No.761322

真・恋姫†無双 異伝「空と命と夢の狭間に」第六十八話


 お待たせしました!

 益州に向かう途中に現れた左慈を撃退し、于吉の

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2015-02-28 20:54:01 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:4884   閲覧ユーザー数:3709

 

「…北郷一刀?…まさか、何故?」

 

 俺の姿を見た于吉の顔が驚愕に彩られる。確かにあれだけ結界やら術やらがかけられて

 

 いるこの場所に敵が来たら、俺が于吉の立場でも驚くだろうが。

 

「俺が此処にいる理由など、どうでも良いだろう…とりあえず今お前が劉璋にかけている

 

 術を解け。そうすれば手荒な真似位は勘弁してやる」

 

「ふん、多少は出来るからと言っていい気にならないでください。居場所を見つけられた

 

 程度で我々の優位は覆りませんから」

 

 于吉はそう言って指を鳴らすと、その周りから白装束の兵達が現れる。これが及川が言

 

 っていた奴か。

 

「さて、今度はこちらが要求する番ですね。そちらこそこちらの邪魔をしないと約束して

 

 くれるので…『ザシュッ、ズバッ、ブシュッ!』…なっ!?」

 

「こんな役にも立たない人形を繰り出して一体何を要求すると言うんだ?」

 

 于吉がドヤ顔で何やら言っている間に俺がそこに現れた白装束を全て斬り伏せる。さす

 

 がにそれは予想外だったのか、于吉の顔が歪む。

 

「役に立たない人形とは言ってくれますね…しかし此処は私の結界の中、その人形は幾ら

 

 でも呼び出せますよ!」

 

 于吉はそう言って再び白装束を呼び出そうとするが…。

 

「遅い」

 

 俺は一気に距離を詰めて于吉がかざした右腕を肘から斬り落とす。

 

 

 

「なっ…うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?わ、私の、私の右腕が、右腕が無いぃぃぃぃぃぃぃ

 

 ぃぃ!」

 

 于吉は無くなった右腕を抑えて半狂乱に叫びまくる。

 

「つまらん小細工は終わりだ」

 

「くっ、くっそおおおおお、この、北郷一刀の分際で、分際でぇぇぇぇぇぇ!『縛』!!」

 

 于吉がそう唱えると俺の身体が何かしらに捕えられそうになる。

 

「くっ、くふふふふふっ!如何にあなたとてこの術からは逃れられませんよ!さあ、まず

 

 は手始めにその右腕から…『こぉぉぉぉぉ…喝!!』…何ですと!?」

 

 于吉が俺を捕らえようとした術を俺は気合い一発で吹き飛ばす。これは昔じいちゃんに

 

 教わった妖術の破り方で『己の気を丹田に充実させて一気にそれを放つ』という方法で

 

 ある。じいちゃんにそれを教わった時は『こんな技何時使うんだ?』とか思ったけど…

 

 ちゃんと習っておいて正解だったな。人生何が役に立つか本当に分からないものだ。

 

「バカな…何故こうも易々と私の術が破られるのです」

 

 于吉は驚きの余りに眼を見開いたまま半ば呆然とそう呟く。

 

「どぅふふ、此処までやるなんて、さすがはこの私が見込んだだけの事はあるわねぇん」

 

 そこに貂蝉が現れる…正直、何時こいつに見込まれたのかは甚だ不明だが。

 

「なっ…お前は貂蝉!此処を見つけたのはお前の力か!?」

 

「それは違うわぁん、左慈。此処の結界も奇門遁甲も完璧だった、如何に漢女の力が偉大

 

 だからといっても、此処を見つけるのは無理だったわねぇん。此処を見つけたのは純粋

 

 に彼の力なのよねぇん」

 

 

 

「何と…北郷一刀、一体どうやってあなたはこの場所が分かったのです…左慈を尾行する

 

 事も不可能な様に彼にも奇門遁甲をかけていたはずです」

 

「そうだな、確かにとんでもない程に凄い術だな。左慈が何処に行ったかも此処が何処に

 

 あるのかも見つける事など出来なかった」

 

「見つける事が出来なかった…冗談も大概にしてください、あなたは此処にいるではない

 

 ですか」

 

 俺の言葉が冗談に聞こえたのであろう于吉は苦々しげに声を震わせる。まあ、その言葉

 

