー戦闘員達がそれに気付くも、三人の格闘能力であっという間に叩き伏せられてしまった。

 

「人数が少ないのは助かったな」

 

「あぁ……行くぞ」

 

「「了解」」

 

荘吉が最初に突入し、その後ろからokakaと支配人も突入するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、風都から離れた森の中…

 

 

 

 

 

「うわ!? また蜘蛛の巣が…ペッペッ!」

 

「また瘴気がプンプン出てるわね……空があんな紫色なのも、何か関係あるのかしら…?」

 

「……」

 

ディアーリーズ、ハルカ、始の三人は、無人の研究施設にまで移動している最中だった。蜘蛛の巣が顔に付いてしまったディアーリーズは両手で蜘蛛の巣を払う中、ハルカはデバイスを使って周囲の地面から出ている瘴気のデータを探ろうとし、始は服が汚れる事も気にしないまま草木の中を歩き続けている。

 

「方角はこの先で間違いないんですよね?」

 

「えぇ、問題なく進んでる。後はこのまままっすぐ行けば、施設まで辿り着けるわ」

 

「なら早いところ行ってしまいましょうか…………って、始さん? お~い」

 

「…ん? あぁ、すまない。少し考え事をしていた」

 

最後尾を歩いていた始がいつの間にか立ち止まって考え事をしており、気付いたディアーリーズに呼びかけられた事で始もハッと気付き、すぐに二人の下まで歩み寄る。

 

「…やっぱり気になるみたいね、青色の怪物さん(・・・・・・・)の事が」

 

「……」

 

無言になる始を見て、ハルカは「やっぱりね」とでも言うかのような表情になる。

 

「私達も気になってはいるけど、今は装置を破壊するのが先よ。それにこの世界で活動してれば、いずれまた遭遇出来るんだから」

 

「…あぁ、そうだな」

 

そう言って、始はどんどん先へと進んで行く。それにハルカとディアーリーズが続こうとしたその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪――――――≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?」

 

ディアーリーズは何かに気付き、その場に立ち止まる。

 

「…あれは…」

 

ふとディアーリーズが見た先。その先には、何処か古ぼけた銀色の腕輪が落ちていた。それを見たディアーリーズは無意識の内に駆けより、それを手に取って拾い上げる。

 

「何だろう、これ…」

 

「ウル~、早くしないと置いてくわよ~」

 

「え、あ……す、すいません、すぐ行きます!」

 

ディアーリーズはその腕輪をしまい、慌ててハルカ逹の下まで走って行く。そんな彼の後ろ姿を…

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

ゴスロリ風の衣装を着た少女が、ジィッと見ていた事にも気付かないまま…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――で、これがその施設ですか?」

 

「ここもまた、嫌に陰気臭そうな施設ね」

 

その後、目的の研究施設にまで辿り着いた三人。ボロボロで人気の無い施設を前に、ディアーリーズとハルカは少なからず嫌そうな表情を見せるが、始はいつも通りの表情である。

 

「でも、この施設何処かで見た気がするわね……何だったかしら…?」

 

「装置があるなら壊せば良いだけだ。早く向かうぞ」

 

「あ、ちょっと…」

 

「始さん、本当に神経が図太いですよね」

 

入り口の扉を抉じ開け、三人はそのまま施設へと潜入。壁にはいくつものボックスが並んでいるものの特に何かがいるような気配は感じられず、警戒しながらも通路の奥へどんどん進んで行く三人だったが…

 

「!」

 

突然、始が下を見て立ち止まる。

 

「始さん?」

 

「…下だ。下に複数の気配を感じる」

 

「「!」」

 

始の見据える先には、地下1階まで続く階段が存在していた。三人は顔を見合わせて頷き、始、ハルカ、ディアーリーズの順に地下へと降りて行く。そして…

 

「…思った通りだな」

 

「「「「「グゥゥゥゥゥゥゥゥ…!!」」」」」

 

案の定、そこにはカーバンクルを始め、毒トカゲ男、シオマネキング、モグラロイド、ガルドミラージュ、バケネコ、マンドレイクレジェンドルガなどの怪人達が勢揃いしていた。そんな怪人達の前に、一人の怪人―――蜂女が悠然と姿を現す。

 

「待っていたぞライダー共!! 結界維持装置を破壊しに来たのであろうが、そうはいかん!! 貴様等はここで今すぐ始末してくれる!!」

 

「…ミラーモンスターや魔化魍、それにレジェンドルガや人造ファントムまで揃ってるなんてね。一体どうやって従えてるのやら…」

 

「何でも良い……倒す敵は倒す、それだけだ」

 

「始さんの言う通りですね。手早く仕留めましょう」

 

「…面倒だけど、仕方ないわね」

 

