咎を受けし御使いの最後の旅~二人の御使いと二人の劉備~
呉将吸収
建業の戦いの終了して数日後、すぐに一騎は将を全て転移で建業に集合させていた。時間が無いと感じていた一騎は速攻で人心の掌握に努め、捕虜の説得はそろそろやろうかと華琳と相談していたのだった。
雪蓮「一騎~。民の方も大分納得してくれてるみたいよ~。」
一騎「そうか・・・思いのほか早かったな。」
雪蓮「で?これからどうするの??」
一騎「まずは呉の将の説得だな。雪蓮は・・・」
雪蓮「それに関して、問題なのは蓮華・・・私の妹と、その側近が問題だと思うわよ?張勲は美羽が居るから無条件で大丈夫だし、太史慈、周瑜に関しては私と一緒に話せば問題無いだろうし、母さんと黄蓋、程普、張昭辺りは昔から強い相手にはわりとさばさばした性格だから二つ返事で了承すると思う。まあ、一騎辺りと模擬戦するぐらいは言ってくるかもしれないけどね。」
華琳「という事は説得するのは二女の孫権と甘寧、呂蒙、周泰、魯粛、陸遜辺りかしら?」
雪蓮「そうね、その辺りでしょうね。まあ後者二人に関しては未知をちらつかせれば食いついて来ると思うわ。」
一騎「魚か?」
雪蓮「否定できないわ。」
華琳「否定してあげなさいよ・・・」
一騎「ひとまず誰に誰を当てるか・・・ふむ・・・一刀に任せても良いかもな。あとは・・・」
華琳「一騎もやるのでしょう?」
一騎「雪蓮の言葉を借りるなら模擬戦が控えている・・・」
華琳「そうだったわね。」
雪蓮「そうね・・・呂蒙に関して言えば識者を当てるのがいいと思うわ。文武両道ならもっといいかも。甘寧は頑なだから・・・一騎が手合わせすればいいと思うわ。周泰は猫好きだからそこを攻めればいいと思う。蓮華はそれこそ一刀に任せればいいわ。一騎でもいいと思うけど・・・同じく未熟な一刀の方が親近感もあるだろうし、落しやすいと思うわ。」
一騎「さり気に落すとかいいやがったな。」
華琳「これは桃香も大変ね。」
雪蓮「華琳は他人事ね?」
華琳「私はもうあきらめてるし、一騎は私が一番だと皆の前で公言してくれたしね。」
雪蓮「はいはい、ごちそうさま。」
華琳「お粗末さま。」
一騎「まったく・・・それじゃあそれでいこうか。華琳は呂蒙の説得を頼む。文武両道で言えば俺の陣営で一番信頼できるのは華琳だ。」
華琳「分かったわ。」
一騎「雪蓮は孫堅さんと側近の人達、甘寧を鍛錬場へ呼んでくれ。その間に俺は一刀に孫権の説得を頼んでくる。たぶん桃香と月も付いて行くだろうけど・・・ま、大丈夫だろう。」
二人「「了解。」」
一騎の指示通りに二人は動き出す。一騎もまた一刀に事の詳細を伝えるために一刀に割り当てられた部屋に向かって歩き出した。
一刀は一騎に言われ現在孫権の部屋の前まで来ている。各将は牢に入れずそれぞれの自室に居てもらっている。この対応には呉の将も困惑を隠せなかったがこの城に冥軍の将が集まった事を考えると城自体が牢のようなものだとむしろ納得してしまったようだった。
コンコン
孫権『なんだ?誰か来たのか??』
一刀「劉北だ。入ってかまわないか?」
孫権『あ、ああ。入れ。』
一刀「じゃ、失礼するよ。」
一刀はそのまま孫権の部屋へと入って行った。
孫権「一人か?鄧艾の話によると劉備や董卓も一緒の可能性があると言っていたが?」
一刀「二人は後から来るよ。お茶の用意するって張りきってたから。」
二人は何時の間にやらとんでもなく仲良くなっていた。一時期は一刀をめぐって策略をめぐらせていたが、次第に一刀への思いがいい方向へ向かったらしく、今では一刀と一緒に居る時間と同じくらい2人でいる時間が多くなっていったらしい。
一刀「お茶が来るまでちょっと話をしないか?」
孫権「なにを?」
一刀「ん~。これからの事とか・・・どうするの?俺は、というより俺達は降ってもらえるとすごく助かるんだけど。」
孫権「・・・それは別に構わない。母様は間違いなく降るだろう。周瑜も姉さまがいるしな・・・妹の尚香は・・・どうしてる?」
一刀「ああ、シャオだろ?あの子なら沁兄さん、劉戯兄さんと逢引で今日は街に出てるよ?」
孫権「あ、逢引ぃ!?」
一刀「あ、ああ。気に入ったらしいよ?シャオは皆にもう真名も預け終わってるし・・・」
孫権「そ、そうなのか・・・ま、まあシャオは亡命の扱いだからな。当然と言えば当然か・・・」
一刀「ま、そう言う事だから安心して。」
孫権「ああ。それにしてもこれからか・・・逆に聞くが劉北たちはこれからどうするんだ?」
一刀「そうだな。鄧艾の方針次第だがすぐにでも晋を攻める筈だ。この大陸をこれ以上戦乱に晒してもおけないしな。」
孫権「それってどう言う・・・」
どう言う事?その言葉が紡がれようとした時、扉から再びノックが聞こえる。
月『一刀さん、お茶とお菓子をお持ちしました。』
桃香『手がふさがってるから開けてくださ~い。』
一刀「はいはい。」
