No.768089

艦隊 真・恋姫無双 45話目

いたさん

今回……話が続きます。

2015-03-31 21:48:09 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1522   閲覧ユーザー数:1312

【 洛陽へ! の件 】

 

〖 揚州 九江郡(淮南郡) 寿春 にて 〗

 

 

そんなこんなで──出立を開始しようとする袁術軍。

 

七乃が準備を行っただけあって、軍備に置いて抜かりは無い。

 

高価な軍装を着用し、それを身に付けた精鋭軍が、規則正しい動作で進軍を開始する。 一糸乱れぬ整然とした行進が、その練度の高さが推し量れた。 

 

また、汝南袁家の一族である袁術が、有り余る財で揃えた軍装。 晴れ渡った日の光が、軍装に反射され、更に鮮やかさが際立つ。 

 

これだけの事をしたのは、勿論……日々張り合う『袁紹』に見せ付ける為。 

 

『全ては、お嬢様の幸せを願うがゆえ!』である!!

 

そんな七乃の思いを込めた袁術軍が、長蛇の陣に編成して洛陽へと向かう!

 

★☆☆

 

美羽は、輿に乗って中央に位置し……前後に分厚い防護陣を敷いて、守りを固めている。 孫呉の配置は、前方付近に命じられ、蓮華たちが馬に乗り、周囲の警戒を図りて、敵勢力からの攻撃を警戒していた。

 

ーーー

 

冥琳「明命は、前方周辺に目を配れ! 思春と半刻(約一時間)事に交代! 思春は、部隊全体に目を配るように!」

 

思春、明命「「はっ!」」

 

ーーー

 

しかし、このような任務、蓮華は初めての為……冥琳が指揮を取り、将たちに持ち場を定めて、明確な指示を出す!

 

ーーー

 

冥琳「稟、風は……蓮華様や小蓮様に付いてくれ! 張勲からの命令や兵士たちからの具申、報告事があるかもしれん。 その事に対して、良き『あどばいす』を頼む!」

 

稟「『あとばいす』……とは?」

 

風「もぅ……稟ちゃん鈍いですねぇ~! 多分、アレは『天の国の言葉』ですよ~! 察するに『助言を頼む』と言う事ですね~? 了解ですぅー!」

 

冥琳「す、すまん! 前に北郷より教えて貰った『天の言葉』が、つい出てしまった。 ……北郷を知っている者が居ると……嬉しくてな。 コホン! せ、星! 後、お前に……護衛を任す!!」

 

星「うむっ! 承知した!」

 

冥琳「私たちの護衛と言っても……主に蓮華様と小蓮様、次に稟や風を守ってくれ! 私は、周辺の指揮もあるから、移動が激しい。 それに、少なからず我が身を守る術も持っている! 四人の身を守って欲しい!!」

 

星「…………冥琳、一つだけ言っておく。 主は、誰よりも身近な者の死を悲しむ御人だ。 記憶があろうと無かろうと……自分と関係がある将が、傷付き倒れたなどと知ったら……。 後は………分かるだろう?」

 

冥琳「……………そうだな。 私も北郷に逢えるのに、少し浮かれていたようだ。 思春、明命! 間がある時で良いから、私の護衛も頼みたい!」

 

明命「勿論! 最初から、そのつもりですッ!」

 

思春「…………お任せをッ!!」

 

蓮華「……………………」

 

小蓮「………?」

 

ーーー

 

孫呉も……また動き出す。

 

目指すは洛陽! 

 

目的は……『天の御遣い 北郷一刀』!!

