No.759035 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2015-02-17 14:55:12 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1838 閲覧ユーザー数:1663 |
~ウルスラ病院~
「なっ、レグラムにある”槍の聖女”の石像とそっくりの人物だと!?……と言う事はお前さんがサラたちの話にあったメンフィルに寝返ったって言う結社の”蛇の使徒”か!」
「チッ、ここで現れるとはね……!」
「や、”槍の聖女”……!」
「えっと……私達に何かご用でしょうか?」
リアンヌの登場にトヴァルとサラ教官は武器を構え、アリサとエリスは不安そうな表情をした。
「まず最初に言っておきますが”試練”を乗り越えたばかりの貴方達に戦闘を仕掛けるような無粋な真似は致しません。―――今回は貴方達に伝言がある為参上しました。」
「伝言だと?」
「……一体誰からの伝言なんですか?」
リアンヌの話を聞いたユーシスは眉を顰め、リィンは真剣な表情で尋ねた。
「それを答える前に貴方達の仲間達がバリアハートとリベールで受けたそれぞれの”試練”の結果をお伝えします。」
リアンヌの言葉を聞いたリィン達は血相を変えてリアンヌを見つめ
「貴方達の仲間達はメンフィル、リベールの”試練”をそれぞれ見事乗り越える事ができました。」
「という事は……!」
「何とかメンフィルとクロスベルを交渉のテーブルに就かせる事ができたようね………」
「はい……!」
リアンヌの答えを聞いたリィンとサラ教官、エリスは明るい表情をした。
「リベールの”試練”を乗り越えた後、リベールよりロレントのメンフィル大使館にリベールに向かった者達の”試練”の結果が伝えられた際、メンフィル大使であられるリウイ陛下の代理を務めておられるイリーナ様がリベールにある依頼をしました。―――――公平を保つためにエレボニア帝国の存続についての会談の場をリベールに提供して欲しいと。」
「え……イ、イリーナ皇妃がですか?リウイ陛下の許可もなくそのような依頼をリベールに依頼をしても大丈夫なのでしょうか?」
リアンヌの話を聞いたリィンは戸惑いの表情で尋ねた。
「予めリウイ陛下からリベールの”試練”の結果がわかり次第リベールにそう依頼するように伝えられていたそうです。」
「……それでリベールはその依頼に対して、何て返事をしたんだ?」
「勿論応じたとの事です。なお、会談の場は王都グランセル郊外にある”エルベ離宮”を提供する予定だとの事です。」
「エルベ離宮……”不戦条約”の調印式の会場となった場所ね。」
「ええっ!?」
「ふ、”不戦条約”の調印式が行われ会場で今回の件についての会談をするのですか……!?」
「……確かにそこならば、今回の件の会談の場として相応しい場所だな。」
トヴァルの質問に答えたリアンヌの答えを聞いて呟いたサラ教官の話を聞いたアリサとエリスは驚き、ユーシスは真剣な表情で呟いた。
「会談には当事者であるメンフィル、クロスベル、エレボニアの三国の代表者達は当然ですが、会談の場を提供したリベールの代表者達、そしてアリシア女王陛下の提案によりその会談に”第三者の立場”として”レミフェリア公国”からの代表者も参加して頂く事になり、現在”レミフェリア公国”にその件を連絡し、返答を待っているとの事です。」
「なっ!?”レミフェリア公国”も参加するのですか!?」
「お、おいおい……既に滅亡したカルバードを除けば”通商会議”と似た状況じゃねえのか!?」
「……メンフィルとクロスベルによる二大国滅亡は西ゼムリア大陸にとって一大事でしょうから、エレボニアの件についてレミフェリアも参加すべきだと判断されたのかもしれないわね。」
リアンヌの話を聞いたリィンとトヴァルは驚き、サラ教官は真剣な表情で推測した。
「そこで話は最初に戻るのですが……――――リィン・シュバルツァー。リウイ陛下から貴方に伝言です。」
「え……リ、リウイ陛下が俺に伝言ですか……?」
「はい。『今回の会談についてアルフィン皇女は当然として当事者であるお前にも当然発言権がある為アルフィン皇女と共に参加してもらう。その際はエレボニアの代表者側として参加してもお前を含めたシュバルツァー家の者達のメンフィルに対する忠誠は疑わない故、自分や家族の事は心配せず我らメンフィルに遠慮する事なくエレボニアの味方をしても構わん。クロイツェン州の統括領主になる者として”社会勉強”にもなるだろう。今回の会談でメンフィルとお前自身の”糧”とする為にも色々学ぶがいい。』――――以上です。」
「しゃ、”社会勉強”って……!」
「………………」
「兄様…………」
リアンヌの言葉を聞いたアリサは厳しい表情をし、ユーシスは重々しい様子を纏って黙り込み、エリスは心配そうな表情で見つめ
「……そんな事をわざわざ伝えるなんて随分と舐められたものね。」
