No.763675

真・恋姫†無双 裏√SG 第34話

桐生キラさん

こんにちは!
Second Generations複数視点
虎牢関戦・終
戦闘がさくっとしてるのは、前回と今回の間に戦って貰っていましたので(笑)

2015-03-11 17:00:02 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1578   閲覧ユーザー数:1460

 

 

 

 

 

花栄視点

 

 

 

状況は最悪と言っても過言ではなさそうです

 

朱里「ダメ!皆さんの士気が低過ぎる!時間稼ぎも出来ないなんて…」

 

喧騒とする虎牢関内部、その軍師筆頭である諸葛亮さんが爪を噛みながら態勢を立て直そうと思考を巡らせていた。

 

うちの軍勢はただでさえ、主を囚われて無理矢理戦う事を強いら、士気なんてあってないようなものだったのに、昨晩から続く謎の爆発による恐怖と不安から一睡も出来ないままここまで来たのだ。士気も体力も、どん底と言っていいだろう。

 

いかに三日三晩くらいなら寝なくても大丈夫な私達や将軍達と言えど、襲撃の可能性がある状況で一晩を明かすのは精神的にキツイものがある。しかも、あんな眠い時間に気を張らなければいけなかったのだ。疲れない方がどうかしている

 

それもこれも、あの司馬師の家族、【晋】とか言うデタラメ軍団のせいです。

なんなんですかアレ?

汜水関の表門と裏門を謎の光による一撃で消し飛ばすし。昨晩の爆発も不規則に、でも私達がうとうとする頃を見計らって爆発するし。それに今だって、一人一人の質が無駄に高いから押し込まれてるし。

 

私は基本、洛陽までの監視に過ぎない。

三国の連中が妙な事をしないかを確認しろという徐福の命令(ただし報告する義務はない)。

戦闘に介入する必要は何一つない。

同じ監視役だった林冲はバカだ。見過ごせないからといって、自分の身を犠牲にして逃げる時間を作るなんて。自分には到底出来ないし、する気もありません

 

麗羽「クッ…弓兵隊!右翼の弾幕を増やしなさい!かの飛将軍がやって来ますわよ!」

 

だから、今のうちにスタコラですよ。

このままやり合っても、もうその内瓦解するのは目に見えてる。

こんな先が見えた戦い、やるだけ無駄なんですよ

 

斗詩「ひゃん!こわっ!秋蘭さんの弓こわっ!」

 

私には誇りも何もない。だから、いつものように、さっさと逃げてしまえばいいんです。

この人達が頑張っている間に、すぐそこの裏門から…

 

 

 

 

朱里視点

 

 

 

戦況は圧倒的に不利でした

 

無理矢理強いられた味方との戦い、昨晩から続く奇襲、兵の質など、あらゆる面で私達は不利な状況に立たされていました

 

打開策がないわけではない。

だけど、それには多大な犠牲を伴う事になる。向こうも、そしてこっちも…

だからこそ悩んでしまう。どうやって両軍共に犠牲を最小限で抑えてこの場を乗り切るか

 

汜水関や虎牢関の役目は時間稼ぎ。

ここで粘りに粘って、突破された先でも洛陽で粘って、その間にご主人様達を救い出す。

それが私達の勝利条件。

ただ、勝利条件の他にある小目的が多すぎて困る。中でも特に難題なのが三つある

 

一つは、死傷者をなるべく出さない事。

これは皆さんに言ってありますし、そんな気はないとは思いますが、今回相手にしているのは本来であれば味方。そんな相手を殺す事はなるべく避けたいと考えています。しかし、だからこそ本気になれず、効率が悪くなるのも否めませんが

 

二つ目、徐福や、徐福に関わる人間の割り出しと排除。

これに関しては、 徐福のみをまず排除する事を考えれば何とかなるかもしれない。

ですが、徐福は正真正銘の怪物。

例え【晋】を退かせ、ご主人様達を救い出したとしても、その後怪物と戦える余力が残っているのか。下手を打てば、今度こそ全員が死んでしまう

 

