No.758350

~少年が望んだ世界と力~

第五十一話 「スクールパニック」

2015-02-14 14:31:40 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2565   閲覧ユーザー数:2354

前書き

ARXー7アーバレスト「『~少年が望んだ世界と力~』!前回の3つの出来事!」

 

健悟「1つ。私立聖祥大附属小学校に転校してきたフェイト」

 

アポロン「2つ。体育の授業で健悟がクラスメイトに恨みを買われる」

 

ARXー7アーバレスト「そして3つ!その恨みを持ったクラスメイトに怪人の魔の手が襲い掛かる」

 

 

 

 

私立聖祥大附属小学校 教室

3限の体育が終わった休み時間、制服に着替えた俺は自分の席の机の上にうつ伏せになっている。

 

「あ~、腹減ったなぁ」

 

「にゃはは、もう少しだから頑張って野田君」

 

昼が近づいているに加え、体育で体を動かしたため俺の腹は空腹に襲われている。

そんな俺を見て机の前に立っている早くにフェイトと教室に帰ってきたなのはが励ます。

 

「う~、あと1限の我慢は辛い。・・・あ、そうだ。どうだフェイト?今のところ学校は?」

 

「うん、凄く楽しいよ。皆親切で優しいし。授業も面白い」

 

「さっきのドッジボール、フェイトちゃん凄かったね!」

 

「あ、ありがとうなのは」

 

空腹に唸りながら俺はフェイトに今のところの学校生活の感想を訊いてみた。

フェイトは笑顔、楽しそうに答えるとなのはが先程の授業のドッジボールのフェイトの活躍を思い出し褒めるとフェイトは照れながらなのはにお礼を言う。

 

「野田君も凄かったよ!あんな低いボール投げたり、すずかちゃんに投げたのに途中で曲がったり!」

 

「ありがとうな。ドッジボールと言えばフェイト、あのジャンプは頑張りすぎだぞ。もう少し加減しないと」

 

「そ、そんなの?ごめんね」

 

フェイトと同じようにドッジボールの時のことを思いだしてなのはが俺のことも褒めてくれるとなのはにお礼を言ってから今度は俺がドッジボールの時のフェイトのジャンプについて思い出したのでついでに注意をしておく。

ドッジボールの時も思ったけど普通の小学生はあんなに高く跳ばないから。

俺に注意されたフェイトはすぐに謝って少し落ち込んでしまう。

 

「まぁ、これからは気を付けような」

 

「うん。・・・でもまさかすずかに捕られた上にすぐに投げ返されるなんて思わなかった」

 

「すずかちゃんってああ見えて凄く運動神経いいんだよ?」

 

俺の言葉にフェイトは頷くとボールを取ったすずかのことを思い出す。

確かに一般人だと思っていたすずかが魔導士であるフェイトに対抗出来るなんてフェイトにしてみれば予想外だったに違いない。

 

「本当にありがとうね健悟。助けてくれて」

 

「いいって。まあその際に恨み買っちゃったけど・・・」

 

フェイトにお礼を言われ、助けた際にクラスの男子生徒を怒らせてしまったことを思い出す。

 

「あの子、健悟に後ろからボール投げたよね。それも意図的に」

 

「しょうがねぇけどな。怒らせるようなことしちゃったし」

 

「でも後ろから投げられたボールを見もしないで捕るなんて凄いよ野田君!どうやって捕れたの?」

 

フェイトは僅かに不機嫌気味で言うと俺は自分にも非があることを言う。

なのはが俺に後ろから飛んできたボールをどうやって捕ることが出来たのか尋ねてきた。

 

「う~ん。戦闘での経験で相手の視線や敵意みたいなのを感知出来るようになってるからかな」

 

「ふえ~」

 

「本当に凄いね、健悟って」

 

「ありがとう。そういえばアリサとすずかは?」

 

なのはに尋ねられて答えるとなのはは感心し、フェイトからは凄いと言ってもらえたためお礼を返す。

ここでふとまだアリサとすずかが戻ってこないことに気になった俺はなのはとフェイトに尋ねる。

 

「トイレに行ってから帰ってくるって言ってよ」

 

「そっか」

 

<きゃあああ!>

 

「おい見ろよあれ!」

 

「なんだなんだ?」

 

「なんだろう、騒がしいね」

 

「今の悲鳴、外からだよね?」

 

「そうだな」

 

なのはからアリサとすずかが何処に行っているのかを教えてもらった直後、窓の外から悲鳴が聞こえ、他の生徒が窓から外を見て騒いでいると俺とフェイトとなのはも窓に近づいて外を見る。

外を見ると俺は目を見開いた。

学校の敷地内にミイラのような姿をした「仮面ライダーオーズ」の世界の怪人「白ヤミー」がいたからだ。

他にもグラウンドや校舎周辺には白ヤミーと同じミイラのような姿をしているが布の部分が少ないヤミー「屑ヤミー」が無数にいる。

ヤミーはまるで怒りを物にぶつけているように校舎の壁や木等近くの物を手当たり次第壊している。

 

「おいおい、何であいつらがいるんだ?」

 

「健悟、あれは一体?」

 

フェイトが回りに聞こえないよう小さい声で外にいるヤミーについて尋ねてくる。

 

「あれはヤミー。人の欲望から生まれる怪人だ」

 

「人の欲望から・・・」

 

「あの沢山いるミイラみたいなのは?」

 

「あれは屑ヤミーだ。簡単に言えば戦闘員みたいなもんだ。・・・!」

 

フェイトに続いてなのはが周りに沢山いる屑ヤミーについて尋ねてきたので簡単に説明をした直後、ヤミーに変化が起こった。

 

「ムカつく!ムカつくぅう!」

 

周囲の物を手当たり次第破壊していたヤミーがミイラのような姿から成長してカブトムシのような姿「カブトヤミー」に変化した。

 

「ちっ!成長したか。フェイト、高町、お前達は皆と一緒に先生の指示に従って避難していろ」

 

「え!?」

 

「そんな!私達も・・・」

 

「駄目だ。お前達の魔力はまだ回復しきってないし、レイジングハートもバルディッシュもない状況であいつらと戦うのは危険だ。だから避難するんだ」

 