 

 

◆◇◆

 

【 丁々発止 の件 】

 

〖 荊州 南陽郡 付近 にて 〗

 

 

行軍が始まり……数刻が過ぎる。 

 

兵は徒歩だが、将は馬。 

 

だけど……疲れは溜まるもので………

 

ーーー

 

風「……お日さまがポカポカで……気持ち良いですね~」

 

稟「行軍をするなら、絶好の日です───ハッ! 風、こんな所で寝るなんて止めて下さいッ!!?」

 

風「プゥ───! 風は寝てませんよーだ!」

 

稟「ご、ごめんなさい! こんな天気だと……風は何時も居眠りをしていたから……。 謝罪します!」

 

風「分かれば良いですー! 分かれば………グー!」

 

稟「だから────寝るなぁあああッ!!」

 

風「おぅーッ!」

 

ーーー

 

馬の上で器用に寝る風を、怒鳴って起こす稟の姿があった。

 

★☆☆

 

袁術軍は、行軍を休止する。

 

適度に休み、無理なく進む……これが通常の行軍である。 

 

だから、距離を見ながら、兵たちの疲労を考慮して進めて行く。

 

今回も、少しの間だけの自由な時間を得て、将兵は自由を満喫していた。

 

孫呉の軍勢も、長い間の行軍より解放されて、それぞれが休息を取り始める。

 

そんな……一人……大木の根元で膝を抱えて……蹲る(うずくまる)蓮華の姿があった。

 

ーーー

 

蓮華「はぁ~~~ッ! 私ったら……どうして……」

 

小蓮「どうしたの? お姉ちゃん?」

 

蓮華「あっ……シャオ!? な、何? どうしたの!?」

 

小蓮「お姉ちゃんに……聞きたい事があったんだけど……。 その前に、どうしたの? 溜息ついちゃて………?」

 

蓮華「…………冥琳にね? ちょっとだけ……ホンのちょっとだけ……嫉妬してたの。 私の知らない……一刀の事を知ってるみたいだったから……」

 

小蓮「……ふ~ん」

 

蓮華「だけど……冥琳は、自分の身を差し置いて……私たちの事を案じてくれた。 一刀に逢えるから浮かれているって……言いながらも、自分の仕事を

キチンとする冥琳に………申し訳ないな……って思って……」

 

小蓮「………お姉ちゃん。 稟たちを信用しているけど、大丈夫なの? 三人が……呉を乗っ取ろうって思わないの?」

 

蓮華「えっ!? な、何で──そんな質問『応えてぇ! シャオに取っては、大事な質問なんだからぁッ!』───わ、わかったわよ。 ものすごーく簡単な事だけど……いい?」

 

小蓮「うんうんッ! 早く早くぅ!!」

 

蓮華「───同じ異性を───愛した者同士だから───」

 

小蓮「はぁ──ッ!? そんな事でぇ!?!?」

 

蓮華「この考えは、冥琳たちと相談した上よ。 星、稟と風……三人とも仕える国は違うけど……愛した異性は同じ。 その異性が……天の御遣い『北郷一刀』だったのよ! シャオも───そうなんでしょう?」

 

シャオ「────うんッ! 大好きだよ! もっちろん~今もぉッ!!」 

 

蓮華「なら……分かる筈よ。 一刀が何をすれば……悲しむ事か? 何をされれば喜んでくれるか? どう……シャオ?」

 

シャオ「…………何となくは……」

 

蓮華「一刀はね、私たちが争うのを嫌うの。 命を落とす事を恐れるのよ。 だから……仲良くして、一刀から選んで貰える事を……考えているの!」

 

シャオ「そんな事、優柔不断の一刀に出来るワケ無いじゃないッ!」

 

蓮華「………それは、一刀へ私たちが贈る罰。 あの時より更に美しくなって、選ぶときに散々悩んで貰う為の優しき謀。 私を、私たちをヤキモキさせた意趣返し! それくらいしても、罰は当たらないと思うんだけど……?」

 

小蓮「お姉ちゃん……自信過剰ぅ……。 慢心は危ないんだよ~?」

 

蓮華「だ、だって……私の魅力的な部分は……下半身……のみだなんて……嫌ッ! ちゃんと私自身を愛して貰いたいの! 孫呉の王族じゃなくて、『蓮華』個人として……!」

 