そして三つ目、恐らく不可能な事。それは【晋】の説得。

彼らが退くだろう理由をいくつか考えていたが、それも星さんが捕まった事でおじゃん。

家族が傷付いたと知った彼らなら、いかなる理由があろうと止まらないだろう

 

現にこの状況も、春蘭さんは霞さんと、思春さんが雪蓮さんと咲夜さんと激戦を繰り広げ、目に見える分でも押されているとわかる

 

それ以外でも、秋蘭さんと凪さんを中心に、練度の高い連携と陣形の維持により、徐々に押されてきている。

 

いずれ突破される

 

これが【晋】…

 

大陸が誇る至高の料理人達

 

軍人でも武人でもない筈なのにこれ程の突破力

 

本当に、末恐ろしい

 

群雄割拠の時代にもし彼らが乗り出していたら、今頃天下は…

 

朱里「………ふぅ…もう少し粘りたいところですが、これ以上はダメみたいですね」

 

そろそろ撤退をする頃合い。

半日は持ったのだ。速くても、明日の昼過ぎくらいに洛陽に着くだろうが、私なら、最後の一戦の前に休息を入れる。だから、恐らく洛陽に辿り着くのは明後日の明朝。それまでに何とかしなければいけない

 

朱里「麗羽さん、そろそろ…」

 

麗羽「…わかりましたわ。全軍、撤退準備!」

 

バタバタと慌ただしく動き始める兵士達。虎牢関の外では…

 

春蘭「チッ!ここまでか!霞!悪いがこの勝負、預けるぞ!」

 

霞「なんや、もう退くんかいな。つまらんのぉ。まぁ、今回は見逃すなって指示やで、ケツ思いっきりシバきに行くけどなぁ!」

 

春蘭さんの部隊が退き始める。その後を追うように、霞さんの部隊も付いてきた。

 

追うなら追ってきてください。悪足掻きくらいはお見舞いしますよ

 

一方では…

 

思春「んっ!?はぁ…はぁ…」

 

雪蓮「あら?なんだか退き始めたみたいね。どうする?」

 

咲夜「あぁ?さっき言ったろ。今回は見逃すな。潰せる奴は潰しとけ。思春みたいになぁ!」

 

思春さんが二人の悪魔に襲われて身動きが取れていない!

このままだと、思春さんがやられてしまう!何とかして思春の撤退を支援しないと…

 

でも、どうやって?

 

麗羽さんの部隊は先行して洛陽に向かい、斗詩さんの部隊は既に春蘭さんの撤退支援をしている。

 

後一つ、部隊が足りない…

 

かと言って、私が出る訳には…

 

 

「任せてください」

 

 

肩をトントンと叩かれ、背後から声が聞こえた。振り向くとそこには…

 

 

 

 

咲夜視点

 

 

 

虎牢関での戦闘は激しさを増していた……が、それももうすぐ終わるだろう。

今し方、敵兵がちょろちょろと退き始めた。今回ばかりは逃してもメリットはないので、追撃を仕掛けたいところだが…

 

咲夜「霞ーー!聞こえるかーー!?追うんなら虎牢関の門前までにしておけ!罠がある!」

 

昨晩のうちに見つけておいた、虎牢関の門に入ってすぐに仕掛けられていた落とし穴やら丸太等の罠。

大方、私達を誘い込んで、あわよくば一網打尽みたいな風に考えていたんだろうが…

 

そんなもの、私が見逃す訳ないだろ?