成長したヤミーを見て俺は舌打ちし、なのはとフェイトに避難するように言う。

なのはは驚き、フェイトが自分達も戦うと言おうとしがたそれよりも早く俺は止める。

2人は一昨日の件でまだ魔力は回復しきってないに加え、レイジングハートもバルデッシュもない。

そんな状態で戦うのは危険であるため2人に避難するように伝えると俺は自分の席に向かうと2人もついてくる。

席に着くと机の右サイドに掛けある鞄を開き、中からコードレス通信機と「仮面ライダーオーズ」のドライバー「オーズドライバー」のバックル形態「フォースドライブ」と数枚のメダル「オーメダル」を取り出す。

 

「健悟、それってなんのライダーなの?」

 

「こいつは『仮面ライダーオーズ』ってライダーのベルトと変身に使うメダルだよ」

 

「メダルを使うってどうやって?それにどうしてオーズってライダーなの?」

 

「ドライバーに3つ空間があるだろ?そこにこのメダルを入れるんだ。オーズを使うのはあの敵がオーズの世界の怪人だからだ。じゃあ行って来る」

 

「う、うん!」

 

「気を付けてね、健悟」

 

「任せてとけ」

 

フェイトになんのライダーのベルトなのかを尋ねられ、なのはにはメダルをどのように使い、何故今回オーズを使うのかを訊かれる。

2人の質問に俺は説明をして行くことを告げるとなのはは頷き、フェイトが気を付けるように言うと俺は返事を返して他のクラスメイトに見つからないように教室を出て、教師に見つからないよう人気がないと思われる屋上を目指す。

 

海鳴市 市街地

 

「彼らが行動を起こしたようですねぇ~。ではこちらも準備をしましょうか~」

 

「しかし貴方方が急に参加すると聞いた時は正直驚きましたよ~」

 

今回の作戦で急遽参加することになった者達に話しかける。

 

「いつまでも待たされるのは性に合わん。我が魂が戦いを求めている」

 

最初に答えたのは一体のSDのMSだ。

白い体に甲冑を纏い、自身の身の丈を超える戟を持ち、姿は劉備達と以前健悟が召喚したMS、トールギスⅢと似ている。

 

「あのガンダムにネオトピアでの屈辱を晴らすのもだが試してみたいのだよ。我々にとっての危険分子、仮面ライダーフェニックス、野田健悟の実力とやらを」

 

次に答えたのは会議室で発言をしていたSDのMS。

全身が赤色であり、全体のシルエットはシャア・アズナブルが第二次ネオ・ジオン戦争で搭乗した機体と似ている。

 

「この地球(ほし)が俺がいた世界とは違うかろうと関係ない。俺はこの地球を手に入れ、世界の頂点に君臨する。他の世界のディセプティコン共に奪われる前にな」

 

最後に答えたのはこの中で一番巨大であるロボット、トランスフォーマーだ。

禍々しい外見を持ち、健悟と共にいたトランスフォーマー、オプティマス・プライム同じとても複雑そうな体をしている。

 

「おやおや、その呼び名は貴方の世界であって彼らはデストロンやデストロンガーではありませんでしたか~?」

 

「どちらでも同じことだ」

 

「それもそうですね~。では私は一度仮面ライダー君にご挨拶をしてきますので皆さんは準備を終わらせておいてくださいね~」

 

「貴様は準備は行わなくてよいのか?」

 

「私は貴方達と違って事前に準備を済ませていますので。それでは後ほど~」

 

全身が機械の男はそういいとビルの屋上に跳び移って移動を始めた。

 

「ふん!あの物言い、気に入らんな」

 

「この俺様を軽く見ているようだな奴は」

 

全身が機械の男がこの場から居なくなると言い方が気に入らなかったSDのMSとトランスフォーマーが愚痴を零す。

 

「だが彼の、バイオネットの技術力は中々の物だ。利用するだけ利用させてもらおうじゃないか」

 

「・・・まあいい。我が魂を楽しませてみせろ」

 

「あの程度の技術、俺様達に比べれば大したことなどない。奴もすぐに俺の実力に屈することになる」

 

赤いSDのMSだけが冷静で、全身が機械の男の所属している組織の技術力を利用だけ利用することを口に出す。

それを多少なりと理解していたのかSDのMSは少しは落ち着き、自分達との技術力を比べ、自分達の方が上だと言い切りトランスフォーマーも僅かながら落ち着く。

 

「では我々も動くとしようか」

 

「よかろう」

 

「ディセプティコン、集結せよ!」

 

赤いSDのMSが行動に出ることを告げるとSDのMSは頷き、トランスフォーマーが号令を出す。

このトランフォーマーの号令の後、同時刻の日本各地の在日米軍基地で動きがあった。

沖縄の在日米軍基地から一機のステルス戦闘機が出撃命令が出ていないにも関わらず無断で発進、神奈川県の在日米軍基地からはアメリカのパトカーと戦車、地雷除去車がフェンスを破壊して無断出動し、東京上空を飛行していた一機の軍用ヘリコプターが当初の予定とされていた進路を大きく外れ、進路を変更する。

彼らが目指しているのは、健悟達がいる海鳴市だった。

 

私立聖祥大附属小学校 屋上

階段を駆け上がって屋上に出ると誰もいないことを確認した俺は通信機の電源を入れて左耳に装備してフォースドライブを腰に当てるとベルトが伸長して巻かれ「オーズドライバー」となった。

ベルトの装着を確認すると3つのオーメダル「コアメダル」を右手に赤いコアメダル「タカメダル」を持ち、左手に黄色のコアメダル「トラメダル」と緑のコアメダル「バッタメダル」を持つとオーズドライバーのバックル「オーカテドラル」にある3つのメダル装填口の右口にタカメダル、左口にバッタメダルを同時に装填、残ったトラメダルを中央の装填口に装填して左手でオーカテドラルを右斜めに傾ける。

オーカテドラルを傾けるとオーズドライバーの右腰にマウントされているスキャナー「オースキャナー」を右手で取り、オーカテドラルに当て、横一線にスライドさせ、オーズに変身した「火野映司」と同じポーズで装填した3枚のコアメダルをスキャンする。

 

「変身!」

 

『タカ!トラ!バッタ!♪タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!♪』

 

3枚のコアメダルをスキャンすると俺の周囲に無数のメダル状のエネルギー体が現れ、スキャナーから3枚のコアメダル名が発声され、歌が流れる。

歌の最中、タカ、トラ、バッタのメダルと同じ図柄の3つメダル状のエネルギー体が俺の目の前に展開されて一体となり、一体となった目の前のメダル状のエネルギー体、オースキャナーによって取り込まれたコアメダルの力が俺の身体に転送され光を放つ。

 

「はっ!」

 

