No.76188

真・恋姫†無双 終わらぬループの果てに 番外短編1

ささっとさん

ループ一刀君のごく当たり前な日常の風景?

2009-05-29 14:27:29 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:42934   閲覧ユーザー数:29436

注1:この話は『終わらぬループの果てに』の番外編としてお楽しみください

 

注2:キャラ崩壊と思われるかもしれませんが、基本の設定は『終わらぬループの果てに』本編基準です。

 

注3:本編の進行具合と短編の内容にズレがあるかもしれませんが、気にしないでください。

 

注4:風は俺の嫁

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋姫†無双 終わらぬループの果てに

 

 

 番外短編1 『穏やかなお茶会』

 

 

ある晴れた日の午後、俺は流琉に頼んでクッキーを作ってもらった。

 

 

「さすがは流琉だな。ほとんど完璧な出来栄えだよ」

 

「これがお兄さんの国のお菓子ですか……このサクサクとした食感がいいですねー」

 

「ええっと、くっきい、だっけ? これ凄く美味しいよ!」

 

 

たまたま通りがかった風、季衣を加えた俺達3人は流琉の作ったクッキーに舌鼓を打つ。

 

初めてクッキーを食べたであろう2人は勿論、俺もあまりの美味しさにかなり驚いていた。

 

見た目はもちろん、味も食感もほぼ完璧に再現できている。

 

いや、下手をすれば俺が今まで食べたクッキーの中でも一番美味しいかもしれない。

 

気付けば俺は季衣に負けないくらい夢中になって食べていた。

 

さりげなく風も普段は食べないくらいたくさん食べている。

 

 

「うふふっ。たくさん作りましたから、どんどん食べてくださいね」

 

「おっ? なんかええ匂いしとると思うたら……!」

 

 

そんな感じでワイワイやっていると、この匂いにつられたのか何処からともなく霞が現れた。

 

さらに霞と一緒にいた春蘭、秋蘭も加わってますます賑わいを増していく。

 

 

「何をやっているの、あなたた…ち………………」

 

 

しかしある人物の来訪を切欠に、その賑わいはピタリと止まってしまうのであった。

 

 

 

 

楽しいお茶会の雰囲気は一体何処にいってしまったのか。

 

団欒とは対極に位置するであろう冷たく重い空気によって場が完全に支配されていた。

 

その発生源となっているのは言わずと知れた魏の覇王。

 

この場に一番最後にやって来た華琳、その人である。

 

 

「……え、えっとさー、流琉の作ってくれるお菓子って、その、と、とっても美味しいよねー」

 

「……う、うむ。これだけの物を作れる者はそ、そうそうおらんぞ!」

 

 

普段は空気を読まない事に定評のある季衣と春蘭。

 

しかし今回ばかりはそうもいかないらしく、必死に場を盛り上げようとしていた。

 

とりあえず声が裏返ってたりどもったりするのは逆効果になるから止めときなさい。

 

 

「……秋蘭様、いかがでしたか?」

 

「……うむ。悪くないな」

 

 

普段から空気を読むことに定評のある流琉と秋蘭。

 

今回もまたどんな状況なのかを正確に理解しているらしく、発言には細心の注意を払っている。

 

しかしさり気に自分達の存在を蚊帳の外に置こうとしているのはいただけない。

 

 

「ふぅ~ん、なるほどなぁ………にひひっ♪」

 

 

普段から何かと面白いことに首を突っ込みたがる霞。

 

彼女は完全に傍観者という立場に徹しつつ、事態を最大限に楽しんでいた。

 

とりあえずこの件が無事に片付いたら絶対に生き地獄を見せてやろうと決意。

 

そして普段からフリーダムな風はここでもフリーダムだった。

 

 

「あっ、お兄さん。口元にクッキーの滓がついていますよ? 風が取ってあげますねー」

 

 

メキメキッ!!!

 

 

風が暴挙に出た瞬間、誰かが握り締めていた茶碗に豪快な音と共にヒビが入った。

 

砕け散っていないのが奇蹟である。

 

それから風、食べカスはそんなについてないから無駄に俺の唇を触るんじゃない。

 

 

「はい、取れましたよー。でもこのまま捨てちゃうのは勿体無いですから……ぱくっ♪」

 

 

バキンッ!!!

 

 

風が更なる暴挙に及んだ瞬間、ギリギリ持ち堪えていた茶碗があっさりと砕け散った。

 

完全なる八つ当たりによってその一生を終えた茶碗に心から冥福を祈ろう。

 

 

「………一刀、ちょっと聞きたい事があるのだけれど、いいかしら?」

 

 

さて、そろそろ俺も現実逃避するのはやめるとするか。

 

俺は真正面で黒いような赤いような、とりあえず恐ろしいオーラを放つ華琳を直視する。

 

 

「なんだい、華琳」

 

「………どうして貴方の膝の上に、ソレが、さも、当然のように、乗っているのかしら?」

 

 

普段は真名を許し合っている間柄にもかかわらず、華琳は風を人間扱いさえしていなかった。

 

しかし、そこにツッコミを入れられるような余裕は今の俺には存在しない。

 

とりあえず今は風が俺の膝の上に乗っている理由を可及的速やかに説明しなければ。

 

でないと俺と風の命が冗談抜きに危ない。

 

 

「それはですねー、お兄さんがいつでも乗っていいと言ってくれたからなのですよー?」

 

 

しかし問いかけられた俺よりも早く、華琳に物扱いされた風が何事もなかったかのように答える。

 

そして先程の趣向返しなのか、ある意味最高に輝いた笑顔で華琳に逆襲。

 

 

「ですが華琳様、申し訳ありませんがお兄さんの膝の上は風専用なのです。

 いかに華琳様と言えどお貸しする事は出来ませんので、羨ましがっても無駄ですよー?」

 

 

ビシッ!!!!!!

 

 

今、俺は確かに周囲の空気が凍りつくのを感じた。

 

主に風の発言の最後の辺りで間違いなく凍りついた。

 

というか風よ、何でこの状態の華琳にそんな挑発的な発言が出来るんだ?

 

今の華琳がどれだけ危険な領域にいるか解らない訳ないだろ?

 

 

「………あら、それは残念だわ。ええ、本当に残念」

 

 

ああ、余計なこと言うから華琳のボルテージが益々上がっていくじゃないか。

 

本当に残念なのかどうかがどうでもよくなるほどに怖すぎるぞ、華琳!

 

 

「そう言えばお兄さん。この間お兄さんに頂いたこの指輪についてお聞きしたい事があるのですが」

 

「っ?!」

 

 

ってオイ、そろそろマジでいい加減にしてくれよ、風。

 

どう考えたって華琳限界寸前だぞ?

 

なのに何でこの状況でそんな地雷と同義の話題を選ぶんだ?

 

ハッキリ言って俺は嫌な予感しかしないぞ?

 

 

「……指輪がどうかしたのか?」

 

「確か左手の薬指で良かったんですよね?

 お兄さんの世界で永遠の契りを誓った男女の親愛の証とするのは…」

 

 

わざと華琳に見せびらかすように、自身の左手の薬指で輝く指輪を晒す風。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブチッ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風、貴女の左手の薬指に何か異物が付着しているわよ。私が綺麗さっぱり取ってあげる」

 

「って華琳、ちょ、まて!」

 

 

何処からともなく取り出した絶を一切の迷いなく振り抜き、

指輪をしている風の左手の薬指を全力で刈り取りにいく華琳。

 

何か切れたのかなと思ったら、よりにもよって華琳の堪忍袋の緒かよ!

 

俺は瞬時に風を抱きかかえ、華琳の刃が届く前に全速で後方へ退避。

 

間一髪のところで風の指が4本になってしまうのを防ぐ事が出来た。

 

しかし間に合ったからいいようなものの、今のはマジで洒落にならんぞ。

 

 

「残念ですが、これはお兄さんが風のために用意してくれたものなのです。

 いかに華琳様のご命令だとしても外すわけにはいきません。

 あと、いくらご自分が貰っていないからといって風に嫉妬するのは見苦しいですよ~?」

 

 

そしてお前は平然としたまま華琳を煽るな!!!

 

指が飛ぶどころか命まで飛びかねない状況だったんだぞ? どんな神経してんだ?!

