No.760746

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第563話

2015-02-26 00:04:16 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1907   閲覧ユーザー数:1621

 

~鳳翼館~

 

「……メンフィルとクロスベルも”空の女神”の意見は無視できないと判断しての事、か。」

「確かにその判断は間違ってはいないけど……」

理由を聞き終えたセルナート総長とルフィナは重々しい様子を纏って呟き

「う~ん、教会は基本どの勢力に対しても中立やし、戦争が起こった際は片方の国が和解を求めたら和解に向けて動くけど……」

「……七耀教会(わたしたち)に話も通さなかった上面会の約束もせずに直接”空の女神”を訪ねて嘆願するのはどうかと思うのですが。」

疲れた表情で呟いたケビンの代わりにリースは真剣な表情でリィン達を見つめて指摘した。

 

「七耀教会に話を通さなかった事や面会の予約をしなかったのは時間が無かった為で故意ではない。必要ならこの場で謝罪するし、後で父上―――エレボニア皇帝自身がアルテリア法国に出向いて謝罪と依頼をしても構わない。」

「女神様、どうかわたくし達――――エレボニア帝国に御慈悲をお願いします……!」

リースの指摘に対してオリヴァルト皇子は重々しい様子を纏って答え、アルフィン皇女はエイドスを見つめて頭を深く下げ

「…………………………」

「エイドス…………」

「”神”にすがりたい君達の気持ちはわからなくはないけど……」

「……難しい問題ですね。」

目を伏せて黙り込んでいるエイドスをフィーナは静かな表情で見つめ、アドルとエレナは複雑そうな表情をし

「それで?貴女はどうするんだい?」

ワジは真剣な表情でエイドスを見つめて問いかけた。

 

「―――前にも皆さんにも説明しましたように、私は皆さんが立ち向かう内戦や異世界の大国との外交問題に介入する”権限”はありませんし、そのつもりもありません。――――そしてその気持ちは今も変わりません。」

「そ、そんな……女神様はエレボニアの人々を見捨てるのですか……?」

「……エレボニアの人々は平和を願って、貴女に祈り続けているのに何故エレボニアを見捨てるのでしょうか?」

目を見開いて静かな表情で答えたエイドスの非情な答えに表情を青褪めさせたエリスは身体を震わせながら尋ね、ガイウスは複雑そうな表情で尋ねた。

「見捨てるとは人聞きが悪いですね。単に”国が滅ぶだけ”で多くの人々が傷つけられたりはしないのでしょう?そんな”些細な事”は今までの歴史で繰り返され続けています。」

「……そうね。そして人々は争いをいずれ忘れて生きて行き、いつかまた争いを始め、争いが終わればまた忘れて生きて行く……という繰り返しをし続けて行くのでしょうね……」

「クレハ様……」

「………………」

エイドスの答えに悲しそうな表情で同意したクレハをノイは辛そうな表情で見つめ、ナユタは複雑そうな表情で黙り込んだ。

 

「く、”国が滅ぶ事が些細な事”って……!」

「確かに直接傷つけられる事はないと思いますけど……心に傷は負うと思いますよ?」

エイドスの非情な答えにトワは信じられない表情をし、アンゼリカは真剣な表情で問いかけた。

「そうですね。ですがそれも一時的な傷。10年、20年と長い年月と共に人々はやがて祖国が滅んだという記憶を忘れ、平和な暮らしに満足するでしょうね。一応私も現在の世界情勢をある程度ケビンさん達から聞いています。確かエレボニア帝国の暗殺された宰相も実際にそれを行い、それが原因で”帝国解放戦線”――――テロリストが産まれたそうですね?」

「そ、それは…………」

「……………………」

「まあそれはそうだけど、だからと言ってエレボニアが滅びていい理由にはならないと思うんだけど~。」

エイドスの指摘に反論できないマキアスは言葉を無くし、クレア大尉が辛そうな表情で黙り込んでいる中、ミリアムは真剣な表情でエイドスを見つめた。

 