光が収まると俺は頭部が赤、上半身が黄色、下半身が緑と3色の姿、胸の円形のプレート「オーラングサークル」に使用した3枚のコアメダルのモチーフとなっている3種の生物の顔の画柄が描かれ、エネルギー流動路「ラインドライブ」が頭部と四肢に伸びている。

「俺が変身する!」のキャッチコピーの平成仮面ライダーシリーズの12作目「仮面ライダーオーズ」の主役ライダー「仮面ライダーオーズ タトバコンボ」に変身した。

 

「いくぜ!」

 

オーズに変身した俺は屋上のフェンスに向かって走り出し、勢いがつくと床を蹴って跳び、フェンスを越えて地面に向かって落下する。

 

「とっ」

 

落下して地面に着地すると正面にいた屑ヤミー4が俺に気づき、ノロノロと向かって来る。

 

「はっ!」

 

屑ヤミーが向かって来ると俺は両腕の「トラアーム」に折り畳まれている鉤爪「トラクロー」を展開して向かって行く。

 

「ふっ!はっ!やっ!せりゃああっ!」

 

向かって行き距離が縮まると屑ヤミーの一体を右のトラクローで切り裂き、次の屑ヤミーを左のトラクローで切り裂く。

続いて屑ヤミーの一体の左頬に右回し蹴りを喰らわせて蹴り飛ばし、その後ろにいた屑ヤミーに右腕でアッパースイングを繰り出し、トラクローで切った。

俺の攻撃を受けた屑ヤミー達はダメージ容量を超えたため爆発して消滅し、半分に割られたメダルが地面に落ちる。

4体の屑ヤミーを倒すがまだ大勢いる屑ヤミーが俺に向かって来る。

 

「流石に多いな。・・・さて、あのヤミーは何処にいった?・・・お!」

 

屑ヤミーを警戒しながら周囲を見渡し、カブトヤミーを探す。

周囲を見渡してグラウンドにある手洗い場を破壊しているカブトヤミーを見つけた。

 

「見つけた!」

 

カブトヤミーを見つけると進路上にいる屑ヤミーを殴り、蹴り、斬ったりして倒しながらカブトヤミーに向かって行く。

 

「おい!」

 

「むっ!」

 

俺が後ろからカブトヤミーに叫んで声を掛けるとカブトヤミーはすぐに俺の方を向いた。

 

「誰の欲望から生まれたのか知らないが、ぶっつぶす!」

 

気合とやる気が十分な状態で俺はカブトヤミーに向かって駆け出す。

俺が駆け出すとカブトヤミーも俺に向かって駆け出してきた。

 

「ウオオオ!」

 

「ふっ!はっ!」

 

向かって行ったのは俺の方が早かったが、先に攻撃を仕掛けてきたのはカブトヤミーの方だった。

カブトヤミーが右腕から拳を繰り出すと俺は右に避け、左腕でカブトヤミーの腕を払い除けてカブトヤミーの腹部を狙って右拳を突き出す。

 

「・・・いっ!」

 

だが、拳は腹部に命中したのはよかったがカブトヤミーの身体は硬く、殴った俺の拳の方が僅かに痛かった。

 

「うらああああ!!」

 

痛みが残る拳を我慢してカブトヤミーの右脇腹に左足からの蹴りをミドルキックを喰らわせ、よろけたところで右と左で交互にパンチでカブトヤミーの腹部を殴り、足がカブトヤミーの顔の高さに届くように跳躍して右足でカブトヤミーの左頬を蹴る。

頬を蹴られたカブトヤミーは飛ばされて地面を転がり、その間に俺は地面に着地、ジンジンと痛む手や足を堪える。

 

「絶対に倒してやる!」

 

蹴り飛ばされた受けたカブトヤミーは怒りながら立ち上がる。

 

「絶対倒す!野田ぁあああっ!」

 

「俺かよ!?」

 

カブトヤミーの欲望の源、倒そうとしているのが俺だと解かったため思わずツッコんでしまう。

 

「なんで俺を倒すとか言ってるんだこのヤミー。本当に誰の欲望から生まれたんだ!?」

 

誰かに恨みを買われるようなことをした覚えは・・・・・あ、あったわ!

今日1人思いっきり恨み買われるようなことしたわ!

じゃあこのヤミーはクラスメイトの男子の俺を倒したいって欲望から生まれたってことか?

・・・・・十分にありえる。

 

「だが、簡単にやられるかよ!」

 

恨みを買われるようなことをしたのは悪いとは思うがそれとこれとは別の話、やられる訳にはいかないためカブトヤミーを倒そうと攻撃を再開する。

右足からミドルキックを出してカブトヤミーの左脇腹を蹴り、右足を降ろして右腕と左腕を交互に繰り出しカブトヤミーの腹部を連続で殴り、右足を一歩踏み出し、左足を上げて、カブトヤミーの腹部を狙って左足からの前蹴りを喰らわせる。

前蹴りを受けたカブトヤミーは腹部を押さえながら後ろに3、4歩下がる。

 

「グウッ!・・・!グッ!ウゴォォォ!」

 

俺の攻撃を受けたまだ倒れないカブトヤミーが再度俺に向かってこようとした時、カブトヤミーに異変が起こった。

一瞬苦しそうな声を出し、雄叫びを上げるとカブトヤミーの腹部が光り、緑色のオーラのようなものがカブトヤミーを包む。

やがてオーラの色が一瞬だけ黄色になり、更に赤へと変わると身体の一部がセルメダルに変わったと思うとそのセルメダルがカブトヤミーとは異なる姿へと変化していく。

 

「・・・・・全部壊してやる!」

 

やがてカブトヤミーから離れ、カブトヤミーの右隣にクワガタムシの姿をした新たなヤミー「クワガタヤミー」が現れた。

 

「分離か。おいおいこのパターンはヤバイな」

 

ヤミーが二体に増えたことに俺はそんなに驚かなかった。

オーズ本編でもこのヤミーが分離して増えることを知っていたからだ。

あの男子、2つも欲望を持ってたのか.

