～一刀視点～

「荊州を攻める！」

朝議で雪蓮の声が響き渡る

現在、荊州は劉備が治めている

劉備は袁紹に攻められ徐州を逃れた後、劉表の庇護下にいた

劉表の死後、跡目相続を巡り内乱が起きたが、劉備は劉埼の後見となり内乱を治めた

その後、劉埼が病弱を理由に州牧の座を劉備に譲る

正式に荊州の州牧となった劉備は、現在益州攻略を始めて、益州の大半を攻略していた

「今回の荊州攻略の総大将は蓮華　貴女よ！」

「私が、ですか？！」

雪蓮の発言に、孫権が驚いた声を出す

「そ、蓮華も孫家の次女として、そろそろ一人前の所を見せなさい

　私にもしもの事が有ったら、孫呉を率いるのは貴女なんだから」

「姉様！

　不吉な事を言わないで下さい！」

これは、よくあるやり取り

雪蓮は自分の後継者は孫権だという事を、度々口にする

正論なのだが、雪蓮の死（若しくは重体）を前提にしている為、孫権が噛みつく

「それに何故、姉様が動かれないのです？」

「理由は蓮華の名を諸侯に響かせる為

　私達に降った豪族の中には、貴女を評価して無い者もいるわ

　それが、間違いだと知らしめる為

　もう一つは今回は冥琳が不参加なの

　華佗の診察で、初期の病が見つかってね

　治療の為、建業を動けないの」

「冥琳が病でも、姉様が動けない訳では無いと思いますが？」

「私も、そう思うんだけどね～・・・」

「孫権、何を言ってるんだ

　冥琳が居なかったら、誰が雪蓮の暴走を止めるんだ？」

「確かに」

重臣一同の総意だった

「今回の荊州攻略は、当初は二面作戦を取ります

　第一軍を蓮華様が率い、江夏に侵攻します

　第二軍を一刀が率いて、長沙に侵攻します」

「待て、冥琳

　何故、こいつなのだ？

　粋怜や、祭だっているだろう」

冥琳の説明を孫権が遮る

かなり、嫌われたようだな　いや、信頼されていないのか？

「今回の戦で祭殿は出陣しません

　建業の守備に就いてもらいます

　粋怜殿は蓮華様の副将です

　経験の浅い蓮華様の補佐をして貰います」

「それに、一刀を認めていないのは貴女と思春だけよ

　貴方達以外は、誰も異存ないみたいよ」

「う、分かりました

　冥琳続けてくれ」

冥琳の説明と、雪蓮の指摘で孫権も引き下がった

「江夏も長沙も守将らしい守将は居ない上、兵数も５千と少数です

　落とすのは、問題ないでしょう」

向こうも重要視していないのだろう

襄陽さえ押さえていれば、取り返すのは可能　そう思っているのは想像に難くない

「江夏と長沙を落とした後、守備兵を残して出陣し途中で合流　そのまま襄陽を攻めます

　襄陽には兵が５万　守将として関羽　軍師として鳳統が就いています」

此処が問題だな　無策では落とせないだろう

「陣容ですが

　第一軍は蓮華様、粋怜殿、思春、梨晏、氷雨

　第二軍は一刀、鞘華、明命、静里

　兵は双方とも３万」

「出陣は３日後、準備に掛かりなさい」

「御意！」

～鞘華視点～

出陣が決まった

戦は好きでは無いが、一君と一緒なのでまだ良い

一緒じゃないと、また誰か落としそうだしね

私の見た所、孫呉の重臣の一君への好感度は

既に落とされている・・・・・・静里　氷雨

かなり高い・・・・・・・・・・雪蓮　粋怜さん　祭さん

結構高い・・・・・・・・・・・冥琳　梨晏　シャオ　穏　明命

低い・・・・・・・・・・・・・思春

ちなみに”かなり高い”の三人は一君と肌を重ねるのに同意しているようだ

雪蓮は兎も角、後の二人は年・・あれ？なんか殺気を感じた

まあ、一君もあの三人の誘惑に乗らないのなら、只の女誑しでも無いかな

分からないのが蓮華だ

思春もそうだけど真名を許していない

そこだけ見れば”低い”に入るんだけど、何か引っかかる

無理してるのかな？　でも何で？

「鞘姉、ちょっといいかな

　関羽と話した事が有るって言ってたよね？」

出陣の準備をしている時に、一君が話しかけて来た

一君には華琳の所に居た時、劉備が領土通過の許可を貰いに来た時の話はしてある

「関羽の印象ってどうだった？」

随分と抽象的な質問ね

「武は一流　将としては二流って感じかな

　精神面で未熟な感じがしたわ

　必要な時に感情を制御できないような印象だったから」

これが、私の関羽の評価だった

「そう、精神面が未熟なのは俺も思った

　でも、あの”関羽”が将として二流なのかな？」

「一君、この世界ではあの”関羽”が女性なのよ」

「あ・・・」

忘れてたのね　まあ私も忘れそうになるけど

３日後、私達は出陣した

～あとがき～

今回は桃香との戦の前段階です

次回から、本格的になります

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです