No.76382

真・恋姫無双~魏・外史伝~8.5

こんにちわ、アンドレカンドレです。
第四章完結し、いろいろと気になる展開になりそうな予感が・・・。
結局、一刀君があの後どうなったのか?後編で書ききれなかったので、補完という形で、第5章に繋がる様に書きました。そのため、内容は短いです。大男を倒した一刀がその後どうなったのか?

2009-05-30 18:11:13 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:8698   閲覧ユーザー数:7462

第四章~『心』『強さ』・補完編~

 

 

 ―――私は、周泰様から受けた命を全うするべく、孫尚香様と

   天の御遣い殿を守ろうとしました。ですが力及ばず、大男の

   一撃に地を這う事しかできなくなりました・・・。右腕を振り

   かざされた時は、もう駄目だ。心の中でそう思いました。

   今まで賊の討伐や他国との戦で恐怖を感じる事は多々ありました

   が、今回のそれはそれらとは別の次元の恐怖を感じました。

    一瞬の事で分かりませんでしたが、天の御遣い殿が自分を

   助けて下さったのだという事は理解出来ました。

    あの化け物としか言いようがないあの大男を、天の御遣い殿は

   たった一人で倒してしまったのです。

    驚嘆のあまり、私は言葉を失いました。その後すぐに、周泰殿が

   来られました。その姿は今思い出しても痛々しいものでした。

    尚香様は周泰殿の側に駆け寄り、無事の確認をしていました。

    一方で、御遣い殿は、ずっと、倒れた大男を見ていました。

   こちらを向いて我々の安否を確かめる様子もなく、その場に立ち尽く

   しておりました。

    尚香様は周泰殿の無事を伝えようと、御遣い殿に近づこうとしました。

   ですが、御遣い殿は折れた剣で尚香様を斬りつけようと・・・、いえ、

   それは誤弊でした。何と言えば良いのか・・・、尚香様がこれ以上自分の

   近くまで来ないよう剣を振って、牽制した・・・という感じでしょうか?

    それで尚香様は後ろに尻餅をついてしまいました。私は御遣い殿の行為が

   理解できませんでした。その後、御遣い殿は急に苦しみ出した様に頭を抱え

   そして唸り声を上げました。その姿を見て、尚香様を立ち上がってもう一度

   近づこうとしました。ですが、御遣い殿はそれに対して後ずさりをして、

   何か戸惑うようにその場を立ち去ってしまいました。

    詳しく言うと、反対方向に走り出すと、今度は家の屋根に飛び移り、

   そのまま屋根の上を伝って、家々を飛び移って行き、気づいた時には

   すでに姿は見えませんでした。

    あの時の御遣い殿は・・・まるで、何かから必死に逃げようとしていた

   ように見えました。

   

      建業襲撃事件の関係者である兵士達のうちの一人の証言を抜粋―――

 

  ―――あの時はほんとにビックリしちゃった。

    だって一刀が、急に元気になったと思ったらあの化け物をあっという間に

    倒しちゃったんだから。

     さっすが、天の御遣い様♪

     でもさすがにシャオ、その姿に言葉を失っちゃったけど・・・。

     そのあとすぐに、明命が駆けつけてきたの。

     「小蓮様、ご無事でしたか?!」

     「明命、その怪我大丈夫なの!?」

     その頭から血がぼたぼた落ちて、全身ボロボロ、折れてるのか右腕を

    左手で支えて、右足を引きずった明命の姿に、泣きそうになっちゃった。

     シャオが無事だと分かって安心したのか、その場で倒れちゃって・・・。

     「ちょっと明命!?」

     「も・・・申し訳ありません。私が不甲斐無いばかりに・・・。」

     「そんな事ないよ!明命はよくやった・・・。こうして無事だったん

     だから、シャオはそれでいいの!」

     「・・・所で、小蓮様・・・、一体これは?」

     「一刀がね・・・、やっつけちゃったんだよ!」

     「北郷殿が・・・ですか?」

     明命は信じられないって顔してた。ま、無理もないか。シャオだって

    信じられないくらいだもん・・・。

     「あ、そうだ・・・。一刀!明命が、明命が無事だったの!」

     明命の事を教えてあげようと、一刀を呼んだんだけど、一刀は

    こっちを振り向いてくれない。

     「一刀・・・!ちょっと聞いてるの!?」

     シャオは一刀がこっちを無視しているのが面白くなくって、一発

    ぶつかってやろう思って、一刀に走って行ったの。

     「一刀~~・・・!」

     ビュンッ!!!

     「きゃあ!?」

     こっちを向いたかと思ったらいきなり、シャオに斬りかかるんだもん!

    思わず尻餅ついちゃった・・・。

     「いたた・・・、ちょっと一刀!いきなりシャオに何をする・・・の・・・。」

     文句をつけようとしたけど、言葉が出なくなっちゃった・・・。

     「・・・・・・。」

     「か、一刀?」

     シャオを見るその眼は、あの一刀の優しい眼じゃなかった。

    その眼はまるで獣の眼・・・血に餓えた獣の眼だった。

    周々や善々だって、こんな眼はしないよ!!

    シャオ・・・、怖くて動くことも喋る事も出来なかった。

    まさか一刀にあんな眼で睨みつけられるなんて思ってもみなかったんだもん。

     「・・・うッ、う・・ぐぅ・・・ふぉ!」

     急に呼吸が乱れて、剣を地面に落とすと一刀は苦しそうに頭を抱え込みだした・・・

    一体どうしちゃったのよ、一刀!!

     「うぅ・・・ぅぅうう・・・・あああぁぁ・・・。」

     頭を抱えながらその場にしゃがみ込む一刀。

     「一刀!?」

     シャオは一刀に近づこうとしたら・・・

     「!?」

     急に立ち上がって、後ろに下がった。

     「か、一刀・・・?」

     「・・・・・・・・・。」

     何かつぶやいているのは分かったけど、聞き取れなかった・・・。

    その瞬間、一刀は私達とは反対の方向に駆けだしていっちゃった。

     「あ、待って・・・待ってたら!」

     止めようとしてけど、聞いてくれない・・・。今度は家の屋根に

    飛び移って、屋根から屋根へってすごい速さでどっかにいっちゃった・・・。

     皆に探させようと思ったけど、皆それどころじゃないよね?

    街だって滅茶苦茶にされちゃって・・・。

     少ししてやって来た亞莎と思春に、事情を説明して、まずは怪我した

    皆の手当と街の壊れた所を直すように指示したの・・・。

     雪蓮姉様が帰って来たのは、それから六日経った時だった・・・。

     一刀、ほんと・・・どこに行っちゃったの?

      

                            孫尚香の回想より―――


 
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