・・・にしても2つ目の欲望は物騒だな。

だが、驚きはしなかったが増えたことで戦況がこっちに不利になりつつなっているため危険を感じる。

 

「フアっ!」

 

「オオオっ!」

 

俺が危機感を感じている中、2体のヤミーは同時に俺に向かってくる。

先頭にいたカブトヤミーのフックをしゃがんで回避し、クワガタヤミーの右からの拳を左腕でガードし、左脇腹にミドルキックを入れ、左に移動させ、カブトヤミーに対応するためにすぐに後ろを振り返ると既にカブトヤミーが俺の正面にいた。

 

「しまっ!がああっ!」

 

正面にいたカブトヤミーは左腕を大きく振ると俺の胸に直撃して吹っ飛ばされる。

飛ばされ地面を転がり、すぐに起き上がるとカブトヤミーが近づいてきて右腕を振り下ろす。

 

「くっ!うらあっ!」

 

「グウ!」

 

迫る右腕を両腕を交差させてガードし、両腕の力でカブトヤミーの右腕を押し返して払う。

両腕が自由になるとすかさずトラクローを展開して右腕を振るい、カブトヤミーの腹を右から左へ横一字に斬りつけ、更に左腕を振るい、また腹を今度は左から右に横一字に斬りつける。

 

「ウ、グウウ!」

 

「まだまだ!・・・っ!」

 

「フアアアッ!」

 

トラクローで斬られて怯んだカブトヤミーが後ろに下がり、更に攻撃を加えようとするがクワガタヤミーが接近、左腕を振るって来る。

 

「このっ!・・・なっ!?」

 

クワガタヤミーの攻撃を左に回避する。

だが、それを狙っていたのかクワガタヤミーは俺を狙って右足を出してきた。

 

「ちっ!うわあああっ!」

 

咄嗟に俺は左腕を前に出してガードするがクワガタヤミーの力に負けて後ろに蹴り飛ばされる。

 

「ウオオオッ!」

 

「ッ!てやぁぁ!」

 

クワガタヤミーに後ろに蹴り飛ばされて地面に着地するとまたカブトヤミーが接近、俺の顔を狙って右腕を突き出してくると後ろに下がりながら体を右に捻って躱し、右腕を引いて今度は左腕を突き出してくると両膝を曲げてしゃがんで回避、立ち上がると同時にカブトヤミーに向かってショルダータックルを喰らわせる。

 

「ウゴッ!」

 

「壊すしてやる!」

 

タックルを受けてカブトヤミーは下がるとそれと入れ替わりにまたクワガタヤミーが近づき殴りかかってきたので後ろに跳躍して回避する。

攻撃を加えてはいるがやはり2対1では分は悪く、段々押されて気づけば体育館近くまで移動していた。

 

「ちっ!こいつら。・・・・・ん!?」

 

カブトヤミーとクワガタヤミーの厄介さに舌打ちをするとある光景に目を奪われる。

体育館の入口に屑ヤミー達が集まり、正面入口を押し開こうとしているが中で先生達が跳び箱等でバリケードを作り懸命に侵入を防いでいるのが見えた。

 

「まずい。このままだと他の生徒や先生達が!ぐっ!」

 

体育館入口の屑ヤミー達に気を取られているとカブトヤミーに胸部を殴られ後ろに下がる。

 

「ウオオオオ!」

 

「ちっ!」

 

「フン!」

 

「うわあああっ!!」

 

カブトヤミーの左からの拳による攻撃を防ぐが右から迫ってきたクワガタヤミーのボディーブローを受けて飛ばされて地面を転がる。

 

「くそっ!やってくれるじゃねぇか」

 

痛みを堪え、カブトヤミーとクワガタヤミーを睨みながら起き上がる。

 

「「健悟(君)!!」」

 

「!?アリサ!すずか!」

 

起き上った直後聞き覚えのある声が聞こえてきた。

呼ばれて振り返ると校舎から出てきたアリサとすずかが俺に向かって走ってきている。

 

「ウ~」

 

「あ!」

 

「な、何よこいつら!」

 

だが、アリサとすずかに気づいた屑ヤミーがアリサとすずかの前に立ちはだかり、更に左右と後ろにも屑ヤミーが現れ、2人を囲む。

 

「アリサ!すずか!はっ!」

 

2人が囲まれると俺はヤミーに背を向け、バッタレッグの力を使って跳躍する。

 

「ふっ!つぁっ!はっ!」

 

アリサとすずかの前を塞いでいる屑ヤミーの後ろに着地した俺は右足からの回し蹴りを繰り出し、屑ヤミーの右腰に当てて蹴り飛ばすと両腕のトラクローを展開し両腕を交差させて右腕で左の屑ヤミー、左腕のトラクローで右の屑ヤミーを突き、両端を一旦引いて、すぐに前に突き出して正面の屑ヤミーを両手のトラクローで突き飛ばした。

 

「何で来た!ここは危険だ、避難しろ!」

 

「健悟君、お願いがあるの」

 

「また私達にライダーシステムを貸しなさい!」

 

「何!?っ!でぇいっ!」

 

近づいてきた2人に避難するように言うが2人は避難しようとせず、俺にまたライダーシステムを貸すように言ってきた。

2人の申し出に驚きながら、俺の後ろから近づいてきた屑ヤミーに気づき、振り返って右手で顔面を殴って殴り飛ばす。

 

「何を馬鹿なことを!」

 

「馬鹿じゃないわよ!」

 

俺は2人に叱咤するがすぐアリサに反論された。

 

「このままだと学校の皆や先生達も危ないんだよ!」

 

「それは・・・」

 

アリサに続いて今度はすずかが俺に反論してくるとその言葉に俺は言い返せない。

 

「私達は一度は戦いを経験してる。だから戦える!」

 

「あんなにたくさんいるのに健悟君1人じゃ無理だよ!」

 

「・・・・・」

 

「健悟君、前みたいに健悟君1人だけで頑張ろうとしないで!私、ううん、私達は健悟君の役に立ちたい!健悟君や皆を助けたいの!」

 

「私達にやらせて!ライダーシステムを貸して、健悟!」

 

ライダーシステムを貸すように訴えるアリサとすずかに俺は悩んでいる。

正直2人が言っていることは正しい。

敵はヤミーが2体、周りには大量の屑ヤミー、この広い学校からあいつらを倒しつつ、学校と教師、生徒を1人で防衛することは厳しい。

それに増援の可能性も否定出来ない。

だが、アリサが言うように1度きりではあるが戦闘経験、しかもロード、グロンギのような戦闘能力が高い連中と戦えた2人なら屑ヤミー程度、対して脅威ではないだろうしこちらの数が増えることで撃退と防衛も成功率は上がる。

戦況を考え、事態を客観的に見ても2人が加わることはデメリットにはならない。

それに2人の皆や俺を助けたいって気持ちも嬉しく思う。

でも、本当にいいのか?

2人を戦いに巻き込んでしまって。

本来は2人はライダーとは、戦いとは無関係の人間だ。

今更かもしれないがこれ以上2人を戦わせていいのだろうか?