 だけ聞いたらそうなるわな。

 

「俺が見つけたのは俺の血だよ」

 

「血?血など何処に?」

 

「左慈の身体にだ」

 

「俺の身体にだと!?」

 

「ああ、前の戦いの時にちゃんと言っただろう?お前の一撃が俺の頬をかすめて血が出た

 

 って。その血に気を込めて刀身に付けて左慈への攻撃の時にくっつけたんだよ。そして

 

 俺達はそれを追って此処に到達したってわけだ」

 

「かずピーの血の軌跡を辿らへんかったらワイはこの場所に意識を向ける事も出来へんか

 

 ったけどな」

 

 後ろから顔を出した及川がそう付け加えるが…。

 

「何だと!?北郷一刀はともかく、外史の傀儡にまで…」

 

「何や、それはワイの事かいな!?」

 

「「他に誰がいる(のです)?」」

 

「ワイかてかずピーと同じ所から来た人間や~!何や、この扱いの違いは!主役と脇役で

 

 こうも違うんかぁ!?」

 

 左慈と于吉にそう言われ、何やらわけの分からない事を喚いていたのであった。

 

 

 

「及川、お前は下がっていろ。さすがにお前の戦闘力じゃあいつらには勝てないだろう?」

 

「ワイを侮らん方がええで…ワイは後二回変身出来るんやからな!」

 

「何だと!?戦闘形態に変身出来る人間がいるというのか!?」

 

「いやいや、こんな与太話にまともに反応する方がおかしいだろうが」

 

「えっ…そ、そんな事位お前に言われなくとも大方気付いていたに決まっているだろう!」

 

 及川がドヤ顔で言ったボケに左慈がまともに反応するので俺がツッコむと取り繕うよう

 

 にそう返してくる。正直、管理者の頭のレベルを疑ってしまうが。

 

「と、ともかく…そっちの奴も北郷一刀と同類というのであれば、此処でまとめて始末す

 

 るのみだ!」

 

 どうやら少々いたたまれなくなった感じになった左慈は、強引に話題を変えつつ構えを

 

 取る。しかしその顔が少々赤いままなのはツッコんでおくべき所だろうか?

 

「さて、こちらも何時までもお前らと遊んでいるわけにもいかないし…決着をつけさせて

 

 もらう」

 

 俺はそう言って刀を構える。

 

「そうねぇん、此処は私も参加させてもらうねぇん…ぶるわぁぁぁぁぁ!!」

 

 続いて貂蝉も構えを取り、とてつもない叫び声と共に気を解放する。相対するとあんな

 

 に気味が悪いのに、味方として立っている分にはなかなか頼もしいのが不思議だ。

 

「なぁ…ワイはどうしたらええの?」

 

 後ろで及川が所在無げにそう呟くが此処は無視…戦闘の邪魔だけはしないで欲しいと思

 

 いつつ。

 

 

 

「くっ、この身体で二人の相手は…于吉、術はまだ完成しないのか!?」

 

「どぅふふ、無駄よぉん。于吉の術が完成しないように私の仲間が邪魔しているからねぇ

 

 ん。しかも今の于吉は身体に負ったダメージで術に集中出来ていないしねぇん」

 

 貂蝉の言葉を聞いた左慈が于吉の方を見ると、于吉は一刀に斬られた右腕の所を抑えて

 

 うずくまっていた。しかもその顔はかなり青ざめている。

 

「くっ…忌々しい事ですが、貂蝉の言う通りです。今のままでは術の完成は…」

 

「くそっ、此処までの苦労が北郷一刀のせいで水の泡か!」

 

「残念ながらお前らの失敗は左慈のせいだ」

 

「…どういう意味だ!?」

 

「お前がわざわざ俺の命を狙いに一人でのこのこやって来てくれたから、俺はお前に印を

 

 付ける事に成功してこの場所を特定する事が出来たわけだし、そうでなかったらこんな

 

 にも早く此処を見つける事など出来なかっただろうね。そういうわけで…左慈、ありが

 

 とう」

 

 俺がそう言って左慈に礼を言う(当然わざとではあるが)と、左慈の顔はますます苦虫

 

 を噛み潰したかの如くに歪む。

 

「おのれ…この俺を此処まで馬鹿にして無事に済むと思うなよ!」

 

「安心しろ、無事に済まないのはお前の方だからな…貂蝉、于吉の方は頼めるか?」

 

「うっふ~~~ん、任せてちょうだい♪さあ、于吉ちゃん、いざめくるめく私の愛の世界

 

 へ共に旅立ちましょう♪」

 

「残念ですが、私の愛は全て左慈にのみ捧げられた物ですので、あなたとは共に行く事は

 

 出来ません」

 

「おい、俺は後にも先にもお前とそんな関係にはなっていないぞ!」

 

 

 

「ですので今日の所は此処で退かせていただきます…左慈、こっちへ」

 

 于吉はそう言うと半ば本気で嫌がっている素振りを見せる左慈を自分の方へ引き寄せる。

 

「どぅふふ、逃がすと思っているのかしらぁん?どのような術を使おうともそんな手負い

 

 の身体では完全に力は出せないわよねぇん」

 

 そう言って貂蝉が裏側へ回り込むが…。

 

「確かに今の身体の状態では完全な術は使えませんが…これ位の事は出来ます!」

 

 于吉がそう言うや否や、二人の身体は霧のような物に包まれ、それが消えると共にその

 

 姿も消えていたのであった。

 

『北郷一刀、今日の屈辱はいずれ倍にして返させていただきます』

 

『次会う時こそお前に引導を渡す時だ、それまでその首洗って待っていろ!』

 

 そして遠くからそのような言葉が聞こえてきたのであった。

 

「于吉の奴、どうやら逃亡用の術だけは最初から別に用意してあったようねぇん。迂闊だ

 

 ったわねぇん」

 

 貂蝉はそう言って残念そうに肩をすくめる。

 

「貂蝉、これで鈴音にかけられた術は解けるのか?」

 

「于吉が悪しき気を集めたこの場所でだからこその術だから一応は解けているはずなのだ

 

 けどねぇん…正直な所、私もああいった術は不得手な方だから完全には分からないのよ

 

 ねぇん。とりあえずこの場所は破壊しておいた方が良いでしょうけどねぇん」

 

 とりあえずは行ってみるしか無いという事か。

 

 俺達は用意して来た火薬でこの場所を爆破した後、成都へ戻ったのであった。

 

 

 

「鈴音はまだ目覚めていない?」

 

 俺達が成都に戻って摩利さんに最初に聞いたのはそれであった。

 

「はい、及川殿より術者を退けたとの知らせを聞いて真っ先に寝室へと向かったのですが

 

 …何度声をかけてもお身体をゆすってみても何の反応も無いんです」

 

 やっぱり于吉を退けた程度で一件落着というわけにはいかないようだな…。

 

「とりあえず鈴音の部屋へ案内してくれ」

 

 ・・・・・・・

 

 そして鈴音の寝室で俺が見たのは、まるで人形のようにまったく動きを止めたかのよう

 

 に眠る鈴音の姿であった。

 

「鈴音、鈴音、俺だよ、一刀だよ!お前を術にかけた奴は俺が退けた…だから眼を覚まし

 

 てくれ!」

 

 そして俺が声をかけてもまったく反応を示さなかったのである。

 

「一刀様を以てしてもダメなのですね…それじゃ鈴音様はこのままもう二度とお目覚めに

 

 はならないと…『いや、もう一つ手はあるで!』…及川殿、何時の間に!?」

 

 そこにいきなり現れた及川に摩利さんは驚く。

 

「いきなり何言うてんねん張任はん、ワイが此処に来てもええってあんさんが許可してく

 

 れたんやろ?」

 

「え、ええっと…そ、そういえば、そうでしたね。すっかり忘れていました…あはははっ。

 

 と、ところでもう一つ手があるとは一体どういう…?」

 

 摩利さんは及川の言葉に大いに期待した感じで問いかける。

 

 

 

「それはズバリ…キスや!」

 

「……………『きす』?『きす』って何ですか?魚…じゃないですよね?益州は山国です

 

 から川の魚以外はそうそう口にする機会はありませんし」

 

 及川の答えに摩利さんは小首をかしげながらそう質問する。

 

「おっと、すんまへん。キスいうんはつまり接吻の事ですわ」

 

「ああ、そうでしたか。なるほど接吻ですか…えっ、えええええっ、せ、せっ、接吻!?」

 

 そう言いながら摩利さんの顔はみるみる内に赤くなる。おや、年齢の割にはこういう事

 