シャオ「ふぅ~ん。 ………じゃぁあ、シャオも参加するッ!」 

 

蓮華「──────!?」

 

小蓮「当然~シャオの魅力も加わった方が、孫呉にとっては有利だしぃ~! そ・れ・に・お姉ちゃんとしては、選ばれなくても、孫呉領内に居て貰った方が、いろいろと嬉しいでしょう!?」

 

蓮華「な、何よ! シャオを選ぶか決まったワケじゃないのよ!? も、もしかしたら、私……かも知れないし……//////」

 

小蓮「プゥ───! シャオの魅力が分からない一刀じゃないもんッ!」

 

蓮華、小蓮「「 グギギギギギィィィ───ッ!! 」」

 

───────ザッ!

 

パンッ! パンッ!

 

蓮華、小蓮「「 ハ───ッ!? 」」

 

二人の後ろから、手を叩く音が聞こえた!!

 

冥琳「御二人共──休止は終わりましたよ!? 直ぐに持ち場へ付いて下さいッ!!」

 

蓮華「ご、ごめんなさい! 冥琳ッ!!」

 

小蓮「わぁーッ! 今、行くからぁ許してぇえええッ!!」

 

バダバタ──バタバタッ──ッ!

 

……………………

 

冥琳「………僭越ながら……私も……参加させて貰いますからね! ────蓮華様! 小蓮様!」

 

 

◆◇◆

 

【 今回の艦娘たち の件 】

 

〖 河南尹 新城 付近 にて 〗

 

 

幾日か過ぎる。

 

地平線が見える大地を、袁術たちが一万余りの兵を率いて、通過して行く。 

 

見渡す場所は平地が多く、山と言っても丘に近い低い物が、幾つか見られる程。 行軍に不安な地形は無く、平坦な道が続いている。

 

しかし、主要な街道を利用して進むとはいえ、大陸の荒廃は惨く……何かしらの行軍を苦しめる因子が加わるのは常。 

 

水が合わない、体調不良、外敵からの襲撃etc.……。 

 

それが、ここまでの行軍中、大きな問題も無く……無事に来れたのは、袁家の幸運と携わる者たちの力ゆえだろう。 

 

また、休止中や宿営の折りには………若き娘たちが、それぞれの思いを抱きながらも、今を───謳歌する! 

 

星が戯れ、蓮華と小蓮が対抗し合い、風がほくそ笑み、稟がツッコむ! 

 

明命が真面目に対応し、思春が呆れ、冥琳が溜息を漏らす。

 

そんな様子を───美羽が懐かしそうに眺め、七乃が真剣な顔で……美羽の様子を見守っている。 

 

そんな日々が……ゆっくりと続いた。

 

そして、そのまま───洛陽へ無事に辿り着くかと思えば……………

 

─────異変が起きた!

 

正確に言えば……行軍を遮る者たちが、現れたのだ!!

 

ーーーーー

 

美羽「………………」ボー

 

七乃「……お嬢さま! お嬢様ぁ!!」

 

美羽「……………………」ボー

 

七乃「お嬢様ぁ……! これ程叫んでも無視するなんてぇ……どうしたんでしょう? あっ! ま、まさか………お嬢様が、私を放置して快感を与える高度な技を!? あぁ~! そんな美羽様に~心底痺れるぅ憧れるぅ~ッ!!」

 

美羽「七乃……。 七乃は………」

 

七乃「はい? あっ、はいはいっ! 呼びましたか、お嬢さ──ッ!?」

 

袁兵「ほ、報告致しますッ!! 我が軍の前に、行く手を塞ぐ数名───!?」

 

『─────はっ!?』

 

袁兵「そ、その者たちは────!!」

 

 

★☆☆

 

 

袁術軍の行軍を遮る者たちは……背の高い白き円卓を囲み、優雅に『お茶会』を繰り広げている。

 