そう思うと俺は中々決断出来ない。

 

「倒す・・・。倒す・・・!」

 

「壊す・・・。壊す・・・!」

 

「!?」

 

俺が迷っていると後ろから物騒なことを呟いているのが聞こえて振り返ると屑ヤミーを連れて2体のヤミーが近づいてくる。

 

「2人とも、ちょっとすまん!」

 

「え?・・・あ///!!」

 

「ちょ、ちょっと///!!」

 

このままでは2人が危険だと思った俺は2人に一言を詫びて右腕ですずかを、左腕でアリサを抱き抱える。

突然抱き抱えられたことにすずかとアリサは恥ずかしいのか顔が僅かに赤くなっている。

 

「跳ぶからしっかり掴まってろ!」

 

「「きゃっ!」」

 

2人を抱き抱えたままその場で跳躍し、一度ヤミー達から離れる。

跳躍したことに驚いて2人は僅かに悲鳴を出し、俺の身体にしがみつく。

跳躍して上から下を見ると学校は酷い状況になっている。

周囲には屑ヤミーがうろつき、校舎の壁が破壊され、窓ガラスが割られている。

校舎の4階の一部の教室に偶々視線を向けるとそこにはまだ生徒達が取り残されていた。

どの子も恐怖に怯え、泣いている子も多数いる。

 

「・・・ボルフォッグ!」

 

『はい、健悟機動隊長』

 

学校や他の生徒の姿を見た俺はある決断をして通信機でボルフォッグを呼ぶとすぐに返事が返ってきた。

 

「今何処にいる」

 

『現在警察無線で健悟機動隊長の学校で怪物に襲われていると報告を受けたので現在急行中です。なお、健悟機動隊長と思わしき影を今空中で捉えています』

 

ボルフォッグに現在位置を聞き、俺の姿を捉えていると言われて周囲を見渡すと段々とサイレンの音が聞こえ、音のする方角を向くと西から1台のパトカーが向かって来ているのが見えた。

 

「今、西から来ているのがお前か?」

 

『はい』

 

「分かった。合流しよう」

 

『了解です』

 

通信で合流することを伝えた俺は地上に着地するとすぐ再び高く跳躍してボルフォッグの許に向かう。

2、3回跳躍を繰り返しボルフォッグとの距離が30m程の所に着地してアリサとすずかを降ろし、3人でボルフォッグを待つ。

 

「システムチェェェエエエンジ!」

 

俺達がボルフォッグを待っているとボルフォッグは10m手前で車体を浮かせ、ロボット形態にシステムチェンジを行う。

 

「ボルフォォォォオオオッグ!」

 

「「ボルフォッグ(さん)!」」

 

「健悟機動隊長、アリサ隊員、すずか隊員、ご無事で?」

 

アリサとすずかがボルフォッグの名を呼び、システムチェンジしたボルフォッグが俺達の前に着地するとしゃがみ、片膝立ちをして俺とアリサとすずかに無事を訪ねてきた。

 

「ああ。だが学校にはまだ大勢の生徒と先生が残っている。その中にはフェイトと高町もいる。だからすぐに戻って戦闘を行う。ボルフォッグ。カオスとイクスのドライバーを出してくれ」

 

「しかし健悟機動隊長、何故2つのドライバーが必要なのですか?健悟機動隊長の身体は1つだけなのですからどちらかしか使えませんが」

 

俺が無事であることと今の学校の状況を報告してカオスとイクスのドライバーを出すよう指示を出す。

だがドライバーを2つ要求したことに疑問に思ったボルフォッグが俺に尋ねてくる。

 

「俺はこのままオーズを使う」

 

「では一体なんのために。・・・・・まさか」

 

俺がオーズのままでいることを伝えるとボルフォッグが戸惑った表情を見せ、少し考えるとあることに気づきアリサとすずかに視線を向ける。

 

「カオスとイクスを使うのは、アリサとすずかだ」

 

「「!健悟(君)!」」

 

気づいたボルフォッグに俺は頷き、カオスとイクスを使うのがアリサとすずかだと伝えるとアリサとすずかは視線をボルフォッグから俺に変え、何処か嬉しそうに俺を呼ぶと俺は2人の方を向いて頷く。

 

「よろしいのですか?」

 

「構わない。急げ」

 

「了解しました」

 

「2人とも、これを使え!」

 

ボルフォッグが脚部から2つのアタッシュケースを出す。

俺はアタッシュケースを受け取り、アリサとすずかに差し出す。

2人は俺からアタッシュケースを受け取るとロックを外して開ける。

 

「これが他のライダーシステム。前に使ったギャレンバックルに似てるわね」

 

「これってアポロン君と同じ形・・・」

 

「アリサ、そいつをギャレンバックルの時と同じように腰に当てろ。そうすればバックルが自動で装着される」

 

「うん!」

 

アリサがカオスバックルを腰に当てるとベルトが伸長して巻かれ、カオスドライバーとなる。

 

「次にバックルの両端を引くんだ」

 

「こうね?」

 

ドライバーが装着されたのを確認した俺はアリサにカオスバックルの両端「サイドバックル」を引くように指示するとそれに従い、アリサがサイドバックルを引くとカードの挿入口が上に露出される。

 

「そしたら左腰のカードケースからカードを抜き取れ。そのカードをバックルに入れろ」

 

「で、でもどのカードを引けばいいの!?」

 

俺がカードを入れるように指示をするがどのカードを引けばよいのか分からないアリサは多少戸惑いながら俺に尋ねる。

 

「安心しろ。最初は必ずそのライダーシステム用のライダーカードが出るようになってる。カードを抜いたらバックルに入れてバックルをもう一度閉じるんだ」

 

「分かった!」

 

「すずか、お前のは変身のやり方は俺のと同じだ。ドライバーにカードを入れて引き金を引け。そっちもカードは最初にライダーシステム用のカードが出るから安心しろ」

 

「うん!」

 

カードの説明をアリサにすると同時にすずかにもイクスドライバーの使い方とカードの説明をする。

俺からの説明を聞いたアリサとすずかは左腰のカードケースを開いて一番最初にあるカードをアリサは右手、すずかは左手で引き抜く。

 

『KAMEN RIDE!』

 

引き抜いたカードをすずかはイクスドライバーに挿入するとドライバーから音声が発せられ待機音が鳴り響き、イクスドライバーの銃口を天に向け、アリサは引き抜いたカードの絵柄の方を前に突き出す。