「それにリィンを未来のクロイツェン州の統括領主として見ているって事は情状酌量が認められてもクロイツェン州はエレボニアに返還されない事を言っているようなものだな……」
「…………伝言は以上でしょうか?」
サラ教官は厳しい環境でリアンヌを睨み、トヴァルは疲れた表情で呟き、リィンは静かな表情で問いかけた。
「ええ、リウイ陛下の伝言は以上です。それとは別になりますがメンフィルとクロスベルはエレボニアの代表者はアルフィン皇女とオリヴァルト皇子以外は認めないとの事です。当然その認めない人物の中にはユーゲント三世も入っています。」
「ええっ!?ど、どうしてそのお二方しか駄目なんですか!?」
「国の存亡がかかっているのだから、陛下が代表者の中に入るのは当然だと思うのだが?」
リアンヌの話を聞いたアリサは驚き、ユーシスは厳しい表情で問いかけた。
「内戦終結に向けて積極的に動いていたお二方と違い、自ら脱出するような気概すらも見せず、ただ状況が変わるのをひたすら待ち続けていたユーゲント三世を含めた貴族連合に幽閉されていた”アルノール家”の者達にエレボニアの存亡がかかった会談に参加する”資格”はないとの事です。」
「なっ!?」
「そ、そんな……」
「確かにエレボニアは敗戦国だけど皇帝に対して普通、そこまで失礼な扱いをしますか……!?」
「…………ッ……!」
リアンヌの答えを聞いたリィンは厳しい表情をし、エリスは悲痛そうな表情をし、アリサは厳しい表情で反論し、ユーシスは怒りの表情で唇を噛みしめ
「―――だが逆に考えればメンフィルとクロスベルはその二人の意見には耳を貸すって事にもなるな……」
「それに二人の参加を認めたのは”戦争回避条約”と”救済条約”に直接サインした本人であるからかもしれないわね。」
トヴァルとサラ教官はそれぞれ落ち着いた様子で推測していた。
「更にお二方の補佐役の人物の中にレクター・アランドールの参加は禁ずるとの事です。」
「レクター少尉もですか!?」
「……一体どんな理由でレクター少尉の参加を禁ずるのよ。」
予想外の人物の参加を禁じられた事にリィンは驚き、サラ教官は真剣な表情で尋ねた。
「レクター・アランドールはかつてクロスベルに凶悪犯罪組織――――”赤い星座”を呼び寄せ、滞在させた張本人。クロスベルに多くの被害を齎した凶悪犯罪組織をクロスベルに呼び込み、滞在させた”重罪”は先程説明した件を守る代わりに帳消しにするとの事です。」
「……そう言えば”クリムゾン商会”――――”赤い星座”と契約してクロスベルに滞在させた張本人は情報局のあの少尉だったな……」
「まさかとは思うけど”赤い星座”を雇う事を決めた”鉄血宰相”も許せないから、”鉄血宰相”子飼いの他の”鉄血の子供達(アイアンブリード)”が二人の補佐役を務める事も禁じているのかしら?」
リアンヌの答えを聞いたトヴァルは複雑そうな表情をし、サラ教官は質問を続けた。
「ミリアム・オライオンに関しましてはレクター・アランドールと同じ情報局に所属しているという事でその会談に参加する者として相応しくないとの事で禁じていますが、クレア・リーヴェルトに関しては認めるとの事です。」
「え……何故クレア大尉は構わないのでしょうか?」
「普通に考えたらミリアムよりあの女の方が厄介だと思うのだけど。」
意外な人物が会談の参加を認められている事にエリスは戸惑い、サラ教官は不思議そうな表情で問いかけた。
「彼女に関しましてはユミル襲撃の事件後、自ら率先してユミル防衛を行っていた事とリィン・シュバルツァーの婚約者の一人なのである程度の信頼がおけるので構わないとの事です。」
「ユミル防衛はともかくリィンの婚約者だからっていう理由だけで……」
「まさかここでもリィンの女運が関係してくるとはねぇ?」
「恐るべきは兄様の”そういう所”ですね。」
「う”…………」
リアンヌの答えを聞いたアリサが脱力している中、口元をニヤニヤさせているサラ教官とジト目のエリスに見つめられたリィンは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「会談の詳しい日程等については決まり次第トールズ士官学院に連絡が行く手筈になっています。何か質問はありますか?」
「あの……メンフィルが拘束したクロウとクロチルダさんは無事なんですか?」
「あの二人は現在牢屋に拘禁されていますが危害は加えられていません。」
「そうですか……」
「何とか一安心だな……」
リアンヌの言葉を聞いたリィンとトヴァルは安堵の表情をしたが
「―――ですがあの二人は状況が落ち着けばカイエン公と共に”処刑”される予定です。このままでは”処刑”される事になるでしょうね。」
「!!」
「やっぱりクロウにも処刑の判決が出ていたのね……まさかとは思うけど”S(スカーレット)”にも処刑の判決が出ているのかしら?」
リアンヌの次の答えを聞くとリィンは血相を変え、サラ教官は重々しい様子を纏って呟いた後厳しい表情で尋ねた。
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第553話