一刀はそのまま扉をあえて来訪者二人を招き入れた。二人はすぐに飲食の準備を整えると一刀の両隣りに座る。一刀もそれを気にすることなくお茶菓子を一つ食べると話を続けようとする。
一刀「えっと、二人も揃ったことだし話の続き。俺達はこれから晋との大戦が控えてる訳だけど、これからの呉県・・・つまり元呉の領地を安心して任せる人材を探してる訳だよ。」
孫権「つまり、私達元呉の将にそれをやらせようとしている・・・と言う事か?」
一刀「御明察。」
孫権「本当にそれで良いと思っているのか?裏切りなど考えないのか?」
一刀「それも有るだろうけどさ・・・じゃあ言うよ?俺は知らない人間と戦ってしまったなら・・・そしてこう言う状況になったら、まずは話して知ろうとするし、最初に信じておきたいんだ。甘い考えなのは分かってる。でも信じる事を最初から止めてしまったら何もできなくなったりしない?きっとこれからの世の中を変えていくとしたらまずはそう言う考えからだと思うんだ。」
孫権「だが・・・鄧艾という男は信用できるのか?」
桃香「問題無いですよ。世間では天下を揺るがす化け物とか、死を運ぶ者とか言われてますけど・・・全部真実ですし♪」
一刀「そうだよなぁ・・・全部真実だからなぁ・・・」
月「へぅ・・・お強い方ですぅ。」
孫権「い・・・いやいや!?そこは否定すべき悪評でしょう!?」
桃香「・・・でも・・・ねぇ?」
月「化け物に関しては否定できませんね。」
二人「「ね~♪」」
一刀「いやね?二人が仲良くて何よりだよ?仲良過ぎだろう・・・さてと・・・とにかく隠すつもりは無いがあいつは自分自身で人ならず者、化け物と言ってるからここで俺達が否定しても仕方ないさ。ただこれだけは言える。あいつはそれでも誰かの為に力を振るえる奴だ。」
孫権「・・・正直不安しかないが、どのみち全員説得にあたってるのだろう?私一人が頑なに拒絶しても仕方ないだろう。姉さまも信頼しているみたいだし、此処は大人しく味方になっておく。」
一刀「そうか!ありがとう、孫権さん!!」
孫権の了承が取れると一刀は大手を振って喜び、彼女の手を取ってそれはそれは満面の笑みで喜んだのだが・・・それがよろしくなかった。
孫権「あ、その、いや、よ、喜んでもらえて何より・・・というか顔近//////////////////」
見事に孫権はその笑顔を間近で直視してしまったのだから落ちない方がおかしいのだ。
一刀「孫権さん?顔赤いけど・・・どうしたnおぐぅ!?」
グキィ!!
両手を握りながら首をかしげて孫権の顔を覗き込む一刀だったが、それを桃香と月に思いっきり逸らされた。・・・拍子に一刀の首はおかしな方向におかしな音を立てて曲がったのは置いておく。
桃香「孫権さん、これだけは言っておきます。一騎さんにしても一刀さんにしても競争率は高いですからあしからず。」
月「出来れば一騎さんの方にしてほしいですけど、たぶん手遅れですね?さ、これから三人で少し相談しましょう。なので一刀さんは一騎さんに報告に行ってください。」
一刀「・・・」
返事が無い、ただの種馬のようだ。
二人「「・・・で、閨の順番なんですけど。」」
孫権「放置か!?と言うか閨ってなんだ閨って!私はそこまで劉北に惚れこんでいる訳では・・・」
二人「「惚れこんでいる~?」」
孫権「あ!?そ、それはその・・・な、仲良くして行きたいと思ったのは事実だが・・・って何を言わせる!?」
桃香「ねえ月ちゃん。」
月「はい桃香さん。」
二人「「もう手遅れじゃない?素直になっちゃった方が楽だよ?」」
孫権「だから違ーーーう!!!!」
孫権の悲痛ん叫びがこだまする中、あわただしく朱里が駆けこんできた。
朱里「たたた、大変です~~~~!!!!」
桃香「あ、朱里ちゃん。」
月「すごい久しぶりの登場ですね。」
朱里「あ、そうなんですよ。とても久しぶりで正直大変でしゅって噛むのを忘れて他ぐらいで・・・って違いましゅ!?」
二人「「噛んだ噛んだ。」」
朱里「あ・・・じゃなくて!ご、ご主人様が・・・模擬戦で!!」
桃香「え?一騎さんが??」
朱里「か、甘寧さんに片膝を付けさせられたんです!!」
三人「「「な、なんだってーー!?!?!?」」」
朱里の報告に気を失っていた一刀も叫びを上げざるを得なかった。
あとがき
蓮華落ちました?どうなんでしょう。
とにかく一刀の満面のスマイルには女性を虜にする追加効果があるに違いない。
実はそこまで頑なじゃ無かった蓮華。すんなり説得に成功しました。駄目姉が傍に居ない分そこまで王族の誇りとか頑なじゃ無かったんじゃないですか?
そして久しぶりに登場した朱里からもたらされた驚愕の事実。どうなる鄧艾士載!!
それでは次回『呉将吸収2』でお会いしましょう。
そう言えば他の外史のメンバーを追加しようか迷ってるんだよねぇ・・・ま、何とかなるか!
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さてと・・・蓮華回・・・です。
他には語ること無いですねぇ。
では本編どうぞ