≪ドライバー・オン≫

 

≪ヒート!≫

 

ディアーリーズはドライバーを召喚してウォーロックリングを嵌め、ハルカはロストドライバーを装着してヒートメモリを取り出し、始はカテゴリー2のラウズカードを手に取って構える。

 

≪シャバドゥビタッチ・ヘンシーン…≫

 

「「「変身!!」」」

 

≪チェンジ・ナウ≫

 

≪ヒート!≫

 

≪CHANGE≫

 

ディアーリーズはドライバーのハンドオーサーにウォーロックリングを翳す事でウォーロックに、ハルカはロストドライバーのメモリスロットにヒートメモリを挿し込み倒す事でヒートに、始はカリスラウザーにカテゴリー2のラウズカードをスラッシュする事でカリスに変身。三大ライダーが怪人達と相対する。

 

「さぁ、断罪の時間だ…!!」

 

「思い上がって貰っては困るな……行け!!」

 

「「「「「グガァァァァァァァァァァァァッ!!」」」」」

 

蜂女の合図で怪人達が一斉に駆け出し、ウォーロック達もそれを迎え撃つ。殴りかかって来たカーバンクルをカリスが殴り倒し、カリスに飛びかかろうとしたバケネコをヒートが蹴り飛ばし、ウォーロックは蜂女のワスプフルーレによる攻撃を連続で回避する。

 

「なるほど、装置はちゃんとここにあったようですね…っと!!」

 

「ギシャッ!!」

 

蜂女の攻撃を掻い潜ったウォーロックが先の通路へ駆け出そうとするが、それに気付いたマンドレイクレジェンドルガが両手から植物を伸ばし、一瞬の内に通路を植物で塞いでしまう。しかし…

 

「!? ギシャァァァァァァァッ!?」

 

その植物も、ヒートが発した熱エネルギーで瞬時に燃やされる。その熱エネルギーはマンドレイクレジェンドルガにもダメージを与えた。

 

「ウル、装置の破壊は任せるわ!!」

 

「分かりました!!」

 

「おのれ、行かせんぞ―――」

 

≪BIO≫

 

「ぐぅっ!?」

 

ウォーロックが通路の先へ進んで行き、それを追おうとした蜂女はカリスが伸ばした蔓に捕まり足止めされる。

 

「貴様等の相手は俺達だ」

 

「チィ、ジョーカーめぇ…!!」

 

蜂女は舌打ちしてからワスプフルーレを構え直し、カリスも姿勢を低くしながらカリスアローを構える。その横ではバケネコを殴り飛ばしたヒートが、ガルドミラージュの投げたチャクラムを回避していた。

 

「ふぅん、コイツ等…」

 

ヒートは戦闘中も怪人達を観察し、ある事に気付く。ガルドミラージュやバケネコ、マンドレイクレジェンドルガやカーバンクルは時折瘴気のような物を全身から放っており、毒トカゲ男やシオマネキング、モグラロイドは特にそういった様子は無い。

 

(ミラーモンスターに魔化魍、それにレジェンドルガや人造ファントム……人の言う事を聞かなそうな奴は全て、洗脳して操っている訳ね)

 

「まぁ取り敢えず、私を退屈させないで頂戴ね」

 

カーバンクルを机の上に叩きつけてから肘打ちを炸裂させ、シオマネキングを蹴り飛ばすヒート。そんな彼女の仮面の下では、少なからず楽しそうな笑みが浮かび上がっているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グェッ!?」

 

「よし、これで邪魔者はいないっと」

 

地下1階最奥部の研究室前にて、コンバットロイドを薙ぎ倒していたウォーロック。これで彼の妨害をする怪人はいなくなり、ウォーロックは研究室の扉を開けて中へと入って行く。

 

「ここは…ッ!?」

 

ウォーロックの視界の先では…

 

「……」

 

ボロボロの服を身に纏った少女が、床に立ったまま鎖で拘束されていた。少女の両腕を拘束している鎖は左右の壁まで伸びており、その両足にも鎖が厳重に巻きつけられている。意識を失っているからか少女は下を俯いたままピクリとも動く様子が無く、長い黒髪で素顔が見えない。

 

「どうして女の子が…!」

 

拘束されている少女の後ろには、緑色の電流が流れている黒い装置が設置されていた。恐らくこれが結界維持装置なのだろう。これさえさっさと壊してしまえば問題は無いのだが…

 

「…まずはこの娘を下ろさないと」

 

少女が無惨な状態で拘束されているのを見て、かつての美空を思い出したウォーロックは変身を解除。やはり放置せずにはいられなかったのか、ディアーリーズは少女を拘束している鎖を外し始める。最初に両足に巻かれた鎖を外し、次に両腕の鎖を片方ずつ順番に外していく。

