No.759945

真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第五十九回 第四章:潼関攻防編②・曹操の思惑

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

今回は曹操の思惑、彼女らの思惑に、涼州勢はどう対応するのでしょうか。

――――――おや、タグのようすが・・・?

続きを表示

2015-02-22 00:35:50 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4080   閲覧ユーザー数:3505

兵士「申し上げます!涼州の馬超・韓遂に攻められていた樊稠・張済が討ち取られ、長安及び潼関が奪われたとのこと!」

 

 

 

許にある曹操の居城内の一室に駆け込み大急ぎで報告した兵士の言葉が響く中、

 

しかし報告を聞いた人物たちは一切の動揺を見せない。

 

部屋の中で議論を交わしていたのは、曹操に荀彧、郭嘉、程昱である。

 

 

 

曹操「ふふ、予定通り事が運んでいるようね」

 

郭嘉「涼州の者たちは血の気が多い。領内を突けば必ず全力で叩き潰しに来るということですね」

 

 

 

郭嘉は、眼鏡をクイっと上げながら、自軍傘下の将が討たれ、領地が奪われたにもかかわらず、淡々と状況分析を行った。

 

というのも、そもそも今回の出来事は、すでに処断が確定していた樊稠、張済に対して、

 

どうせ同じ殺すにしても、国の役に立つ殺し方はないものかと曹操が考えた末の出来事であった。

 

つまり、樊稠、張済をそそのかすことによって、力量差が歴然な涼州領へと攻め込ませ、

 

逆に返り討ちにさせ領地を奪わせることで、涼州侵攻の名目を得たのである。

 

 

 

程昱「元をたどれば、どちらが始めたかもわからない小競り合いが始まりなのでしょうけど~」

 

荀彧「涼州軍はやりすぎた、というわけね」

 

 

 

一見、曹操軍たる樊稠、張済が先に手を出したのであり、涼州勢はあくまで正当防衛と思えるが、

 

間延びするおっとりした口調で程昱の言うように、そもそも以前から両者とも国境付近での小競り合いが行われていたため

 

(皮肉にも、その小競り合いもまた、樊稠、張済の処断確定の理由の一つになるのだが)

 

その主張は通らず、ふっと鼻で笑いながら荀彧が言う通り、

 

長安を実際に奪ってしまった涼州軍の方が、世間的にも大事と捉えられてしまうのである。

 

 

 

曹操「桂花!すぐに軍部のものたちを集めるよう遣いを出し、軍議の手筈を整えなさい!午後から臨時の軍議を開く!風は

 

兵糧と軍備の備蓄状況を軍議までに調べておいて頂戴!稟は長安に入った涼州軍の更なる情報収集を!」

 

 

三人「「「御意!!」」」

 

 

 

涼州に本格的に攻め込む名目を得た曹操軍が、官途以来の大規模な行動に出る。

 

 

 

 

 

 

【涼州、漢陽・馬騰集落】

 

 

時は馬超と韓遂が樊稠と張済を討ち取り、長安を占拠してから数週間が経っていたが、

 

特に曹操軍からの何かしらのアクションもなかった。

 

しかし、ある日韓遂が危惧していたものを抱えて兵士が集落の一室に駆け込んできた。

 

 

 

兵士「も、申し上げます!曹操の使者を名乗るものが馬騰様への謁見を願い出ております!」

 

 

 

兵士が報告し終えた瞬間、重たい空気が支配していた室内が、一層張りつめた重たい空気になった。

 

 

 

馬騰「ケホッ、ついに来たわね。さすがに今回ばかりは会わないのはまずそうかね」

 

 

 

軽い咳をしながら沈黙を破ったのは、部屋の最奥に坐している女性である。

 

ポニーテイルに結ったウェーブがかった茶色い髪は地面につくほど長く、

 

燃えるような緋色の瞳は、気怠さの中に決して消えることのない鋭さが灯っている。

 

馬超同様の凛々しい太眉は、その表情をより端整なものにしており、

 

また、身に着けた深緑の衣装は、その豊満な胸部ではち切れそうになっている。

 