ーーー

 

朱里「う~ん、どうすれば……?」

 

金剛「HEY、朱里ーぃ! 考えてばかりいてもぉ~疲れるばかりデース! 私達とTea Timeしながら考えまショウ!」

 

霧島「そうですよ。 敵の居場所は分かっているんです。 慌てず騒がず、機会を見計らって事を起こせば、必ず成功しますよ!」

 

朱里「ですが……」

 

金剛「朱里ぃ~! 私の居た世界ではぁ、『keep cool  keep cool Take a break  take a break』と有名な言葉がありますネ!」

 

朱里「────はわぁ? な、何ですかッ! その言葉の意味はッッ!?」

 

榛名「す、すいませんッ! 姉は『あわてない、あわてない。 一休み、一休み』と申しているんですッ!!」

 

比叡「さすがぁ金剛お姉さま! 美人で戦にも強いのに───そのうえ博識だなんてッ! もう───ぅ! 最高でぇーすッ!!」

 

朱里「そう……ですね。 此処で焦っていても、仕方ありません。 金剛さん……宜しければ、その………紅茶……ですか? わ、私にも………」

 

金剛「OK! 朱里の分を今、準備しま……!?」ピタァ!

 

榛名「金剛姉さま? どうしたんです……きゃぁあああッ!!」

 

霧島「どうしたの? 深海棲艦でも出た────クッ!?」

 

比叡「ど、どうしたのぉ? …………ホッ! なんだぁ~何も無いじゃないッ! もぅ……皆で驚かそうとしたって、そうは行きませんよぉ──ッ!」

 

金剛「Wow!? ひ、比叡ーッ! 手に持っているモノは、いったい何なのデスカァ──ッ!?!?」

 

比叡「これですかぁ? 皆で食べようと思って、焼いて置いた『クッキー』ですよぉー!! さぁー、遠慮せずに食べて下さいねぇ!!」

 

朱里「く、黒色の食べ物!? 変な異臭がぁ───!! うぐッ!? あ、愛紗さんの料理が、何で此処に───ッ!?!?」

 

金剛「I am sorry! 私、用があり──ガチッ!『金剛お姉さま? 用ってドコに何をしに行くつもりですかぁ?』───あっ! あぁあっっ! 提督ぅ───ッ!!」

 

榛名「一刀提督……ごめんなさい! 榛名は……此処で……!!」

 

霧島「ふぅー。 この世で最後に味わう紅茶……本当に美味しいわね………」

 

ーーー

 

一休みするつもりが………下手をすると、永遠の休みを取るかも知れない……朱里たちが居た。

 

 

★★☆

 

 

『────────!?』

 

その様子を見て訝る(いぶかる)者が多数を占める。 

 

しかし……数人が、その中で『知己』や『仲間』を見付けて……驚いた!!

 

蓮華達(『朱里───ッ!?』)

 

思春「あれは……成都に居たアイツの配下か? 確か……金剛……」

 

袁術より命が下される前に、蓮華達が動く!

 

ーーー

 

蓮華「袁術軍の行進を塞ぐ不届き者は、私たちが排除して参ります! どうか、暫しお待ちを!!」

 

七乃「それはそれは、殊勝な心がけですねぇ~! 美羽様、ここは孫権さん達にお任せ致しましょう!」

 

美羽「……………」

 

七乃「功があれば~お嬢様の物にしちゃいましてぇ、もし何かあれば、孫権さん達の罪にしちゃえばいいんですよぉ! 折角、孫権さんがやる気になってくれているのに、水を差すのも悪いじゃないですかぁ~?」

 

美羽「………七乃に任す……」

 

七乃「は~い! わっかりました! では、孫権さん! 許可致しますので、接触して下さい! 判断が付かないときは、此方に言ってくださいねぇ!」

 

蓮華「────はっ!」

 

ーーー

 

蓮華たちは、軍備を確認し集合! 相談の後、朱里たちの傍へ駆け寄った!

