No.767235 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2015-03-27 17:36:56 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:2011 閲覧ユーザー数:1765 |
~エルベ離宮・紋章の間~
「…………………………ハア。まさか”C”と”蒼の深淵”の”減刑”の為にこれ程の計画を練った上、この場にいる全員を味方につけるとはな…………まあ、将来のクロイツェン州の統括領主が予想外の成長を果たしたと思えばいいか。――――リフィア、お前もいいな?」
周囲の人物達が自分達に注目している中リウイは大きな溜息を吐いた後リフィアに視線を向け
「余とて退き際というものは心得ておる。――――リィン・シュバルツァー。お主の希望通り二人の”減刑”を認め、”処刑”を取り下げる。この会議が終わり次第余達の権限で二人の”処刑”の判決を取り下げておく上父シルヴァンに余やもリウイ達が取りなしておくから安心しろ。」
リフィアは静かな表情で答えた後全身に覇気を纏ってリィンを見つめて言った。
「あ……ありがとうございます……!」
「ただし、わかっているとは思うが奴等の罪は重い。特に先程”C”を学院に連れ戻すような事を言っていたが、内戦を引き起こした元凶の一人が平穏な学院生活に戻れる事に内戦に巻き込まれたエレボニアの民達が許すと思っているのか?」
「それは………………」
クロウ達の助命ができた事に喜んだリィンだったがリウイからある事を指摘されると暗い表情で答えを濁した。
「………………オリヴァルト皇子並びにアルフィン皇女。条件次第では”帝国解放戦線”のリーダーである”C”並びに幹部”S”の身柄を状況が落ち着いた後エレボニアに引き渡しても構わん。”帝国解放戦線”による被害が一番大きいのはエレボニアだからな。エレボニアとしても奴等にエレボニアで罪を償って欲しいのが本音なのだろう?」
「え………」
「……どのような条件でしょうか。」
リウイの口から出た予想外の提案にアルフィンは呆け、オリヴァルト皇子は真剣な表情で尋ねた。
「”C”―――いや、クロウ・アームブラストを今年度のトールズ士官学院の卒業式に出席させる事。またエレボニアに引き渡した二人に科す処罰で”処刑”並びに直接身体に危害を加える判決は絶対に出さない事。―――それだけで構わん。」
「あ…………」
「あなた………」
「本当にそのような容易な条件でよろしいのでしょうか?」
リウイの答えを聞いたリィンは呆け、イリーナは微笑み、クレア大尉は驚きの表情で尋ねた。
「ああ。―――それで返答は否か是、どちらだ?」
「勿論”是”ですわ!」
「リウイ陛下の寛大なお心遣いに心から感謝致します。」
リウイに答えを促されたアルフィンは微笑みながら力強く答え、オリヴァルト皇子は静かな笑みを浮かべて会釈をし
「……礼は不要だ。俺はトールズ士官学院の”常任理事”としての義理を果たしたまでだ。それと”蒼の深淵”は監視は付けるがある程度の自由を許し、自身の罪を償う機会を与える。―――それでいいな?」
リウイは静かな表情で答えた後リィンに問いかけ
「はい……!―――ありがとうございます……!」
リィンは明るい表情で頷いた後頭を下げた。
「フフ…………――――リィンさん。テロリストのリーダーや国際犯罪組織の最高幹部であるお二人の”減刑嘆願”、見事でした。リィンさんの慈悲深さを評して、私もゼムリア大陸に崇められ続けて来た”空の女神”としての慈悲を見せて差し上げましょう。」
「え………」
「エイドス様?」
エイドスの口から出た予想外の言葉にリィンは呆け、セルナート総長は不思議そうな表情をした。
「以前ユミルで私が口にしたこの会議に出席する条件の一つ――――”ハーメルの悲劇”を公表した際に”空の女神”である私がリベールをフォローする発言をしても、エレボニアはフォローしない事を受け入れる事を条件の一つとしましたが……気が変わりました。エレボニアが望むのならばエレボニアをフォローする発言をしても構いませんよ。」
「ええっ!?」
「それは真でしょうか?」
エイドスの言葉を聞いたアルフィンは驚き、オリヴァルト皇子は信じられない表情で尋ねた。
「女神に二言はありませんよ♪」
「クク……」
(そんな諺はありませんわよ……)
(お願いしますからこの場では”本性”を隠してください……)
笑顔で答えたエイドスにその場にいる多くの者達が冷や汗をかいている中、セルナート総長は笑いを噛み殺し、フェミリンスとヨシュアは疲れた表情で心の中で指摘した。
「あ、あの……エイドス様。先程”ハーメルの悲劇”を公表した際にリベールをフォローするような発言をエイドス様がすると仰いましたが……」
その時我に返ったクローディア姫が戸惑いの表情でエイドスを見つめて尋ねた。
「フフ、その件については後で私にその依頼をしたリウイ陛下達に確認してください。」
「ええっ!?」