そして、白を基調としたロングスカートには、大きなスリットが入り、

 

片足を組んでいることにより露わになっている黒のタイツで覆われた太ももが大人の色香を漂わせていた。

 

涼州漢陽郡を本拠に持つ馬一族の長であり、涼州連合の盟主、馬騰である。

 

 

 

馬超「何言ってんだよ母様!母様は具合が悪いんだから休んでてくれよ!相手が曹操の使者だろうがいつも通り門前払いに

 

してやったらいいんだよ!」

 

 

 

馬騰に続き、長女馬超はこの重苦しい空気を吹き飛ばすほどの剣幕で母親の意見を否定した。

 

 

 

馬岱「そーだよ!どうせ曹操からの書状か何かを読み上げるだけなんだから、それをもらえば済む話だよっ!」

 

 

 

更に、馬超に同調して馬騰に反論しているのは、馬騰、馬超と似た雰囲気の小柄な少女である。

 

馬超より短めの茶色い髪をサイドテイルに結い、

 

馬騰、馬超同様の緋色の瞳には、まだ幼さの残った茶目っ気のあるものであった。

 

そして、馬家の血を引くものの証とも言える太眉は、

 

その茶目っ気さも影響してか、凛々しさよりも可愛さを増長するアクセントとなっている。

 

橙色の衣装を身に着け、白のショートパンツをはいている彼女の名は馬岱。

 

馬騰の姪であり、馬超の従妹である。

 

 

 

韓遂「それに、どの道内容は大方想像がついているのだぞ。ここで馬騰殿が無理をする必要はあるまいぞ」

 

 

 

そして、韓遂も馬超馬岱同様、馬騰の意見を否定したが、しかし、

 

 

 

馬騰「ケホッケホッ、いや、ここで曹操を逆撫でするようなことはすべきじゃないよ。それに、普段使者と会うことのない

 

アタシが会うと言うんだ。曹操側にも、こちらが腹を据えているというのが伝わるだろうってもんさ」

 

 

 

馬騰は軽くせき込みながらも、自身の見解を曲げないことを宣言した。

 

その言葉には、未だ衰えを知らない凄味が籠っており、この場の誰もがそれ以上反論することができず、黙ってしまった。

 

 

 

馬騰「ケホッ、使者を部屋に通しな」

 

兵士「・・・は、はっ!」

 

 

 

馬騰の宣言に兵士も黙り込んでしまっていたが、馬騰の命令を受け、

 

再び我に返った兵士は、部屋に入って来た時同様に慌てて駆けだした。

 

 

 

 

 

 

曹操軍の使者が役目を終え帰ってから暫くの間、室内では再び息苦しい空気が支配していた。

 

 

 

韓遂「・・・むむむ、まさか一切の容赦もせず排除するとは・・・やはり長安を奪ったのはやりすぎであったぞ・・・」

 

 

馬超「何がむむむだよ!だいたいあの程昱ってやつの言い分も滅茶苦茶じゃないか!あれじゃまるであたし達が最初に手を

 

出したみたいな言い方じゃないか!あたし達はあいつらがあたし達の領地に攻め入ったから反撃しただけだぞ!」

 

 

馬騰「ケホッ、でも、確かに程昱の言う通り、元々お互い少し突き合う程度の小競り合いならずっと続いてたんだ。しかも、

 

どちらが最初に始めたかわからないのが厄介なところさね。結果、長安を獲るという大きな行動に出てしまったアタシらが

 

目立ってしまった。悔しいけど、程昱の言い分は世間的に通用してしまうんだよ」

 

 

 

曹操軍の使者として馬騰の集落にやってきた程昱が馬騰たちに伝えた内容をかいつまむと次のようなものであった。

 

我ら曹操軍は、これまでの涼州軍との小競り合いについては、乱世の慣わしと特段気に留めるつもりはなかった。

 

しかし、我らが領地である長安及び潼関を奪われたとなっては黙っているわけにはいかない。

 

涼州勢が我らに対して全面的に対峙するものと判断し、一切の容赦もなく排除する。

 