 

表向きは……進軍を阻む『謎の集団』の排除。

 

裏では──『天の御遣い』に関する者たちに、早くも出会える事への期待が高まっていた!

 

 

◆◇◆

 

【 一期一会 の件 】

 

〖 河南尹 新城 付近 にて 〗

 

 

思春「蓮華様! 私が先に接触して説明して参ります! 他の者たちと兵を纏めて……御出で下さい!」

 

蓮華「わかったわ! 気を付けてね……思春!」

 

思春「御意! ───明命、一緒に付いて来い! 接触して何も無ければ……蓮華様をお連れするように! 私は、朱里たちに危険が無い事を説明しなければならん! 双方に争い起これば、話し合いでは到底済まないからな!」

 

明命「はいっ! ────お供しますッ!!」

 

ーーー

 

星「─────!!」グッ!

 

風「どうしたんですか~星ちゃん? だから、メンマを食べ過ぎちゃダメって、風が何度も止めたんですよ~?」

 

星「──フッ! 馬鹿な……メンマは私にとって『万能の回春薬』だ! 幾ら食べても健康になるだけ! 病に取り憑かれる事など───無いッ!!」

 

稟「どう考えても……塩分の取り過ぎなんですが。 ところで、星……どうしました? 朱里殿と一緒に居る、あの娘たちを睨みつけていますが?」

 

星「………感じない……か?」

 

風「風も……違和感を感じますね~」

 

星「───ほぅ? 風が気付くとは驚いた! この違和感を!?」

 

稟「……………? 私に、二人の言う違和感が、分からないのですが?」

 

星「………朱里の傍に居る四人……かなりの実力者と見た。 周囲の空気がピリピリしている。 無闇に近付くと、タダで済むとは思えん……!」

 

稟「……あの者たちより……半里(約200㍍)も離れているのに?」

 

星「────強い殺気が流れてくる! 冷や汗が……止まらないのだッ!」

 

稟「それでは──風もッ!? 貴女も……殺気を感じて──ッ!?」

 

風「……………何がですかー?」

 

稟「あ、貴女の云う違和感ですよッ!!」

 

風「あぁ~! 風の違和感ですね~? じゃあ、説明する前にぃ、よぉく見て下さいー! あの四人の女性を~! 気が付いた事がありますよねー?」

 

稟「………………? 衣装が一緒? 姿が似ているから姉妹ですかね?」

 

風「稟ちゃんー? まだまだ甘いですねぇー!? 全然違いますよぉ~!」

 

稟「えぇ~!? じゃ、じゃあ……何だと!?」

 

風「良いですかぁ? 朱里ちゃんはガチガチの『貧乳党』党員ですよー?」 

 

稟「………そう言えば……そうでしたね………」

 

風「むぅー! 風より『ある』からって、何という余裕の態度ぉ! 風は非常に激おこですぅー! プンプンッ!!」

 

稟「………はいはい。 で、言いたい事が……予想できましたが……一応聞いておきましょうか?」

 

風「良いですかぁー! 朱里ちゃんが、あの巨乳人たちに囲まれて、平気で居るなんてー! 風には、とても信じられないのですよー!!」

 

稟「やっぱりぃ……………」

 

★☆☆

 

比叡は、にこやかに笑いながら、クッキーを大皿に入れて……差し出した。

 

比叡「さぁ~! 召し上がれぇ!!!」

 

『──────────!!』ブルブルブルブルッ!

 

4人が一カ所に固まり……震えていた。

 

黒焦げて形が歪になった『お菓子』が、皿に積まれて食べられるのを待っている。 どうやら、動物の顔を象ったクッキーらしいのだが……幾ら見ても、邪悪なモノが……薄笑いを浮かべた表情を象ったモノにしか思えない。

 

『食えるのか?』 『味見はしてある?』

 

『まさか……最後のTea Time………?』 

 

走馬灯の如く……疑問点が頭の中を廻る。

 

戦で命を散らすのなら、名誉の戦死! 