「そもそも”権限”がないってアンタは言ってるけど、その”権限”ってどういう意味なのよ。」

「セ、セリーヌ。お願いだからもっと、丁寧な言い方で尋ねて……」

目を細めるセリーヌにエマは冷や汗をかいて指摘し

「口調の事で私は気にしていないので心配無用です。―――セリーヌさんの疑問についてですが………クロスベルで”零の至宝”の件等を知った皆さんなら既にお気づきと思いますが私は”過去の存在”です。”過去の存在”が異なる時代―――”未来”で”その時代の本来の歴史”を変えるような事は”禁忌”です。ましてや政(まつりごと)に介入する等以ての外です。」

エマを制したエイドスは静かな表情で答えた。

 

「……しかし、その答えでは矛盾が生じてしまいますが。」

「未来の歴史を変えちゃいけないって言ってますけど、女神様自身が思いっきり変えていますよね……?」

「ん。”六銃士”や”特務支援課”に肩入れしたじゃん。」

「何故クロスベルはよくて、エレボニアはダメなのでしょうか……?」

エイドスの答えに疑問が生じたラウラは真剣な表情をし、エリオットは不安そうな表情で尋ね、フィーはジト目でエイドスを見つめ、セレーネは悲しそうな表情で尋ねた。

 

「彼らに助力したのは”零の至宝”が改変してしまった”歴史の正しい流れを護る為”であり、ゼムリア大陸の歴史の流れを歪ませてしまった”原因”である”零の至宝”の誕生の元となった”幻の至宝”をクロイス家に託した私の責任を取る為とこれ以上”零の至宝”もそうですがクロイス家にゼムリア大陸の歴史を歪まさせない為です。」

「だ、だからと言ってエレボニアは滅びろって言うんですか!?」

「貴女は”女神”でもあるのよね……?どうして女神なのに、人々を助けてくれないの……?」

エイドスの答えを聞いたアリサは悲痛そうな表情で指摘し、ゲルドは不安そうな表情で尋ねた。

「先程ゼムリア大陸の歴史の流れを歪ませてしまった責任を取る為と言ったが……その件で被害を受けたエレボニアの件も貴女が責任を取って、何とかするべきではないのか……!?」

「……まさかとは思うけどエレボニアが滅ぶのも”改変した歴史の正しい流れ”って言うつもりかしら?」

「……だとしたら、余りにも酷すぎだろ……」

ユーシスとサラ教官が厳しい表情でエイドスを見つめている中、トヴァルは疲れた表情で呟き

「お願いします。ただ、二国に情状酌量を認めるように意見して下さるだけでいいんです……!」

リィンは頭を深く下げて懇願した。

 

「―――あくまでこれは”私個人”の意見ですが、エレボニア帝国の滅亡を防げたとしてもその先の”未来”を考えれば正直な所、今滅亡した方がエレボニア帝国に住まう人々の為にもなると思うのですが。」

「”滅亡を防いだ後の未来”……?」

「え…………そ、それは一体どういう事なのでしょうか……!?」

「……………………」

エイドスの意見を聞いたトワは不思議そうな表情をし、アルフィン皇女は信じられない表情で尋ね、ある程度察しがついていたオリヴァルト皇子は複雑そうな表情で黙り込んでいた。

 

「――”ハーメルの悲劇”、でしたか。リウイ陛下からその件を聞きましたが、エレボニア帝国はメンフィル帝国が要求した”戦争回避条約”の件がなければ世界中に公表するつもりはなかったとの事ですよね?」

するとその時エイドスは目を細めてオリヴァルト皇子とアルフィン皇女を見つめて問いかけた。

 

 

自称”ただの新妻”のハチャメチャ女神、エイドスさん。シリアスモードこと女神モードになると女神としての威厳(?)を見せています(オイッ!)問題は女神モードがいつまで続く事やら……(汗)


 
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