 

 

馬岱「でもやっぱりおかしいよっ!だったら曹操はそもそも自分の配下の将が私たちと諍いを起こしていたのを、見て見ぬ

 

ふりをしていたってことでしょっ!?それで私たちに長安奪われて怒るとか意味わかんないよ!自業自得じゃん!」

 

 

韓遂「要するに、曹操軍はわざと配下の将の行動を見過ごすことで我らを挑発し、結果長安を奪わせたということぞ」

 

 

 

馬岱のムキーッとイライラしながら声を荒げた憤慨に、韓遂は冷静に状況を分析してみせた。

 

 

 

馬騰「ケホッ、だろうね。たぶん、曹操軍にとって必要だったのは、アタシら涼州に攻め込むための大義名分。理由もなく

 

アタシらを攻めるだけじゃただの侵略者だけど、前提条件に領地を奪われたってのがあれば報復という名分が立つ。事実が

 

どうあれ、世間的にはアタシらが長安を奪ったとしか見えないだろうからね。まぁ、自領に抱える帝の名前を持ち出さない

 

だけまだ可愛げがあるって言うべきところなのかもしれないね」

 

 

 

さらに、馬騰が乾いた咳をしながら、曹操軍の思惑を読んでみせる。

 

 

 

馬超「クソッ、曹操軍は孫策軍と対峙するんじゃないのかよ!合肥じゃあれだけ激しくぶつかり合ってたのに!」

 

 

馬騰「ケホッケホッ、孫策軍と本格的に対峙する前に、ケホッ、背後、つまり、アタシら涼州を抑えて大陸の北を統一し、

 

後顧の憂いを断とうってところだろ―――ケホッゲホッゲホッ」

 

 

馬超「母様!」

馬岱「おば様っ!」

韓遂「馬騰殿!」

 

 

 

馬騰が激しくせき込んだことで、その場にいた三人が慌てて馬騰の名を呼びながら駆け寄った。

 

 

 

馬超「母様、やっぱりおとなしく寝てないとダメだよ!曹操のことはあたし達が何とかしておくからさ!」

 

韓遂「むむむ、しかし、袁紹を降した今となっては曹操軍はあまりに強大。我らだけで曹操の大軍を止められようか・・・」

 

 

 

確かに、仮に曹操軍が本当に全軍をもって涼州征伐に当たるとなれば、その兵力差は歴然であった。

 

 

 

馬超「だから何がむむむだよ!あたしら涼州の騎馬隊に敵なんていないだろ!?たとえ相手が大軍率いる曹操軍でもな!」

 

 

 

しかし、馬超は拳をぎゅっと固く握りしめながら強い口調で韓遂の言葉を一蹴した。

 

 

 

馬騰「ゲホッゲホッ・・・いいや、翠、その考え方は甘いよ。確かに今までも官渡、合肥のように寡兵が大軍を破る戦いは

 

あったさ。けど、それが常というわけじゃない。普通は数の暴力の前には皆無力ってもんさ」

 

 

 

馬超「そんな・・・」

 

馬騰「ケホッ、けどアタシにもちゃんと考えがある」

 

 

 

馬超の威勢の良い発言を冷静に収めた馬騰は、再び乾いた咳をしながら、一呼吸置いて自身の考えを述べ始めた。

 

 

 

馬騰「益州は成都の領主にして噂の天の御遣い・北郷一刀・・・」

 

韓遂「成都・・・領主・・・」

 

馬岱「天の・・・御遣い・・・」

 

馬超「北郷・・・一刀・・・」

 

 

 

馬騰が口にした言葉を三人は無意識に順番に復唱した。

 

 

 

馬騰「ケホッ、成都といえば、元々アタシらと親交の深かった劉焉殿が治めていた場所。彼女は民族の違いなんて一切気に

 

することなく、北方民族に近いアタシらに接してくれたからこそ、アタシは彼女のことを信頼して親交を深めたわけだけど、

 

暫くして彼女が急死、息子の劉璋が後を継いでからは疎遠になってしまった。ケホッ、その後、天の御遣いが禅譲を受けて

 