 

 

「そんな怖い顔しないでください、お兄さん。風だってキチンと解ってます」

 

 

キチンと解っていたら絶対にそんな挑発はしないはずだが?

 

 

「もし風と華琳様が対立してしまっても、お兄さんは絶対に風の味方をしてくれるって」

 

 

解ってねぇぇぇぇぇぇ!!! そして華琳煽るのに俺の存在を使うな!!!

 

 

「………へぇ。一刀はソレのために私の敵に回るというの?」

 

 

ああっ、華琳の標的が俺に変わっちまったじゃねぇか!!!

 

大陸最強の武を備えた俺ですら、蛇に睨まれた蛙状態にならざるを得ない迫力。

 

何でこんな殺気を食らって風は平然としてられるんだよ?!

 

 

「当然です。お兄さんと風はお互いに身も心も許し合った関係なのですからね~」

 

 

だからこれ以上刺激するなって!!!

 

華琳の殺気が目で見えそうなくらい濃くなってるから!!!

 

 

「………一刀。貴方は一体誰の物なのかしら? この場の全員に解るようハッキリ言って御覧なさい?」

 

「お兄さんは物ではありませんよ~。

 そんな言い方しか出来ないから、華琳様は未だにお兄さんに抱いて貰えないんです。

 まぁ、たとえ華琳様が正直になったとしても、お兄さんは風に夢中ですから関係ないでしょうけどね~♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブチブチッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぎゃあーーーー?!

 

切れたはずの華琳の堪忍袋の緒がまた切れたーーー!!!

 

しかも何となくさっきより太そうなのが2本ーーー!!!

 

 

「………それがアナタの遺言なのね。この曹 猛徳、しかと聞き届けたわ」

 

「それにしても、お兄さんに抱っこされていると気持ち良過ぎて寝てしまいそうです~……くー……」

 

「ッ!!!!!」

 

 

その寝息が開始のゴングとなった。

 

 

 

 

この後、完全にブチ切れた華琳の暴走によって城は大混乱に陥った。

 

覇王どころか破壊神となってしまった華琳の猛攻は留まるところを知らず、

大陸最強の武を備えた今の俺ですら逃げるので精一杯。

 

それでも逃げながら根気強く説得を繰り返し、

何とか日が変わるまでに華琳の機嫌を回復させるのに成功した。

 

その引き換えにとんでもない約束をさせられてしまったが、今は素直に喜んでおこう。

 

と言うか、何故最終的には俺が悪いみたいになったんだろう?

 

ちなみに騒動終結後、華琳に対して度を越えた物言いを繰り返した風をお説教するも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄さん、風だって華琳様の軍師である前にお兄さんを愛する一人の女なのです。

 大好きなお兄さんにとっての一番でありたい………そんな想いを抱くのはいけない事ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という微妙に趣旨から外れているような気がしないでもない破壊力抜群のカウンターで返され、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ですが、確かに風の態度は行き過ぎたものでした。

 ですからお兄さん。風がもう二度とこんな真似をしないよう、風の身体と心に刻み付けてください。

 忘れようとしても忘れなれないほど強く、お兄さんを………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらなる破壊力を誇る追撃の前に俺(の理性)は逆転KOされてしまうのであった。

 

やっぱり風には頭が上がらないな、くそぅ。

 

 

 

 

あとがき

 

 

どうも、『ささっと』です。

 

本編の更新でなくて申し訳ありません。

 

作者の手違いというか勘違いにより、

本編の華琳様をデレさせるのがあと2話ほど後になってしまいました。

 

しかし前回のあとがきに書いてしまったものはどうしようもないので、

急遽没予定のイベントを文章化した短編をお送りいたしました。

 

ただ、本編でも2人はこんな感じになるのでご安心?ください。

 

次回更新時にはまた本編をあげさせていただきます。

 

でも、今回の短編はあまりにも風を優遇しすぎてしまった。

 

今度は華琳様優遇の短編も作らないと……あ、いや、なんでもないです。

 

 

コメント、および支援ありがとうございました。

 

次回もよろしくお願いいたします。

 

 

PS:華琳様は乙女度&嫉妬心、風は積極性&独占欲を+したのがデフォ設定 (作者の趣味的な意味で)

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
210
21

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択