真恋姫無双 幻夢伝 小ネタ15 『密告箱』
許昌の宮城内の一角に、箱が1つ置かれた。大きさは2尺(60cm)程度の立方体であり、上の部分に細長い穴があけられている。そしてこんな張り紙がしてあった。
『自国の武官・文官の秘密を投書せよ。尚、ここに投書された内容について、投書者及び被密告者の罪を追及することはない』
不思議に思った魏の臣下たちが事の真相を確かめると、なんでも華琳が宴会の催し物として考案したらしいと分かった。これを面白がった何人かは、周囲を警戒しながら投書していった。
以下は投書された内容と、秘密を明かされた各人の反応である。
《稟ちゃんの部屋を訪ねると、稟ちゃんはまだ日も高いうちから寝床で横になっていましたー。どうしたのかなーと思って近づくと、稟ちゃんはお兄さんから貰った外套をくんかくんかと一生懸命かいでいましたー。そしたらですねー、だんだんと自分の手を股のところに動かして……これ以上は書いたら駄目ですねー》
「風!風ですね!あなた、なんてものを書いてくれたのですか?!ここまで書いたらもう分かっちゃうでしょう!……え?その外套をどうしたかって?あれは、自分の部屋に干しております。ちょっと鼻血で…いえ!お茶で汚してしまったので洗いました。ですから、華琳さまにもお譲りできませんので、あしからず」
《訓練場を訪ねると、春蘭とアキラが並んで寝ていた。こっそりと2人の寝顔を眺めていたのだが、春蘭が先に目を覚ました。すると、目の前にアキラの顔があったことに驚き半分、恥ずかしかったのだろう。寝ていた彼にものすごい顔面打撃を食らわせていたな。その後、自分がしたことに慌てる姉者の様子は、可愛かったなあ》
「だれだ!こんなことを書いたのは!まるでわたしのことをよく理解しているように書きやがって!秋蘭!笑っていないで、これを書いた犯人を見つけ出してくれー!」
《アキラを見送った後に応接間に戻ると、キョロキョロ辺りを確認する桂花がいたわ。そしたらね、部屋にあった飲みかけの杯に口をつけるのよ。しかも両方に。会談の場にいた彼女だったら、どっちが私のものか、分かるはずなのにね。不思議なこともあるものだわ》
「そ、そうです!あの時はうっかりどっちがどっちだったか、分からなくなっちゃったんですよ。あー、ぺっぺっ!あの男のにも口付けたことを思い出しちゃったわ!……稟。なによ、その目は。『愛用の杯が変わったのはそういう訳が』って、ななな、なに言っているのよ!!ち、ちがいます!ちがいますからね、華琳さま!」
《ある朝、廊下を歩いていたら、華琳さまの寝室に秋蘭と桂花がいた。わたしが入っていって声をかけようとしたら、2人でわたしの口を手で塞いだ。実はな、お珍しいことに、まだ華琳さまが熟睡されていたんだ。なんでもアキラと夜更かしたらしい。
私が言いたいのはこの後だ!しばらく3人で、めったに見ることが出来ない寝顔を眺めていたら、華琳さまが寝言をおっしゃられたんだ。『あ、あきらー、わたしをもっといじめて…』ってな!華琳さまをいじめるなど、もってのほかだ!あの男はまったくけしからん!》
「……これを書いたのは春蘭ね。ああ、いいのよ、そんなに元気よく手を上げなくても。あとで私の部屋にいらっしゃい。桂花と秋蘭もね。……どうしたの、2人とも?顔が蒼白になっているじゃない。大丈夫よ。私はご褒美をあげたいのよ。私といい思い出を作りましょう?いやな記憶を忘れちゃうくらい、いい思い出を…」
この催し物は、この回限りとなった。
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うちでは、春蘭はこういうキャラです。