今も治めているんだけど、彼の評判についてはわざわざ言う必要はないね。まだ直接会ったことはないけど、ここ数年での

 

目覚ましいほどの益州の安定ぶりを見れば、良君なのは間違いない。ケホッ、南蛮と揉めてるようだけど、何とか平和的に

 

友好関係を結ぼうと苦心してるようだし、劉焉殿と通づるものを感じる。事情を話せば、必ずアタシらの援軍要請に応えて

 

くれるはずだよ。ケホッ、それに、合肥での曹操軍の勝利は、実は北郷軍のおかげだって言うじゃないか。戦力においても

 

実力は十分。アタシらが頼れるのは彼しかいないのさ」

 

 

 

馬騰は乾いた咳を何度もはさみながらも、自身の意見を淡々と述べ続けた。

 

 

 

馬超「でも、今の話からすると合肥じゃ北郷軍は曹操軍の味方だったってことだろ?だったら、あたしらに力なんて貸して

 

くれないんじゃないか?」

 

 

韓遂「いや、確か北郷軍は劉璋軍と呂布軍とが合わさって生まれたと聞いておるぞ。呂布軍といえばかつて曹操軍と散々に

 

殺し合っていた間柄。恨み辛みこそあれ、心から味方するなど考えにくいぞ」

 

 

馬岱「それじゃあ、例えば利害が一致したとか、何か弱みを握られてるとか、借りがあるとかなんじゃないの?」

 

 

馬騰「確か、呂布軍はかつて下邳で曹操軍に大敗しながらも命を救われている。恐らく、それを引き合いに味方するように

 

言われたんじゃないかね」

 

 

 

馬騰が北郷の名を出してから、このようにしばしの間議論が続いたが、やがて、

 

 

 

馬超「じゃあ、母様の言うように、その天の御遣いってヤツは信用できるってことなんだな?」

 

馬騰「恐らくね」

 

 

 

馬超の納得を口火に、馬岱、韓遂も馬騰の意見に賛成したようであった。

 

 

 

韓遂「では、私が今すぐ益州に向かい成都に―――」

 

 

 

と、韓遂がすぐさま部屋から出て行こうとしたが、しかし、

 

 

 

馬騰「ケホッ、いや、韓遂、翠、たんぽぽ。アンタ達はすぐに潼関に入って曹操軍の攻撃に備えな。北郷軍の方はアタシが

 

何とかしておくから」

 

 

 

馬騰は韓遂を制止し、三人にすぐに曹操軍迎撃の準備に向かわせ、自身が北郷軍に援軍を求めると告げた。

 

 

 

馬超「ダメだよ母様!母様は具合が悪いんだから!ここは韓遂さんの言う通り益州には韓遂さんに行ってもらって―――!」

 

馬騰「ケホッ、なら翠、韓遂が抜けた穴は誰が埋めるんだい?アタシが代わりに出陣すればいいのかい?」

 

馬超「それは・・・」

 

 

 

当然黙っていない馬超であったが、馬騰が鋭い眼差しで睨みながら尋ねた言葉に、馬超は答えられない。

 

馬騰の気迫は、とても具合の悪いもののそれではなかった。

 

 

 

馬騰「ケホッ、ハァ・・・翠、アンタの言うとおり、アタシは今具合が悪い。戦場になんてとてもじゃないけど立てないよ。

 

だからこそ、戦力にならないアタシが裏の仕事をするんだよ。ケホッ、それに翠は曹操を舐めすぎだよ。アタシ達涼州勢は

 

確かに強い。騎馬軍に関してはかつての幽州の白馬義従なんて目じゃないって自負できるほどね。ケホッ、けど、アンタと

 

たんぽぽだけで抑えられるほど、曹操軍は甘い相手じゃない。韓遂の力は絶対必要だよ。勿論、アンタとたんぽぽの力もね」

 

 

馬超「・・・・・・・・・わかったよ」

 

 

 

馬超は未だ納得がいかないといった様子であったが、

 

馬騰の言うことの正しさが理解できるだけに、渋々馬騰の言に従うことにした。

 