 

「よし、これで…」

 

両腕の鎖が外され、倒れ込んだ少女をディアーリーズが支えて床に寝かせる。その時、ディアーリーズはある事に気付いた。

 

「!? これ、僕のと同じ…」

 

少女の腹部のベルトには、ディアーリーズの物と全く同じ形状のハンドオーサーがあり、ディアーリーズは彼女も魔法使い型の仮面ライダーである事を理解する。

 

「そうか、だから捕まっていたのか……ん? これは…」

 

長い黒髪に隠れて見えなかったのか、ディアーリーズは少女の首元にリングのような物が付けられている事に初めて気付いた。ディアーリーズがそれに触れようとしたその時…

 

「貴様、そこで何をしている!?」

 

「!!」

 

ディアーリーズの前に、ケプリがグール達を引き連れて姿を現した。ディアーリーズは少女を守るべくケプリ逹と向き合う。

 

「貴様、その娘をどうするつもりだ!!」

 

「どうするか? 少なくとも、ファントムであるお前達に言う必要は無いよ」

 

ディアーリーズはケプリ逹を倒す為、ウォーロックリングを嵌めようとする。

 

だが…

 

 

 

 

-ガンッ!!-

 

 

 

 

「が…!?」

 

突然ディアーリーズは背中を何者かに蹴りつけられ、倒れてウォーロックリングを床に落としてしまった。起き上がったディアーリーズは即座に後ろを振り向いて驚愕する。

 

「!? まさか…」

 

「……」

 

≪ドライバー・オン≫

 

彼を蹴りつけたのは、先程まで拘束されていた少女だった。少女は無表情のまま何も喋らず、ドライバーを出現させてからメイジリングを左手の中指に嵌める。

 

≪シャバドゥビタッチ・ヘンシーン…≫

 

「変身…」

 

≪チェンジ・ナウ≫

 

その場でクルリと回転してからメイジリングをドライバーのハンドオーサーに翳し、両手を広げる少女。そんな彼女の全身をオレンジ色の魔法陣が斜め下から通過し、彼女を仮面ライダーメイジへと変身させた。その時、メイジの身体から一瞬だけ瘴気のような物が噴き出る。

 

「さぁ、終わりの時よ…」

 

「グッハッハッハッハッハッ!! さぁメイジよ、そのガキをぶち殺すのだぁ!!」

 

「ッ…変身!!」

 

≪チェンジ・ナウ≫

 

ケプリの指示を受けたメイジはディアーリーズに蹴りかかり、それを回避したディアーリーズはウォーロックリングを拾ってから再びウォーロックに変身。メイジが振り下ろして来た左腕の鉤爪―――スクラッチネイルを両腕で受け止める。

 

「お願いです、やめて下さい!!」

 

「ふ、はぁっ!!」

 

「がは!?」

 

メイジの回し蹴りを受けたウォーロックが、近くの分電盤に叩きつけられて床に落ちる。壊れた分電盤がバチバチ音を立てる中でもメイジは追撃をやめようとはせず、起き上がろうとしているウォーロックをひたすら右足で蹴りつけ続ける。

 

「ぐ……声が彼女に、届いていないのか…!!」

 

「はぁ!!」

 

「ぐぁあっ!?」

 

メイジのスクラッチネイルで吹き飛ばされ、ウォーロックはそのまま壁を突き破って他の部屋へと移動する。メイジは壁に出来た穴を通ってウォーロックに歩み寄り、ウォーロックの腹部を踏みつける。しかしウォーロックもやられてばかりではなく、踏みつけて来る彼女の右足を掴んでからリングをドライバーに翳す。

 

「く…!!」

 

≪チェイン・ナウ≫

 

「!? くぅ…!!」

 

周囲に出現した鎖がメイジを拘束し、その隙にウォーロックは起き上がって別のリングを翳す。

 

「すみません……けど、僕だってやられる訳にはいかないんだ!!」

 

≪ジャイアント・ナウ≫

 

「うぁっ!?」

 

ウォーロックの巨大化した右手がメイジを薙ぎ払い、今度はメイジが壁を突き破って別の部屋へと移動する。その部屋ではカリスとヒートが怪人達と戦闘中で、その二人もメイジの存在に気付く。

 

「別のライダーか…!?」

 

「!? まさか、あれはメイジ…!?」

 

「余所見をするな!!」

 

「ぐっ!?」

 

「きゃあっ!!」

 

二人が蜂女のワスプフルーレで攻撃される中、吹き飛ばされたメイジは立ち上がってリングを翳し、ウォーロックもリングを翳す。

 

≪≪コネクト・ナウ≫≫

 

「「はぁっ!!」」

 