 

霞「うお!?マジでか!危なかったわぁ」

 

どうやら聞こえていたらしく、霞は虎牢関に入る直前で歩みを止めていた

 

さて、私の方も仕上げるか

 

咲夜「さぁて、覚悟はいいよなぁ?思春!」

 

思春「クソッ…」

 

もう既にボロボロで、立っているのもやっとだと言わんばかりの思春に話し掛ける。

正直、こんなにも粘られるとは思わなかったが、それもここまでだな。お縄についてもらおう

 

 

ヒュン

 

 

咲夜・雪蓮「「!?」」

 

 

ダァァンッ

 

 

突如、上空から矢が降ってくる。

それもただの矢じゃない。先端に火薬が仕込まれている爆矢だった。

私と雪蓮は直前でこれに気付き、後ろに飛んで回避した

 

この攻撃は、報告にもあったな

 

咲夜「チッ…花栄ってやつか」

 

梁山泊の一人、弓使いの花栄

 

花栄「あー、やっぱり面が割れてたんですねー」

 

花栄はゆっくりとした足取りで、私達の前までやってきた

 

花栄「撤退命令です。甘寧さんはさっさと退いてください」

 

思春「っ!?お前は…」

 

花栄「私は…ただ殿を務めるだけですよー」

 

 

 

 

花栄視点

 

 

 

ホント、なんでこんな事してるんでしょうね

 

朱里「任せてって…貴方は確か、徐福の監視員なんじゃ…」

 

軍師さんに驚かれていますが、私自身もかなり驚いています。

だって、自分からこんな面倒な、しかも死ぬかもしれない役を引き受けようとしているんですから

 

花栄「勘違いしないでください。私は梁山泊。私はただ、宋江さんの為に戦っている。徐福なんて知ったこっちゃありません。私は宋江さんが助かる事をしてるだけですから」

 

そう、私はただ、私達梁山泊の大将、宋江さんの為に、こんなクソみたいな仕事をしている。徐福に忠誠心なんて欠片もない

 

花栄「私が何とか時間を稼ぎます。その間に軍師さん達は撤退してください。そして、徐福には私は死んだと伝えてください。その方があなた達も都合がいいでしょう。それと、こうして私が前に出るんですから、絶対に宋江さんを助け出してください」

 

ありったけの爆矢を筒に入れ、愛用している身の丈程の弓を担いだ

 

朱里「……いいんですか?」

 

花栄「やめてくださいよ、決心が鈍ります。それより、約束ですよ。必ず、必ず助け出してください。お願いします」

 

軍師さんはとても困惑して表情で、だけどしっかりと首を縦に振ってくれた。

伏龍鳳雛の噂は梁山泊にまで轟いている。かの有名な軍師さんなら、きっと宋江さんも助け出してくれるに違いない

 

私達はできなかったけど、この人達なら…

 

私は壁上から一気に飛び降り、虎牢関前の戦場へと降り立った。

 

夏侯惇さんは大丈夫そうだが、甘寧さんがやばそうだ。

呉の孫策さん、それに許昌で戦った怪物のソックリさん、確か司馬懿さんだったかな?と戦って身動きが取れない状態にいる

 

まずは牽制、矢を二本放つ

 

放たれた矢は真っ直ぐ孫策さんと司馬懿さんに向かって行くが、二人とも直前で気付き、後ろに飛ばれて躱されてしまう。矢は地面に着弾と同時に爆発し、地面を少しだけ抉った

 

咲夜「チッ…花栄ってやつか」

 

司馬懿さんがボソリと呟いていた。その表情は、誰もが一目でわかるほど不機嫌だった

 

花栄「あー、やっぱり面が割れてたんですねー」

 

向こうには林冲がいるし、なんなら呉の時に、それとこの戦場にも来ているオジサンにも会っている。当然の事だろう

 

私は肩で息をしている、満身創痍という言葉がぴったり当てはまりそうな甘寧さんに近付いた

 

花栄「撤退命令です。甘寧さんはさっさと退いてください」

 

思春「っ!?お前は…」

 

心配そうな目で見られた。どうやら見抜かれたらしい

 

花栄「私は…ただ殿を務めるだけですよー」

 

努めて明るく言う。が、ここで殿を務めるということは、辿る運命は林冲と同じという事だ。言ってしまえば、捨て駒のような行動。だけど…

 

これは自分で決めた事だ

 

思春「……すまん」

 