2人のポーズは偶然なのかカオスの基になったディケイドの門矢士、イクスの基になったディエンド海東大樹と同じ変身ポーズをしている。

 

「「変身!」」

 

『KAMEN RIDE! CHAOS!』

 

『EX!』

 

変身の掛け声の後、アリサは突き出していたカードを裏返しカオスバックルのカード挿入口に差し込み、サイドバックルを同時に押し込んで閉ざし、すずかがイクスドライバーのトリガーを引くと2人は光に包まれ、伸長が以前同様大学生程まで伸び、俺が造ったオリジナルの仮面ライダー、「仮面ライダーカオス」と「仮面ライダーイクス」に変身した。

 

「これがこのライダーの姿・・・」

 

「なんだか、健悟君のと似てるような」

 

「確かにね」

 

「いいかアリサ、すずか。お前達が使っているライダーシステムはフェニックスと違う所がある」

 

「違うところ?」

 

変身したアリサとすずかは自分達の身体、カオスとイクスを見て、すずかが俺のフェニックスに似ていることを指摘すると同じように思っていたアリサが頷く。

2人に今使っているライダーシステムが俺のフェニックスと異なる点があることを教えるとアリサが聞き返す。

 

「まずアリサが変身しているその姿『仮面ライダーカオス』はフェニックスと同じように他のライダーやロボットに変身が出来る。ただし、ライダーやロボットを召喚、呼び出すことは出来ない。またライダーは変身出来るのが限られている」

 

「そ、そうなの!?」

 

俺がカオスの能力を教えると召喚が出来ないのとライダーの変身に制限があること知って驚いた声で聞き返す。

 

「だが、ライダー以外は制限がないから自由に変身出来る。次にすずか。すずかが変身してるライダー『仮面ライダーイクス』はカオスの様に他のライダーやロボットに変身することは出来ない。その代わりにフェニックスと同じ様にライダーやロボット達を召喚、呼び出すことが可能だ。ちなみに制限はない」

 

「そうなんだ」

 

「なんかすずかのライダーシステムの方が能力的に良さそうね」

 

アリサの次にすずかにイクスの能力について教えると聞いていたアリサがカオスよりもイクスの方が良い能力を持っていると不満そうに言う。

 

「そんなことはないと思うぞ?使い方次第でカオスでもイクスよりも有利な戦闘が出来る」

 

「使い方次第ねぇ」

 

「健悟君、これってアポロン君の、というよりフェニックスの力を半分にした仮面ライダーってことなの?」

 

カオスとイクスの能力差に対して俺がフォローするがアリサはまだ信用と納得しきっていない中、カオスの変身能力とイクスの召喚能力がフェニックスの能力を分けたライダーシステムであることに気づいたすずかが俺に尋ねてくる。

中々いい線いってる。

すずかの考えは半分は合ってる。

 

「その考えは間違っていないが、正確には原点に戻ったっというべきかな」

 

「どういうことよ?」

 

「残りは後で教えてやるよ。ボルフォッグ、各員に海鳴市各所に緊急配備、何処でもすぐに駆けつられるようしておけと通達を頼む」

 

「了解しました。それと健悟機動隊長、これを」

 

すずかの質問に答えるが原点に戻った、つまりディケイドとディエンドのことを知らないためその答えにアリサが疑問に思い聞き返してくる。

今は時間がないためアリサの質問は後で答えることを伝えてボルフォッグの方を向いて他の連中に通達するように頼むとボルフォッグは頷き、その直後脚部からもう1つケースを出した。

出されたケースを受け取りケースを見るとオーズのマークがついており、ケースの蓋を開けて中身を確認すると中には以前カオスでディケイドとテストの際にオーズに変身して使った大剣、メダジャリバーが入っていた。

 

「ありがとう、ボルフォッグ」

 

「いえ、ご武運を」

 

「ああ。いくぞ!」

 

「あ、待ちなさいよ!」

 

「け、健悟君!」

 

メダジャリバーを出してくれたボルフォッグに礼を言う。

ボルフォッグが武運を祈ってくれると頷き、アリサとすずかに声を掛けて学校に走って戻る。

俺が走り出すと遅れて2人も俺の後に続いて学校に向かって走る。

学校の校門を跳び越えて入ると正面に屑ヤミーが5体いた。

 

「ふっ!はっ!」

 

屑ヤミーに向かって走り、一体目をメダジャリバーで右スイングで斬り、2体目を左スイングで斬り、3体目は右斜め上から振り下ろして斬り、4体目はメダジャリバーを左斜め下から振り上げて斬り、5体目には右足で腹部に前蹴りを喰らわせて蹴り飛ばし、倒れたところをメダジャリバーで腹部を刺して倒す。

 

「こっちだ屑ヤミー共!」

 

俺が叫ぶと周囲や校舎に入ろうとしていた屑ヤミーが振り向き、俺にゆっくりであるが向かってくる。

俺も屑ヤミー達に向かって行き、すれ違いざまにメダジャリバーで屑ヤミーを斬っていく。

 

「こんのっ!」

 

「ええいっ!」

 

俺に遅れて来たアリサとすずかが学校に入るとすぐに戦闘を開始、アリサは正面の屑ヤミーの顔面を右腕を殴り飛ばし、右から来た屑ヤミーには左脇腹に右足からのミドルキックを喰らわせ、後ろから抱き着こうとしていた屑ヤミーを一本背負いで投げ飛ばし、左からの屑ヤミーには右腕からラリアットを喰わせた。

すずかはイクスドライバーによる射撃で前方、左右、後方と全方位の屑ヤミーを撃ち倒す。

 

「こいつらホントに数が多い!」

 

「アリサ、すずか、カードケースからARのカードを引け!」

 

「アタック・・・ライド?」

 

「なんなのよそれ!」

 

「いいから引いてみろ!」

 

屑ヤミーを攻撃しながら知らないカード名を言われて戸惑いすずかは首を傾げ、アリサは叫びながら俺に尋ねる。

戦いながら説明するのは難しく、左から来た屑ヤミーをメダジャリバーで斬りながら兎に角カードを引くように叫んだ。

 

「う、うん!」

 

「わ、分かったわよ!」

 

俺が叫ぶと2人は多少戸惑いながらカードケースからカードを引き抜く。

 

「引いたらカードをドライバーに入れて発動させろ!」

 

『ATTACK RIDE! IMPACT!』

 

『ATTACK RIDE! BLSUT!』

 