メイジは召喚したウィザーソードガンから銃弾を放ち、ウォーロックは召喚したウォーロックソードで飛んで来る銃弾を全て叩き斬る。そのままウォーロックはメイジに斬りかかり、メイジはウォーロックソードをスクラッチネイルで受け止めてからウォーロックを蹴りつけ、ウォーロックがヒートの隣まで転がる。

 

「ウル、あのメイジは…」

 

「大丈夫です、彼女の事は僕に任せて下さい!!」

 

ウォーロックは再び駆け出し、飛んで来る銃弾をウォーロックソードで弾きながらメイジに接近する。そして目の前まで近付いたところでウォーロックはメイジに向かって蹴りを放ち、メイジもそれに応じるかのように蹴りで相殺する。

 

(彼女の心からは、悪意その物はまるで感じられなかった……だとすると、今の彼女を動かしているのは人工的に作り出された悪意……つまり洗脳!!)

 

≪スピアー・ナウ≫

 

「うぁ!?」

 

至近距離から放たれた氷の槍がメイジに命中し、彼女を吹き飛ばす。

 

(さっき彼女の首に付いていたリング……あれさえ壊せば、彼女を助けられるかも知れない…!!)

 

「く…!!」

 

「すみません、少し手荒になりますけど……必ず助けますから!!」

 

≪ルパッチマジック・タッチゴー…≫

 

首に付いたリングを外すには、メイジの変身を解除させなければならない。ウォーロックは手加減しつつも確実に変身解除に追い込む為に、必殺技を発動する構えに入るが…

 

「させんっ!!」

 

「ギシャシャ!!」

 

「!? な…うわっ!?」

 

「「シャアッ!!」」

 

マンドレイクレジェンドルガの植物がウォーロックの足に巻きつき、彼をその場に転倒させてしまう。そこへ更にガルドミラージュとバケネコが飛びかかり、倒れたウォーロックに追い打ちをかけ続ける。

 

「ウル!!」

 

「く、マズいな…!!」

 

「行かせんと言ってるだろう!!」

 

「グハハハハ、貴様等の相手はこのケプリ様逹だぁ!!」

 

「チィ!!」

 

「く、退きなさい!!」

 

カリスとヒートは蜂女とケプリに足止めされてしまい、その間にもウォーロックは毒トカゲ男やモグラロイドから一方的に攻撃される。しかもその隙に体勢を立て直したメイジがウィザーソードガンで狙撃し、ウォーロックに何発もの銃弾を浴びせ続ける。

 

「くそ、これじゃ反撃が出来ない…!!」

 

≪グラビティ・ナウ≫

 

「!? ぐ、ぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「「ウル!!」」

 

メイジがリングを翳した瞬間、ウォーロックは重力によって無理やり床に押さえつけられる。ウォーロックは力ずくで立ち上がろうとするも、そのたびに彼の全身の骨がミシミシと悲鳴を上げる。

 

「さぁ、消えなさい…!!」

 

≪ルパッチマジック・タッチゴー…≫

 

メイジはリングを嵌め変え、ドライバーに翳す。

 

「く……僕は、まだ…!!」

 

≪イエス・キックストライク! アンダースタンド?≫

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…はっ!!」

 

メイジの右足に魔力エネルギーが集中していく。ウォーロックが立ち上がれない中、メイジは彼にトドメを刺すべくその場から跳躍しようとした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ズドォンッ!!-

 

「ぁあっ!?」

 

「!?」

 

何処からか飛んで来た雷撃が、跳躍していたメイジに命中。撃墜されたメイジが床に落ち、同時にウォーロックも動けるようになる。

 

「今のは…」

 

ウォーロックが振り返ったその瞬間…

 

「ウェアァッ!!」

 

「きゃあ!?」

 

ウォーロックの真上をブレイドジョーカーが飛来し、オールオーバーでメイジに斬りかかった。そのたった一撃がかなり強力なのか、倒れたメイジは受けたダメージの所為で上手く立ち上がれず、その間にブレイドジョーカーはシオマネキングやカーバンクルを片っ端から斬りつけていく。

 

「な、何だ!?」

 

「馬鹿な!? ジョーカーがもう一人いるだと!!」

 

「!? あれって…」

 

「!!!」

 

ケプリや蜂女がブレイドジョーカーを見て驚き、ヒートもブレイドジョーカーの姿に気付く。そしてその場で誰よりも一番驚いていたのは、他でもないカリスだった。

 

「まさか……お前なのか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「剣崎…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、風都のとある路地裏…

 

 

 

 

「うぁ、あ……ぁ…」

 

一人の女性が、力なく地面に倒れ伏していた。そんな彼女のすぐ近くでは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~む…………これまた実に、エキサイティングゥ~…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薙刀を装備したファントムが、快楽に満ちた声を上げているのだった。

 


 
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