 に免疫が少ないようだな。

 

「ふっふっふ…まさにその通り!ワイらの国では眠りから覚めないお姫様を愛する王子様

 

 の接吻で目覚めさせるっちゅう方法があるんです!」

 

 そして及川は眼鏡をクイッと上げながら超ドヤ顔でそう答えていたが…それはおとぎ話

 

 の中だけでの話だろうが。

 

「そ、そうか…つまり一刀様の接吻で鈴音様は目覚めるという事ですね!?ならば一刀様、

 

 今すぐに、さあ!」

 

 ええーっ…っていうか摩利さん簡単に信じすぎでしょう。及川は及川で何だか鼻息が荒

 

 くなってるし。

 

「かずピー、とりあえずはレッツトライや!!当たって砕けろやで!!」

 

「そうです一刀様、何事もれっつとらいです!!」

 

 何だか摩利さんが何気におかしい気がする…鈴音が眠っている間の政をカバーしている

 

 間に何処かぶっ壊れたのだろうか?

 

 

 

「さあ、かずピー!」

 

「一刀様、お早く!」

 

 正直、二人が凝視している前でキスっていうのは抵抗があるんだけど…はぁ、仕方ない。

 

 とりあえずはやるだけやってみよう。

 

 俺はそう決心して鈴音に顔を近付ける。その時…。

 

「オギャァァァァァァァァーーーーーー!」

 

 離れた所から一音の泣き声が聞こえ、それに反応するかのように鈴音が目覚める。

 

「一音の声…私、一体………………………………えっ!?」

 

 そして目覚めた鈴音の眼の前には、今まさにキスをしようとしていた俺の顔があったわ

 

 けで…。

 

「キャアァァァァァァァーーーーー!『バチィーーーーーン!!』…って、一刀殿!?」

 

 反射的に出て来た鈴音の平手打ちに俺はあえなく轟沈したのであった。

 

 ・・・・・・・

 

「申し訳ありません、本当に申し訳ありませんでした!!」

 

 それから半刻後、ようやく落ち着きを取り戻して摩利さんから一連の話を聞いた鈴音は

 

 絶賛土下座状態であった。

 

「いや、大丈夫だから…そりゃ、眼が覚めていきなり人の顔があったら驚くだろうし」

 

「それを差し引いたとしても、私を助ける為にわざわざ成都まで来てくださった一刀殿を

 

 ひっぱたくなんて…本当に申し訳ありませんでした!!」

 

 結局、鈴音の土下座はそれから小半刻程続いたのであった。

 

 

 

「さて、とりあえず落ち着いた所で…それじゃ鈴音は眠りに入った辺りの事はまったく覚

 

 えていないという事なのか?」

 

「…はい。五胡との戦いが終わり劉焉が死んだという話を聞いた時には思った以上に衝撃

 

 を受けていた自分に驚いていました。あんなのでもやはり父は父だったんだと…しかし

 

 死んだのは劉焉の自業自得、そう思って…そう思っていたはずなのですけど…」

 

 鈴音はそこまで言うと眼を伏せて何かに思いをはせるように再び話し出す。

 

「その日から毎晩父の夢ばかり見るようになって…しかも私がまだ小さい頃、優しかった

 

 父の事ばかり…そうしている内に『本当に父上が死んで良かったのか?』『本当ならば

 

 父の悲願を娘として支えるべきだったのではないか?』という考えばかりが頭に浮かん

 

 できて…その時に何処か遠い所から声が聞こえてきたんです。『あなたは親不孝者だ…

 

 それを晴らす為には今こそ父上の悲願を引き継ぐのです』と…最初の内はそんな怪しげ

 

 な声などはねのけようと思っていたのですが、毎日その声を聞く内に段々と心の中に深

 

 い闇が広がってくるような感覚がして…それから先はまったく記憶がありません。ただ、

 

 その怪しげな声とそれをはねのけるかの如くに聞こえる力強く野太い声が聞こえていた

 

 ような気がするだけで…」

 

 ふむ、どうやらその怪しげな声とやらは于吉の術で間違いないようだが…もう一つの力

 

 強く野太い声というのは何なのだろう?どうやらその声が鈴音にかけられようとしてい

 

 た術の完成を妨げていたようだが。

 

「その野太い声という方に何か心当たりは無いのか?」

 