そう言って甘寧さんは虎牢関の方へと振り返り、走り去っていった

 

目の前には、怖い大人達がいっぱいだ

 

覚悟を決めよう

 

花栄「梁山泊が頭領、宋江の右腕、花栄。そう簡単には抜けさせませんよ」

 

 

 

 

秋蘭視点

 

 

 

秋蘭「ッ!ほう…」

 

虎牢関の戦いは佳境へと向かい、熾烈を極める中、敵軍が徐々に退き始めていた。

残念な事に姉者は既に撤退し、残りは思春だけとなると、梁山泊の花栄とかいう弓使いが殿を買って出た。もう少しで思春を捕らえられたところだったが、逃げられてしまった

 

そして今、私達の目の前には単身で私達と戦い続ける花栄が居るのだが、これがなんとも、意外とやるのだ

 

元々、多対1が得意なのか、我々相手に上手く立ち回り、同士討ちを狙う様に位置取り続ける。そして隙あらば、先端に火薬が仕込まれた矢を放ち、じわじわと体力を削りに来ている

 

面白いと思った

 

汜水関での林冲の時も思ったが、大陸には、まだまだこれ程の人材が眠っていたのかと思うと、この戦いは本当に胸踊る

 

武官から文官になってかなり経つが、やはり自分の本職はコレなのだと、改めて自覚した

 

本当に愉しい

 

だが、そんな愉しい時間は永遠には続かない

 

向こうがどれだけ善戦しようが、数と質に差があり過ぎるのだ

 

それは向こうも理解しているようで、勝つつもりはないように伺える

 

ただ、時間稼ぎにと

 

そしてそれは成功したのだろう

 

虎牢関にいた部隊のほとんどが既に戦場を後にしている

 

咲夜曰く、虎牢関の中にも罠があったらしいから、深く追撃するつもりはないらしいが、それを差し引いても、花栄の時間稼ぎは成功した

 

決死で仲間が退くのを援護した

 

全く、賞賛に値する

 

咲夜「終わりだな」

 

花栄は咲夜のナイフを躱していくが、躱すにつれて体勢を崩していき、隙が生まれると同時に咲夜は花栄が持っていた弓を蹴り上げ、弓を奪い取った

 

花栄「グッ!?……はぁ…はぁ…まぁ…ムリ…ですよね……」

 

弓を奪われた瞬間、花栄は一旦距離を取り、肩で息をしつつ自嘲的な笑みを浮かべた

 

花栄「揃いも揃って、化け物ばっかですね…ほんと、嫌になりますよ…」

 

花栄は空を見上げ、目を閉じた。まるで、全身で風を感じているかのように、穏やかな表情だった

 

花栄「一つ…お願いを聞いてくれませんかねー」

 

咲夜「……あぁ、言ってみろ」

 

花栄の言葉に、咲夜が応えた

 

こういう時の願いの後は、必ず死ぬと決まっている。恐らく、死ぬ覚悟が出来たのだろう

 

花栄「私を倒したんです。あなた達には勝つ義務がある。だから、勝ってください。勝って、宋江さんを助け出してください。お願いします」

 

花栄はそう言って、頭を下げた。

こいつは、自分の命より、自分の主人の為に動いていた。半端な覚悟ではない。

宋江という人物に、真の忠義を尽くしていたのだろう

 

咲夜「私達は私達の家族を助ける為に戦っているだけだ。そんな願い、私達は知ったこっちゃない」

 

咲夜はそれでも冷たく突き放していた。

その瞬間、咲夜に対して冷ややかな視線が送られたが、次の瞬間には…

 

咲夜「……だが、暇があれば、ついでに助けてやらない事もない」

 

皆が、生暖かな視線を送る事になった

 

花栄「ツンデレってやつですか。おばさんのツンデレとか誰得ですかー」

 

咲夜「誰がおばさんだって?」

 

こうして、虎牢関の戦いが幕を閉じた

 

次はいよいよ、最後の決戦だ

 

 

 


 
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