 

それが、食中毒で命を失ったとあれば……後世で何を言われるか分からない。

 

『天の御遣い、食い意地を張り過ぎて轟沈す!』

 

………なんてぇ……笑い話にもなりゃしない。

 

 

 

─────────スッ!

 

思春「………お楽しみ中のところを……失礼する!」

 

『───────!?』

 

突然の救世主の登場により、四人は歓喜に満ちた!!

 

ーーー

 

思春「また、会えたな……朱り『し、思春さぁあああんッ!!』───!?」

 

金剛「Yeah!! 比叡、残念ですが……Tea Timeは『お開き』ですネ!?」

 

比叡「金剛お姉様……最初に喜びの言葉を発せられたような……」

 

金剛「何を言うのデ~ス!? 急なAccidentに見舞われ、思わず声が出てしまっただけネ!! 関係ない、まっったく関係ないヨー!!」

 

榛名「霧島……私たちは……無事生還を果たしたのですね!」

 

霧島「当面の危機は去ったわ。 だけど、次の時には、事前に妨害工作をしなければ……」

 

榛名「そうね。 このままだと……提督の身の上まで!!」

 

ーーー

 

朱里は、思春に思わず抱きつき、思春は面食らいつつも……受け止めるッ!

 

金剛は、比叡からの追求を巧みに躱し、榛名と霧島は……喜びと同時に対策を講じようと強く頷く。

 

ーーー

 

思春「お、おいっ! 何が何だか分からんが……話をしたい! 我が主、孫仲謀様との席を用意してくれないか!?」

 

朱里「はわわわッ! わ、分かりました! 此方何時でも良いですよ!」

 

比叡「じゃあ、私のクッキーを───」

 

霧島「せっかくのクッキーですが、今回は仕舞って下さい! ほらっ! 人数が、あんなにも多いですから……! 幾らなんでも、皆さんに分けれなくては、争いの種になりますよ!!」

 

比叡「うぅっ! な、何、あの人数!? 流石に多過ぎるよぉ~! 分けて上げたいけど……数が足りないしぃ……。 残念だなぁ………」

 

榛名「(ナイスですッ! 霧島!)」

 

霧島「(当然の結果ですよ……)」

 

金剛「Good Timing! 歓迎しまーすネ!!」

 

ーーー

 

思春は、朱里に抱き付かれ、顔を真っ赤にしながら、明命の居る方角に顔を向けた! 声こそ出さぬが、唇の動きで知らせたのだ!

 

『……ダイジョウダ。 コチラニ ゴアンナイ シテクレ!』

 

明命「はわ………は、はいっ!」ダッ!

 

明命は、思春の口の動きで、内容を確認、蓮華の下へ向かう。

 

──────ザッザッザッ!

 

明命(……思春殿……変わられました! 昔は、無表情で口数も少なかったのに……。 今では───)

 

数日前に、自分を慰めるために見せた……雛里の物真似。

 

あの時、呉に降りたった『天の御遣い』の力が無ければ……到底見る事などできなかったであろう!

 

明命「一刀殿……! 早く………逢いたい! また、前のように───ッ!!」

 

そう呟きながら、明命は──蓮華たちへ知らせに向かった!

 

 

ーーーーーーーーーー

 

恋姫と艦娘。 

 

違う世界の者たちが、北郷一刀を通じて……接触する事になった。

 

時代は、漢王朝末期……黄巾党が出没する……少し前の話である。

 

 

ーーーーー

ーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

十常侍を捕らえるだけの話が……こんなに伸びてしまうとは……。 おかしいなと思いつつも、まったく反省していない作者です。

 

申し訳ないですが、呉の方が後、一、二話続きます。

 

その後に蜀と言う事で。

 

こんな話ですが、楽しんでいただければ幸いです。

 

 


 
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