 俺がそう聞くと鈴音ははっきりと頭を横にふっていた。世の中には色々と不思議な事も

 

 あるものだな…違う世界から来た俺が言う台詞では無いのかもしれないが。

 

 

 

 その頃、成都の城外の森の中にて。

 

「あらぁん、此処にいたのね…卑弥呼」

 

「ああ、貂蝉か…さすがに今回は少々力を使いすぎたわい。于吉の奴めは随分と強い術を

 

 使いおった故にな。まあ、終わり良ければ総て良しだな…がっはっは!」

 

 そう言って笑っていたのは貂蝉と同じ管理者の一人である卑弥呼である。実は鈴音が聞

 

 いていた『力強く野太い声』の正体はこの卑弥呼であったりする。おそらく本人がそれ

 

 を聞いたら『こんなに可憐な声が他にあるはずが無かろうが!』と、とても力強く否定

 

 するとは思われるのだが。

 

「これも卑弥呼が于吉の術を防いでいてくれたおかげよぉん」

 

「そう言ってくれればありがたいが、後三日遅かったら奴の術に押し負けておったかもし

 

 れん。此処は北郷一刀に感謝だな…しかしあ奴は何者だ?手負いだったとはいえ、左慈

 

 と互角以上に戦い于吉の術すら破るとは」

 

「それは私も疑問だったのよねぇん…でも、どうやらその鍵は元の世界にいる彼のお祖父

 

 様にありそうなのよねぇん」

 

「ほぅ…それは少々興味がある話だのぉ」

 

「でも、私は消えた于吉達を捜さなければならないのよねぇん…このままおとなしく引き

 

 下がるとは思えないしねぇん」

 

「そうか…ならばその者には儂が会いに行ってやろう」

 

「良いのぉん?」

 

「ああ、その代わりお主は必ず于吉達を捜しだせ」

 

「分かってるわぁん…このままでは私も此処に来た意味は無いものねぇん」

 

 二人はそう言って頷き合うと三秒後には消えるようにいなくなったのであった。

 

 

 

「ブルッ!」

 

「どないした、かずピー?」

 

「いや、ちょっと寒気が…」

 

「風邪ですか?体調がお悪いのなら今日の所はお休みになってください。わざわざ益州ま

 

 で来てもらってお身体を悪くされたら陛下に申し訳も立ちませんし」

 

「そうや、あいつら捜すんはワイらに任せとき。かずピーのこれがあれば…あれ?何も反

 

 応してへん」

 

「ああ、左慈に仕込んだ俺の血はわずか一滴程度だったし効果が切れてしまったんだろう。

 

 とりあえずはああいうのが現れる時には不穏な前兆があるものだからそれに気を付けて

 

 もらえば…なかなか難しいかもしれないけどね」

 

 おそらくああいうのがこのまま終わるはずは無い…まだまだ戦いはこれからという事な

 

 のだろう。気の重い話だ。

 

 ・・・・・・・

 

 ~???~

 

「くそっ、俺達が此処までいいようにやられるとは…」

 

「手練れだとは思っていましたが、正直此処の北郷一刀の力を侮っていたという事なので

 

 しょうね」

 

「これからどうするんだ?まさかこのまま一旦退くとか言わないだろうな?」

 

「まさか…このまますごすごと帰るわけにはいきませんよ。しかし、この傷を癒すのと貂

 

 蝉達の監視の眼をかいくぐるのにしばしの時間を要するのは事実ですね…忌々しい話で

 

 はありますが」

 

「くそっ、北郷一刀め…この次こそ絶対にその息の根を止めてやる!」

 

 左慈はそう悔しそうに呻いていたのであった。

 

「左慈、それはやられ役が言うお約束の台詞ですよ」

 

「余計な事を言うな!!」

 

 

                                      続く。

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 一応拠点における管理者の出番は以上です。

 

 あくまでも拠点では…なので、後々また登場する事

 

 にはなりますが。

 

 というわけで次回以降しばらくは普通に拠点をお送

 

 りします。

 

 誰にするかは現在の所未定ですが…メインヒロイン

 

 勢を最近出してないので誰かは出さなければ。

 

 

 それでは次回、第六十九話でお会いいたしましょう。

 

 

 

 追伸 一刀のじいちゃんい会いに行った卑弥呼の話は

 

    またその内にお送りしますので。

 

 

 

 

 

 

 


 
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