「――――リウイ陛下。この会議が終わり次第誠に申し訳ありませんが先程エイドス様が仰っていた件についての詳細な説明をメンフィル帝国にして頂きたい為、説明の時間を頂いても構わないでしょうか?」
エイドスの答えにクローディア姫が驚いている中、アリシア女王は真剣な表情でリウイを見つめて尋ね
「……ああ、別に構わん。」
リウイは疲れた表情で答えた。
「それで話を戻しますけどエレボニアは私のフォローが必要でしょうか?」
「はい、是非お願いしますわ!」
「御身の慈悲に心から感謝致します。」
(フフ、”空の女神”の意志を変えさせるなんてリィンさんは本当に凄い方ですね……)
エイドスの問いかけにアルフィンとオリヴァルト皇子がそれぞれ明るい表情で答えている中、クレア大尉は静かな笑みを浮かべてリィンを見つめていた。
~待機室~
「あ…………」
「お兄様、お二人の”減刑”に成功しただけでなくクロウさんをトワ先輩達と共に卒業させる事に成功しましたわ……!」
「うむ………!」
「カレイジャスに戻ったら会長達に真っ先に知らせないとね。」
「フフ、しかも”空の女神”の意志も変えさせるなんて、リィンには驚かされっぱなしね」
待機室で会議の様子を見守っていたアリサは呆け、明るい表情をしているセレーネの言葉にラウラは力強く頷き、フィーとサラ教官は静かな笑みを浮かべた。
「やったぁぁぁぁっ!」
「ぐすっ……姉さんを救ってくれて本当にありがとうございます、リィンさん…………」
「後はヴィータも今回の件を切っ掛けに心を入れ替えれば言う事無しなんだけどね。」
エリオットは嬉しそうな表情で声をあげ、エマは涙を流してリィンに感謝し、セリーヌは苦笑しながら呟き
「な、何だかここまで都合よく事が運ぶと後で何かとんでもない事が起こりそうでちょっと怖いよな………?」
「ちょっとマキアス~。それって”フラグ”になるから言わないでよ~!」
「フン、もしそのような事が起こっても今までのように乗り越えるだけだ。」
「ああ……普通なら不可能と思える事をやり遂げたオレ達なら絶対に乗り越えられる……!」
マキアスの言葉にミリアムが疲れた表情で指摘した後に静かな笑みを浮かべて答えたユーシスの言葉にガイウスは力強く頷いた。
「………そ………んな…………う……て……この世界に………ラウ……波が……」
「ゲルドさん?顔色が悪いようですけど、どこか具合が悪いのですか?」
その場にいる全員が喜んでいる中表情を青褪めさせているゲルドに気付いたエリスは心配そうな表情でゲルドを見つめて問いかけ
「……………みんな、喜んでいる所悪いけど”本当の戦い”はまだ残っているわ。」
ゲルドは決意の表情で答えた。
「へ……ほ、”本当の戦い”ってどういう事よ??」
「…………ゼムリアとディル=リフィーナを守る決戦。―――それが私達の”本当の戦い”よ。そしてその戦いを引き起こす元凶――――”リィンの本当の父親”があの場にもうすぐ出てくるわ。」
アリサの疑問に対し、ゲルドは重々しい口調で語った後厳しい表情で端末を見つめた。
「え……………」
「ゼ、ゼムリアと異世界を守る決戦って……!」
ゲルドの言葉にエリスは呆け、エリオットは驚き
「そ、それよりお兄様の本当の父親がその戦いを引き起こすってゲルドさん、仰いましたよね!?」
「リィンの本当の父親という事は……!」
「まさか……”あの男”が生きていたというのか!?奴の遺体も確認されているのだぞ!?」
「そ、それにどうしてあの人がそんな事をするんだ!?」
「アハハ~、元々ラスボスみたいな風格を出していたけど本当にラスボスになったんだ~。」
「一体何がどうなっているのよ……!」
かつてない戦いを引き起こそうとする元凶の正体を察したセレーネやラウラは血相を変え、ユーシスとマキアスは信じられない表情で声をあげ、ミリアムは口元に笑みを浮かべながらも表情を真剣にし、サラ教官は厳しい表情で声を上げた。
!この気配は……!―――エステル、ヨシュア、ミント!構えなさい!―――凄まじい”負”の霊圧を持つ”亡霊”が来ますわよ!
へっ!?
一体どこから来るんだ……!?
見て!あそこから”何か”が現れるよ!
ふふっ、会議がめでたく収まったようで何よりだが、まだ”遊戯”は終わっていませんぞ?
するとその時フェミリンスの警告を聞いたエステル達が周囲を警戒している中ありえない人物の声が端末から聞こえた後端末の画面にはデスクの囲いの中心地に突如現れたオズボーン宰相が映った!
トワ達の約束も守れ、エイドスの心変わりによってハーメルの件によって起こるであろう混乱も抑えられるとまさにリィン達にとっては最高の結果になった瞬間、今まで姿すら現さなかったまさかのラスボス登場ですww閃Ⅱの間は空気だったオズボーンがラスボス……違和感が無いどころか、むしろピッタリな気がします(中の人も実際ラスボスキャラを務めていたはずですしw)
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第600話