No.761438

九番目の熾天使・外伝~マーセナリーズ・クリード~番外編 サイドアームズ

okakaさん

後編その2です。

もうペース配分は諦めました。orz

2015-03-01 10:09:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:564   閲覧ユーザー数:419

番外編【サイドアームズ】1 ~獅子と聖剣~ 後編2

 

 

 

――――――――okakaが地下へ突入した直後――――――――

 

 

 

『お待たせしました!こちら、マクロスクォーター通信手件観測手の橘花です!只今到着しましたー!』

 

 

マクロスクォーターからの通信に支配人とロキが上空を見上げると、上空を大気圏内外両用の増槽兼、追加弾倉兼、増加装甲である【FASTパック】を装備した【VF-25A・メサイア】が6機飛び抜けていった。それに続くようにマクロスクォーターがアヴァロンダムへと侵入してくる。そしてそのまま上空に静止すると、更に25Aが左舷の空母甲板から出撃してきた。

 

 

『航空優勢を確保、バーミリオン小隊、パープル小隊は以降、侍女長の指揮下で行動するようにしてくださーい』

 

『ウィルコ、バーミリオン小隊は以降、桃花様の指揮下に入ります』

 

『パープル小隊了解しました』

 

 

橘花の気の抜ける指示にもかかわらず、25Aを操縦する侍女型自動人形達がフォーメーションを組んで旋回飛行を開始、航空優勢を確実にすべく周辺警戒を開始した。バルキリー部隊の支援で周囲の安全を確保したロキと支配人は、クォーターのブリッジへと通信を繋いだ。

 

 

『ロキからクォーター、すまんがM9を一機貸してくれるか?』

 

『こちらクォーターの桜花です、M9ですか?構いませんが差し支えなければ用途を仰っていただけますか?なにぶん兵器ですので・・・』

 

『ああ、実は――――――――――――――――』

 

 

ロキと支配人の説明を聞いた桜花は桃花と共通記憶で情報を補足、そして感情再現プログラムに従って盛大に溜息を吐いた。

 

 

『はぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・・・申し訳ございません、うちの司令が飛んだご迷惑をお掛けしているようで・・・機体の方は只今準備させております。今しばらくお待ち下さい』

 

 

okakaのぶっ飛んだ行動に謝罪する桜花にロキと支配人は(あ、コイツ謝り慣れてる)などと思いながらも桜花を慰めた。

 

 

『いやいや今回はアイツのせいじゃないから!』

 

『そうそう、ディアがヘマしたのが原因なんだし、気にすることないって!』

 

 

桜花の謝罪とロキと支配人の慰めは橘花がM9を届けるまで続いた――――――――

 

 

 

 

 

――――――――地下要塞内部――――――――

 

 

「流石に狭いな・・・」

 

 

内部に突入したokakaは通路内部を飛行しながら愚痴る。非常事態とはいえ、折りたたんだ翼端が触れそうなほどに狭い通路を亜音速で飛行しているのだ。もはや正気の沙汰ではない。一瞬のミスが即、死に繋がる危険な状況。しかし、背に腹は代えられない。この間にもディアは刻一刻と追い詰められているのだ。

 

 

「F.B.Wの感度を最大に、スロットルも最大感度で設定!」

 

 

okakaはデュランダルの操作系を最大感度に設定、スティックの【遊び】を完全に無くし、更に機敏な動作を可能にした。ただし、それは文字通り【フェザータッチ】と言える程の感度だ。1ミリでも操作をミスしたその瞬間、機体は壁に接触し、墜落することになる。更に天井のせいでベイルアウトもできない。まさに極限の状態で飛行していた。

 

 

「っ!・・・くっ!」

 

 

通路の直角の曲がり角を一瞬だけファイターとバトロイドの中間、手足の生えた戦闘機、まるで鳥のような形態【ガウォーク形態】に変形し、速度を落とさずに一気に曲がる。

ガウォークはその性質上、バトロイド程の防御力や攻撃方向の自由性もファイター程の最高速度も出ない。しかし、推力を自由に方向転換できるため、そのどちらにも勝る圧倒的な運動性を持っている。【ガウォークを使いこなす物がバルキリーを制す】と言われるほどだ。

okakaはガウォークとファイターを使い分け、防衛兵器群を躱しながらどんどん内部に侵攻していく。その眼前に大穴の空いた壁が見えてきた。周囲には鋼髏と思われるKMFと装甲車の残骸、そして生き残ったバイオロイドと鋼髏がいた。

