No.764982

【サイバ】朝チュン【交流】

さいばに片足突っ込みかけですが卑猥が一切ない。
ドラゴ郎君 http://www.tinami.com/view/740498



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2015-03-17 00:41:35 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:975   閲覧ユーザー数:915

  チュン、チュン、チチチ……。

 雀のさえずりが聞こえる。

 AM6:00。

 |龍野 吾郎《たつの ごろう》、通称ドラゴ郎は、ひどい頭痛で目を覚ました。

 マシーナリーの中でも、高度なAIを備えている者は、そのAIを休ませる必要があり、ヒューマンやセリアンスロゥピィなどと同じように睡眠をとる者も多い。彼もその一人である。

「(これ、完全に二日酔いだよな……。やらかしたよ……)」

 強烈な不快感をこらえながら、ドラゴ郎は寝返りを打った。

  ふにっ。

 彼の体表のセンサー素子に伝わる柔らかい感触。そこには、ありえないはずの物体が存在していた。少女の肉体である。

「!?」

「すぅ……すぅ……」

 タヌキ型セリアンスロゥピィの少女は、気持ちよさそうに寝息を立てている。薄手のTシャツ1枚に包まれただけの豊満な胸が、呼吸とともにゆっくりと上下している。

 その光景を見た瞬間、ドラゴ郎のAIはすさまじい速度で思考を始めた。走馬灯のGIレースだ。

「(な、何が起こってるんだ!? 思い出せ、思い出すんだドラゴ郎! 昨日の夜は、確か間違ってコーラを飲んじゃって……)」

 どんな悪人にも果敢に立ち向かっていく、天空市の小さなヒーローにも些細な弱点があった。彼は、コーラを飲むと、酔っ払ってしまうのである。

 確かに、部屋にはコーラの1.5L空きペットボトルが転がっている。勢いで飲み干してしまったのだろう。それだけの量を一気に飲めば、二日酔いしない方がおかしい。

「僕、酔った勢いで女の子を連れ込んじゃったのか!? なんてハレンチなことを……」

 ドラゴ郎は、頭を抱えて膝から崩れ落ちそうになっていた。

 と。

「むにゃ……ぅーん……」

 タヌキの少女が目を覚ました。

「あ、あれ? おれな?」

 その少女は、ドラゴ郎もよく知った顔だった。砥部《とべ》おれな。ドラゴ郎のクラスメイトである。

「おはようドラゴ郎君。……ってあれ? ここってどこ?」

「僕の部屋だけど……。なんで君がここに?」

 ドラゴ郎の質問に、おれなはしばらく考え込んだ。そして、答える。

「えーっと、昨日は夜の10時くらいにお布団に入って……。ちょっとお腹が空いたから、近くのコンビニにお夜食買いに行ったの。クリームパンとカフェオレ。で、コンビニからお家に帰る途中、急に眠くなって……あとは覚えてないよ。気づいたら、ここで寝てたの」

「まさか……まさかとは思うけど、家からコンビニまでの間に迷っちゃったとか?」

 ドラゴ郎が恐る恐る尋ねる。

「そうかもしれない」

 ドラゴ郎は再び膝から崩れ落ちた。

 

 砥部おれな。自宅から歩いて5分足らずのコンビニまでの道のりで迷子になる女。

 


 
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