三日月と一緒の始めての夏休みです。
それはすこしドキドキする響きがありました。
四六時中毎日三日月と同じ時間を過ごしていますが、学校の時間は何をしているのかわかりませんし、休みの日以外に日中同じ時間を過ごす事は無かったからです。
私は一応刀剣男子として夕方週2回ほど剣道を嗜んでおりましたので、帰宅も遅く、三日月と暮らしはじめたばかりの時はそれが調度都合が良かったのですが、今となっては休みの時に早く帰宅して家で待っている三日月と早くお話しする方が楽しみでした。
夏休みといえども、現代の技術ではオールコントロールの気候なので、家の中では涼しい物です。
私の家には山村の田舎ですから大きな庭もあり、それなりに庭の雰囲気を満喫する事が出来るようになっております。
私が夕涼みに庭の縁側に向かいますと、三日月が縁側に座っていました。
私はその姿を見ると、隣に座り
「あにさま、何を見ているのですか?」
と聞きますと、三日月は
「あそこの朝顔を見ている」
と、おっしゃって庭の朝顔を指差しました。
朝顔は夏の自由研究に小学生のときに植えた物が季節になると勝手に咲くようになっておりました。
勝手にしておりますので、そこらじゅうの木々に這い回ってツルをのばしているのです。
もうすぐ花が咲くところでしょうか
松の枝に朝顔のツルが巻きついて、まるで松の木のお花の蕾のようです。
「おもしろいですね」
「うむ。もう少ししたら花が咲いて、より賑やかだな」
ふふふ、と三日月は笑いました。
地を這うツルはそこらじゅうの地面にもありましたので、朝顔が花を咲かせるのに場所をこだわらないのかと思いました。
ただ太陽に向かってツルを伸ばす朝顔。
「あにさまは、前のお家のお庭もこうした物でしたか?」
「いや、私は施設暮らしだったから・・園の花壇の手入れが皆の当番で交代で手入れしていたな」
「・・・そうでしたか」
聞いてはいけない事でしたでしょうか?
でも、三日月の事を何でも知りたい私はますます興味が湧いてしまうのでした。
「えと、あにさまはどんなものを育ててましたか?」
「うーん、俺個人のものというのはあんまりなかったかな小さなスコップ位しか持ったことが無いから本格的に手入れしている者には笑われてしまうかもしれぬ」
ハッハッハ、と豪快に笑い飛ばしまた庭を眺めるのに戻りました。
そういえば、三日月は鍬を見てキョトンとしていましたし、本当に花壇の手入れ位しかしたことが無いのかもしれません。
「それでな、皆で花壇を見ながらおやつを食べたりするのだ。そうすると年幼いものがウトウトしてくるから、そのまま布団に行くのを手伝ったり、膝を貸したりする」
「あにさまの、お膝を!」
「お主何を興奮しておるのだ」
「だって!お膝を!あにさまの!ずるい!」
「ずるい?ふむ・・」
三日月は少し考え込むような顔をしました。
私が何に嫉妬しているのか解からないといった具合です。
だって!どう考えてもずるい!三日月のお膝で眠れるなんて!なんて羨ましいのでしょう!!
「いつもスミレの花を花壇に生けるのを手伝っていたのだ。スミレは時期が長いから。それを眺めながらポカポカ日向ぼっこしながら皆でのんびりするのが俺は好きだった。」
ちょっと寂しそうな目を三日月はします。
私が隣に居るのにそんな目をしないで欲しい。
私はムキになって、無言で三日月のお膝に頭を預けました。
「ん?どうしたどうした」
「私も庭を眺めていましたら何やら眠くなって参りました!」
ふん!と鼻息荒く言うと、私はゴロンと三日月のお膝に陣取り目を瞑りました。
すると、三日月の掌が私の髪に触れました。
暫く頭をなでなで撫でられると、髪を手で梳いてくださいました。
これはいけません。
当然私は眠ることなど出来ず、目をパッチリと開いてしまいました。
三日月は相変わらず私の頭を撫でたり梳いたりしてくれています。
気持ちは良いのですが、三日月が撫でてくれているという事で私は興奮して落ち着きません。
三日月は何やら昔を思い出しているのか、相変わらず上機嫌で私の頭を撫でています。
はあ、三日月は当時の友人への親愛を思い出す行動なのでしょうが、私には、その、だって、三日月に頭をなでなでされるなんて、ああ・・・・勃起しそう・・・・・・・・
撫でられる手の気持ちよさに集中しようとは思うのですが、相手が三日月だと思うとどうしても興奮してしまいます。大体お膝とはいえ太股ですし、仕方ないことです、私も14歳の男でございますし・・・・・・・・
「あ、あにさま、これは」
「ん、どうした撫でられるのは嫌だったか?俺は犬の毛並みみたいで撫でてて楽しいのだがなあ」
ぱっと手を離されて、撫でる手を止めてうれました。
ああ、絶対あとちょっとで勃起してました・・・助かりました。
「いえその、手より出来れば櫛やブラシの方が良いかと・・」
「そうだな、そなたは髪の毛の量が多いからなあ」
「ええ、くせっ毛ですし」
「待っていろ、櫛を持ってくるからな」
三日月はそう言うと、櫛を持ちに席を立ちました。
暫く待っていますと、櫛を手に持った三日月が戻って参りました。
「ブラシより櫛の方が良いだろう。ほら、ここに頭を置くが良い」
ポン、とお膝を叩かれて、私に頭を預けるよう指示されました。
私はいそいそと膝を枕に庭を眺めて、三日月の櫛梳きを満喫しました。
三日月と一緒の夏休みは始まったばかりです。
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