 

 

「?・・・ああ、そういうことか」

 

 

どうやらここでディアが一戦交えた後のようだと理解したokakaは【ピンポイントバリア】を展開、鋼髏の砲撃を防御しながら壁にMDEビーム砲とEML、機関砲とガンポッドを斉射、壁の穴を広げ一気に飛び込んだ。

 

 

「ついでだ、取っとけ!」

 

 

そう言いながら主翼を回転させ上下を反転、下部に移動したMDEビーム砲で後方に残っていた鋼髏とバイオロイドを一掃した。

 

 

「あと少し・・・待ってろよ馬鹿ディア!」

 

 

機体を反転状態から立て直し、okakaは更にスロットルを開き、加速するとディアのいる深部へと飛び込んでいった―――――――――

 

 

 

―――――――――その頃深部では―――――――――

 

 

 

『フェフェフェ!ほれほれ、いつまで保つかのぉ~』

 

「くっ・・・・・・」

 

 

周囲をグラディエーターに囲まれ、絶え間無い銃撃をレオの全周囲ブレイズ・ルミナス【ルミナスコーン】で必死に耐えるディア。レオのコックピットモニターに映るカレラ・セトメの大型グラディエーターがまるで子供のように囃し立てるのを見ながら、歯噛みしていた。

囲まれ、身動きが取れない上に遠距離武装を喪失している状態では、文字通り手も足も出ない。更にルミナスコーンによるエナジーの消耗が激しい、このままでは完全にジリ貧の状態だ。

 

 

 

 

―――――――――潰レろ―――――――――

―――――――――みンなきエチゃえ―――――――――

 

 

 

 

フォールド通信機からは子供達の怨嗟の声が止まない。それが更にディアの精神を消耗させていた。

 

 

「なんで・・・なんでそんな事を・・・止めてくれ!君達は操られてるんだ!そんな・・・そんな絶望なんてしないでくれ!目を覚ましてくれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

『フェフェフェ!何を言おうと無駄じゃて!ただの生体ユニットであるこやつらには届かぬ!諦めてワシの元へ来い!た~~~~っぷりかわいがってやるぞい!フェフェフェフェフェ!』

 

 

ディアの悲痛な叫びを否定するカレラの声を無視しながらなおもディアは叫ぶ。

 

 

「目を覚ますんだ!君達はそれでいいのか!?兵器にされて、殺しを強要されて、本当にそんな事を望んでるのか!?」

 

『ただの演算装置に何を何度言おうと無駄じゃというのに・・・それすら解からん「黙れ!」!?』

 

 

なおも煽るカレラの言葉を遮り、ディアは叫ぶ。かつての悲劇、その中に残った――――――――

 

 

「たとえ体を失おうと、記憶を無くそうと、人の魂は消えない!僕はそれを見てる!それを知ってる!人間を・・・人の魂を舐めるなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

―――――――― 一筋の希望を ――――――――

 

 

『何を言おうと事実は変わらぬ!魂など脳内粘膜と電気信号の見せる幻想に過ぎぬわ!』

 

 

「それでも僕は信じる!だから絶対に・・・絶対に助ける!絶対に救い出す!だから・・・・・・だから目を覚ましてくれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

――――――――イヤダ――――――――

 

 

 

 

『『!?っ・・・』』

 

 

不意に聞こえてきた声、その声にディアとカレラは目を見開いた。そして次の瞬間、ディアは歓喜に、カレラは否定に身を震わせた。

 

 

『馬鹿な・・・ありえん!あり得るはずがない!ワシの調整は完璧なはずじゃ!』

 

 

想定外の事態にカレラは取り乱し、動揺する。完璧に制御されていたはずのグラディエーターは沈黙し、カレラのコントロールの一切を受け付けない。こんな事は起きるはずがない、あり得るはずがないのだと。それを否定するようにグラディエーターに助け起こされたレオのコックピット内でディアは叫んだ。

 

 

「あり得るのさ・・・言っただろ・・・人間を、舐めるな!」

 

 

 

――――――――ボクは――――――――

 

 

 

『『『『『『僕(私)は・・・こんな事したくない!!』』』』』』

 

 

グラディエーターにされた子供達の叫びがレオのコックピットに響き渡る。その声が発せられる物、okakaが増設したフォールド通信機の中央にあるフォールドクォーツが光り輝いているのを見たディアはそれに手を伸ばした。

指先が触れた瞬間、ディアは確かに見た。六人の幼い男女、身長も肌の色も髪の色もバラバラなその子供達を。そして理解した。フォールドクォーツが【心を繋ぐ力】を持っていることを。

ディアはフォールドクォーツを通じて子供達に語りかける。

 

 

『やっと通じたね、もう大丈夫だよ。僕が君達を助ける。アイツを倒して、絶対に助けるから』

 

 

ディアの言葉に子供達は笑顔を見せてくれた。そして振り返り、カレラを睨みつけた。

 

 

『僕達も戦うよ、アイツは絶対に許さない』

 

『おにいちゃんボロボロだもん!』

 

『一緒にアイツを倒そう!』

 

『そうだ!そうだ!』

 

 

子供達の声と共にグラディエーターのハッチが強制開放され、操縦していたバイオロイドが次々と排出された。そして、全てのグラディエーターが機銃を構え、カレラに向けた。

 

 

「みんな・・・」

 

『馬鹿な!このワシに逆らうのか!貴様らを完璧な兵器にしてやった恩も忘れて!』

 

 

機銃を向けられたカレラは歯噛みしながらグラディエーター達を睨みつける。自分の制御を離れ、反旗を翻す子供達は自分が完璧に【作り直してやった】のに、それを否定したのだ。

子供達は返す。

 

 

『うるさい!』

 

『僕達はこんな事望んでなかった!』

 

『拐われて兵器にされた!』

 

『私達に酷いことした!』

 

『だから絶対許さない!』

 

『お前なんか大っ嫌いだ!』

 

 

 

子供達は口々にカレラへの恨みや怒りを叫ぶ。その声にカレラは身を震わせ、怒りを露わにして叫んだ。

 

 

『黙れ黙れ黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!認めたくはないが、貴様らは失敗作だったようじゃな!ならばもう要はない!ワシ自らがスクラップにしてやるわ!』

 

 

怒りに叫びと共にカレラの乗る大型グラディエーターが両腕に機銃を掴むと、周囲を薙ぎ払うように発砲してきた。その砲弾を六機のグラディエーターは躱し、銃剣で叩き落とし、装甲で受け止めた。ディアの乗るレオも砲弾を浴びそうになるが、射線に割り込んだ一機のグラディエーターが砲弾を全て叩き落とした。

 

 

『おかえしだ!』

 

 

一機のグラディエーターが機銃を大型グラディエーターに向け発砲、随伴機が制御下を離れた今ならバリアフィールドも消えているはず、この攻撃は通る、そう確信した。だが大型グラディエーターは回避をする素振りも見せない。それをディアが疑問に思った瞬間、砲弾が大型グラディエーターの寸前ではじけ飛んだ。

 

 

「まだバリアが生きてる!?なんで・・・」

 

 

ディアが驚く中、子供達は大型グラディエーターにありったけの砲弾とグレネードを打ち込む。しかし、そのどれもが通じない。凄まじい火線の中、カレラは笑っていた。

 

 

『フェフェフェ!敵に真実を教える訳無かろうて!ここに踏み込んだ瞬間、お前は既に負けておったのじゃ!貴様らの攻撃など通りはせんわ!』

 

 

カレラは叫びと共に更に機銃とグレネードを発砲、それに気を取られたグラディエーターの内の一機が施設の防衛兵器に狙撃された。高貫通力を持った【矢】が突き刺さる。

 

 

『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

 

貫かれたグラディエーターの悲鳴と激しい痛みがフォールドクォーツを通じ、ディアにも伝わった。ディアが助けようとしてレオの手を伸ばした瞬間、そのグラディエーターの全身に矢が撃ち込まれる。

 

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

全身を引き裂くような痛みに筋肉が硬直し、身動きが取れない。そしてその眼前に無数の矢の雨が降り注いだ。

 

 

『いやだ・・・痛いよ・・・死にたく・・・・・・』

 

 

全身を射貫かれたグラディエーターが力無くうなだれ、膝を折る。センサーがゆっくりと明滅を繰り返し、消えた――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

また終わらなかった・・・もう今度から前後編とか書くの止めてナンバリングだけにしようと心に決めました。次回もまだ続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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