引いたカードをドライバーに入れるよう指示すると2人はカードをドライバーに装填してARを発動させる。

2人がカードを発動させた直後、すずかの左側から8体の屑ヤミー、アリサの正面から3体の屑ヤミーが近づいて来ていた。

 

「このぉ!」

 

正面から来る屑ヤミーにアリサは向かって行き、一番先頭にいる屑ヤミーに狙いを定め、右拳を握りしめて右腕を引くとアリサの右上腕がカオスの色と同じガーネット色に光る。

右腕を突き出し、一番前にいた屑ヤミーの腹部を思いっ切り殴る。

すると殴られた屑ヤミーが勢いよく後ろに飛んでいき、その後ろにいた2体の屑ヤミーも巻き込んで飛んでいく。

3体の屑ヤミーは50m程離れた校舎の壁に激突して壁に無数の亀裂が走る。

打撃、キック等身体を使った攻撃の威力を比較的に向上させるAR「インパクト」による効果で発動した「カオスインパクト」で殴り飛ばされた3体の屑ヤミーはダメージ限界に達して消滅する。

あのインパクトのARはオリジナルだ。

 

「えいっ!」

 

ディケイドやディエンド、そしてフェニックスでお馴染のAR、ブラストによる効果で発動した「イクスブラスト」で無数のエネルギー弾が高速で放たれ、屑ヤミー達を倒す。

 

「何これ、パンチの威力が上がった!」

 

「す、凄い・・・」

 

ARによって攻撃力が変わるとアリサとすずかは驚きと感心しながら自分の拳とイクスドライバーを見る。

 

「はっ!とう!」

 

「あ!歓心してる場合じゃないわ!すずか!」

 

「う、うん!」

 

俺がメダジャリバーやパンチにキック、トラクローで屑ヤミー達を倒していると2人は戦闘中であることを思い出し、再び屑ヤミーへの攻撃を再開する。

 

「せやあ!・・・お!」

 

「倒す!絶対に倒す!」

 

「壊す。壊してやる!」

 

屑ヤミーの一体をメダジャリバーで斬り倒すとカブトヤミーとクワガタヤミーが俺達を見つけ、また物騒なことを口にしながら向かって来る。

 

「こいつを試すか」

 

アリサとすずかが戦力に加わったことで心に余裕が出来たのか慌てることなく左腰にあるメダル収納ケース「オーメダルネスト」から1枚の緑のコアメダル「カマキリコア」を取り出し、オーカテドラルの傾きを平行にしてオーカテドラル中央のトラコアを抜き取り、カマキリコアを装填、再びオーカテドラルを傾け、オースキャナーを取る。

 

『タカ!カマキリ!バッタ!』

 

「はっ!」

 

オースキャナーでコアメダルをスキャンすると音声の後に亜種形態「タカキリバ」にフォームチェンジする。

フォームチェンジ完了後、向かって来るカブトヤミー、クワガタヤミーに向かって俺は走り出す。

 

「チョイサッ!」

 

「ガアッ!」

 

走っている途中で両足を揃えて跳び、右足を前に突き出してカブトヤミーの胸を蹴る。

カブトヤミー自身も俺に向かって来ていたため避けることが出来ず、俺の蹴りを受けて後ろに飛び、地面を転がる。

だが、カブトヤミーには大したことないようですぐに立ち上がる。

 

「ふっ!はっ!やあっ!」

 

「ウオッ!ギイッ!オオッ!」

 

カブトヤミーが立ち上がると急いで接近し、腕がトラアームから「カマキリアーム」になったことで両腕に装備されている「カマキリソード」を使い、交互にカブトヤミーの腹部を斬りつける。

 

「お前・・・壊してやる!!」

 

カブトヤミーを攻撃しているとカブトヤミーを援護しようと後ろからクワガタヤミーが向かって来た。

 

「おっと、また選手交代か?・・・たああっ!」

 

「ゴアアッ!」

 

クワガタヤミーが近づいてくるのを把握した俺は振るわれたカブトヤミーの左腕を右腕で防いで払い除け、腹をX字に斬りつけ、一度俺から離れ指す。

 

「お前はパワーとスピードでどうだ?」

 

接近してくるクワガタヤミーの方を向き、クワガタヤミーに見せるように新たに2枚の黄色と銀のコアメダル「チーターコア」と「ゴリラコア」を取り出す。

オーカテドラルの傾きを平行し、中央と左端のカマキリとバッタのコアを抜き取り、中央にゴリラ、左端にチーターのコアを装填してオーカテドラルを傾け、オースキャナーを取りスキャンする。

 

『タカ!ゴリラ!チーター!』

 

「はっ!」

 

オースキャナーの音声の後、こちらも亜種形態である「タカゴリーター」にフォームチェンジするとクワガタヤミーに駆け出す。

 

「おらおらおらおらぁぁぁ!」

 

「グッ!ゴッ!グヌゥッ!」

 

チーターレッグの高いスピードを活かして高速で動きまわり、パワー・パンチ力が高い「ゴリラアーム」の両腕に付随されているガントレット状の武器「ゴリバコーン」でクワガタヤミーの腹、頬、背中、脇腹等を次々と殴る。

 

「どっせい!」

 

「ブオッ!グオオッ!」

 

クワガタヤミーが反応するよりも速く懐に入り込み、クワガタヤミーの腹部を両腕で殴る。

ゴリラアームで殴られるとクワガタヤミーは後ろに7、8m程飛んでいき、地面を転がる。

高い防御力を持つクワガタヤミーでもゴリラアームのパワーなら効果があり、こっちも手が痛くない。

 

「流石ゴリラアーム。パワーもあるし頑丈だな。・・・ん?」

 

「倒す!全部倒す!」

 

「ロケットパァァァァァァンチ!!」

 

「ゴオッ!」

 

クワガタヤミーが吹き飛びゴリラアームのパワーと頑丈さに感心しているとさっきまでの連携攻撃のように左からカブトヤミーが接近してくる。

カブトヤミーが近づいてくると左腕を突き出し、ロケットのようにバコーンを発射する特殊技「バコーンプレッシャー」をカブトヤミーに発射する。

放たれたバコーンプレッシャーはカブトヤミーの顔面にヒット!