 

 

馬騰「すまないね、心配をかけて。一応羌族と氐族にも遣いを出そうと思うけど、とにかく、援軍は必ず連れてくるから、

 

それまでの間、潼関を抜かれないよう頼むよ。あそこが抜かれたら、あれよあれよという間に長安が奪い返されて、恐らく

 

そのまま一気に曹操の大軍が涼州になだれ込んでしまう。そうなったらもう止められないよ」

 

 

馬超「応よっ!」

馬岱「はーいっ!」

韓遂「了解ぞ」

 

 

 

涼州勢にとって退くことのできない曹操軍との大一番が幕を開けようとしていた。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関、馬騰軍本陣】

 

 

曹操軍の使者として程昱が涼州を訪れてから数週間が経っていた。

 

その間馬超馬岱韓遂らは馬超を総大将に据えた軍を編成して長安に入って戦闘準備を行い、

 

長安の東、黄河の南に位置する潼関で曹操軍の攻撃に備えて神経をすり減らす日々が続いていた。

 

 

 

そしてさらに数日後、ついに曹操軍が潼関へとやって来た。

 

その数はおおよそ12万。涼州軍5万の2倍強ほどと思われた。

 

今はお互い相手の出方を窺い、睨み合いが続いている状態である。

 

 

 

兵士「申し上げます。曹操軍に依然動きはありません」

 

馬超「もう待ってられるか!先手必勝!このまま一気に攻め込もうぜ!」

 

 

韓遂「待たれよ、馬超殿。この兵力差で強引に攻め込むのはあまりに危険すぎるぞ。あの曹操のことだ。ただ単に臆病風に

 

吹かれたわけでもあるまいぞ。やはりここは、防御をしっかり固め、馬騰殿の援軍を待つのが得策ぞ」

 

 

 

曹操が全然動く気配がないのに痺れを切らした馬超が打って出ようとするが、韓遂が冷静に押しとどめた。

 

 

 

馬超「何弱気になってんだよ韓遂さん!確かに母様は曹操を甘く見るなって言ってたけど、それでも、あたしや韓遂さんの

 

武に、皆の力が合わされば、何も心配する必要はないはずだろ?あたし達の騎馬隊は誰にも負けない、大陸一だからな!」

 

 

韓遂「そ、それはそうかもしれぬが・・・」

 

 

 

しかし、韓遂の制止を振り切り、自信漲るオーラを体中から迸らせ、韓遂を黙らせるほどの勢いで高らかに宣言した。

 

 

 

馬超「たんぽぽもそう思うだろ?」

 

馬岱「え?え、えーと・・・あはは、たんぽぽ、難しいことは分かんないよ」

 

 

 

馬超の気迫籠る問いに、馬岱は目を泳がせながら頭に血の上っている姉をこれ以上刺激しないよう、しれっと受け流した。

 

 

 

馬岱(でも、お姉様は脳筋だから、おば様や韓遂様の言うことを聞いといたほうがイイかも)」

 

馬超「おい、今絶対あたしに対して失礼なこと思ってただろ?」

 

馬岱「んーん、思ってないよー♪」

 

 

 

馬岱の表情から、自身に対する暴言を鋭く感じ取った馬超であったか、ここでも馬岱は華麗にスルー。

 

 

 

馬超「とにかく、曹操軍が攻めて来ないってっことは、十分準備ができてないって証拠だろ?今攻めれば絶対勝てるって!」

 

 

韓遂「いや、やはり今は攻めるべきでないぞ。相手が攻めて来ないのは、我らを引き寄せるための罠やもしれぬぞ。やはり

 

ここは防御に専念すべきぞ」

 

 

 

しかし、ここでまた馬超と韓遂のやり取りが振り出しに戻った。

 

お互い引く気はないらしい。

 

 

 

馬超「何だよ韓遂さん、涼州の乱雄と称される韓遂さんが守り守りってらしくないじゃないか。まるで曹操と戦いたくない

 

みたいな言い方だな」

 

 