バコーンプレッシャーを顔面に受けたカブトヤミーは軽く宙を舞って背中から倒れた。

ちなみにロケットパンチと叫んでしまったのは咄嗟だ。

あながち間違いではないと思うし。

 

「さあ。仕留めさせてもらうぞ。があっ!」

 

カブトヤミー、クワガタヤミーのどちらかをそろそろ倒そうとした時、突然ヤミー達とは異なる方向から緑色の電撃が放たれ俺に直撃、電撃を受けた衝撃で俺は地面に倒れた。

 

「な、なんだ・・・っ!!」

 

右手で電撃が当たった胸を押さえながら起き上り、電撃が放たれた方向を見ると俺は目を大きく開いた。

視線の先にはヤミーとは違う別の怪人3体が立っていた。

 

「ようやく見つけたぞ俺のコアメダル」

 

「俺のコアメダルもだぁ」

 

「返してもらうよ。僕らのコアメダルを」

 

「ウヴァ!ガメル!カザリもか!」

 

その3体の怪人達は「仮面ライダーオーズ」の世界の怪人で人が持つ欲望を糧に力を増大させる擬似生命体、ヤミーを生み出す根源である七つの大罪の1つである強欲の名を冠している「グリード」だった。

それぞれの特徴として頭部がクワガタの顎のような角とカマキリのような複眼を持つ昆虫系グリード「ウヴァ」、ライオンのような鬣をしている猫系グリード「カザリ」、そして象の鼻と牙、サイの角を持つ重量系グリード「ガメル」と言う名の3体のグリード達だ。

グリードを見た俺はそいつらの名を叫んだ。

 

 

 

後書き

 

ARXー7アーバレスト「新年あけましておめでとうございます!」

 

健悟「遅いんじゃボケーーー!!(跳び蹴り)」

 

ARXー7アーバレスト「ホゲェェェ!!」

 

アポロン「流石にこれは駄目ですね」

 

健悟「さあ言え!遅れた言い訳を言え!そして謝れ!」

 

ARXー7アーバレスト「酷い。新年最初の投稿でこんな扱い受けるなんて酷すぎる!」

 

アポロン「自業自得なのでは?」

 

健悟「とっとと言え。解かりやすく且つ簡潔に!」

 

ARXー7アーバレスト「はい。えーっと、簡単に言えば物語が中々纏められず時間がかかった」

 

健悟「ほぉ?」

 

ARXー7アーバレスト「んでまだ纏められそうにないから予定を変更してグリード登場で一旦切って投稿を最優先しました」

 

健悟「それでもこの遅さか?」

 

ARXー7アーバレスト「決断したのが先週の月曜だったので」

 

健悟「・・・はぁ。本当にしっかりしろよ」

 

アポロン「全くです」

 

ARXー7アーバレスト「いや本当にごめんなさい」

 

アポロン「それは私達ではなく読者に言ってください」

 

健悟「そうだぞ」

 

ARXー7アーバレスト「そうだね。読者の皆様、長らくお待たせして申し訳ありませんでした。そして今更ではありますがあけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」

 

健悟「おめでとうございます」

 

アポロン「これからもよろしくお願いします」

 

ARXー7アーバレスト「さて、では語ろうか。今回の本編について」

 

健悟「おう」

 

アポロン「今回ではこの小説でのオリジナルライダー「仮面ライダーカオス」と「仮面ライダーイクス」の2名が登場しましたね」

 

健悟「作ったのはいいが中々登場しないからどうなるかと思っていたが変身するのがアリサとすずかかぁ」

 

ARXー7アーバレスト「折角作ったんだからやっぱり使わないとね!」

 

健悟「装着者はやっぱり気分か?」

 

ARXー7アーバレスト「それもあるけど2人の出番がもう少し欲しかったからかな」

 

アポロン「そういえば最初の方で海鳴の街でSDのMSとトランスフォーマーが登場しましたね」

 

健悟「トランスフォーマーはどの作品かは台詞から予測出来るが・・・大丈夫なのか?つかなんでこの作品?」

 

ARXー7アーバレスト「多分大丈夫なはず。あの作品のトランスフォーマーの方が色んな所に入り込めるから。あいつら現実の車両というか乗り物がベースだから」

 

健悟「なるほど」

 

アポロン「前回終盤に出て来たあの紫のメタルはどうなるのですか?」

 

ARXー7アーバレスト「それは次回を待て!そうとしか言えない!」

 

健悟「しかし、改めて見ると転校してきた日にこんな騒動に巻き込まれるなんてフェイト可哀想じゃないか?」

 

アポロン「確かに」

 

ARXー7アーバレスト「それは言わないで。俺も内心では思ってるから」

 

健悟「あと今思ったんだけどさぁ。前回の次回予告と内容が変わったよな?」

 

ARXー7アーバレスト「さっきも言ったけど投稿を最優先結果です。本当に申し訳ない」

 

健悟「まあ兎に角、今後の展開に期待しよう」

 

ARXー7アーバレスト「うむ!ではそろそろ次回予告しようか!今回のBGMはこれだ!」

 

アポロン「BGMスタート」

 

BGM「Anything Goes!」

 

健悟「おい!前回と同じだぞ!」

 

ARXー7アーバレスト「だってオーズって物語の最初に語るパターン2つあるだろ?それはやらないと」

 

健悟「それたんなる口実で実際ただの手抜きだろ!」

 

ARXー7アーバレスト「・・・・・バレた?」

 

健悟「マジだったのか!!」

 

ARXー7アーバレスト「そんなのどうでもいいから早く!」

 

健悟「どうでもよくええよ!ったく!・・・んんっ!次回『~少年が望んだ世界と力~』は!」

 

カザリ「へぇ。本当に僕達のこと知ってるんだねぇ」

 

ウヴァ「どうでもいい。コアメダルさえ取り戻せるならな!」

 

ゾンダーロボ『ゾンダァァァアアアアア!!』

 

機械の男「私が教えて差し上げましょうか仮面ライダー君?」

 

すずか「皆お願い!健悟君を助けて!健悟君を守って!」

 

仮面ライダー&メタルヒーロー「「はっ!」」

 

ヒーロー「そんじゃ、ワイルドに吠えるぜ!」

 

第五十二話「グリードと召喚と守りたい人」

 

ARXー7アーバレスト「OK!」

 

健悟「なぁ。1ついいか?」

 

ARXー7アーバレスト「何か?」

 

アポロン「次回で何やら1人聞き覚えのある台詞を言っているヒーローがいるのですが。これってまさか・・・」

 

ARXー7アーバレスト「あえて何度も言おう。次回を待て!」

 

健悟「いいだろう。待ってやるよ。次回でたっぷり聞かせてもらうぞ」

 

ARXー7アーバレスト「了解了解。それでは次回をお楽しみに!」


 
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