韓遂「そんなことはないぞ!そもそも相手が攻めてこないのであれば、わざわざこちらが動く必要はないのだぞ!無理して

 

動いても、無駄に兵を危険に晒すだけぞ!」

 

 

 

韓遂はこれまで幾度となく中央政府に対して反乱をし続けた男であり、

 

そのため、中央政府に対して不満の多かった涼州では乱を起こす英雄という賞賛の意味を込めて、

 

中央では乱れた群雄という忌避の意味を込めてそのように称されているのだが、

 

その韓遂の得意とするのは、多少の戦力差などものともせぬ、騎馬による怒涛の強襲戦法であった。

 

そのため、馬超は韓遂に考え直してもらうために、嫌味も込めて告げたのだが、韓遂は珍しく声を荒げて否定した。

 

 

 

馬超「そういえば、韓遂さんの父君って、確か曹操の父親と同期で親しかったそうじゃないか。この前も同郷だからせめて

 

自分の手でって、あたしの獲物を横取りしてとどめを刺してたし、韓遂さんってそういうの大切にしてるんだろ?今回も、

 

そういうの気にしてるんじゃないのか?」

 

 

馬岱「ちょっとお姉様!今のはさすがに・・・」

 

 

 

お互い遠慮なくものが言える間柄であるため、馬超は遠慮なく韓遂を挑発して考えを改めさせようとしているのだが、

 

そのような背景を知っている馬岱にとっても、今の馬超の挑発は明らかに度の過ぎたものであると感じ、諌めようとしたが、

 

 

 

韓遂「・・・ハァ、わかったぞ。どの道いつかは攻めなければいつまでたっても憂いが残ったままぞ。そこまで言うのなら、

 

今曹操軍を攻めようぞ。城は鳳徳に守らせれば問題なかろうぞ。私に二心がないことを証明して見せようぞ」

 

 

鳳徳「死守っ!」

 

 

韓遂の言葉に呼応するように、表情を変えず短く言い切った少女は、トロンとした大きなスカイブルーの瞳に、

 

白銀の長い髪を、紫色の菊を模した造花の髪留めでツインテイルに結っている。

 

黒を基調にした服の胸元には緋色の大きなリボン。

 

そして緋色のプリーツスカートのようなものを穿き、健康的な程良い肉付きの足は黒のタイツで覆われていた。

 

足元まである黒の外套を羽織り、その上から大きな黒い棺を背負った彼女の名前は鳳徳。

 

馬騰配下の猛将である。

 

 

 

馬超「そうこなくっちゃ!」

 

 

 

韓遂は特に怒ることも、まして不満げな表情をすることも一切なく、

 

一度溜息をつくと、馬超の思惑通り折れ、出陣に賛同した。

 

 

 

馬岱「はぁー(本当に援軍を待たなくてもいいのかな・・・)」

 

 

 

そのような二人のやり取りに、馬岱は深くため息をつくと、自軍の選択に不安を覚えるのであった。

 

 

 

【第五十九回 第四章:潼関攻防編②・曹操の思惑 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

第五十九回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

さて、本来潼関で曹操軍と涼州勢がぶつかるのは赤壁以後のことなのですが、

 

例によって一刀君降臨による時間軸のずれが生じております。

 

(今回のケースも、実は成都の目覚ましい発展ぶりから、北郷軍が北に勢力を拡大した時の脅威を恐れての、

 

曹操軍の南下前の行動というのも一つの理由だったりするわけなのです)

 

 

そして、オリキャラ馬騰さん登場です!ちょっと危ない咳をしていらっしゃいますね 汗

 

涼州の猛者たちに対して有無言わさず黙らせる凄み衰えない肝っ玉母ちゃんといったイメージですが、

 

鳳徳(ホウトク)ちゃん含め詳しい紹介は本章終了時にまとめて紹介しますのでしばしお待ちを!

 

 

それでは、次回から涼州勢と曹操軍がぶつかる潼関での攻防が始まります。

 

曹操軍にも恋姫のオリキャラ登場の予感です!

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

――――――あれ、メイン勢力の出番は・・・汗

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
18
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択